77 / 123
第二章ー同棲ー
会いたくて
しおりを挟む
ゆっくりと動き出す馬車の中で、目を閉じて思い浮かんだのは…5年前のエディオルさん。お姉さん達の召喚に巻き込まれただけのモブな存在の私は、殆ど誰とも関わる事がなかった。私に付けられた侍女さん達とさえ、まともに話した事もなかった。
そんな時に、私の部屋迄やって来たエディオルさん…は、本当に…本当に怖かった。
冷たい瞳、冷たい声、冷たい態度
サエラさんが来てくれなかったら、きっと気を失って倒れてたんじゃないだろうか…兎に角、本当に怖かった。
でも─
勿論、あの冷たい感じは変わらなかったけど、それ以降は、いつも私との距離感?を気にしながら、私を助けてくれた。
レフコースと対峙した時、駆け付けてまでして助けてくれた。リュウの時もそうだった。
そうして、還れなくなって再会してから始まった…エディオルさんからの接近攻撃には…更に驚いたけど…。エディオルさんは、私の事が───好…きだから頑張ったと言った。確かに今思うと、エディオルさんの態度や言葉全てが、私の事を思ってくれていたんだなと思う。
怖かったエディオルさんが、いつの間にか安心する場所になって…今では、大好きで大切な人になった。それはきっと、エディオルさんが頑張ってくれたからだ。
悠兄さんのお願いも、本当にミヤさんとヨリを戻したくて必死だからかもしれないけど…それではきっと、ミヤさんの心には響かないだろうと思う。
そう言えば…王太子様からは、ミヤさんの事…言われたり聞かれたり…しないよね。
お忍びになっていないお忍びで、週2回も修道院に行くくらいだもんね。頑張ってるんだろう。
ーこれは…王太子様の方が、リードしてるかな?ー
「ふふっ─。」
と、馬車の中で自然と笑みが零れた。
*****
「ディ、おかえりなさい。」
「ハル?まだ起きていたのか?」
今日のエディオルさんは、帰りが遅くなる日だった。いつもなら、先に遠慮なく寝ているけど、今日は起きて待っていた。そして、ルナさんからエディオルさんが帰って来たと教えてもらって、今、エディオルさんの部屋に軽食を持ってやって来た。
「はい。あの、軽食を食べながら…少しお話しても良いですか?あの、疲れているなら明日で──」
「疲れてない。寧ろ、ハル─コトネが居た方が癒される。」
「はぅ─っ」
そうして、また後ろから抱き締められ、エディオルさんの足の間に座らされた。
「これ、軽食食べれますか?邪魔じゃ──」
「食べれるし邪魔ではなくて必要だから、何の問題もない。それで?話とは?」
ー喰い気味の反応、アリガトウゴザイマスー
それから、今日のネージュの事と悠兄さんの事を話した。
「ディは、王太子様から、ミヤさんとの間を取り持ってくれ─とか言われた事ありますか?」
「いや。それは無いな。コトネに根回しして欲しいとか、そう言う事も言われた事はない。恋愛に関してのランバルトは…王女殿下曰く、“ヘッポコ”だそうだが、自分で、自分自身の力で振り向かせる!って意気込んでいるからなぁ。見ていると、可愛く見える時があるな。くくっ─。」
「そうなんですね。えっと、それでですね?その─悠兄さんの話を聞いたら、ディの事を色々思い出して…。」
「ん?あぁ…俺も、コトネにはやらかした過去があるからな。本当に…すまなかった。」
と、エディオルさんがシュンとなる。
「違うんです!その、やらかした事ではなくて、その後のディを思い出したんです。私に根気強く?向き合ってくれた優しくなったディを思い出したら、ディに会いたくなって…。それで…今日は起きて待ってたんです。」
エディオルさんに抱え込まれている腕の中で、モゾモゾと動いて、体半分を後ろにいるエディオルさんに向ける。
「あの…こんな私と向き合ってくれて…想いを寄せてくれて、ありがとうございます。私、ディが…大好きです。」
言ってから、軽くキスをする──と、エディオルさんが一瞬固まった後、とっても綺麗な微笑みを浮かべた。
ーあ…あれ?これ…ヤバい時の笑顔だよね?ー
「あ、ディ?私、そろそろ部屋に戻──」
「ここで、俺が素直に帰すと思う?俺は、いつもコトネが足りないと言っているよな?」
「えっと……」
「コトネ──愛してる。俺の方こそ、やらかした俺を、好きになってくれてありがとう。」
ニッコリ笑ったエディオルさんが、軽くキスをする。
ー軽いキスで良かったー
と、少しホッとして気が緩んだのが─いけなかった。
そのままガシッと後頭部を押さえられて、逃げられないように口を塞がれた。もう、それがキスなのか何なのかも分からない程で…体の力が入らなくて、クタリとなると、エディオルさんは、最後に私の唇をペロリと舐めてから顔を離した。
「──っ!?」
呼吸もうまくできなくて、体にも力が入らなくて、グッタリとエディオルさんに凭れ掛かっている。
「ディ……私…そのうち死んじゃう…かもしれないからね?」
何とか声を絞り出して、視線だけでギッと睨み付けると、
「そんな事言っても、そうやって睨んでる…つもりなんだよな?その睨み?も、俺にとっては可愛くしか見えないし…俺を煽ってるだけだからな?」
「ひゃいっ!?」
ギュッと抱き締められて、私の肩に、エディオルさんが顔を埋める。
「──本当に、勘弁して欲しい…。」
そう呟くエディオルさんに
ーそれはこっちのセリフです!ー
と心の中で突っ込んだ。
そんな時に、私の部屋迄やって来たエディオルさん…は、本当に…本当に怖かった。
冷たい瞳、冷たい声、冷たい態度
サエラさんが来てくれなかったら、きっと気を失って倒れてたんじゃないだろうか…兎に角、本当に怖かった。
でも─
勿論、あの冷たい感じは変わらなかったけど、それ以降は、いつも私との距離感?を気にしながら、私を助けてくれた。
レフコースと対峙した時、駆け付けてまでして助けてくれた。リュウの時もそうだった。
そうして、還れなくなって再会してから始まった…エディオルさんからの接近攻撃には…更に驚いたけど…。エディオルさんは、私の事が───好…きだから頑張ったと言った。確かに今思うと、エディオルさんの態度や言葉全てが、私の事を思ってくれていたんだなと思う。
怖かったエディオルさんが、いつの間にか安心する場所になって…今では、大好きで大切な人になった。それはきっと、エディオルさんが頑張ってくれたからだ。
悠兄さんのお願いも、本当にミヤさんとヨリを戻したくて必死だからかもしれないけど…それではきっと、ミヤさんの心には響かないだろうと思う。
そう言えば…王太子様からは、ミヤさんの事…言われたり聞かれたり…しないよね。
お忍びになっていないお忍びで、週2回も修道院に行くくらいだもんね。頑張ってるんだろう。
ーこれは…王太子様の方が、リードしてるかな?ー
「ふふっ─。」
と、馬車の中で自然と笑みが零れた。
*****
「ディ、おかえりなさい。」
「ハル?まだ起きていたのか?」
今日のエディオルさんは、帰りが遅くなる日だった。いつもなら、先に遠慮なく寝ているけど、今日は起きて待っていた。そして、ルナさんからエディオルさんが帰って来たと教えてもらって、今、エディオルさんの部屋に軽食を持ってやって来た。
「はい。あの、軽食を食べながら…少しお話しても良いですか?あの、疲れているなら明日で──」
「疲れてない。寧ろ、ハル─コトネが居た方が癒される。」
「はぅ─っ」
そうして、また後ろから抱き締められ、エディオルさんの足の間に座らされた。
「これ、軽食食べれますか?邪魔じゃ──」
「食べれるし邪魔ではなくて必要だから、何の問題もない。それで?話とは?」
ー喰い気味の反応、アリガトウゴザイマスー
それから、今日のネージュの事と悠兄さんの事を話した。
「ディは、王太子様から、ミヤさんとの間を取り持ってくれ─とか言われた事ありますか?」
「いや。それは無いな。コトネに根回しして欲しいとか、そう言う事も言われた事はない。恋愛に関してのランバルトは…王女殿下曰く、“ヘッポコ”だそうだが、自分で、自分自身の力で振り向かせる!って意気込んでいるからなぁ。見ていると、可愛く見える時があるな。くくっ─。」
「そうなんですね。えっと、それでですね?その─悠兄さんの話を聞いたら、ディの事を色々思い出して…。」
「ん?あぁ…俺も、コトネにはやらかした過去があるからな。本当に…すまなかった。」
と、エディオルさんがシュンとなる。
「違うんです!その、やらかした事ではなくて、その後のディを思い出したんです。私に根気強く?向き合ってくれた優しくなったディを思い出したら、ディに会いたくなって…。それで…今日は起きて待ってたんです。」
エディオルさんに抱え込まれている腕の中で、モゾモゾと動いて、体半分を後ろにいるエディオルさんに向ける。
「あの…こんな私と向き合ってくれて…想いを寄せてくれて、ありがとうございます。私、ディが…大好きです。」
言ってから、軽くキスをする──と、エディオルさんが一瞬固まった後、とっても綺麗な微笑みを浮かべた。
ーあ…あれ?これ…ヤバい時の笑顔だよね?ー
「あ、ディ?私、そろそろ部屋に戻──」
「ここで、俺が素直に帰すと思う?俺は、いつもコトネが足りないと言っているよな?」
「えっと……」
「コトネ──愛してる。俺の方こそ、やらかした俺を、好きになってくれてありがとう。」
ニッコリ笑ったエディオルさんが、軽くキスをする。
ー軽いキスで良かったー
と、少しホッとして気が緩んだのが─いけなかった。
そのままガシッと後頭部を押さえられて、逃げられないように口を塞がれた。もう、それがキスなのか何なのかも分からない程で…体の力が入らなくて、クタリとなると、エディオルさんは、最後に私の唇をペロリと舐めてから顔を離した。
「──っ!?」
呼吸もうまくできなくて、体にも力が入らなくて、グッタリとエディオルさんに凭れ掛かっている。
「ディ……私…そのうち死んじゃう…かもしれないからね?」
何とか声を絞り出して、視線だけでギッと睨み付けると、
「そんな事言っても、そうやって睨んでる…つもりなんだよな?その睨み?も、俺にとっては可愛くしか見えないし…俺を煽ってるだけだからな?」
「ひゃいっ!?」
ギュッと抱き締められて、私の肩に、エディオルさんが顔を埋める。
「──本当に、勘弁して欲しい…。」
そう呟くエディオルさんに
ーそれはこっちのセリフです!ー
と心の中で突っ込んだ。
97
あなたにおすすめの小説
氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!
屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。
どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。
そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。
そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。
望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。
心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが!
※あらすじは時々書き直します!
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜
こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました!
※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)
狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。
突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。
だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。
そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。
共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?
自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる