前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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鉱山都市バイバイ

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エメは夜中に目が覚めた。



いつも『おはよう』と声をかけてくれるシンジュ様の声が聞こえない···寝ている間にいなくなった?と不安に思ったが隣のベットで寝ていたので安心をした。あたりを見回してみると部屋が真っ暗で驚いた。里に居た時は寝れるときに寝ていたため暗い時間に起きていたことも多々あった。

けれどシンジュ様と過ごすうちに規則正しい生活を身体が覚えた。もうあの頃の生活には戻れない、戻りたくないと思った。

毎日優しく声をかけてくれて、美味しいご飯をくれるシンジュ様···それに昨日は身体が痛すぎて泣いてしまったが許してくれた···

ベリーを食べたことで激しい痛みはなかったが、全身ギシギシと軋む音が頭に響く···ものすごく怖いけれど『成長痛』ってものらしい。シンジュ様も成長痛になったことあるって言ってた。こんな痛みを絶えられたなんて···やっぱりシンジュ様はすごい。僕も成長痛を耐えて、あっという間に大きくなってシンジュ様を守れるようになる!!!

そう決意し、もう一度寝るのだった。

翌朝2人とも早めに目が覚めフルーツを食べた。

「今日は身体はどうかな?」

「モグッだいじょうぶ!ゴクンッ昨日と全然ちがう。」

「それなら鉱山ギルドに行こう?もし痛みがあったら教えてね!ゆっくり食べて大丈夫だからね?」

「うん!」モグモグッ

2人はいつもより早く行動を開始し、食べてすぐに鉱山ギルドへ向かった。
相変わらず鉱山ギルドには誰もいなかった。「こんにちは!!」と叫んだが誰も出てこない。
20分程度待ったが誰も出てこなかったためメモを残すことにした。
アイテムボックスから本を取り出し、文字が少なかったページを破りその紙のに知っている情報を記入した。



ーーーーーーーー

この前金の件で話に来た者です。
砂金の話をしたのを覚えていますか?金の続きを書きます。
金脈を見つけるには温泉がある場所を探してみると見つけられるかもしれませんよ?
あと砂金を取るときは川のくぼみや、割れ目にある場合が多いです。
闇雲に砂をとっても意味がないので気をつけて下さい。
頑張ってください。

ーーーーーーーーーー

これでよし!!!ドワーフって文字読めるのかな?絵の看板が多いけれど···流石に鉱山ギルドのトップならば大丈夫かな?

「あのシンジュ様、、」モジモジ


頬を染めてどうしたのだろう?熱?
「どうしたの?痛い?」

「ちがっいたくない。あの、文字を教えてほしいです。」

あぁ私が文字を書いていたから気になったのかな。
「いいよ!今度教えるね。今痛みはどう?」

「ありがとっ!いたくないよ。」

「じゃあ今日は宿に戻って鉱山都市とバイバイしよう?場所を移動してもいいかな?もしかするとまた外で寝泊まりするかもしれない。」

「だいじょうぶだよ。ギシギシするけど、また遠くへ行くの?たのちみ!」

ギシギシは気になるけれど、それよりも旅に出るのが楽しみだった。


それから急いで宿に戻った2人はチェックアウトを頼んだら、まさかの見習いのボリスが受付を担当していた。
話を聞いてみると、なんと料理長の奥様が産気づいたそうで、今日は1人で宿を任されたそうです!
「本当に出ていくのか?」

「はい。今までお世話になりました。」

「あのさ、またここに来たら今度こそ料理を教えてほしい。俺、ドワーフらしくないから、、、凄腕の料理人になりたい。」と俯き加減で呟いた。
ドワーフって料理長もだけれど、情緒不安なのかな?
「ドワーフってもの作りが全てなの?別に料理だけじゃなくてもいいと思うけれど、部屋の掃除が上手いとか、エールの注ぎ方が完璧とかでも良いと思うよ!頑張ってね!おすそ分けありがとう。バイバイ」

「バイバイ」
と2人でボリスに手を振って後にした。

それから最初に通った鉱山都市の門を抜けた。流石に今日は昼間から酒盛りしていなかったが、ドワーフ以外の冒険者が見回っていた。歩きながら数えると10人ほどいたが、多いのか少ないのか良く分からなかった。、『何の見回り?』と不思議に思ったものの特に気にすることなく、湖に向けて歩き出した。

1時間程度2人で仲良く喋りながら歩いた。山の奥深くに向かって歩いていたのが何故か数匹程度しか虫の魔物に遭遇しなかった。この前と何が違うのか不思議に思っていたがすぐに原因が分かった...

多分、目の前に沢山植わっているコリアンダーが原因だよな~と思った。臭いがプンプンと1キロ圏内は充満している···臭い。
一応鑑定魔法をすると、

名前 コリアンダー(別名パクチー)
生息地 日当たりがよく水はけがいい場所に生える
食用 可(熱することで臭い軽減)
特徴 臭いが強烈のため害虫除けになる。猛烈な暑さに弱いため、日差しよけが必要。(乙女と一緒!葉焼けに注意)
日に当たりすぎるとドンドン成長し魔物化する恐れがある。そのため無闇に街中に運ぶと危険!!死人を出したくなければ運ぶな。

実は前世はコリアンダーの種子の部分は料理に使って食べれたけれど、葉の部分は食べれなかった···何で食べれないのか自分でも分からなかったけど、今世は食べれるかもしれないから一応摘んでいこう。
それにしても臭いな、、、手に付いた臭いが全く取れない、虫が近づかないのも頷ける。

採取中はエメには念のために周りを警戒してもらった。いくら結界を張っていても自分より強い物が現れた時何が起こるか分からないと思ったからだ。

それからある程度コリアンダー摘んだので再び歩き始めたが、すぐに数匹だけ遭遇した虫の魔物の原因も分かった。

遭遇した魔物はキラービーだったのだが、、、理由はこれだよ。調べなくても分かる。この場所から見えるところにレモンバーム···それに群がるキラービー···納得した。


名前 レモンバーム
生息地 日当たりのいい場所を好み、少し土に湿り気があるとベスト!
食物 可
特徴 キラービーの愛しい花。大量繁殖により周りの植物に影響を及ぼす(子供がいる家庭の皆さんキラービーにはご注意を)

ッチ
鑑定魔法のふざけた感じに思わず舌打ちしてしまったが、レモンバームにはキラービーが群れで集まっていたため摘まなかった。危険行為だよあれは、、、50m以上離れた位置から羽音がブンブン···無駄な危険は回避するシンジュだった。

それからすぐにこれ以上歩くのは危険と判断したシンジュが魔法を使用し空を飛んだ。空から湖を見ると思った以上に距離があったが、1時間ゆっくり飛び続けて無事に湖に着いたが、徒歩と飛ぶのを合わせて到着まで2時間以上かかった。


湖は想像よりも大きく、自分の立ち位置から全体を見渡すと先が全く見えなかった。また湖の中も底が見えない、とても深そうだった···ただ所々光の角度の影響なのか、青く見える場所や緑に見える場所など水の色が違って見え幻想的だった。
暫く湖を見ていると魚影が見えたが、明らかに魚の大きさではなかった···魔物?それとも魚?といろんな想像が膨らみワクワクした。
ここでならゆったりとした気持ちで過ごす事ができそうだ、少しの間この湖で過ごすことに決めた。

「エメ君身体はどうかな?」

「だいじょうぶ!ベリーのおかげ。」
飛ぶのは疲れたけど池についた途端疲れが吹っ飛んだ。水がキラキラと輝いていてまるでシンジュ様のようだと思った。

2人はそれから近くにあった石の上に座り湖を眺めていた。周りを山で囲まれたこの場所はとても静かで心を落ち着かせた。

時折魔物の鳴き声が聞こえたが、2人は結界を纏っていたため、特に気にすることなくゆっくり休憩することが出来た。

休憩後2人で湖の周りを歩き、危険がないか周辺の様子を確認した。

自分達がいる場所は大丈夫なようだったが、近場には何かの足跡があった···さらに昔読んだ本には山の中には凶悪な魔物がいると書いてあったことを覚えていたため警戒を怠らなかった。

ゆったりと時間が過ぎ気付けば夕食の時間だった。
今日は美味しいご飯が食べたいな~と思ったシンジュは
「今日は焚き火を焚いて、料理してみようか?」と提案をした。

すると「うん。ぼくもやる。」とエメが元気いっぱい返事をし、何を作るのか考えた。
う~んエメの成長痛のためにミルクを使いたいな~いっぱいミルクが摂れる料理はクリームスープがいいかな?
シンジュは宿で譲ってもらった小麦粉、バター、ミルク、塩、芋を使ってクリームスープを作ることにした。

鍋とお玉も使い込まれたものを有り難いことに譲ってもらえた。
見習い君からは「こ、こここれぇ俺だと思って使ってくれ。」と謎の発言をされたが···全く気にしないシンジュは「うん。わかった。」と気軽に返事をしてもらうのだった。

ではこれから自然の中で料理開始!!!!!
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