16 / 22
こっちのヤトコさんが本物です
しおりを挟む
宮殿跡は観光客でにぎわっているのに、受付の周りだけ変な静けさに包まれた。変なことを言われたせいだ。
「えっと……ヤトコさんがここに来たって、どういうことですか?」
そうたずねると、お姉さんは重たそうに口を開いた。
「そのままの意味ですが……」
お姉さんがヤトコさんを盗み見る。そして手で口元を隠し――
「この方ではなかったです。見た目の特徴は一致していましたが、間違いなく別の人でしたよ」
そうささやいた。わざわざ小声にしたということは――
「今ここにいるヤトコさんを、偽物だと思ってるんですか?」
「だと思うのですが」
「イグルンさんの保護記録での仮登録ですよね? わたしもその場に立ち会ったので、この人がヤトコさんで間違いないですよ」
「え? そうなんですか? フクラさんの印はなかったような気がしましたが……」
お姉さんは天井を見上げた。思い出そうとしているのかもしれないけれど、もっと早くて確実な方法がある。
「書類を見せてください」
「あ、はい。少々お待ちください」
お姉さんはパッと振り向いて、机に置かれた書類に手を伸ばした。
「そういえば、少し前に使ったばかりなので近くにあるんでした。こちらですね」
手渡された書類には仮登録証明書という表題と、ヤトコさんの名前。そして参考書類の欄に保護記録と書かれていた。
一枚めくるとその保護記録が出てくる。そこには間違いなくイグルンさんのハンコが押されていた。そして翻訳術師の欄には――
「わたしのハンコが押されています。わたしが同席した保護記録で間違いありません」
「えっと……」
お姉さんは書類を覗き込んだ。じっとわたしの印影を見つめる。
「確かに翻訳術師の判ですけど、誰のものかは、ちょっと判別が……」
「そ、そんなことないでしょう! よく見てください! ギリギリ判別できるはずです!」
わたしが指さした印影は、確かに欠けている。それでもよく見れば、名前が読めるはず。
よく見るまでは、そう思っていた。
「あっ……」
それはとても調子が悪い時の印影だった。文字がつぶれているうえに、欠けている。
『フクーラはハンコ下手だもんね』
ヤトコさんがケラケラと笑った。ヤトコさんのために頑張っているのに、なんだか理不尽だ。
なんだか顔が熱くなってきた。
「わ、わかりました。納得できないのであれば、保護記録を作ったイグルンさんを呼んできます。それまで先に来たヤトコさんを、ルクルーンに通さないでください」
書類をお姉さんの胸元に付き返すと、お姉さんは「それでしたら……」と続けた。
「女神さまはすでにお休みになられたので、先に来たエダキリさんにはお帰りいただきました」
「それならよかったです。女神さまのお休みの時間が早くて助かりました」
「おやつの時間になると、女神さまはもう出てこないんです。ただ……」
お姉さんがわざわざ振り返ったので、何か持ってくるのかと思ったら、ただ書類を机に戻しただけだった。
そして苦笑いを浮かべ、口を開いた。
「泉に……ルクルーンに入るための鍵をお渡ししたので、明日の朝には入ると思います」
「ダメじゃないですか!」
~~~~~~~~~~~~~~~
「それで、俺んとこに来たっていうのか?」
髪が白くなり始めた年配の保安官――イグルンさんがメモを取りながら悪態をついた。宮殿跡に行く前に、猫さんのケンカを仲裁したお土産屋さんの前だ。
イグルンさんは見せつけるように、深く息を吐いた。
「どうして厄介ごとばっかり持ってくるかね」
「厄介ごとを解決するのがイグルンさんの仕事じゃないですか」
「厄介ごとが起きないように、目を光らすのが俺の仕事だ。勘違いするな。まぁ、後で宮殿跡に寄って、エダキリ ヤトコだったか? 異世界人の潔白の証明くらいはしてやるよ」
イグルンさんはわたしに一切目を向けず、しゃがんだ。
さっきヤトコさんが気絶させた男が、後ろ手に縛られて座っている。それに目線の高さを合わせたのだ。
「そんな男なんて放っておいていいですよ! 勝手にケンカしてケガしただけじゃないですか!」
「お前さんが通報させたから、俺が出張ることになったんだろうが。何ならこいつを伸したのだって、ツレの異世界人だって話じゃねぇか」
イグルンさんはやっぱりこっちを見ない。男の様子をうかがいながら、何やら手帳に書き込んでいる。
「大したケガじゃなさそうだが、急所をひと突きとは感心しないな。具合を間違えりゃ死ぬだろこれ」
「吹っ掛けてきたのはそいつです。ヤトコさんは猫さんを守ったんですよ。猫さんに話を聞いてきましょうか?」
「いや、いい。野次馬の証言でそのへんの裏は取れてる。そもそも、お前さんが嘘をついているとも思っちゃいない」
「じゃあ捜査なんてしなくていいじゃないですか」
「お前さんはいつも無茶苦茶言いやがる。おーいチーラス」
イグルンさんが若い保安官を呼んだ。いつもイグルンさんと行動している保安官だ。細身で少し頼りないけれど、やたらと姿勢がいい。背中に棒が入っているんじゃないかと思うくらいだ。
チーラスさんというらしいその保安官は、イグルンさんから一歩離れたところでぴたりと立ち止まった。
「なんでしょうか? イグルン保安官」
「ここ任せていいか? その男を牢にぶち込んで、一晩反省させときゃいい」
「承知しました。立件はしない方向でいいですか?」
「そいつが反省すりゃそのつもりだ。暴れたりするようなら、まぁそのとき考えようや」
イグルンさんが立ち上がって肩を叩くと、チーラスさんはキレのある敬礼を返した。
イグルンさんはチーラスさんに「行け」と指示をして、辺りを見回す。
「それで、なりすまされた本人はどこにいるんだ?」
「ルクルーンの入口を張ってます。なりすました犯人が、明日を待たずに来るかもしれないので」
「賢いじゃねぇか。そのまま待ってりゃそのうち捕まえられるだろう。もう解決したようなもんだ」
イグルンさんが大きく口を開いて笑う。わたしは思わずため息をついてしまった。
「本気で言ってるわけじゃ、ないですよね?」
「ま、そうだな。ルクルーンに入るのを明日に回された時点で、犯人は逃げちまう可能性が高いな。なんたって、本人が来た時点でバレちまうような手口だ」
「じゃあさっさと犯人を捕まえてください」
「無茶いうんじゃねぇよ。人相をエダキリ ヤトコに似せてるんだろ? 目撃情報がごっちゃになって、精査しているうちにとんずらこかれるのがオチだ。俺にできんのは、宮殿跡の管理者に、セキュリティ指導するくらいだよ」
イグルンさんは腰を叩きながら、坂を上り始めた。宮殿跡のある方向だ。
ゆっくり歩いているように見えるのに、わたしは早足でないとついていけない。
「ルクルーンの鍵を持って行っているんですよ? 放っておくわけにはいきません」
「それはそうだが、どうしたんだ? お前さんは、そんな単純な正義感で動くような奴じゃなかっただろ。人間にゃ冷たいくらいだ」
「人間が悪いことをするからじゃないですか。今回だってそうです。わたしはこのなりすましの犯人は、ゴランドさんの関係者だと思ってます」
「ほう。そりゃまたどうしてそう思う?」
「犯人はヤトコさんの名前と外見を知っていたんです。そんな人、そう多くはいませんし、悪事を働く人は更に限られます」
「それがゴランドだっていうのか? 確かに、エダキリ ヤトコになりすました奴が裁判で証言すりゃ、逆転なんてこともありうるか」
イグルンさんが立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「いや、気づいちまったんだが……」
「なんですか?」
イグルンさんが振り向く。
「いや、エダキリ ヤトコのことだよ。お前さんが人間の世話を甲斐甲斐しく焼くなんて珍しいだろう? よほど気が合うんだと思っていたんだが、もしかしてネズミたちのために、裁判の証人を囲ってるだけか?」
「そ、そんなのどっちだっていいじゃないですか。わたしは翻訳術師としての仕事を全うしているだけです」
余計なことを言うイグルンさんの背中を押した。
「ほら。イグルンさんも仕事してください」
イグルンさんは背中は石のように固くて重かった。全く動かない。
力を入れすぎて、手が震えてきた。
肩越しにこちらを見るイグルンさんは、意地悪そうに笑っている。
「若者の世話焼くのも、年寄りの仕事だろうが」
「そういうのは趣味っていうんですよ。お休みの日に人に迷惑かからないところでやってください」
「まったく。つれないこと言いやがる。まぁ、お前さんが楽しそうなのは何よりだ」
イグルンさんの足が、ゆっくりと動き出す。
「だがさっきも言ったが、すぐに犯人は捕まらんぞ。ゴランドの関係者から洗い出すにしても、時間がかかることに変わりねぇ」
「そんなの、やってみないとわからないじゃないですか。受付でヤトコさんの潔白を証明したら、すぐに聞き込みでも始めてください」
「人使いが荒いったらありゃしねぇな。お前さんも手伝えよ。人に話を聞くくらいできんだろ」
「手伝いはしますけど、わたしはわたしにしかできないことをやります」
「何をするつもりだ?」
「この町に住んでいるのは、人間だけじゃないんですよ」
わたしはイグルンさんを宮殿跡の入口に押し込んだ。
「じゃああとはよろしくお願いします。わたしは準備があるので」
わたしはすぐに振り向いた。日が傾き始めて、道が空き始めている。
「おい! ちょっと待てって――」
呼び止めるイグルンさんの声を振り切って、わたしは坂を駆け下りた。
「えっと……ヤトコさんがここに来たって、どういうことですか?」
そうたずねると、お姉さんは重たそうに口を開いた。
「そのままの意味ですが……」
お姉さんがヤトコさんを盗み見る。そして手で口元を隠し――
「この方ではなかったです。見た目の特徴は一致していましたが、間違いなく別の人でしたよ」
そうささやいた。わざわざ小声にしたということは――
「今ここにいるヤトコさんを、偽物だと思ってるんですか?」
「だと思うのですが」
「イグルンさんの保護記録での仮登録ですよね? わたしもその場に立ち会ったので、この人がヤトコさんで間違いないですよ」
「え? そうなんですか? フクラさんの印はなかったような気がしましたが……」
お姉さんは天井を見上げた。思い出そうとしているのかもしれないけれど、もっと早くて確実な方法がある。
「書類を見せてください」
「あ、はい。少々お待ちください」
お姉さんはパッと振り向いて、机に置かれた書類に手を伸ばした。
「そういえば、少し前に使ったばかりなので近くにあるんでした。こちらですね」
手渡された書類には仮登録証明書という表題と、ヤトコさんの名前。そして参考書類の欄に保護記録と書かれていた。
一枚めくるとその保護記録が出てくる。そこには間違いなくイグルンさんのハンコが押されていた。そして翻訳術師の欄には――
「わたしのハンコが押されています。わたしが同席した保護記録で間違いありません」
「えっと……」
お姉さんは書類を覗き込んだ。じっとわたしの印影を見つめる。
「確かに翻訳術師の判ですけど、誰のものかは、ちょっと判別が……」
「そ、そんなことないでしょう! よく見てください! ギリギリ判別できるはずです!」
わたしが指さした印影は、確かに欠けている。それでもよく見れば、名前が読めるはず。
よく見るまでは、そう思っていた。
「あっ……」
それはとても調子が悪い時の印影だった。文字がつぶれているうえに、欠けている。
『フクーラはハンコ下手だもんね』
ヤトコさんがケラケラと笑った。ヤトコさんのために頑張っているのに、なんだか理不尽だ。
なんだか顔が熱くなってきた。
「わ、わかりました。納得できないのであれば、保護記録を作ったイグルンさんを呼んできます。それまで先に来たヤトコさんを、ルクルーンに通さないでください」
書類をお姉さんの胸元に付き返すと、お姉さんは「それでしたら……」と続けた。
「女神さまはすでにお休みになられたので、先に来たエダキリさんにはお帰りいただきました」
「それならよかったです。女神さまのお休みの時間が早くて助かりました」
「おやつの時間になると、女神さまはもう出てこないんです。ただ……」
お姉さんがわざわざ振り返ったので、何か持ってくるのかと思ったら、ただ書類を机に戻しただけだった。
そして苦笑いを浮かべ、口を開いた。
「泉に……ルクルーンに入るための鍵をお渡ししたので、明日の朝には入ると思います」
「ダメじゃないですか!」
~~~~~~~~~~~~~~~
「それで、俺んとこに来たっていうのか?」
髪が白くなり始めた年配の保安官――イグルンさんがメモを取りながら悪態をついた。宮殿跡に行く前に、猫さんのケンカを仲裁したお土産屋さんの前だ。
イグルンさんは見せつけるように、深く息を吐いた。
「どうして厄介ごとばっかり持ってくるかね」
「厄介ごとを解決するのがイグルンさんの仕事じゃないですか」
「厄介ごとが起きないように、目を光らすのが俺の仕事だ。勘違いするな。まぁ、後で宮殿跡に寄って、エダキリ ヤトコだったか? 異世界人の潔白の証明くらいはしてやるよ」
イグルンさんはわたしに一切目を向けず、しゃがんだ。
さっきヤトコさんが気絶させた男が、後ろ手に縛られて座っている。それに目線の高さを合わせたのだ。
「そんな男なんて放っておいていいですよ! 勝手にケンカしてケガしただけじゃないですか!」
「お前さんが通報させたから、俺が出張ることになったんだろうが。何ならこいつを伸したのだって、ツレの異世界人だって話じゃねぇか」
イグルンさんはやっぱりこっちを見ない。男の様子をうかがいながら、何やら手帳に書き込んでいる。
「大したケガじゃなさそうだが、急所をひと突きとは感心しないな。具合を間違えりゃ死ぬだろこれ」
「吹っ掛けてきたのはそいつです。ヤトコさんは猫さんを守ったんですよ。猫さんに話を聞いてきましょうか?」
「いや、いい。野次馬の証言でそのへんの裏は取れてる。そもそも、お前さんが嘘をついているとも思っちゃいない」
「じゃあ捜査なんてしなくていいじゃないですか」
「お前さんはいつも無茶苦茶言いやがる。おーいチーラス」
イグルンさんが若い保安官を呼んだ。いつもイグルンさんと行動している保安官だ。細身で少し頼りないけれど、やたらと姿勢がいい。背中に棒が入っているんじゃないかと思うくらいだ。
チーラスさんというらしいその保安官は、イグルンさんから一歩離れたところでぴたりと立ち止まった。
「なんでしょうか? イグルン保安官」
「ここ任せていいか? その男を牢にぶち込んで、一晩反省させときゃいい」
「承知しました。立件はしない方向でいいですか?」
「そいつが反省すりゃそのつもりだ。暴れたりするようなら、まぁそのとき考えようや」
イグルンさんが立ち上がって肩を叩くと、チーラスさんはキレのある敬礼を返した。
イグルンさんはチーラスさんに「行け」と指示をして、辺りを見回す。
「それで、なりすまされた本人はどこにいるんだ?」
「ルクルーンの入口を張ってます。なりすました犯人が、明日を待たずに来るかもしれないので」
「賢いじゃねぇか。そのまま待ってりゃそのうち捕まえられるだろう。もう解決したようなもんだ」
イグルンさんが大きく口を開いて笑う。わたしは思わずため息をついてしまった。
「本気で言ってるわけじゃ、ないですよね?」
「ま、そうだな。ルクルーンに入るのを明日に回された時点で、犯人は逃げちまう可能性が高いな。なんたって、本人が来た時点でバレちまうような手口だ」
「じゃあさっさと犯人を捕まえてください」
「無茶いうんじゃねぇよ。人相をエダキリ ヤトコに似せてるんだろ? 目撃情報がごっちゃになって、精査しているうちにとんずらこかれるのがオチだ。俺にできんのは、宮殿跡の管理者に、セキュリティ指導するくらいだよ」
イグルンさんは腰を叩きながら、坂を上り始めた。宮殿跡のある方向だ。
ゆっくり歩いているように見えるのに、わたしは早足でないとついていけない。
「ルクルーンの鍵を持って行っているんですよ? 放っておくわけにはいきません」
「それはそうだが、どうしたんだ? お前さんは、そんな単純な正義感で動くような奴じゃなかっただろ。人間にゃ冷たいくらいだ」
「人間が悪いことをするからじゃないですか。今回だってそうです。わたしはこのなりすましの犯人は、ゴランドさんの関係者だと思ってます」
「ほう。そりゃまたどうしてそう思う?」
「犯人はヤトコさんの名前と外見を知っていたんです。そんな人、そう多くはいませんし、悪事を働く人は更に限られます」
「それがゴランドだっていうのか? 確かに、エダキリ ヤトコになりすました奴が裁判で証言すりゃ、逆転なんてこともありうるか」
イグルンさんが立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「いや、気づいちまったんだが……」
「なんですか?」
イグルンさんが振り向く。
「いや、エダキリ ヤトコのことだよ。お前さんが人間の世話を甲斐甲斐しく焼くなんて珍しいだろう? よほど気が合うんだと思っていたんだが、もしかしてネズミたちのために、裁判の証人を囲ってるだけか?」
「そ、そんなのどっちだっていいじゃないですか。わたしは翻訳術師としての仕事を全うしているだけです」
余計なことを言うイグルンさんの背中を押した。
「ほら。イグルンさんも仕事してください」
イグルンさんは背中は石のように固くて重かった。全く動かない。
力を入れすぎて、手が震えてきた。
肩越しにこちらを見るイグルンさんは、意地悪そうに笑っている。
「若者の世話焼くのも、年寄りの仕事だろうが」
「そういうのは趣味っていうんですよ。お休みの日に人に迷惑かからないところでやってください」
「まったく。つれないこと言いやがる。まぁ、お前さんが楽しそうなのは何よりだ」
イグルンさんの足が、ゆっくりと動き出す。
「だがさっきも言ったが、すぐに犯人は捕まらんぞ。ゴランドの関係者から洗い出すにしても、時間がかかることに変わりねぇ」
「そんなの、やってみないとわからないじゃないですか。受付でヤトコさんの潔白を証明したら、すぐに聞き込みでも始めてください」
「人使いが荒いったらありゃしねぇな。お前さんも手伝えよ。人に話を聞くくらいできんだろ」
「手伝いはしますけど、わたしはわたしにしかできないことをやります」
「何をするつもりだ?」
「この町に住んでいるのは、人間だけじゃないんですよ」
わたしはイグルンさんを宮殿跡の入口に押し込んだ。
「じゃああとはよろしくお願いします。わたしは準備があるので」
わたしはすぐに振り向いた。日が傾き始めて、道が空き始めている。
「おい! ちょっと待てって――」
呼び止めるイグルンさんの声を振り切って、わたしは坂を駆け下りた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる