モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
91 / 123
第二章ー同棲ー

黒のモフモフ

しおりを挟む
『ネージュ、お疲れ様。それと…ありがとう。』

ノアが嬉しそうに目を細めて、ネージュの顔に鼻をスリスリと擦り寄せる。
そんな2匹の間─ネージュのお腹の上に、チョコンと寝転んでいるチワワサイズの黒色のモフモフが

『くわぁ─』

と、小さな欠伸を繰り返している。

「くっ─可愛いっっ!!─って、ミヤさん!!起きて下さい!!」

「─ん?あら?私…寝てた?ん?ハル、どうし─」

「ネージュの子供が生まれました!」

「……は?生まれた?って、何が?」

『くわぁ─』

「え?黒の…モフモフ?は?」

珍しく、ミヤさんが固まった。

ーはい。その気持ち、よく分かりますー

「ハル。私、一体何時間ここで寝てしまってたの!?」

「えっと…2、30分位ですね。その間と言うか…本当に一瞬で生まれました。多分…5分も掛かっていないと思います。」

「え?5分?そう…なのね。えっと…黒のモフモフなのね。」

「はい。黒のモフモフですね。」

魔獣の出産には本当に驚いたと言うか…うん。凄くビックリしたけど、生まれて来た子供は─

「「めちゃくちゃ可愛いわ(ですね)!!」」

その子供は、今はネージュとノアに鼻先でスリスリされたりペロペロと舐められたりと、なされるがままにコロコロとしている。見た感じでは、魔力が強過ぎたり大き過ぎると言う事はなさそうだ。
ミヤさんとエディオルさんと3人で、少し離れた位置から、ほのぼのとした3匹の様子を眺めていた。

『主?主は…この子を抱いてはくれぬのか?』

暫くすると、ネージュがコテンと首を傾げながら問い掛けて来た。

「くぅ…魅力的なお誘い!!ネージュ、私は我慢してるの!」

『我慢?』

「だって、生まれたばかり子に、親以外の匂い?がつくのは良くないって。だから我慢してるの!」

勿論、今すぐにでもモフモフしたいです!でも、我慢しているんです!!と、グッと握り拳を作って耐えている私を、ネージュとノアがキョトンとした顔で見ている。

『主?それは、“獣”の事であろう?そもそも、主と我は名を交わし魔力も交している。匂いなど…何の問題もないぞ?寧ろ、この子は我は勿論の事、主の魔力も取り込んでいる故に…主に抱かれても喜ぶしかないと思うぞ?』

「ネージュ!それ、もっと早く知りたかった!ノア、私が抱っこしても大丈夫!?」

『勿論です。きっと、喜びますよ。』

ネージュのお腹の上でコロコロしていた子を、ノアが口で咥えて私のところまで運んでくれて、私の腕の中に乗せてくれた。

『?』

私の腕の中からじーっと私を見上げて来る。

『くわっ』

と一鳴きした後、尻尾がユラユラと揺れて私の体にスリスリと顔を擦り寄せて来た。

「───っ!!可愛い!!」

『くわぁ─』

思わずムギュと抱き締めると、嬉しそうな声で鳴いてペロリと頬を舐められた。

ーえ?何?コレはご褒美ですか!?ー

「どうしよう。離せる気がしない…って、あれ?魔力…吸われてる?」

全く問題無い程だけど、私の魔力が黒のモフモフに流れていくのが分かる。

『魔獣の子は、生まれてから暫くの間は、親から魔力をもらって育つんです。基本は、父親か母親だけなのですが…。胎内に居るうちからハル様の魔力も取り込んでいたので、ハル様の魔力とも馴染んでいるんでしょうね。』

『ふむ。主の魔力は、優しくて温かい故、その子も主の魔力が好きなのかもしれぬな。』

そう言って、やっぱりネージュは嬉しそうに笑って尻尾をフリフリさせている。

「それ…もう、その子が擬人化する未来しか視えないのは…私だけかしら?」

「……ミヤ様だけでは…ないと思いますよ?ハルの魔力を取り込んでるのなら…十分に可能性はあるかと…。」

「…本当に、ハルと居ると…退屈しないわね?」

ミヤさんとエディオルさんが、遠い目で笑って話している。

ー聞こえてますよ!?ー

『くわぁ─』

さっきよりも少し大きい欠伸をした後、黒のモフモフが、私の腕の中で目を閉じてスースーと寝息を立てだした。

「はぅ──っ。可愛いしかないよね!?どうしよう!?」

「ハル、落ち着こうか。取り敢えず…ゆっくりネージュ殿のお腹の上に寝かせようか。」

「そうですね。」

エディオルさんに苦笑?しながら言われてしまいました。
そっと、起きないようにネージュのお腹の上に寝かせる。

「ふふっ─。本当に、想像してた以上に可愛いね。ネージュ、お疲れ様。ここはノアに任せて私達は邸に戻るから、ゆっくり休んでね。何かあったら、いつでも呼んでくれて良いからね?」

『主、ありがとう。』

ネージュの頭をワシャワシャと撫でてから、後の事はノアに任せて邸へと戻った。










邸へと戻って来て少しだけ3人で話をした後

「折角エディオルさんが早く帰って来たんだもの、私ももう帰るわ。お邪魔虫─にはなりたくないからね。」

と、ミヤさんは笑いながら帰って行きました。

なので─





はい。今、“時間があるから、お茶でもしようか”と、久し振りにエディオルさんの部屋へと誘導されて─

また、エディオルさんの足の間に座らされ、後ろから抱きつかれています。





久し振りで…心臓が痛いです。





しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

【完結】秀才の男装治療師が女性恐怖症のわんこ弟子に溺愛されるまで

恋愛
「神に祈るだけで曖昧にしか治らない。そんなものは治療とは言わない」  男尊女卑が強い国で、女であることを隠し、独自の魔法を使いトップクラスの治療師となり治療をしていたクリス。  ある日、新人のルドがやってきて教育係を押し付けられる。ルドは魔法騎士団のエースだが治療魔法が一切使えない。しかも、女性恐怖症。  それでも治療魔法が使えるようになりたいと懇願するルドに根負けしたクリスは特別な治療魔法を教える。  クリスを男だと思い込み、純粋に師匠として慕ってくるルド。  そんなルドに振り回されるクリス。  こんな二人が無自覚両片思いになり、両思いになるまでの話。 ※最初の頃はガチ医療系、徐々に恋愛成分多めになっていきます ※主人公は現代に近い医学知識を使いますが、転生者ではありません ※一部変更&数話追加してます(11/24現在) ※※小説家になろうで完結まで掲載 改稿して投稿していきます

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

元貧乏貴族の大公夫人、大富豪の旦那様に溺愛されながら人生を謳歌する!

楠ノ木雫
恋愛
 貧乏な実家を救うための結婚だった……はずなのに!?  貧乏貴族に生まれたテトラは実は転生者。毎日身を粉にして領民達と一緒に働いてきた。だけど、この家には借金があり、借金取りである商会の商会長から結婚の話を出されてしまっている。彼らはこの貴族の爵位が欲しいらしいけれど、結婚なんてしたくない。  けれどとある日、奴らのせいで仕事を潰された。これでは生活が出来ない。絶体絶命だったその時、とあるお偉いさんが手紙を持ってきた。その中に書いてあったのは……この国の大公様との結婚話ですって!?  ※他サイトにも投稿しています。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

処理中です...