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第四章 終わりゆく村
第16話 世界を穿つ漆黒の雷
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森は、静かだった。
それが、かえって異様だった。
木々は密集し、葉の隙間から差し込む光もわずか。
森に生きる鳥や虫たちの気配がまるで感じられない。
ただ空気だけが重たく、肌に張りつくように湿っている。
村人曰く、紅荊の盗賊団を見た地点までは、村から森へ東の方向に伸びる道路をまっすぐ進めばいいとのこと。
しかし道路とは名ばかりで、すでに人が使用した形跡も薄く、膝まで伸びた草と苔むした岩が進行を妨げてくる。
俺は道なき道を進みながら呼吸を整えた。
確かに感じる。
この先にある、異常な何か。
徐々に濃くなる違和感は、空気そのものをざらつかせていた。
草を裂き、枝を跳ね除けて進むと、やがて前方の木々がぽっかりと開けた。
そこは、森の中にぽつりと生まれた空間だった。
太陽光が斜めに差し込み、地面には無数の根が絡み合っている。
だが、その全てが枯れていた。
緑は褪せ、葉は朽ち、木々はまるで血を抜かれたかのように色を失っている。
中心には、異様な存在があった。
一本の巨木。
いや、それは木と呼ぶにはあまりに歪だった。
高さは十メートルほど、幹は異常なほど膨れ上がり、ところどころに禍々しい瘤が浮かんでいる。
表皮はひび割れ、その隙間から紫がかった蒸気のようなものが漏れ出ていた。
「――樹魔、か……?」
それは森に稀に棲む、擬態性の魔物。
本来は極めて臆病で、人や動物が近づけば動きを止め、姿を隠してしまう性質を持つ。
根から吸い上げる微量の魔素と、葉を使って受け止める陽光のエネルギーで生命を維持する、魔物には極めて珍しいほぼ無害と言っていい存在。
だが、この個体は……完全に異常だ。
そして、俺はすぐにそれを見つけた。
幹の中心部、かつて洞のように開いていたであろう場所に、黒い金属の装飾品が埋まっている。
魔具。
古代よりこの世界に存在する、出自不明の遺物。
誰が作ったのかも、何のために作られたのかもわからない。
だがひとつ確かなのは、それらが魔素を操る特異な力を宿しているということだ。
中には触れるだけで発火を起こすものや、特定の感情に反応して動作を始めるものもあるという。
既知の魔術体系から外れた法則を持つことから、研究も困難を極め、学者たちの間では『悪魔の遺産』とも呼ばれている。
目の前のソレにどういった特性があるかはわからないが、この異形を作り上げる素になっていることは確かだろう。
恐らく周囲の魔素を吸収・蓄積するという樹魔の性質と作用し、限界を超え過成長させているのだ。
その結果、村の大地は魔素が枯れて不作に悩み、逆に樹魔本体の周囲では吸収しきれなかった分が溢れ、異様に魔素の濃い空間ができあがり、魔物たちを活性化させる。
文字通り悪魔の樹ができあがってしまったというわけだ。
俺はそこまで考えて、樹魔の根元に視線をやった。
枯れた根の傍ら、赤黒く錆びた何かが横たわっている。
人の……骸骨。
残された装束の破片には、黒い布に深紅の刺繍。
「……紅荊の盗賊団、か」
恐らく、奴らも狙ってのことではない。
俺と同じように上位から何かしらの任務を命ぜられ、その成果物として魔具を持ち帰っていたのだ。
そして休憩か何らかのトラブルか、手に入れた魔具を木のうろにでも仮置きしたのだろう。
宝を地面に置くのは躊躇われる。
その気持ちはわかる。
だが、あまりに運が悪かった。
この樹魔が生きた魔物であり、そして魔具との相性が最悪だったことが、その命を奪い今回の事件を引き起こした……。
「……ウロ、ロ」
樹魔の根が微かに蠢く。
幹の裂け目から紫色の光がぼんやりと漏れる。
気づかれたか。
俺は腰の短剣に手をかけた。
森の中に緊張が走る。
木々が風もないのに揺れ、地面がかすかに震えた。
次の瞬間。
「グォオオオオ……!!」
幹が割れ、膨張した根が地を裂きながら迫る。
咄嗟に飛び退いた俺の目の前を、無数の枝が薙ぎ払うように通過した。
その風圧だけで髪が舞う。
「……化け物が」
俺は短く息を吐き、構えを取る。
間髪入れず、樹魔が吠えるように幹をしならせて襲いかかってきた。
かなりの質量を持つ巨木が地面を抉り、木屑と土を宙に散らす。
俺はその隙間を縫って滑り込むように前へ出ると、根元へ拳を打ち込んだ。
がん、と鈍い音。
幹の表面が砕けて軋む。
続けて反対の手で短剣を抜き、幹の節目を狙って滑らせるように切りつけた。
木肌が裂け、紫色の液体が噴き出す。
だが……。
「……効果なし、か」
ダメージが無いわけではない。
ただ、それ以上に修復が速すぎる。
切り裂いた箇所は数秒も経たぬうちに癒え、再び表皮が閉じていた。
肉の代わりに樹皮が、血の代わりに魔素が――その身を再構築している。
投石。
跳躍しての踵落とし。
樹上からの脳天突き。
あらゆる角度から、打撃と刃を重ねる。
しかし無数の攻撃を叩き込んでも、樹魔の再生は止まらない。
深く抉ったはずの裂傷が、魔素の奔流に包まれた次の瞬間には何事もなかったかのように塞がっていく。
ならば、と魔具の破壊も試みた。
幹の中心に埋め込まれた黒い金属を狙って、短剣を突き立てる。
刃は弾かれ、火花が散るばかり。
拳で殴っても、岩よりも硬いそれは微動だにせず、逆にこちらの骨が軋む始末だ。
──終わりが、見えない。
このままでは、俺の体力が尽きるのが先だ。
単純な戦闘能力ではこちらが上。
しかしいかにこちらが無傷で立ち回ろうと、あちらにほぼ無尽蔵と言っていい再生能力がある以上、持久戦は不利すぎる。
ならば。
必要になるのは、再生の隙も与えない一撃。
回復が追いつかないほどの圧倒的な破壊力。
…………使うしか、ない。
使えば魔力を激しく消費する。
アジトまでの旅路はまだ残り半分。
大きな痛手、できれば避けたい選択肢、だが――。
ふと、脳裏に村でのことが浮かぶ。
リュシアの声。
必ず、帰ってきてください。
その言葉に応えた自分の口が、確かに言ったのだ。
『すぐに戻る』と。
「――仕方ない」
俺はそう呟いて、静かに深呼吸をした。
次いで左手をかざし、拳を握りしめる。
紫電が、肌の下で震える。
内側に秘められた、破滅の魔術。
「一撃で終わらせる――」
低く、地を這うような声が喉奥から漏れる。
空気が、変わった。
風が凪ぐ。
葉擦れの音も、鳥の声も、全てが遠のいていく。
まるで森全体が、その瞬間を前に、息を呑んだかのように静まり返った。
そして。
「――黒雷」
その名が放たれた刹那。
世界が、裂けた。
握り締めた拳に漆黒の雷光が奔る。
紫電ではない。
青でも白でもない、純然たる黒。
闇そのものが稲妻と化し、拳から走り出す。
奔流が空を焼く。
雷鳴が空気を切り裂き、大地を震わせ、木々の葉を吹き飛ばす。
魔力の粒子が疾走するその軌跡は、黒き光の槍となって一直線に放たれた。
それを、樹魔は見たのか。
巨木の幹が軋む。
空を薙ぐように、巨大な腕のような枝が振るわれる。
だが、遅い。
あまりに遅い。
次の瞬間、黒雷はその中心を穿った。
ズドン――!
鼓膜が破れんばかりの轟音。
振動が地面を駆け、森中の空気が一気に爆ぜる。
純黒の光が幹を貫通した。
稲妻が大地に穿ち、幹の中に封じられた魔素を灼き焦がす。
魔力の流れが逆流し、暴走し、制御を失って一気に崩壊していく。
その一撃はまさしく、ただの魔術ではない。
裁きと呼ぶべき破壊だった。
高熱。
衝撃。
咆哮のような風。
そして、爆発。
爆音。閃光。閃光。閃光。
視界が白黒に塗り潰され、やがて一拍遅れて遅れてくるのは、焼け焦げた木と濃密な土の匂い。
すべてが収まった頃には、そこには黒く焦げた巨木の骸が、ただ煙を上げて立ち尽くしていた。
そして、吹き返した風がゆっくりと髪を揺らす。
世界が、ようやく息を吐いた。
それが、かえって異様だった。
木々は密集し、葉の隙間から差し込む光もわずか。
森に生きる鳥や虫たちの気配がまるで感じられない。
ただ空気だけが重たく、肌に張りつくように湿っている。
村人曰く、紅荊の盗賊団を見た地点までは、村から森へ東の方向に伸びる道路をまっすぐ進めばいいとのこと。
しかし道路とは名ばかりで、すでに人が使用した形跡も薄く、膝まで伸びた草と苔むした岩が進行を妨げてくる。
俺は道なき道を進みながら呼吸を整えた。
確かに感じる。
この先にある、異常な何か。
徐々に濃くなる違和感は、空気そのものをざらつかせていた。
草を裂き、枝を跳ね除けて進むと、やがて前方の木々がぽっかりと開けた。
そこは、森の中にぽつりと生まれた空間だった。
太陽光が斜めに差し込み、地面には無数の根が絡み合っている。
だが、その全てが枯れていた。
緑は褪せ、葉は朽ち、木々はまるで血を抜かれたかのように色を失っている。
中心には、異様な存在があった。
一本の巨木。
いや、それは木と呼ぶにはあまりに歪だった。
高さは十メートルほど、幹は異常なほど膨れ上がり、ところどころに禍々しい瘤が浮かんでいる。
表皮はひび割れ、その隙間から紫がかった蒸気のようなものが漏れ出ていた。
「――樹魔、か……?」
それは森に稀に棲む、擬態性の魔物。
本来は極めて臆病で、人や動物が近づけば動きを止め、姿を隠してしまう性質を持つ。
根から吸い上げる微量の魔素と、葉を使って受け止める陽光のエネルギーで生命を維持する、魔物には極めて珍しいほぼ無害と言っていい存在。
だが、この個体は……完全に異常だ。
そして、俺はすぐにそれを見つけた。
幹の中心部、かつて洞のように開いていたであろう場所に、黒い金属の装飾品が埋まっている。
魔具。
古代よりこの世界に存在する、出自不明の遺物。
誰が作ったのかも、何のために作られたのかもわからない。
だがひとつ確かなのは、それらが魔素を操る特異な力を宿しているということだ。
中には触れるだけで発火を起こすものや、特定の感情に反応して動作を始めるものもあるという。
既知の魔術体系から外れた法則を持つことから、研究も困難を極め、学者たちの間では『悪魔の遺産』とも呼ばれている。
目の前のソレにどういった特性があるかはわからないが、この異形を作り上げる素になっていることは確かだろう。
恐らく周囲の魔素を吸収・蓄積するという樹魔の性質と作用し、限界を超え過成長させているのだ。
その結果、村の大地は魔素が枯れて不作に悩み、逆に樹魔本体の周囲では吸収しきれなかった分が溢れ、異様に魔素の濃い空間ができあがり、魔物たちを活性化させる。
文字通り悪魔の樹ができあがってしまったというわけだ。
俺はそこまで考えて、樹魔の根元に視線をやった。
枯れた根の傍ら、赤黒く錆びた何かが横たわっている。
人の……骸骨。
残された装束の破片には、黒い布に深紅の刺繍。
「……紅荊の盗賊団、か」
恐らく、奴らも狙ってのことではない。
俺と同じように上位から何かしらの任務を命ぜられ、その成果物として魔具を持ち帰っていたのだ。
そして休憩か何らかのトラブルか、手に入れた魔具を木のうろにでも仮置きしたのだろう。
宝を地面に置くのは躊躇われる。
その気持ちはわかる。
だが、あまりに運が悪かった。
この樹魔が生きた魔物であり、そして魔具との相性が最悪だったことが、その命を奪い今回の事件を引き起こした……。
「……ウロ、ロ」
樹魔の根が微かに蠢く。
幹の裂け目から紫色の光がぼんやりと漏れる。
