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後輩視点
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「青ってさ、童貞?」
「えっ!?ええっ!?」
大学1年の春、学食でお昼を食べながらサークルをどこにしようか決め悩んでいた時に、クラスメイトにそう言われ、僕は思わず俯いた。
「俺も俺も、一緒だって」
「何も言ってないだろ?」
「反応でわかるよ、な?」
上京したての僕に話しかけてきてくれた仲間たち。同じ学科で、授業も同じのものが多かったため一緒にいることが多くなった。
「なあ、テニスサークルとかどうよ?」
「お前テニス出来んのかよ?」
「それは練習頑張ればいいじゃん。それにここさ…」
そう言って声を潜める。
「…合宿で乱交パーティやってるらしいぜ」
「え、まじ?」
「しかも顔レベル高い。ミスコンもここから出てるし」
「へぇ…」
僕はドキドキしながら話を聞いていた。学部は男子が多いから出会いとかそんにないし、サークル活動で彼女を作る人も多い。僕もそろそろ彼女が欲しい。受験でそれどころじゃなかったから。
「な、行ってみよ?折角ならキレイな先輩と仲良くなりたいだろ?」
「うん」
「いいぜ」
「じゃ、決まりな!」
(僕みたいな地味な奴でも、彼女できるかな……?)
そんな不安を抱えながらも僕は友人たちに連れられてそのサークルの見学会に行くことになった。
◇
(『キレイな先輩』は『キレイな先輩』でも、こんなイケメンな先輩が眼の前にいたら落ち着かないのですが…!)
新歓の席で僕は心のなかでそう叫んだ。本当は家族みんなそうなんだけど、お酒は結構強い。でも倒れてたり暴れてる先輩たちを見て怖くなった。ちみちみビールを飲んでクスクス笑う。あんまり話すの得意じゃないし、何話して良いかわからない。だから、さっきから僕はずっと笑って誤魔化していた。それに。
じーっと眼の前のイケメン先輩の目線が僕に注がれている、気がする。自意識過剰かもしれないけど、すごく見られている気がする。
(どうしよう……)
俯くと、先輩が笑った気配がした。
(あ……やっぱり気のせいじゃなかったんだ)
どうしよう、と思いながらも気まずくて僕は目を逸らした。さっきからずっとこの調子だ。先輩は僕に話しかけてくるわけでもなくただぼうっと僕のことを見つめているだけなんだけど、キレイな人に見つめられるとなんだかすごく落ち着かない。
(もう帰りたいな…)
理工学部だとチェックのシャツに黒縁メガネなんてボクみたいダサい格好のやつばっかりだけど、この人は違う。モデルみたいな服装でまるで芸能人みたい。こんなにかっこいい人、初めて見た。
(やっぱり住む世界が違う……)
そう思いながら僕は残っているビールを飲み干した。とその時だった。
「1年生?名前は?」
にっこり笑われて戸惑ってしまう。名前すらうまく言えない僕とは対象的に、先輩はカッコいい名前をカッコよく言っていた。最後に悪酔いしていた先輩からタクシー代をくれるところまでカッコよかった。ちょっと悪くてすごくかっこいい。海翔先輩。住む世界が違う人。タクシーの窓の外を見ながら僕はそう思った。
◇
「せーくん、会計付き合ってくんね?」
夏合宿の宴会で、2年の先輩がこっそりパーティの詳細を話し始めた直後。合宿の初日の夜に海翔先輩は突然そんなことを言ってきた。
「え、あ、はい」
僕は急いで立ち上がる。さっき他の先輩から、サークルの会計は2年生がやるのが慣例だと聞いていた。
(名前呼び、慣れないな……)
何だか距離が近くてドキドキしてしまう。海翔先輩はニコニコしながら僕を見た。そして耳元で囁くように言うのだ。
「じゃ、青クン借りてくな?」
そのまま肩を抱かれる。会話と、沈黙。その繰り返し。それだけでドキドキする。
宿の人に支払いを済ませ、コンビニへと立ち寄る。コンドームをポイポイかごに入れていて、僕はこの後のことを想像してしまった。
(海翔先輩モテそうだしなぁ…)
すぐ近くで美男美女がセックスしてるとこを見るとかすごい世界だし、場合によっては僕もすることになるのかもしれない。そう思うとやっぱり緊張してしまう。童貞だもの。
それに。海翔先輩のようなイケメンが眼の前でセックスするのを見れるとか、多分そう経験できることじゃない。どんな風に女の子を抱くんだろう、とか。
「青クン、何飲む?酒飲める?」
コンビニで海翔先輩がドリンクを選んでいた。僕の分も選んでくれる。さらっと自然な気遣いがまたカッコいい。
(本当にモテるんだろうな……)
そう思いながら僕はこれからの事もあって少し強めのものを選ぶ。先輩は意外そうな顔をして、僕は逆に驚いてしまった。
「え、あ、あの……」
「いや、別に悪いことじゃないし良いんだけど……結構イケる口?」
そう言って先輩はクスクス笑う。その仕草もカッコよくてドキドキしてしまうのだった。
◇
(こ、これが乱交パーティ……)
「あっ♡んっ♡」
合宿所の部屋。合意の上だと事前に言われドキドキしながら訪れた僕は、仲間たちの繰り広げる光景に圧倒されていた。最初こそ普通だった宴会は、コンビニから戻ってきて、一変していた。女の子の甘い声が襖越しにも響き、少し開いた隙間から見える光景に、僕は釘付けになっていた。1年生で一番かわいいマドンナ的存在は気持ちよさそうに喘いでいる。時折体位を替えながら、セックスしている。
(これが…)
圧倒されている僕に、先輩は「俺、青クンの部屋行きたいな」と声をかけてきた。確かに爆モテする先輩的にはこんな乱交パーティよりゆっくり休みたいのかもしれない。
(でも…)
童貞捨てられるかもと思ってたけど、どうなのかなって気持ちにもなる。初めては好きな人とシたいという気持ちと、あんな風に混ざって気持よくなりたいという気持ち。それをやんわりと遮るような、先輩のお願い。
(どうしよう…)
「青クン、一緒に抜けない?」
戸惑う僕に先輩がそう囁いた。お願いしてるはずにのに、いつもニコニコしているイメージの彼の、鋭い目線に射抜かれて、僕の心臓はどきりと跳ねたのだった。
◇
(あれ?僕なんで先輩とキスしてるの)
頭の中がふわふわしている。部屋で飲み直そうと誘われて、言われるがまま部屋に戻って、なんだか楽しくなって、ふわふわしてる間にキスされて、気づいたら押し倒されていた。よく覚えてないけど、海翔先輩が僕のこと可愛いって言った気がする。
(なんか、先輩にならいいかなって)
最初は軽く触れるだけのキスだったけど、そのうち舌が入ってきてびっくりした。
(お酒の味……する)
口の中を先輩の舌が動く度に頭の後ろが痺れるような感覚になる。先輩とのキスは気持ちよくて、すごくゾクゾクする。
「青クン、顔蕩けてる」
先輩に指摘されて恥ずかしくなる。だって初めてなのだ。童貞だってこの合宿で捨てるつもりで、でも怖くて、先輩と部屋に戻ってきて、どうしてかいと先輩とキスしてるんだろう。
ぽやぽやした頭の中でかいと先輩の言葉だけが鮮明で、気づいたら下着を脱がされて、チンコ擦り付けられて、とんでもない所に指を入れられて、気づいたら、先輩に抱かれていた。
「あっ♡んあっ♡ああう…♡」
キャプテンに抱かれてた璃梨佳ちゃんもこんな感じだったのかな、とか考えてしまう。セックス、すごい。想像と全然違う。僕は今まで経験したことないくらい気持ちよくて、自分が自分でなくなるような気がして怖くなるくらいだった。
熱くて堪らない。自分でするオナニーの何倍も激しくて苦しくて気持ちよくてもっともっとされたくなる。この人に、全部奪われたいって思う。何でもされたくなるし、なんでもしたくなる。
(かいとせんぱいのいうこと、なんでもききたくなる…♡)
「はぅう…♡」
もっときもちよくなって欲しくて、僕はナカをキュウ…と蠢かせる。その度に先輩が息を吐く。すごくセクシーだなって見上げながら思う。
「青クン、可愛い」
先輩が僕の耳元で囁く度にゾクゾクする。先輩はすごく丁寧に僕を抱いたけど、先輩の手つきや表情の一つ一つが優しくてなんだかくすぐったい気持ちになる。多分今まで抱いてきた女の人達もこんな気持ちだったのかな。
(嬉しい……)
「かいとせんぱい、すき……」
思わずそう言うと、海翔先輩はびっくりしたように目を見開いた後、嬉しそうに笑ったのだった。
(なんか、僕おかしいかも……)
揺さぶられながらぼんやりした頭の中で考える。ふと横を向くと、さっきコンビニで先輩が買ったコンドームの箱が見えた。初めから僕に使うこと考えて買ったの?とか、そんなだいそれたことを考えてしまう。そんなわけないのにね。
「んあっ!?また大きくなっ……!?」
「そりゃ、可愛いこと言われたらね?」
先輩がニヤニヤしながら言う。その顔はとてもかっこよくてドキドキしてしまう。どんどん女の子みたいな気持ちになって、なんだか自分が自分じゃないみたいで怖かった。
海翔先輩のセックスはすごく優しくて、気持ちがよくて僕は何回も達してしまったし、最後には意識を失ってしまっていたらしい。夜明け頃、すごい朝早く2人で温泉入っても、まだ実感わかなかった。
◇
翌日。海にて。
僕は前日同様にパラソルの下で荷物番をしつつ、ぼんやりと海を眺めていた。先輩はよく笑ってくれるし、話も面白かったし、僕の話もちゃんと聞いてくれて、とにかく優しかった。
(抱いてきた女の子達もこんな風に優しくしてくれたのかな)
カッコいいし優しいし、何でもできるし。僕とは全然違う。
(でも、どうして海翔先輩は僕のこと抱いてくれたんだろう)
僕に経験がなさそうだったから?それともサークルの新歓で1年生は全員対象だから?わからない。僕だけが特別なわけないし、何考えてるんだろ。
ぼんやりしてると海翔先輩がこちらに向かってくるのが見えた。濡れた髪をかきあげる仕草も、鍛えている肉体に水が滴り落ちているのも、セクシーでカッコいい。ぽーっとしてしまう。
クーラーボックスからスポドリを渡すと「さんきゅ、せーちゃん」と微笑まれる。うわあカッコいい。それに、この人に昨日僕抱かれたんだよね。何だかドキドキしてしまい、直視できなくて、モジモジしてしまう。見透かされて「抱かれたくなった?」なんて意地悪言うし。僕は必死で首を振った。本当にここでセックスしちゃいそうだし、これ以上先輩を好きになってしまいそうで怖かったのだ。
先輩はそんな僕の葛藤なんて知るわけもなくて「じゃ、今夜また抜け出そうな?海翔先輩が良いこと教えてあげるから」なんて言いながら、僕の頭をポンポンと叩いた。
「せーちゃん、マジカワイイ。みんな居なかったら襲ってたわ」
耳元で囁かれてドキドキしてしまうのは、一体どうしてなんだろう。
(やっぱり僕おかしいのかな……)
でも仕方ない。こんなカッコいい人に言われて、ドキドキしない方がおかしい。
僕は童貞を捨てるつもりで合宿に来たけど、こんな素敵な人に抱かれたのならそれはそれでいいかな、なんて思ってしまうのだった。
◇
「えっ!?ええっ!?」
大学1年の春、学食でお昼を食べながらサークルをどこにしようか決め悩んでいた時に、クラスメイトにそう言われ、僕は思わず俯いた。
「俺も俺も、一緒だって」
「何も言ってないだろ?」
「反応でわかるよ、な?」
上京したての僕に話しかけてきてくれた仲間たち。同じ学科で、授業も同じのものが多かったため一緒にいることが多くなった。
「なあ、テニスサークルとかどうよ?」
「お前テニス出来んのかよ?」
「それは練習頑張ればいいじゃん。それにここさ…」
そう言って声を潜める。
「…合宿で乱交パーティやってるらしいぜ」
「え、まじ?」
「しかも顔レベル高い。ミスコンもここから出てるし」
「へぇ…」
僕はドキドキしながら話を聞いていた。学部は男子が多いから出会いとかそんにないし、サークル活動で彼女を作る人も多い。僕もそろそろ彼女が欲しい。受験でそれどころじゃなかったから。
「な、行ってみよ?折角ならキレイな先輩と仲良くなりたいだろ?」
「うん」
「いいぜ」
「じゃ、決まりな!」
(僕みたいな地味な奴でも、彼女できるかな……?)
そんな不安を抱えながらも僕は友人たちに連れられてそのサークルの見学会に行くことになった。
◇
(『キレイな先輩』は『キレイな先輩』でも、こんなイケメンな先輩が眼の前にいたら落ち着かないのですが…!)
新歓の席で僕は心のなかでそう叫んだ。本当は家族みんなそうなんだけど、お酒は結構強い。でも倒れてたり暴れてる先輩たちを見て怖くなった。ちみちみビールを飲んでクスクス笑う。あんまり話すの得意じゃないし、何話して良いかわからない。だから、さっきから僕はずっと笑って誤魔化していた。それに。
じーっと眼の前のイケメン先輩の目線が僕に注がれている、気がする。自意識過剰かもしれないけど、すごく見られている気がする。
(どうしよう……)
俯くと、先輩が笑った気配がした。
(あ……やっぱり気のせいじゃなかったんだ)
どうしよう、と思いながらも気まずくて僕は目を逸らした。さっきからずっとこの調子だ。先輩は僕に話しかけてくるわけでもなくただぼうっと僕のことを見つめているだけなんだけど、キレイな人に見つめられるとなんだかすごく落ち着かない。
(もう帰りたいな…)
理工学部だとチェックのシャツに黒縁メガネなんてボクみたいダサい格好のやつばっかりだけど、この人は違う。モデルみたいな服装でまるで芸能人みたい。こんなにかっこいい人、初めて見た。
(やっぱり住む世界が違う……)
そう思いながら僕は残っているビールを飲み干した。とその時だった。
「1年生?名前は?」
にっこり笑われて戸惑ってしまう。名前すらうまく言えない僕とは対象的に、先輩はカッコいい名前をカッコよく言っていた。最後に悪酔いしていた先輩からタクシー代をくれるところまでカッコよかった。ちょっと悪くてすごくかっこいい。海翔先輩。住む世界が違う人。タクシーの窓の外を見ながら僕はそう思った。
◇
「せーくん、会計付き合ってくんね?」
夏合宿の宴会で、2年の先輩がこっそりパーティの詳細を話し始めた直後。合宿の初日の夜に海翔先輩は突然そんなことを言ってきた。
「え、あ、はい」
僕は急いで立ち上がる。さっき他の先輩から、サークルの会計は2年生がやるのが慣例だと聞いていた。
(名前呼び、慣れないな……)
何だか距離が近くてドキドキしてしまう。海翔先輩はニコニコしながら僕を見た。そして耳元で囁くように言うのだ。
「じゃ、青クン借りてくな?」
そのまま肩を抱かれる。会話と、沈黙。その繰り返し。それだけでドキドキする。
宿の人に支払いを済ませ、コンビニへと立ち寄る。コンドームをポイポイかごに入れていて、僕はこの後のことを想像してしまった。
(海翔先輩モテそうだしなぁ…)
すぐ近くで美男美女がセックスしてるとこを見るとかすごい世界だし、場合によっては僕もすることになるのかもしれない。そう思うとやっぱり緊張してしまう。童貞だもの。
それに。海翔先輩のようなイケメンが眼の前でセックスするのを見れるとか、多分そう経験できることじゃない。どんな風に女の子を抱くんだろう、とか。
「青クン、何飲む?酒飲める?」
コンビニで海翔先輩がドリンクを選んでいた。僕の分も選んでくれる。さらっと自然な気遣いがまたカッコいい。
(本当にモテるんだろうな……)
そう思いながら僕はこれからの事もあって少し強めのものを選ぶ。先輩は意外そうな顔をして、僕は逆に驚いてしまった。
「え、あ、あの……」
「いや、別に悪いことじゃないし良いんだけど……結構イケる口?」
そう言って先輩はクスクス笑う。その仕草もカッコよくてドキドキしてしまうのだった。
◇
(こ、これが乱交パーティ……)
「あっ♡んっ♡」
合宿所の部屋。合意の上だと事前に言われドキドキしながら訪れた僕は、仲間たちの繰り広げる光景に圧倒されていた。最初こそ普通だった宴会は、コンビニから戻ってきて、一変していた。女の子の甘い声が襖越しにも響き、少し開いた隙間から見える光景に、僕は釘付けになっていた。1年生で一番かわいいマドンナ的存在は気持ちよさそうに喘いでいる。時折体位を替えながら、セックスしている。
(これが…)
圧倒されている僕に、先輩は「俺、青クンの部屋行きたいな」と声をかけてきた。確かに爆モテする先輩的にはこんな乱交パーティよりゆっくり休みたいのかもしれない。
(でも…)
童貞捨てられるかもと思ってたけど、どうなのかなって気持ちにもなる。初めては好きな人とシたいという気持ちと、あんな風に混ざって気持よくなりたいという気持ち。それをやんわりと遮るような、先輩のお願い。
(どうしよう…)
「青クン、一緒に抜けない?」
戸惑う僕に先輩がそう囁いた。お願いしてるはずにのに、いつもニコニコしているイメージの彼の、鋭い目線に射抜かれて、僕の心臓はどきりと跳ねたのだった。
◇
(あれ?僕なんで先輩とキスしてるの)
頭の中がふわふわしている。部屋で飲み直そうと誘われて、言われるがまま部屋に戻って、なんだか楽しくなって、ふわふわしてる間にキスされて、気づいたら押し倒されていた。よく覚えてないけど、海翔先輩が僕のこと可愛いって言った気がする。
(なんか、先輩にならいいかなって)
最初は軽く触れるだけのキスだったけど、そのうち舌が入ってきてびっくりした。
(お酒の味……する)
口の中を先輩の舌が動く度に頭の後ろが痺れるような感覚になる。先輩とのキスは気持ちよくて、すごくゾクゾクする。
「青クン、顔蕩けてる」
先輩に指摘されて恥ずかしくなる。だって初めてなのだ。童貞だってこの合宿で捨てるつもりで、でも怖くて、先輩と部屋に戻ってきて、どうしてかいと先輩とキスしてるんだろう。
ぽやぽやした頭の中でかいと先輩の言葉だけが鮮明で、気づいたら下着を脱がされて、チンコ擦り付けられて、とんでもない所に指を入れられて、気づいたら、先輩に抱かれていた。
「あっ♡んあっ♡ああう…♡」
キャプテンに抱かれてた璃梨佳ちゃんもこんな感じだったのかな、とか考えてしまう。セックス、すごい。想像と全然違う。僕は今まで経験したことないくらい気持ちよくて、自分が自分でなくなるような気がして怖くなるくらいだった。
