77 / 100
3章 王都救出絵巻
第77話 side―「暗殺者」
しおりを挟む
―「暗殺者」という呪われたジョブが、この世界には存在している。
「盗賊」と並び、本来は対魔物戦や、ダンジョン攻略において有能な力を持つジョブなのだが、街中においてはその有能さが危険視され、暗殺者のジョブを持って生まれたというだけで恐れられ、為政者に追放される忌避職。
それは「変装」や「毒調合」といった早くに覚えるジョブスキルが、『対人間相手』の暗殺でも非常に有能であることを示している。
だが、すべての暗殺者が追放に甘んじているわけではない。城壁の外の世界は危険で、好んで住む人間などまずいない。
ここ、王都でも逆に暗殺者の有能さに目をつけ、子飼いとしている組織があった。
主に王都の大商会の汚れ仕事を引き受ける犯罪組織だが、そこで子飼いにされている者の人生は壮絶を極めていた。
幼少の頃に親の借金で違法に売られ、その後ジョブが「暗殺者」だとわかると、組織で仕事をこなすエージェントとして育て、鍛え上げられてきた。
他の生き方を知らず、組織が受けた依頼だけをこなす日々だ。
それがその者にとっての日常。
ジョブスキル「変装」で、自身を偽っているときだけが、自分が人間らしくなれていると最近になって気づいてしまったこと以外は、昔から何も変わってなどいない。
スラムの一角にある組織のアジトで今日もまた新たな仕事を受ける。
今回の仕事は流れ者の身辺調査。どうも、背後に大きな組織でもついているのか、ここ最近王都であの貴重なスキルブックを何冊も流しているらしい。
ここ数年は「地底古代文明ダンジョン」に探索に出れるほどのパーティーはなく、出処が不明なため、商会の人間がそのあたり把握しておきたいらしい。
その者には何の興味もない話だ。
死んだ目で仕事の内容を聞いていたかと思えば、スラムを出る頃には通りを歩く全ての男性が振り返えるほどの絶世の美女へと変貌し、そのままある酒場へと向かっていった。
着いた先にいたのは一見、そんな売人をやるようには見えない白髪交じりの真面目そうな男。
(今回の仕事はチョロそうだな)
そんな内心を隠して、内勤勤めが似合いそうなその男に近づく。
―罠にかかるのは果たしてどちらか。
「盗賊」と並び、本来は対魔物戦や、ダンジョン攻略において有能な力を持つジョブなのだが、街中においてはその有能さが危険視され、暗殺者のジョブを持って生まれたというだけで恐れられ、為政者に追放される忌避職。
それは「変装」や「毒調合」といった早くに覚えるジョブスキルが、『対人間相手』の暗殺でも非常に有能であることを示している。
だが、すべての暗殺者が追放に甘んじているわけではない。城壁の外の世界は危険で、好んで住む人間などまずいない。
ここ、王都でも逆に暗殺者の有能さに目をつけ、子飼いとしている組織があった。
主に王都の大商会の汚れ仕事を引き受ける犯罪組織だが、そこで子飼いにされている者の人生は壮絶を極めていた。
幼少の頃に親の借金で違法に売られ、その後ジョブが「暗殺者」だとわかると、組織で仕事をこなすエージェントとして育て、鍛え上げられてきた。
他の生き方を知らず、組織が受けた依頼だけをこなす日々だ。
それがその者にとっての日常。
ジョブスキル「変装」で、自身を偽っているときだけが、自分が人間らしくなれていると最近になって気づいてしまったこと以外は、昔から何も変わってなどいない。
スラムの一角にある組織のアジトで今日もまた新たな仕事を受ける。
今回の仕事は流れ者の身辺調査。どうも、背後に大きな組織でもついているのか、ここ最近王都であの貴重なスキルブックを何冊も流しているらしい。
ここ数年は「地底古代文明ダンジョン」に探索に出れるほどのパーティーはなく、出処が不明なため、商会の人間がそのあたり把握しておきたいらしい。
その者には何の興味もない話だ。
死んだ目で仕事の内容を聞いていたかと思えば、スラムを出る頃には通りを歩く全ての男性が振り返えるほどの絶世の美女へと変貌し、そのままある酒場へと向かっていった。
着いた先にいたのは一見、そんな売人をやるようには見えない白髪交じりの真面目そうな男。
(今回の仕事はチョロそうだな)
そんな内心を隠して、内勤勤めが似合いそうなその男に近づく。
―罠にかかるのは果たしてどちらか。
43
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる