前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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一触即発

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(穴の中に居た者たち)



バリバリと何かが破れる音が穴の中に響き渡った。すぐさま家から出てきた者達が「何があった?」と警戒の声が上がった。

するとそのうちの1人ハーフエルフが「俺の張った結界が破られた」と言った。


「「はあ?」」と全員が驚きの声を上げた。


暫く皆唖然とした。それもそのはずである。いくらハーフエルフだと言っても魔力の量が多く、その魔力で作った結界はドワーフや普通の魔物ぐらいじゃ破ることが出来ない。破られたということは強敵が現れたということだ。


1人のハーフドワーフが声を上げた。

「ぉおおい本当に結界が破られたのか?」

「あぁ確実に破られた。ほら、俺の手を見ろよ?」

するとハーフエルフの両手が赤くみみず腫れように腫れ上がっていた。自分の魔力が破られた影響で怪我をしたのだった。

「お、おまえそれ大丈夫か?他の皆はそれぞれ武器を持て!!攻撃が苦手なものは盾を持て!俺が見てくる。」とハーフドワーフの掛け声のもと全員が武器を取りに家へ戻った。


「はぁ?何言ってんだ?俺も行くぞ!もちろんこいつもな!!」家に戻らなかったハーフエルフと巻沿いを食らったエルフが頷いた。

戻ってきた住民たちも『俺達も戦わせてくれ』と声を上げた。

「お前らは残ってろ。とりあえず3人で行く。もし危険が迫ったら合図を鳴らすから反対側の入口から逃げろ。わかったな?」
住民たちは自分達じゃ足手まといだと分かっていたため渋々頷き危機に備えるのだった。

それからハーフドワーフ、ハーフエルフ、エルフの3人は、結界が破られた入口へと向かった。

「なんか、怖いな。久しぶりだ、、、」とエルフがボソッと呟いた。やっと安泰を迎えたと思ったのに襲撃···怖かった


「あぁ、まだ魔物だったらいいが、エルフ達に殺されるのはごめんだ。」
同じくハーフエルフも嫌気が差していた···何で同種族から逃げなければならないのか···意味が分からなかった。


「それは俺もだ。魔物に殺される方がいい。今回は助かるかな、、、」とエルフとハーフエルフが話をしていると、
「やるしかないだろ。俺たちがいなくなれば、あいつ等だけじゃ生きていけないだろ。」とハーフドワーフが言った。
俺達が居なくなれば確実に生きることができない。今までのように何が何でも勝つしかなかった。


「あぁもうそろそろだな、着くぞ。武器を構えろ。」とハーフドワーフの声で気持ちを引き締め、ダダダダダダッと駆け上がりお互い背中合わせになりながら瞬時に周りを警戒するも······何もいなかった。

「なにもいない?」と弓を構えたエルフが言った。

「警戒を怠るな。罠化も知れない。」
ハーフエルフは信じられなかった···結界を壊したものがいなかったからだ。

「あぁそうだな。」とハーフドワーフも唖然としながら周りを見渡した。どういうことだ?と思った。
『何も出てこない??』と疑問に思いながらも辺りを警戒し続けた。


シンジュとエメは何が出てくるのか様子をうかがっていた。するとダダダダダダッと駆け上がってくる音が聞こえ、注意深く見ていると···服がボロボロの何の種族かわからない者達だった。
その者達はものすごく警戒しているようで武器を構えていた。

シンジュは困っていた。果たしてこの人達は安全なのか?それとも山賊のような者か····遠くて鑑定魔法も使えず種族も分からない···判断がつかなかった。

「シンジュ様、はなしかける?」


「迷っているの。武器を持っているでしょう?攻撃されるかも·····うーん」どうすればいいかな。見た目は痩せ細った山賊だから危険だよな···
でもなぁ私が結界壊しちゃったからね···


「あのひとたちぼくと同じ。」

??シンジュは頭にハテナマークが浮かんだ。
「どういうこと?」

「分かんにゃいけど、匂いが一緒。だからだいじょうぶ。ぼくがはなすよ?」

種族的な匂い?竜?
「危険かもしれないから私が話すよ!一緒に来てくれる?」

「うん。なにかあったらぼくがやっつける。」
両腕を上げてやっつけるポーズをとった。

「それは頼もしい。」とその様子を見て微笑んだ。
サクッサクッサクッと隠れているところから立ち上がり穴へ向かってゆっくり歩き出した。シンジュは何でこんな時に音草オトグサが生えてるの?とちょっと苛ついた。

するとすぐに音に反応した3人がこちらに気づき警戒をしかと思うと困惑した顔を浮かべた。



リーダーのような男が話しかけてきた。


「おまえハーフエルフか?人間か?隣のは竜人か?」と何の種族か分からない者に聞かれ、シンジュは「私は人間で、隣の子は竜人です。」と答えた。

すると人間と言った途端警戒され、
「何しに来た?竜人はお前の奴隷か?他に奴隷を探しに来たのか?」
と嫌悪、増悪、拒絶の視線を向けられた。

ハァ~とため息を付き話しだそうとすると、

「お兄ちゃんたち、、、シンジュ様はぼくを助けてくれだ!!!」とエメが涙をいっぱいためながら叫んだ。
エメは許せなかった···自分の大切なシンジュ様が侮辱されることを、悔しくて思わず叫んだ!


それにエルフとハーフドワーフ困った顔を浮かべたが、
「穢らわしい人間は竜人を洗脳でもしたか?消えろ。」
とハーフエルフの男が呟いた。


するとエメは「うわぁぁぁん」と泣き出し、「シンジュ様ごめんなさいぼ、く、が話そうっていわなきゃ、、、ぅぐ、シク、」


それを見たシンジュがエメの背中を撫でながら、3人に鋭い視線を向けた。

「貴方方に何があったのかは分からないですが、私も貴方達と仲良くなろうとは思ってないですし、子供の前でその態度は最低だと思いますよ!ただ結界を破ったのは私です。ごめんなさい。穴が開いてたから知能を持った魔物が住んでるのかと思ってました。本当にごめんなさい。ただまさかね···魔物より悪質だとは思いませんでした!魔物のほうがまだ良かった···捕まえたらお金になるのに···もう私達は迷惑かけませんので帰りますね。」と後ろを振り向いて帰ろうとした。

「は?お前が破った?嘘だろう!!人間に俺の結界が破れるわけない。低能な人間は魔力もなければ結界すらまとも張れないだろう!」とハーフエルフが怒鳴った。

帰ろうとしていたがブチッと何かが切れたような音がなった。シンジュは人間であるが魔力が豊富だ。魔力があるなしで相手を差別したことがない。ハーフエルフは隣に魔力なしのエルフがいるにも関わらず、魔力なしを差別したことに腹が立った。

「はぁ、低能に結界を破られた貴方はさらに低能ですね?赤ちゃんですか?生きてますか?貴方は人間にそっくりな性格ですよね?」

「ふ、ふっざけんな、、、人間と一緒にするな」と怒鳴り声を上げ、バチバチと魔法を放たれた。「後ろからおいやめろ」とエルフとハーフドワーフの声が聞こえたが、放たれた魔法はシンジュとエメに ドガーーーン、、バキバキバキッ と当たったのだった。あたり一帯は削れ土や草木が舞った···


「ぉ、おおおい!!大丈夫か君達」とハーフドワーフが慌てて土煙が待っているところに駆け出すと、平然としたシンジュとエメが出てきたのだった。
2人は高度な結界が張ってあるので影響ゼロだった。


「「は?」」
ハーフエルフを慌てて抑えていたエルフも驚き声を上げた。


「女と子供に魔法を放つなんて···ハーフエルフって野蛮ですね。ハーフの部分は人間だからでしょうね?もしエメに傷1つでもつけていたら返り討ちにしていましたよ。」

「もももももしわけない。」とハーフドワーフが慌てて謝った。子供に手をだすなんてありえない。しかも自分達より弱いとされている人間にだ·····

「どうでもいいです。じゃあ、私達行きますね!暫くこの辺にいますが、貴方方を刺激するつもりはないので···よろしくお願いいたしますね?そこのハーフエルフと同じようにもし誰かが次に何かを仕出かしたら問答無用で手を出します。では!!!」と興奮気味に言ったシンジュはエメに向かって「帰ろう」と呟き、来た道も戻るのだった。
エメは歩きながら大号泣である。シンジュを侮辱されたのが許せなかった、それよりもまさか攻撃されるとは思っていなかった。
怖くて怖くてブルブルと震えた···ぅグスッ

一向に涙が止まらないエメに「泣かないで?2日くらいこの辺りに居てまた移動しようか?それに私も強いよ!結界が破られることはないから大丈夫!」と安心させるようにシンジュが言った。

ブンブンとその言葉に頷いた。
竜人以外で怖い人に会うのは冒険者ギルドマスター以来だった。今まで魔法を使われたことはなかった。だから物凄く怖かった···だけれど絶対にやり返してやると誓ったのだった。

それから2人は食べ物を探しながら拠点に戻り、戻った頃には夕方になっていた。

新しく採取した物たち
名前 ミゾソバ
生息地 水辺
食用 可
特徴 柔らかい葉の部分が食べれるよ。
茎を乾燥させポーションの材料に使うとポーションが上級となる。


名前シソ
生息地 日当たりのいい場所、半日陰(日光時間が短すぎると成長に問題が起きる)
食用 可
特徴 殺菌効果がものすごく高い。そのまま生や乾燥で持ち歩き、いつでも使用できる状態にするのがおすすめ。
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