気づかれたか。
俺は腰の短剣に手をかけた。
森の中に緊張が走る。
木々が風もないのに揺れ、地面がかすかに震えた。
次の瞬間。
「グォオオオオ……!!」
幹が割れ、膨張した根が地を裂きながら迫る。
咄嗟に飛び退いた俺の目の前を、無数の枝が薙ぎ払うように通過した。
その風圧だけで髪が舞う。
「……化け物が」
俺は短く息を吐き、構えを取る。
間髪入れず、樹魔が吠えるように幹をしならせて襲いかかってきた。
かなりの質量を持つ巨木が地面を抉り、木屑と土を宙に散らす。
俺はその隙間を縫って滑り込むように前へ出ると、根元へ拳を打ち込んだ。
がん、と鈍い音。
幹の表面が砕けて軋む。
続けて反対の手で短剣を抜き、幹の節目を狙って滑らせるように切りつけた。
木肌が裂け、紫色の液体が噴き出す。
だが……。
「……効果なし、か」
ダメージが無いわけではない。
ただ、それ以上に修復が速すぎる。
切り裂いた箇所は数秒も経たぬうちに癒え、再び表皮が閉じていた。
肉の代わりに樹皮が、血の代わりに魔素が――その身を再構築している。
投石。
跳躍しての踵落とし。
樹上からの脳天突き。
あらゆる角度から、打撃と刃を重ねる。
しかし無数の攻撃を叩き込んでも、樹魔の再生は止まらない。
深く抉ったはずの裂傷が、魔素の奔流に包まれた次の瞬間には何事もなかったかのように塞がっていく。
ならば、と魔具の破壊も試みた。
幹の中心に埋め込まれた黒い金属を狙って、短剣を突き立てる。
刃は弾かれ、火花が散るばかり。
拳で殴っても、岩よりも硬いそれは微動だにせず、逆にこちらの骨が軋む始末だ。
──終わりが、見えない。
このままでは、俺の体力が尽きるのが先だ。
単純な戦闘能力ではこちらが上。
しかしいかにこちらが無傷で立ち回ろうと、あちらにほぼ無尽蔵と言っていい再生能力がある以上、持久戦は不利すぎる。
ならば。
必要になるのは、再生の隙も与えない一撃。
回復が追いつかないほどの圧倒的な破壊力。
…………使うしか、ない。
使えば魔力を激しく消費する。
アジトまでの旅路はまだ残り半分。
大きな痛手、できれば避けたい選択肢、だが――。
ふと、脳裏に村でのことが浮かぶ。
リュシアの声。
必ず、帰ってきてください。
その言葉に応えた自分の口が、確かに言ったのだ。
『すぐに戻る』と。
「――仕方ない」
俺はそう呟いて、静かに深呼吸をした。
次いで左手をかざし、拳を握りしめる。
紫電が、肌の下で震える。
内側に秘められた、破滅の魔術。
「一撃で終わらせる――」
低く、地を這うような声が喉奥から漏れる。
空気が、変わった。
風が凪ぐ。
葉擦れの音も、鳥の声も、全てが遠のいていく。
まるで森全体が、その瞬間を前に、息を呑んだかのように静まり返った。
そして。
「――黒雷」
その名が放たれた刹那。
世界が、裂けた。
握り締めた拳に漆黒の雷光が奔る。
紫電ではない。
青でも白でもない、純然たる黒。
闇そのものが稲妻と化し、拳から走り出す。
奔流が空を焼く。
雷鳴が空気を切り裂き、大地を震わせ、木々の葉を吹き飛ばす。
魔力の粒子が疾走するその軌跡は、黒き光の槍となって一直線に放たれた。
それを、樹魔は見たのか。
巨木の幹が軋む。
空を薙ぐように、巨大な腕のような枝が振るわれる。
だが、遅い。
あまりに遅い。
次の瞬間、黒雷はその中心を穿った。
ズドン――!
鼓膜が破れんばかりの轟音。
振動が地面を駆け、森中の空気が一気に爆ぜる。
純黒の光が幹を貫通した。
稲妻が大地に穿ち、幹の中に封じられた魔素を灼き焦がす。
魔力の流れが逆流し、暴走し、制御を失って一気に崩壊していく。
その一撃はまさしく、ただの魔術ではない。
裁きと呼ぶべき破壊だった。
高熱。
衝撃。
咆哮のような風。
そして、爆発。
爆音。閃光。閃光。閃光。
視界が白黒に塗り潰され、やがて一拍遅れて遅れてくるのは、焼け焦げた木と濃密な土の匂い。
すべてが収まった頃には、そこには黒く焦げた巨木の骸が、ただ煙を上げて立ち尽くしていた。
そして、吹き返した風がゆっくりと髪を揺らす。
世界が、ようやく息を吐いた。
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