モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第二章ー同棲ー

会いたくて

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ゆっくりと動き出す馬車の中で、目を閉じて思い浮かんだのは…5年前のエディオルさん。お姉さん達の召喚に巻き込まれただけのモブな存在の私は、殆ど誰とも関わる事がなかった。私に付けられた侍女さん達とさえ、まともに話した事もなかった。

そんな時に、私の部屋迄やって来たエディオルさん…は、本当に…本当に怖かった。

冷たい瞳、冷たい声、冷たい態度

サエラさんが来てくれなかったら、きっと気を失って倒れてたんじゃないだろうか…兎に角、本当に怖かった。

でも─

勿論、あの冷たい感じは変わらなかったけど、それ以降は、いつも私との距離感?を気にしながら、私を助けてくれた。
レフコースと対峙した時、駆け付けてまでして助けてくれた。リュウの時もそうだった。

そうして、還れなくなって再会してから始まった…エディオルさんからの接近攻撃には…更に驚いたけど…。エディオルさんは、私の事が───好…きだから頑張ったと言った。確かに今思うと、エディオルさんの態度や言葉全てが、私の事を思ってくれていたんだなと思う。

怖かったエディオルさんが、いつの間にか安心する場所になって…今では、大好きで大切な人になった。それはきっと、エディオルさんが頑張ってくれたからだ。

悠兄さんのお願いも、本当にミヤさんとヨリを戻したくて必死だからかもしれないけど…それではきっと、ミヤさんの心には響かないだろうと思う。

そう言えば…王太子様からは、ミヤさんの事…言われたり聞かれたり…しないよね。
お忍びになっていないお忍びで、週2回も修道院に行くくらいだもんね。頑張ってるんだろう。

ーこれは…王太子様の方が、リードしてるかな?ー

「ふふっ─。」

と、馬車の中で自然と笑みが零れた。








*****


「ディ、おかえりなさい。」

「ハル?まだ起きていたのか?」

今日のエディオルさんは、帰りが遅くなる日だった。いつもなら、先に遠慮なく寝ているけど、今日は起きて待っていた。そして、ルナさんからエディオルさんが帰って来たと教えてもらって、今、エディオルさんの部屋に軽食を持ってやって来た。

「はい。あの、軽食これを食べながら…少しお話しても良いですか?あの、疲れているなら明日で──」
「疲れてない。寧ろ、ハル─コトネが居た方が癒される。」
「はぅ─っ」

そうして、また後ろから抱き締められ、エディオルさんの足の間に座らされた。

「これ、軽食食べれますか?邪魔じゃ──」
「食べれるし邪魔ではなくて必要だから、何の問題もない。それで?話とは?」

ー喰い気味の反応、アリガトウゴザイマスー






それから、今日のネージュの事と悠兄さんの事を話した。


「ディは、王太子様から、ミヤさんとの間を取り持ってくれ─とか言われた事ありますか?」

「いや。それは無いな。コトネに根回しして欲しいとか、そう言う事も言われた事はない。恋愛に関してのランバルトは…王女殿下曰く、“ヘッポコ”だそうだが、自分で、自分自身の力で振り向かせる!って意気込んでいるからなぁ。見ていると、可愛く見える時があるな。くくっ─。」

「そうなんですね。えっと、それでですね?その─悠兄さんの話を聞いたら、ディの事を色々思い出して…。」

「ん?あぁ…俺も、コトネには過去があるからな。本当に…すまなかった。」

と、エディオルさんがシュンとなる。

「違うんです!その、事ではなくて、その後のディを思い出したんです。私に根気強く?向き合ってくれた優しくなったディを思い出したら、ディに会いたくなって…。それで…今日は起きて待ってたんです。」

エディオルさんに抱え込まれている腕の中で、モゾモゾと動いて、体半分を後ろにいるエディオルさんに向ける。

「あの…こんな私と向き合ってくれて…想いを寄せてくれて、ありがとうございます。私、ディが…大好きです。」

言ってから、軽くキスをする──と、エディオルさんが一瞬固まった後、とっても綺麗な微笑みを浮かべた。

ーあ…あれ?これ…ヤバい時の笑顔だよね?ー

「あ、ディ?私、そろそろ部屋に戻──」
「ここで、俺が素直に帰すと思う?俺は、いつもコトネがと言っているよな?」

「えっと……」

「コトネ──愛してる。俺の方こそ、やらかした俺を、好きになってくれてありがとう。」

ニッコリ笑ったエディオルさんが、軽くキスをする。

ー軽いキスで良かったー

と、少しホッとして気が緩んだのが─いけなかった。

そのままガシッと後頭部を押さえられて、逃げられないように口を塞がれた。もう、それがキスなのか何なのかも分からない程で…体の力が入らなくて、クタリとなると、エディオルさんは、最後に私の唇をペロリと舐めてから顔を離した。

「──っ!?」

呼吸もうまくできなくて、体にも力が入らなくて、グッタリとエディオルさんに凭れ掛かっている。

「ディ……私…そのうち死んじゃう…かもしれないからね?」

何とか声を絞り出して、視線だけでギッと睨み付けると、

「そんな事言っても、そうやって睨んでる…つもりなんだよな?その睨み?も、俺にとっては可愛くしか見えないし…俺を煽ってるだけだからな?」

「ひゃいっ!?」

ギュッと抱き締められて、私の肩に、エディオルさんが顔を埋める。

「──本当に、勘弁して欲しい…。」

そう呟くエディオルさんに

ーそれはこっちのセリフです!ー

と心の中で突っ込んだ。





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