前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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ドマスの家が想定外

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その後買い取りに時間がかかるということだったので、ギルドマスターが直接シンジュへお金を届けることが決まった。

「面倒くせえが仕方ねぇ。これ以上騒がれたら困るからな。どこに泊まるか分かったら連絡しろ?」というやり取りをした後ギルドを出た。 


次はドマスの実家にお邪魔することになった。

「家はどこにあるの?」と不機嫌気味なシンジュが聞くと、
「俺の家はこの街にあるぞ。普通の鍛冶師は鉱山都市付近に住むのだが、俺の家は母親が人間だろ?一時期鉱山都市に住んでいたこともあるらしいが、母親の咳が止まらなくなったらしくてな、、、心配した父親が住処を変えたらしい。」

鉱山周辺は空気が汚いのかな?あまり汚い感じはしなかったけれど鉱山が稼働すると変わるのかもしれない。
「今は体調大丈夫なの?」


「あぁ今ではすっかり元気だ。ただ父親はそれ以来母親のことを心配ばかりしているぞ。それにな俺の家は普通のドワーフの家じゃないぞ?地下はねぇし、どこも明るいぞ!あとな仕事は朝9時から19時までって決められてるし、仕事中は鍛冶場に母親が来ることは禁止されてる。」



「へぇーーーホワイト企業だね?」
労働基準が曖昧なこの世界でしっかしりしているな~と思った。


「シンジュ様、ホワイトきぎょう?ってなに?」
うわっまた前世の言葉を使ってしまった···と思ったシンジュは咄嗟に嘘をつこうと思ったが周りを見わすと全員の視線がシンジュに向いていたため説明をすることにした。


「ホワイト企業っていうのはね、良い商会や大変じゃない商会って言えばいいなのかな?屋台で食べ物を売っている人は自由に働く時間を自分で決めることができるけれど、大きなお店で働く人達は偉い人から働けと命令されたら断れずにいっぱい働かないといけない。丸1日寝ずに働いたり、働いた分のお金を支払ってくれなかったりする会社をホワイトの逆でブラック企業と呼ぶよ。」

祖国の場合はほとんどがブラック企業だったから説明が難しいな。元実家で働いていたメイドとか従事者達って休みあったのかな?学園で機嫌悪い貴族に物を投げつけられてるメイドを見たことある。他種族はどうなのかな?

「むずかしぃけど、このお兄ちゃんの家はいいかいしゃってこと?」


「正解!そうだよ!よくわかったね!」と頭を撫で回した。



すると「それは面白いですね。うちの国はそれで言うとブラック国家ですよ。ハイエルフが威張り散らしてエルフをこき使いますからね。獣人国はどうですか?」とフェルがライオスに問いかけた。
フェルは今の話を聞き面白いと思った。彼女と一緒にいると勉強になることが多く、今の話も感心していた。

「あ?うちの国は草食系より肉食の方が強いから威張り散らす者も中にはいるが、全てにおいて実力主義だからな。力が弱いやつは頭で周りと勝負するし、他の国に比べたらブラック?少ねえぞ。あ、ただ王族達は国民の分まで働くからあれはブラックだな。」



シンジュは2人から話を聞きながら、人間達と同じような感じだなと思った。結局弱いやつはいじめられたり差別されることが多い世界だと思うと悲しくなった。ただ獣人国の王様たちは不憫としか言いようがない。

「どこの国も色々あるね。ちなみに冒険者は?」

「自分次第だな。時間なんて制限せずに無限に働ける仕事だからな。」とライオスが答えその後もいろんな会話をしながら、あっという間にドマスの家に着いた。


しかし家を見た瞬間フェル以外言葉を無くした···
フェルだけは何度か来たことがあったため知っていた。



シンジュはあまりにも想定外のメルヘンチックな家···ドワーフならもっとゴツゴツした家を想像していたけれど、目の前にはカラフルなきのこの家がある···これは妖精の家だと思う。

「あああああだから言ったろ。俺の家はドワーフの家じゃねぇって。」ガシガシと頭をかきながら叫んだ。


いやいやそれは知っていたけれど、これは想像の斜め上をいくよ?これはそもそも生き物の家でもありません······なかなか立ち直れいシンジュ達だったが、中から小さな女性が出てきた。


辺りをキョロキョロ見回し、一点に目が止まった。すると突然駆け出した女性が「あれ?ドマスちゃんじゃない?久しぶりね!!元気にしてたかしら?」とドマスに抱きついた。



「うるせぇ。母さん、恥ずかしいから抱きつくなよ。」

「いいじゃない?貴方は私の子供よ!抱きつくくらい許してほしいわ。貴方が出ていって8.9年くらいかしら?辛くてママは泣いたのよ。」ッグスン



「悪かった。でも俺は今物凄く楽しいから大丈夫だよ。それより今日知り合いを連れてきたから紹介しても良い?」



「んまぁ、ドマスちゃんが友達連れてくるなんて初めてよね?今日はごちそうの準備をしないといけないわ。何が食べたいかしら?コスタリカの塩ゆではどうかしら?ドマスちゃん好きだったわよね?」



「かかかぁさん、まずは紹介させてってば。後ろ見てよ!」とあまりにも自由な母親にドマスは恥ずかしくなった。



「あら、こんなにお友達を連れてきたのね。私はドマスちゃんの母のリボンよ! ドマスちゃんと仲良くしてくれて嬉しいわ。この子はね昔から少し照れ屋で恥ずかしがり屋なのよ?だから怒っているように見えても怒ってないからね。うふふ」

かかかぁさんと蚊が飛ぶような弱々し声が聞こえたが、全員が聞かなかったことにした。

あまりに母親が強烈なため全員言葉を無くしていた。自己紹介どころの騒ぎではない。
身長がエメより小さな女性は、前世の言葉でいうと痛い女性だ。 頭には大きな大きな大きなリボンが2つ付いており、洋服には大中小様々なリボンが所狭しとワンピースの生地に縫い付けられていた。

思わず皆と目を合わせ帰ろうとしたところ、「ねぇー貴方、そこの貴方」とシンジュは指を指され話しかけられた。


「貴方人間?私と同じなのかしたら?聞きたいことがあるの。少し話をしない??」と言われ、シンジュは渋々話すことになった。人間同士の話を邪魔しないようにするために、その間エメやフェル、ライオスは家の中を見学することになった。

周りの皆がいなくなり1人取り残されたシンジュはなぜか問い詰められたのだった。

「貴方ドマスちゃんとどんな関係かしたら?!」
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