4 / 21
風邪をひいて失敗してしまう少年の話
1
「う゛~…しんどい…」
3時間目、図工の時間。粘土でネコを作っている時のこと。朝から感じていたぼやぼや感は、気のせいではなかったみたい。楽しいはずの時間が辛くて、出来かけのネコの耳を潰してしまう。
(先生に言っちゃおうかな…)
どうせこのまま続けたところで、作業が進まないのは目に見えている。
(せんせい、すこし頭が痛いので、ほけんしつ行ってきます)
何回も何回も頭の中で予行演習をしてから、担任の佐倉先生のもとへ向かう。
「せんせ…」
「せんせー!ヨウちゃんが気分悪いってー!」
「あらら…ヨウちゃん、保健室まで歩けるかな?」
完全に出遅れてしまった。僕もそう言おうと思ったけれど、もう一人の方がずっとずっとしんどそうで言いにくい。
(あとで言おうっと)
席に戻った僕は、ぐちゃぐちゃになってしまった粘土をツンツンとつついてその時間を乗り切った。
「先生、ぼく、」
4時間目の理科が終わって、これから給食ってとき。体がぞくぞくして、重くって、なのに熱くってふわふわして。お腹なんて空いていない。早くベッドに倒れこみたい。
「あ、ユウタくん、ちょっと待っててくれる?ヨウちゃん、お迎えきたみたいだから」
「お迎え…」
そうだ、この学校では必ずお家の人と帰らないといけない。廊下側を見ると、お母さんっぽい人が、先生からランドセルを預かっている。
「お待たせユウタくん、どうしたの?」
「…なんでもない…」
だめだ、絶対だめだ。お兄ちゃんは今、はんぼうきってやつで、凄く忙しい。こんな時に迎えに来させるなんて、絶対にだめ。
給食ぼうしとエプロンをつけて、急いで給食室に向かう。しかし遅すぎたのか、そこには誰もいない。もうみんな行ってしまったんだ。駆け降りた階段登る。息が上がって、早く登れない。 ふと外を見ると、さっき早退したクラスメイトが歩いている。お母さんと一緒に歩いているその子は、手を繋いで安心したような表情をして。
ずるい、って思ってしまった。僕だって、しんどいのに。こんなこと考えるのはダメだと分かっていても、その感情はおさまらない。
僕だって帰りたい。お兄ちゃんに迎えにきてもらいたい。
(おにいちゃん…)
「っ…」
鼻がツーンってして、目が熱い。だめだ、ここは学校なんだから。
もう、歩けない。
止まりたい。 しゃがみたい。
給食、食べられない。
「あれ?君どこのクラスの子?もう運ぶもの残ってないよ?」
少し大きいお兄さんが話しかけてくる。6年生の人かな。
「何年何組?給食なくなっちゃうよ?一緒に行こうか」
頭を撫でられて、手を差し出される。
「食べたくない…」
「え?」
「もう、やだぁ…」
涙がボロボロ出てくる。
「しんどいぃ…」
「えっ、ちょっと、」
「っ~…おうち、かえりた゛い~」
ヒック、ヒックって止まらない。頭、痛い。
3時間目、図工の時間。粘土でネコを作っている時のこと。朝から感じていたぼやぼや感は、気のせいではなかったみたい。楽しいはずの時間が辛くて、出来かけのネコの耳を潰してしまう。
(先生に言っちゃおうかな…)
どうせこのまま続けたところで、作業が進まないのは目に見えている。
(せんせい、すこし頭が痛いので、ほけんしつ行ってきます)
何回も何回も頭の中で予行演習をしてから、担任の佐倉先生のもとへ向かう。
「せんせ…」
「せんせー!ヨウちゃんが気分悪いってー!」
「あらら…ヨウちゃん、保健室まで歩けるかな?」
完全に出遅れてしまった。僕もそう言おうと思ったけれど、もう一人の方がずっとずっとしんどそうで言いにくい。
(あとで言おうっと)
席に戻った僕は、ぐちゃぐちゃになってしまった粘土をツンツンとつついてその時間を乗り切った。
「先生、ぼく、」
4時間目の理科が終わって、これから給食ってとき。体がぞくぞくして、重くって、なのに熱くってふわふわして。お腹なんて空いていない。早くベッドに倒れこみたい。
「あ、ユウタくん、ちょっと待っててくれる?ヨウちゃん、お迎えきたみたいだから」
「お迎え…」
そうだ、この学校では必ずお家の人と帰らないといけない。廊下側を見ると、お母さんっぽい人が、先生からランドセルを預かっている。
「お待たせユウタくん、どうしたの?」
「…なんでもない…」
だめだ、絶対だめだ。お兄ちゃんは今、はんぼうきってやつで、凄く忙しい。こんな時に迎えに来させるなんて、絶対にだめ。
給食ぼうしとエプロンをつけて、急いで給食室に向かう。しかし遅すぎたのか、そこには誰もいない。もうみんな行ってしまったんだ。駆け降りた階段登る。息が上がって、早く登れない。 ふと外を見ると、さっき早退したクラスメイトが歩いている。お母さんと一緒に歩いているその子は、手を繋いで安心したような表情をして。
ずるい、って思ってしまった。僕だって、しんどいのに。こんなこと考えるのはダメだと分かっていても、その感情はおさまらない。
僕だって帰りたい。お兄ちゃんに迎えにきてもらいたい。
(おにいちゃん…)
「っ…」
鼻がツーンってして、目が熱い。だめだ、ここは学校なんだから。
もう、歩けない。
止まりたい。 しゃがみたい。
給食、食べられない。
「あれ?君どこのクラスの子?もう運ぶもの残ってないよ?」
少し大きいお兄さんが話しかけてくる。6年生の人かな。
「何年何組?給食なくなっちゃうよ?一緒に行こうか」
頭を撫でられて、手を差し出される。
「食べたくない…」
「え?」
「もう、やだぁ…」
涙がボロボロ出てくる。
「しんどいぃ…」
「えっ、ちょっと、」
「っ~…おうち、かえりた゛い~」
ヒック、ヒックって止まらない。頭、痛い。
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…