89 / 142
閉話 フェルとライオスは何してるの?
しおりを挟む
違法鉱山に向かったフェルやライオスが毒を発見した時の話
「腹減った、喉乾いた、帰りてぇーあーだるりぃー、腹減った、喉乾いた、帰りてぇ······」とライオスは何度も同じ言葉を繰り返し言いながら歩いていた。
そんなライオスの様子に「うるさいっ。少しは黙ってください。私だって帰りたいですよ。」と珍しくフェルが声を荒げた。
ライオスと同様フェルも早く帰りたかった。今までずっと1人で冒険者として活動していたが、ここずっとシンジュ達と一緒に過ごしていたことで、自分にとってどれだけシンジュ達が大切だかを思い知った。
ライオスのことは嫌いじゃない、むしろ好きだが2人だけで過したここ数日間が物凄く苦痛だった。
「わりぃ。言っても帰れないことくらい分かってんだけどさぁ、この状況には嫌になんだろ。」
フェルもこの状況に嫌気を指していた。シンジュ達に会えないのは仕方がないが、あまりにも進むペースが遅いドワーフ達···酒を飲み始まると明け方までどんちゃん騒ぎを起こすため、なかなか前に進まない。流石にしびれを切らし護衛対象のドワーフ達へ『違法鉱山の下見に行く』と言い、ライオスと2人だけで先に進むことにした。
どんどん奥に向かって進んでいくと、鉱山に近づくにつれて悪臭が漂ってきた。息をするのも大変だった。
フェルがすぐさま鑑定魔法をかけると鉱山まで1日かかる距離の場所ですら土壌に毒が混じっていることが分かった。
近付きたくなかったが限界ギリギリの場所まで歩くと辺り一帯花や木々が枯れ果て、川の水は紫と濁っており周辺に生き物の気配が全くなかった。
毒が先程の土壌よりも50倍ほど高かった。
そのため毒スキルを持っていないフェルやライオスは違法な鉱山に近づくことが出来なかった。
ただ目視で確認すると鉱山が稼働しているようで動いている人が見えた。
「もう少し観察したら戻りましょう。この毒は有害すぎて私でも解毒するのが難しいかもしれません。」
「は?ハイエルフが無理なら誰も無理じゃねぇか?解毒ポーションは持ってきたか?」
「一応ありますよ。でも1つしかないので気をつけたほうが良いですね。」
「あぁ俺も気をつけてねぇとな。ここにいると目が痛い。俺の目って今どうなってる?赤くなってねぇか?」と目を見開き、フェルに見せた。
フェルは声に出さなかったがライオスの目が物凄く充血していることに驚いた。
「赤いですね。充血してるようですよ?毒かもしれません。もう戻りましょう。」と流石に危険と判断し、2人で急ぎ安全地帯まで戻った。ライオスは急ぎ解毒ポーションを飲み、フェルはライオスのために目を回復魔法をかけた。
すると目の状態は良くなかったが、走っている最中に土が舞い上がって尻尾にかかったようで尻尾の先端の毛が抜け落ちていた。
ライオスも自分の異変に気が付き、
「いってぇーーー!!目ばかり心配をしてたら、まさか尻尾が···見てなかった。これって火傷か?どうすりゃ良いんだよ。」と普段は絶対に弱音を吐かないライオスが尻尾を抑えながら弱音を吐いた。
フェルはもう1度鑑定魔法をかけると、獣人にとってものすごく危険な毒だと分かった。もしこれが今後悪用されたら獣人が絶滅する恐れがあった。
フェルはライオスの火傷が少しずつ広がる様子を見て、直ぐさま魔族のジャマルに連絡すると5分もかからず転移魔法でやってきた。
その間にライオスの尻尾は手のひらサイズにまで毒が広がっていた。
「なになにどうしたの?急いできたけどぉ?これは僕じゃ無理。ちょっとまってて」と言うと直ぐに誰かを連れてきた。
「俺さ今忙しいって言ったすよね?俺の許可なしに転移するとかやめてほしいっす。ハァーだりぃっす。」
「緊急事態だったんだよ。ねえーライオスを見てよ!」
「ん?ライオスさん?え?フェルさんも?ここどこっすか??」
「後でそれは言うからライオスが毒でやられてるっぽいよ。」
「分かりましたよ。見れば良いんすね?!」どれどれと言うとライオスの毒らしきところを確認すると、「は?」と驚いた声を出して直ぐに毒を吸い取った。
すると毛は生えてこないが進行がストップしたのだった。
「この毒やばいっすね。初めての毒で身体が痙攣してるっす。ふぅーーー美味かった。」と言うと満足そうに腹を叩いた。
「もうこれでライオスの毒は大丈夫?」
「大丈夫っすよ。でも念の為にあまり激しく動かないでほしいっす。もし俺が吸いもれしてたら毒が回るっす。あとは···」舌をペロペロと動かしたら毒の味を確かめていると「この毒は色んな種類の毒が組み合わさったみたいっす。自分じゃ作れないっす···解毒薬は今すぐ作るのは無理っす。」と今度はブツブツと呟き出した。
「ドッキーありがとうございます。貴方のお陰で、ライオスの大切な尻尾を失わずにすみました。」
「俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。まじで激痛で死ぬと思った。」
「へ?あ、いえいえっす。間に合ってよかったす。今日もフェスさん、ライオスさんも素敵すっす。そういやこの毒ってどこで手に入るっす?毒マニアとして俺よりすごい毒を作るやつなんて許せないっす。」
ドッキーと言われる者は、毒スキル持ちで毒が3度の飯より大好きな男だった。
毒スキル発覚前から手当たり次第毒を口にして何度も危険な目にあっていた。そんな者が毒スキル持ちになった途端、案の定見境なく毒に手を出し、何度か事件を起こしたため魔王が首輪をつけた。今は魔王お抱えの専属毒師として毒の研究を行っていた。
「これは違法鉱山近くにある毒ですよ。私達はドワーフ共和国からの依頼でここに来たのですが、これでは毒スキル持ちしか近づけませんね。ジャマル!この状況をドワーフ共和国の王様に伝えてくれませんか?あと後方隊にも伝えてほしいです。」
「分かったよ。でも本当にライオスは死ななくてよかったね。せめてもう少し生きてもらわないとつまらない。」
獣人は人間よりも寿命は長いが魔族やハイエルフよりは短いためせめて寿命は生きてほしいと思った。
仲良くなった者を何度も見送るのは面倒くさいし、辛い。
「確かにそうですね。せめて獣人の寿命は真っ当してもらわないとですね。」
「うるせぇーーー俺もこんなはずじゃなかったよ。」
と3人でふざけ合っている間にドッキーと言われる毒のスキルを持った者は近場にある物を手あたりに次第毒があるのか調べていくと、今いる土壌ですら毒があることが分かった。
その後毒スキル持ちの者が急遽招集されドッキー含む数名が違法鉱山へ向かった。
毒対策が難しいフェルやライオスは急ぎドワーフ達が待機している場所へ向かった。
ただ急ぎ戻ったが結局ドワーフ達の護衛をすることになり、なかなかシンジュ達の元へ戻れないのだった。
「腹減った、喉乾いた、帰りてぇーあーだるりぃー、腹減った、喉乾いた、帰りてぇ······」とライオスは何度も同じ言葉を繰り返し言いながら歩いていた。
そんなライオスの様子に「うるさいっ。少しは黙ってください。私だって帰りたいですよ。」と珍しくフェルが声を荒げた。
ライオスと同様フェルも早く帰りたかった。今までずっと1人で冒険者として活動していたが、ここずっとシンジュ達と一緒に過ごしていたことで、自分にとってどれだけシンジュ達が大切だかを思い知った。
ライオスのことは嫌いじゃない、むしろ好きだが2人だけで過したここ数日間が物凄く苦痛だった。
「わりぃ。言っても帰れないことくらい分かってんだけどさぁ、この状況には嫌になんだろ。」
フェルもこの状況に嫌気を指していた。シンジュ達に会えないのは仕方がないが、あまりにも進むペースが遅いドワーフ達···酒を飲み始まると明け方までどんちゃん騒ぎを起こすため、なかなか前に進まない。流石にしびれを切らし護衛対象のドワーフ達へ『違法鉱山の下見に行く』と言い、ライオスと2人だけで先に進むことにした。
どんどん奥に向かって進んでいくと、鉱山に近づくにつれて悪臭が漂ってきた。息をするのも大変だった。
フェルがすぐさま鑑定魔法をかけると鉱山まで1日かかる距離の場所ですら土壌に毒が混じっていることが分かった。
近付きたくなかったが限界ギリギリの場所まで歩くと辺り一帯花や木々が枯れ果て、川の水は紫と濁っており周辺に生き物の気配が全くなかった。
毒が先程の土壌よりも50倍ほど高かった。
そのため毒スキルを持っていないフェルやライオスは違法な鉱山に近づくことが出来なかった。
ただ目視で確認すると鉱山が稼働しているようで動いている人が見えた。
「もう少し観察したら戻りましょう。この毒は有害すぎて私でも解毒するのが難しいかもしれません。」
「は?ハイエルフが無理なら誰も無理じゃねぇか?解毒ポーションは持ってきたか?」
「一応ありますよ。でも1つしかないので気をつけたほうが良いですね。」
「あぁ俺も気をつけてねぇとな。ここにいると目が痛い。俺の目って今どうなってる?赤くなってねぇか?」と目を見開き、フェルに見せた。
フェルは声に出さなかったがライオスの目が物凄く充血していることに驚いた。
「赤いですね。充血してるようですよ?毒かもしれません。もう戻りましょう。」と流石に危険と判断し、2人で急ぎ安全地帯まで戻った。ライオスは急ぎ解毒ポーションを飲み、フェルはライオスのために目を回復魔法をかけた。
すると目の状態は良くなかったが、走っている最中に土が舞い上がって尻尾にかかったようで尻尾の先端の毛が抜け落ちていた。
ライオスも自分の異変に気が付き、
「いってぇーーー!!目ばかり心配をしてたら、まさか尻尾が···見てなかった。これって火傷か?どうすりゃ良いんだよ。」と普段は絶対に弱音を吐かないライオスが尻尾を抑えながら弱音を吐いた。
フェルはもう1度鑑定魔法をかけると、獣人にとってものすごく危険な毒だと分かった。もしこれが今後悪用されたら獣人が絶滅する恐れがあった。
フェルはライオスの火傷が少しずつ広がる様子を見て、直ぐさま魔族のジャマルに連絡すると5分もかからず転移魔法でやってきた。
その間にライオスの尻尾は手のひらサイズにまで毒が広がっていた。
「なになにどうしたの?急いできたけどぉ?これは僕じゃ無理。ちょっとまってて」と言うと直ぐに誰かを連れてきた。
「俺さ今忙しいって言ったすよね?俺の許可なしに転移するとかやめてほしいっす。ハァーだりぃっす。」
「緊急事態だったんだよ。ねえーライオスを見てよ!」
「ん?ライオスさん?え?フェルさんも?ここどこっすか??」
「後でそれは言うからライオスが毒でやられてるっぽいよ。」
「分かりましたよ。見れば良いんすね?!」どれどれと言うとライオスの毒らしきところを確認すると、「は?」と驚いた声を出して直ぐに毒を吸い取った。
すると毛は生えてこないが進行がストップしたのだった。
「この毒やばいっすね。初めての毒で身体が痙攣してるっす。ふぅーーー美味かった。」と言うと満足そうに腹を叩いた。
「もうこれでライオスの毒は大丈夫?」
「大丈夫っすよ。でも念の為にあまり激しく動かないでほしいっす。もし俺が吸いもれしてたら毒が回るっす。あとは···」舌をペロペロと動かしたら毒の味を確かめていると「この毒は色んな種類の毒が組み合わさったみたいっす。自分じゃ作れないっす···解毒薬は今すぐ作るのは無理っす。」と今度はブツブツと呟き出した。
「ドッキーありがとうございます。貴方のお陰で、ライオスの大切な尻尾を失わずにすみました。」
「俺からも礼を言わせてくれ。本当にありがとう。まじで激痛で死ぬと思った。」
「へ?あ、いえいえっす。間に合ってよかったす。今日もフェスさん、ライオスさんも素敵すっす。そういやこの毒ってどこで手に入るっす?毒マニアとして俺よりすごい毒を作るやつなんて許せないっす。」
ドッキーと言われる者は、毒スキル持ちで毒が3度の飯より大好きな男だった。
毒スキル発覚前から手当たり次第毒を口にして何度も危険な目にあっていた。そんな者が毒スキル持ちになった途端、案の定見境なく毒に手を出し、何度か事件を起こしたため魔王が首輪をつけた。今は魔王お抱えの専属毒師として毒の研究を行っていた。
「これは違法鉱山近くにある毒ですよ。私達はドワーフ共和国からの依頼でここに来たのですが、これでは毒スキル持ちしか近づけませんね。ジャマル!この状況をドワーフ共和国の王様に伝えてくれませんか?あと後方隊にも伝えてほしいです。」
「分かったよ。でも本当にライオスは死ななくてよかったね。せめてもう少し生きてもらわないとつまらない。」
獣人は人間よりも寿命は長いが魔族やハイエルフよりは短いためせめて寿命は生きてほしいと思った。
仲良くなった者を何度も見送るのは面倒くさいし、辛い。
「確かにそうですね。せめて獣人の寿命は真っ当してもらわないとですね。」
「うるせぇーーー俺もこんなはずじゃなかったよ。」
と3人でふざけ合っている間にドッキーと言われる毒のスキルを持った者は近場にある物を手あたりに次第毒があるのか調べていくと、今いる土壌ですら毒があることが分かった。
その後毒スキル持ちの者が急遽招集されドッキー含む数名が違法鉱山へ向かった。
毒対策が難しいフェルやライオスは急ぎドワーフ達が待機している場所へ向かった。
ただ急ぎ戻ったが結局ドワーフ達の護衛をすることになり、なかなかシンジュ達の元へ戻れないのだった。
31
あなたにおすすめの小説
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる