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プロローグ
しおりを挟む魔法。
それは、摩訶不思議な力。
原理なんて物ははっきりわかっていない。
分かっているのは、この世に存在する魔力という物をエネルギーとして発動する。有り得ないことを引き起こす術と言うことくらいだ。
そして、そんな不可思議な力が存在するこの世界のとある大陸に二つの国があった。
一つは大和。通称、武の国。と呼ばれた。
もう一つはフォルニア王国。通称、癒しの国。と呼ばれ、この二つの国は二百年前から同盟を結び、良好な関係を築いていた。
大和が武の国と呼ばれる由縁、それはこの国に伝わる魔法、そして闘い方である。
この国の闘い方、戦術、それはシンプルだ。肉体を強化し武器を持ち、敵を打ち倒す。
それだけだ
だが、そのシンプルな戦術はあらゆる国々を全く寄せ付けなかった。その戦術を可能にしているのが魔法だ。
この国に遥か昔から受け継がれて来た特殊な強化魔法。
その魔法は使用者の身体を強固にし、強靭へと変える。それはまさに鋼鉄の鎧に包まれた猛獣。剣、弓、魔法、何もかもを薙ぎ払う矛。
これが、この国が武の国と呼ばれる由縁。
フォルニア王国が癒しの国と呼ばれ由縁、それはこの国で使われる魔法が回復、護りの魔法ばかりだからだ。この国の回復に特化された魔法は死にかけの人間でも治すことが出来、遠距離回復をも可能にする。
そして護りに特化された魔法はあらゆる攻撃から人々を守る盾を作り、この国に貼られた巨大な防御魔法壁はどんな攻撃をも弾き返す。
この世界最強の盾とも言われた。
これが、この国が癒しの国と呼ばれる由縁。
この二つの国では将軍家、貴族の者をお互いの国の王子、王女の側近にするという決まり事があった。
お互いが信頼している事を示す目的からこの決まりができた。
他のどの国も、この国同士が同盟を結んだ事に驚き、そして絶望した。
誰もが安泰だと、この国に勝てる国はない、滅びることはないと言い
誰もがそう思っていた……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「影丸!早くせんと間に合わんぞ!」
「はい!」
父である影虎が低い声で影丸を急かした。
今日は影丸がフォルニア王国の王女の側近になる就任式が行われるのだ。
この大和からフォルニア王国までは然程遠くはない。だが、こういう式典がある時は式の三時間前には会場であるフォルニア王国に入国して居なくてはならない。ましてや主役の遅刻など洒落にもならない。
影丸は大急ぎで支度をし、馬を走らせ、フォルニア王国へ向かう。大和の王都からフォルニア王国の王都までは単調な平野のみ、馬を使えば一時間もあれば着く様な距離だ。
フォルニア王国には式の四時間前に着いた。
王国はすでにお祭り騒ぎだ。あちこちに出店が軒を連ね、街では「どんな人が側近になるのか?」と言う話で持ちきりだった。
「街を見て回りたい」と言う気持ちを押し殺し、頭を下げて顔を見られない様に王宮へ向かった。
王宮内は就任式の準備で大忙し、誰もが王宮内を走り回っていた。
そんな中、影丸と父の影虎が王宮についている事に気づいた執事長が声をかける。
「影虎様と影丸様ですね。お待ちしておりました。」
執事長にある部屋に案内された。そこで行われたのは着付けだった。
就任式に着る服の着付け。就任式は決められた服があり、それを着て出なければならない。
着付けをしてからは只管、就任式の作法を叩き込まれた。
もちろん、今日になるまで練習はしてきた。だが、実際に就任式でする様に通してやると一言。
「ダメです!」
「えっ?!」
そこから就任式までの全ての時間を練習させられた。
このくらい別にいいだろうと思う様な所まで修正する。
時間を忘れ練習していた影丸。気付けば就任式の三十分前で、外からは観客の声が響いていた。
「こんなに来てるのか。」
窓から観ると朝通った時もかなりの人が居たが、今はそれの十倍は居た。
就任式の三十分前、影丸は式の準備入り、始まる時を待つ。
開始十分前、影丸は緊張し始めそわそわしだす。騒がしかった観客もだんだん静かになっていく。
そして遂に始まる。
「これよりシャルロット・ブリュンヒルデ王女の側近、就任式を開催する。」
大歓迎と共に大きな拍手が巻き起こる。
影丸は、開催の合図と歓声にビクッとする。手に汗を握り、額からじんわりと汗が垂れる。
「今回、シャルロット・ブリュンヒルデ王女の側近になるのは大和国の将軍家である真田家の長男、真田影丸」
その声に応じ、影丸は会場に出る。緊張で汗ばんだ身体に日の光が照りつける。
今日ってこんなに晴れてたんだな。
そんな事を考え、緊張を紛らわせ練習通りの動きをする。
大和、フォルニア、両国の王様を始め、将軍家、貴族の人達が並んで座っている階段を上を見上げて登っていく。
階段を登り切り、膝をつき頭を下げる。
フォルニア王国の王様、カーナ王が影丸の前に立つ。
「表を上げよ!」
影丸はゆっくり顔を上げる。
カーナ王は影丸の顔を見て、少し笑った。
「そなたを我が娘、シャルロットの側近に任命する。」
そう言った王は任命書を手渡した
影丸は任命書を受け取る。
「娘を頼ぞ。」
「はい!」
観客の祝いの声一斉の喝采。
カーナ王は席に戻る。
そして、赤い目をした金色の長い髪の少女が前に来て言った。
「よろしく頼むぞ!」
少し偉そうに言う六歳の幼き姫、シャルロット・ブリュンヒルデ。
これが九歳の真田影丸との初めての出会いであった。
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