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第二章 ドラクマ編
十五話 青年、新たな神獣と邂逅する
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「待たせたな。倉庫の奥にしまって中々見つからなかったんだ」
ロックは一つの布袋を抱えて再び家に戻ってきた。流星も同じくして外の空気を吸いに行って戻ってくる。
布袋の紐を解いてロックはテーブルに、自らがグランツ王国の先代国王から受け取った剣を置く。
「折れたのですか」
見事に真っ二つに折れた剣をアカツキは手に取りながらマジマジと見る。
柄の方には、お目当ての赤色に輝く魔石が。
大きさは、柄の装飾として扱われている為か、それほど大きくはなかった。
「話をした通り、私たちの目的は、この石です。これ、頂いても?」
「いいよ、持っていきな。俺にはもう要らないものだ。剣自体な」
そう言うとロックは壁に立て掛けていた斧を肩に担いでみせる。
「ルビアにも心配かけたな。でも、もう大丈夫だ。俺は木こりとしてあの銅像に恥じないような行動を心がけるよ。アカツキだっけ? あんたの言葉……俺の胸にしっかりと届いたよ」
そう言うとロックは外に出て村のドワーフ達を集め始めると、ぞろぞろと引き連れて仕事へと向かっていった。
「あの……さっきはすいません! それと、ありがとうございます!!」
ルビアはアカツキに対して、深々と頭を下げると、床にポタポタと雫石が落ちて床を濡らしては消える。
アカツキは魔石をアイテムボックスに入れると、ルビアの肩を掴んで顔を上げさせた。
「いいのですよ。それじゃ目的も果たしたことだし。あ、そうそう。この村に宿はありますか?」
「あの、それじゃウチに泊まってください。御礼もしたいですし」
アカツキは首を横に振り断る。
「お気持ちは嬉しいですが、あなたも今まで彼が引きこもりの状態だったから辛かったでしょう。今日は二人きりで、ゆっくりしたらいいと思いますよ」
そう言うと宿の場所を聞いて流星と家を出る。
「お前、その気遣い。もっと弥生にしてやれよ。子供出来てから二人きりでって無いだろ。お前のことだし」
「そうですね……必ずフウカかルスカが側にいましたから──」
「どうした?」
流星は何かに気を取られているアカツキを心配して声をかけてみた。
アカツキは辺りを見回しており、流星も同じように辺りを探ってみたが何もない。
「いえ……私の中のエイルとレプレルの書がざわついているので……こっちですね!」
村の南側にある森の中へと何かに誘われるように、入っていくアカツキ。流星もアカツキのあとを追いかける。
目的地がわかっているかのように、スイスイと奥へ奥へと進んでいく。
「い、犬!?」
突如目の前に現れた、虚ろな姿の白い犬。まるで、幽霊かと思わせるほど体が透けて向こう側が見えていた。
踵を返して先導するように犬は走りだし、アカツキ達もあとを追いかける。
「犬なんて、この世界に来て初めて見たぜ」
「私もです。猫なら街中にいるのですがね」
見失わないように、エイルの蔦を利用して茂みを飛び越える。
少し視界が開けた先にある洞窟の前で、犬は立ち止まりアカツキ達を確認すると洞窟へと入っていった。
「どうする、アカツキ?」
「罠……かもしれませんね」
二人が洞窟の前で躊躇っていると、背後で呼ばれた気がして振り返る。
そこには、斧を担いだロックとドワーフ達が。
「何してるんだ? こんなところで」
「良いところに……この洞窟の中って、どうなっています?」
「そこは、ドワーフ族が祀っている祭壇があるだけだぜ。奥もそれほど深くないし、すぐに祭壇のあるだだっ広い空間にたどり着くよ。なんなら案内しようか?」
アカツキは、大丈夫と言い案内を断る。折角、木こりとして再出発したばかりのロックを巻き込む訳にはいかない、と。
「そうか。じゃあ、俺らは戻るか」
ロックの合図でドワーフ達も引き揚げていく。
アカツキ達は、ロック達の背中が見えなくなったのを確認して互いに顔を見合わせて強く頷いて、二人は洞窟へと入っていった。
ロックが言うように、入り口こそ只の洞窟だが、少し中に入ると、所々人の手が加えられており、足元なども石や岩など退かされており歩きやすくなっている。
外からの明かりが無くなると、アカツキはアイテムボックスからランプに明かりを灯す。
しばらく進むと明かりの先に先ほどの白い犬が行儀よく座っていた。アカツキ達が近づくと、逃げてしまい暗闇の中へと消えていく。
再び、歩みを進めるアカツキ達。
白い犬が消えた先へ足を踏み入れると、洞窟内が急に明るく照らされる。
ロックの言うようにだだっ広い空間。青白い火の玉が幾つも洞窟を照らす。
しかしアカツキ達が、まず目がいったのは白い毛をした巨大な生物だった。
『ヨク来タナ。因果ヲ外レシ者──』
「デカイ犬だ」
「大きい犬ですね」
『我ハ狼ダッ!! 犬デハナイ!!』
頭に直接響く声。アカツキには似たような経験があった。それは、神獣エイルと初めて会った時と同じ経験。
只の巨大な犬ではないと感じたアカツキは、最大限に警戒をする。
たとえ同じ神獣だったとしても、必ずしも味方になるとは限らない。
「狼なんて動物園くらいでしか見ないので、犬との区別が分かりませんよ」
アカツキの言葉に巨狼は、大きな顔を目の前に突き付けると、凄みを利かして睨み付けてきた。
しかし、アカツキは動じない。
巨狼は、元のお座り状態へ戻ると、アカツキ達に背中を見せて伏せてしまう。
「拗ねましたね」
「拗ねたな」
『拗ネテナンカ、イナイ!!』
面倒臭いことになったと、アカツキはどうしたものかと苦慮するのであった。
ロックは一つの布袋を抱えて再び家に戻ってきた。流星も同じくして外の空気を吸いに行って戻ってくる。
布袋の紐を解いてロックはテーブルに、自らがグランツ王国の先代国王から受け取った剣を置く。
「折れたのですか」
見事に真っ二つに折れた剣をアカツキは手に取りながらマジマジと見る。
柄の方には、お目当ての赤色に輝く魔石が。
大きさは、柄の装飾として扱われている為か、それほど大きくはなかった。
「話をした通り、私たちの目的は、この石です。これ、頂いても?」
「いいよ、持っていきな。俺にはもう要らないものだ。剣自体な」
そう言うとロックは壁に立て掛けていた斧を肩に担いでみせる。
「ルビアにも心配かけたな。でも、もう大丈夫だ。俺は木こりとしてあの銅像に恥じないような行動を心がけるよ。アカツキだっけ? あんたの言葉……俺の胸にしっかりと届いたよ」
そう言うとロックは外に出て村のドワーフ達を集め始めると、ぞろぞろと引き連れて仕事へと向かっていった。
「あの……さっきはすいません! それと、ありがとうございます!!」
ルビアはアカツキに対して、深々と頭を下げると、床にポタポタと雫石が落ちて床を濡らしては消える。
アカツキは魔石をアイテムボックスに入れると、ルビアの肩を掴んで顔を上げさせた。
「いいのですよ。それじゃ目的も果たしたことだし。あ、そうそう。この村に宿はありますか?」
「あの、それじゃウチに泊まってください。御礼もしたいですし」
アカツキは首を横に振り断る。
「お気持ちは嬉しいですが、あなたも今まで彼が引きこもりの状態だったから辛かったでしょう。今日は二人きりで、ゆっくりしたらいいと思いますよ」
そう言うと宿の場所を聞いて流星と家を出る。
「お前、その気遣い。もっと弥生にしてやれよ。子供出来てから二人きりでって無いだろ。お前のことだし」
「そうですね……必ずフウカかルスカが側にいましたから──」
「どうした?」
流星は何かに気を取られているアカツキを心配して声をかけてみた。
アカツキは辺りを見回しており、流星も同じように辺りを探ってみたが何もない。
「いえ……私の中のエイルとレプレルの書がざわついているので……こっちですね!」
村の南側にある森の中へと何かに誘われるように、入っていくアカツキ。流星もアカツキのあとを追いかける。
目的地がわかっているかのように、スイスイと奥へ奥へと進んでいく。
「い、犬!?」
突如目の前に現れた、虚ろな姿の白い犬。まるで、幽霊かと思わせるほど体が透けて向こう側が見えていた。
踵を返して先導するように犬は走りだし、アカツキ達もあとを追いかける。
「犬なんて、この世界に来て初めて見たぜ」
「私もです。猫なら街中にいるのですがね」
見失わないように、エイルの蔦を利用して茂みを飛び越える。
少し視界が開けた先にある洞窟の前で、犬は立ち止まりアカツキ達を確認すると洞窟へと入っていった。
「どうする、アカツキ?」
「罠……かもしれませんね」
二人が洞窟の前で躊躇っていると、背後で呼ばれた気がして振り返る。
そこには、斧を担いだロックとドワーフ達が。
「何してるんだ? こんなところで」
「良いところに……この洞窟の中って、どうなっています?」
「そこは、ドワーフ族が祀っている祭壇があるだけだぜ。奥もそれほど深くないし、すぐに祭壇のあるだだっ広い空間にたどり着くよ。なんなら案内しようか?」
アカツキは、大丈夫と言い案内を断る。折角、木こりとして再出発したばかりのロックを巻き込む訳にはいかない、と。
「そうか。じゃあ、俺らは戻るか」
ロックの合図でドワーフ達も引き揚げていく。
アカツキ達は、ロック達の背中が見えなくなったのを確認して互いに顔を見合わせて強く頷いて、二人は洞窟へと入っていった。
ロックが言うように、入り口こそ只の洞窟だが、少し中に入ると、所々人の手が加えられており、足元なども石や岩など退かされており歩きやすくなっている。
外からの明かりが無くなると、アカツキはアイテムボックスからランプに明かりを灯す。
しばらく進むと明かりの先に先ほどの白い犬が行儀よく座っていた。アカツキ達が近づくと、逃げてしまい暗闇の中へと消えていく。
再び、歩みを進めるアカツキ達。
白い犬が消えた先へ足を踏み入れると、洞窟内が急に明るく照らされる。
ロックの言うようにだだっ広い空間。青白い火の玉が幾つも洞窟を照らす。
しかしアカツキ達が、まず目がいったのは白い毛をした巨大な生物だった。
『ヨク来タナ。因果ヲ外レシ者──』
「デカイ犬だ」
「大きい犬ですね」
『我ハ狼ダッ!! 犬デハナイ!!』
頭に直接響く声。アカツキには似たような経験があった。それは、神獣エイルと初めて会った時と同じ経験。
只の巨大な犬ではないと感じたアカツキは、最大限に警戒をする。
たとえ同じ神獣だったとしても、必ずしも味方になるとは限らない。
「狼なんて動物園くらいでしか見ないので、犬との区別が分かりませんよ」
アカツキの言葉に巨狼は、大きな顔を目の前に突き付けると、凄みを利かして睨み付けてきた。
しかし、アカツキは動じない。
巨狼は、元のお座り状態へ戻ると、アカツキ達に背中を見せて伏せてしまう。
「拗ねましたね」
「拗ねたな」
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