熱くて堪らない。自分でするオナニーの何倍も激しくて苦しくて気持ちよくてもっともっとされたくなる。この人に、全部奪われたいって思う。何でもされたくなるし、なんでもしたくなる。
(かいとせんぱいのいうこと、なんでもききたくなる…♡)
「はぅう…♡」
もっときもちよくなって欲しくて、僕はナカをキュウ…と蠢かせる。その度に先輩が息を吐く。すごくセクシーだなって見上げながら思う。
「青クン、可愛い」
先輩が僕の耳元で囁く度にゾクゾクする。先輩はすごく丁寧に僕を抱いたけど、先輩の手つきや表情の一つ一つが優しくてなんだかくすぐったい気持ちになる。多分今まで抱いてきた女の人達もこんな気持ちだったのかな。
(嬉しい……)
「かいとせんぱい、すき……」
思わずそう言うと、海翔先輩はびっくりしたように目を見開いた後、嬉しそうに笑ったのだった。
(なんか、僕おかしいかも……)
揺さぶられながらぼんやりした頭の中で考える。ふと横を向くと、さっきコンビニで先輩が買ったコンドームの箱が見えた。初めから僕に使うこと考えて買ったの?とか、そんなだいそれたことを考えてしまう。そんなわけないのにね。
「んあっ!?また大きくなっ……!?」
「そりゃ、可愛いこと言われたらね?」
先輩がニヤニヤしながら言う。その顔はとてもかっこよくてドキドキしてしまう。どんどん女の子みたいな気持ちになって、なんだか自分が自分じゃないみたいで怖かった。
海翔先輩のセックスはすごく優しくて、気持ちがよくて僕は何回も達してしまったし、最後には意識を失ってしまっていたらしい。夜明け頃、すごい朝早く2人で温泉入っても、まだ実感わかなかった。
◇
翌日。海にて。
僕は前日同様にパラソルの下で荷物番をしつつ、ぼんやりと海を眺めていた。先輩はよく笑ってくれるし、話も面白かったし、僕の話もちゃんと聞いてくれて、とにかく優しかった。
(抱いてきた女の子達もこんな風に優しくしてくれたのかな)
カッコいいし優しいし、何でもできるし。僕とは全然違う。
(でも、どうして海翔先輩は僕のこと抱いてくれたんだろう)
僕に経験がなさそうだったから?それともサークルの新歓で1年生は全員対象だから?わからない。僕だけが特別なわけないし、何考えてるんだろ。
ぼんやりしてると海翔先輩がこちらに向かってくるのが見えた。濡れた髪をかきあげる仕草も、鍛えている肉体に水が滴り落ちているのも、セクシーでカッコいい。ぽーっとしてしまう。
クーラーボックスからスポドリを渡すと「さんきゅ、せーちゃん」と微笑まれる。うわあカッコいい。それに、この人に昨日僕抱かれたんだよね。何だかドキドキしてしまい、直視できなくて、モジモジしてしまう。見透かされて「抱かれたくなった?」なんて意地悪言うし。僕は必死で首を振った。本当にここでセックスしちゃいそうだし、これ以上先輩を好きになってしまいそうで怖かったのだ。
先輩はそんな僕の葛藤なんて知るわけもなくて「じゃ、今夜また抜け出そうな?海翔先輩が良いこと教えてあげるから」なんて言いながら、僕の頭をポンポンと叩いた。
「せーちゃん、マジカワイイ。みんな居なかったら襲ってたわ」
耳元で囁かれてドキドキしてしまうのは、一体どうしてなんだろう。
(やっぱり僕おかしいのかな……)
でも仕方ない。こんなカッコいい人に言われて、ドキドキしない方がおかしい。
僕は童貞を捨てるつもりで合宿に来たけど、こんな素敵な人に抱かれたのならそれはそれでいいかな、なんて思ってしまうのだった。
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