前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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妖精さんもなかなか大変そうだ

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かれこれ10分程度妖精達のことを考えているが、いい案が浮かばない。どの案も何だか嫌な予感がする。


「どうしようか、とりあえず仲良くなったほうが良いのかな。今日作ってきたお菓子でもあげようか?」


「ぼくのお菓子はあげないでよ。」


うん、もちろんエメ君のはあげないよ。きっとあげたら泣いちゃうだろうからね。

それよりも良い妖精なのか、悪い妖精なのか分からない。

確かいたずら好きって聞いたことがある。やっぱりお菓子で釣っておこうかな。

皆のために作ったケーキを更に細かく小さくしてエメに配ってもらった。


するとスンスンと匂いを嗅ぎ始めて、1人がパクっと食べ始めるとそれが合図だったようで、我先にとケーキの奪い合いが始まった。

何を言っているのかは分からないが、キィーキィーと叫んで怒っている妖精もいる。

うん、これは不味いね。持ってきたケーキを慌ててすべて取り出して、エメに渡して配ってもらった。
自分で配ろうとしたけどね、私があげても妖精達は知らんぷりだからエメにお願いするしかない···
面倒くさい。


いつの間にか嫌われてしまったようだ。なぜだろう?
でも、妖精達は腹をポンポンと叩きながら満腹アピールをしているので良かったのかな?

「エメ君ありがとう。喜んでくれてよかったね。」


「うん、シンジュ様のご飯は美味しいもん。僕もお腹すいたな~。」


あっエメのケーキあげてしまった···うん、バレないようにしよう。とりあえずご飯。
「私達もご飯にしよう。」

エメに声をかけると、シンジュはアイテムボックスからゴソゴソとご飯を取りだした。すると妖精達が突然ザワザワと騒ぎはじめて、震えながらエメに抱きついた。


突然どうしたのだろうか?


様子をうかがっていると近くでガサガサと音がする。気配を殺して音がする方向を見ると、誰かがやってきた。

数人いるようで何か話をしているようだ。


「おい、まだ見つからないのか?」


「すみません。この辺りにいつもいるはずですが、今日はいないですね。まぁきっとすぐに見つかるはずです。」


「見つからなかったらどうなるのか分かっているだろう?首が無くなるからな。」


「は、ははい。大丈夫です。いつもたくさんいるので捕まえられます。」


「ふん。早くしろ。俺様をこんなところまで歩かせやがって。最低5匹は捕まえろよ。お前に与えた魔道具分以上は稼いで欲しい。」


「はっ。もし捕まえたらお金は上乗せで間違いですか?」


「あぁ一匹ずつ金貨10枚ずつ上乗せしてやる。競売にかければ白金貨はくだらねぇだろうな。ヒヒヒ一匹は俺の手元で買ってやるけどな。」


「分かりました。飼えるくらい捕まえてやります。」



······うん、これは駄目なやつじゃん。この妖精たちはこいつらに怯えてたのか。
妖精捕まえて売るとか違法でしょう。

確かに祖国では妖精の粉、羽が高値で取引されていたのを知っていた。
ポーションの材料や、寿命を伸ばす薬になるらしく、王族や貴族が喉から手がほど欲するものだった。
だからこそ、妖精の売買は違法だと知りながらも、ほとんどの人達が暗黙の了解で捕まえては売買していた。


まさかそんな現場に出くわすなんて···

しかも話に聞いてると妖精を捕まえる魔道具なんてものがあるの?そんなものがあったら捕まえ放題じゃん。


エメに依存している妖精達は、竜であるエメに助けを求めたのだろうな。

あぁどうしよう。隣でエメも震えてる。


もう少し近ければ、鑑定魔法が使えるのにな。この子達には逃げてもらって、私がどうにか時間を稼ぎ、成敗するしかないか。

エメにはギルドマスターを呼んできてもらおう。その間に私は私で頑張る。よし!そうと決まればエメに伝えよう。


「エメ君、私があの犯罪者達を捕まえるから、妖精達と一緒にギルドマスターを連れてきてほしい。」


「やだ、シンジュ様が心配。」


「大丈夫だよ。妖精達はエメにしか懐いてないからよろしくね?きっと妖精達が道案内してくれるでしょう?」


「う、ん。分かった。」
渋っていたエメだったが、妖精達を引き連れてギルドマスターを探し行くのだった。



よし、いっちょやりますか!!!

私はこれからこの犯罪者達をやっつけます。

フフフ 最近鍛え始めた特訓の成果を見せつけてやるぞ!!!
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