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8 街案内②
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ランチを食べた後も、また案内がてらにあちこちのお店巡りをした。それから、観光スポットとなっている場所や公園も案内した。
観光スポットには貴族が多いが、公園となると平民の子供や親子連れが多い。走り回っている子供を見ると、修道院で一緒だった子達を思い出す。
ー元気にしてるかな?アイリスさんも元気かなぁ?ー
「お勧めはこんなところかしら?まだ時間はあるけど、どこか行きたい所や知りたい事はある?」
ある程度の案内が終わり、これからどうするか?となり、カリーヌさんがレイさんに訊くと「行きたい所がある!」と言い、そこに行く事になった。
「これが食べたかった!」
「ふふっ……」
レイさんに連れられてやって来たのは、街外れにある小さなカフェ。外観はそうではないけど、ファンシーな店内で、客もレイさん以外は皆女性だ。“男性禁止”ではないけど、確かに、この店内の雰囲気は男性には少し……辛い…恥ずかしいかもしれない。
「テイクアウトもできるけど、このパフェは店内限定だから食べられなくて。でも、どうしても食べたくて…でも、独り身で恋人も女友達も居なかったから」
と言いながら、本当に嬉しそうにパクパクとフルーツパフェを食べているレイさん。
「昔は甘い物は苦手だったけど、年を重ねる程好きになって……母国に居た時は毎日のように甘い物を食べてたんだ」
「こんな所にカフェがあったんて、私、知らなかったわ」
生まれも育ちもこの街で、街に詳しいカリーヌさんでさえ知らなかったこのカフェは、3ヶ月程前にできたばかりのお店なんだそうだ。店内のみのパフェは勿論、テイクアウトできるケーキも美味しいそうで、早ければお昼過ぎには売り切れている事もあるそうだ。
「年配の婦人が1人でケーキを作っているらしくて、数がそんなに作れないそうなんだ。でも店内用のパフェは従業員も作れるらしいから、夕方迄は店自体は開いてるんだ」
どうやら、レイさんは気になる事は全力で調べるタイプのようだ。
3人でパフェを堪能した後、レイさんはケーキもテイクアウトした。
「今日は、本当にありがとう。良い情報は手に入ったし、パフェも食べれて嬉しい限りだ!」
「それは何よりね」
「良かったですね」
「それじゃあ、また明日─」とカリーヌさんが言い掛けると「あ、コレを」と、レイさんがさっきのお店で買った袋2つを取り出した。
「これは、今日1日ママの時間を奪ってしまったお子さんへのお詫びのお菓子で、こっちは女性の貴重な休日の時間を奪ってしまったお詫びのお菓子です」
と、レイさんはカリーヌさんと私に一つずつ手渡した。
「そんなに気を使わなくても良いのに……でも、コレは素直に頂くわね。子供が喜ぶわ。ありがとう」
「私、受け取れませんよ?もともと、私が家まで送ってもらったお礼でした事だから……」
ーお礼のお礼になって、またお礼しなきゃいけなくなるよね?ー
「それでも、貴重な時間を費やしてもらった事には変わりないから。んー…それでも気になるなら…また、たまにで良いから、一緒にカフェに行ってくれる?まだ男一人で行くには辛い所があるから」
「…それなら……分かりました。その時は、一緒に行かせてもらいます」
「勿論、2人きりが嫌なら、その時はまた、カリーヌさんも一緒に…」
「はい。カリーヌさんが良かったら3人で!でも、私とレイさん2人でも問題無いかもしれないけど…」
「「ん?」」
カリーヌさんとレイさんが首を傾げる。
「今日思ったんですけど………レイさんと私が2人並んでいても、恋人同士には見えないな─と。寧ろ……父娘みたいな?」
「……………」
「…………ぷっ………………」
年の差もあるけど、私が更に幼く見える事もあり、どう見ても父娘、良くて兄妹ぐらいにしか見えない。レイさんとカリーヌさん2人なら、恋人同士に見えない事もない。
「何だろう……この敗北感は……少し…泣けるかもしれない」
「20程の年の差を考えると……おかしい話ではないわね…ぷっ………」
ショック?を受けたような顔をしたレイさんと、笑いを堪え切れていないカリーヌさん。
ーおかしい事…言った?ー
そんな2人を、今度は私が首を傾げて見つめた。
******
「わぁ…美味しそう!」
カリーヌさんとレイさんと別れて帰宅して、レイさんに貰った袋を開けると、色んな種類の焼き菓子の詰め合わせが入っていた。
「………」
今日1日で分かった事、それは──
“レイさんが女性の扱いに慣れている”
と言う事かもしれない。
*??????*
『ウリ側は確認できました』
「思ったより早かったね」
『カイ側は、難航しているようです。増員しますか?』
「いや、このままで。あまりに動き過ぎると勘付かれる可能性があるからね。多少時間は掛かっても問題無いから、引き続き慎重によろしく」
『承知しました』
「……ふぅ──────」
ーやっぱり、あのたぬきは一筋縄ではいかないか?ー
❋明日以降も、1日2話更新で行こうと思っています。宜しくお願いします❋
(๑•̀ㅂ•́)و✧
観光スポットには貴族が多いが、公園となると平民の子供や親子連れが多い。走り回っている子供を見ると、修道院で一緒だった子達を思い出す。
ー元気にしてるかな?アイリスさんも元気かなぁ?ー
「お勧めはこんなところかしら?まだ時間はあるけど、どこか行きたい所や知りたい事はある?」
ある程度の案内が終わり、これからどうするか?となり、カリーヌさんがレイさんに訊くと「行きたい所がある!」と言い、そこに行く事になった。
「これが食べたかった!」
「ふふっ……」
レイさんに連れられてやって来たのは、街外れにある小さなカフェ。外観はそうではないけど、ファンシーな店内で、客もレイさん以外は皆女性だ。“男性禁止”ではないけど、確かに、この店内の雰囲気は男性には少し……辛い…恥ずかしいかもしれない。
「テイクアウトもできるけど、このパフェは店内限定だから食べられなくて。でも、どうしても食べたくて…でも、独り身で恋人も女友達も居なかったから」
と言いながら、本当に嬉しそうにパクパクとフルーツパフェを食べているレイさん。
「昔は甘い物は苦手だったけど、年を重ねる程好きになって……母国に居た時は毎日のように甘い物を食べてたんだ」
「こんな所にカフェがあったんて、私、知らなかったわ」
生まれも育ちもこの街で、街に詳しいカリーヌさんでさえ知らなかったこのカフェは、3ヶ月程前にできたばかりのお店なんだそうだ。店内のみのパフェは勿論、テイクアウトできるケーキも美味しいそうで、早ければお昼過ぎには売り切れている事もあるそうだ。
「年配の婦人が1人でケーキを作っているらしくて、数がそんなに作れないそうなんだ。でも店内用のパフェは従業員も作れるらしいから、夕方迄は店自体は開いてるんだ」
どうやら、レイさんは気になる事は全力で調べるタイプのようだ。
3人でパフェを堪能した後、レイさんはケーキもテイクアウトした。
「今日は、本当にありがとう。良い情報は手に入ったし、パフェも食べれて嬉しい限りだ!」
「それは何よりね」
「良かったですね」
「それじゃあ、また明日─」とカリーヌさんが言い掛けると「あ、コレを」と、レイさんがさっきのお店で買った袋2つを取り出した。
「これは、今日1日ママの時間を奪ってしまったお子さんへのお詫びのお菓子で、こっちは女性の貴重な休日の時間を奪ってしまったお詫びのお菓子です」
と、レイさんはカリーヌさんと私に一つずつ手渡した。
「そんなに気を使わなくても良いのに……でも、コレは素直に頂くわね。子供が喜ぶわ。ありがとう」
「私、受け取れませんよ?もともと、私が家まで送ってもらったお礼でした事だから……」
ーお礼のお礼になって、またお礼しなきゃいけなくなるよね?ー
「それでも、貴重な時間を費やしてもらった事には変わりないから。んー…それでも気になるなら…また、たまにで良いから、一緒にカフェに行ってくれる?まだ男一人で行くには辛い所があるから」
「…それなら……分かりました。その時は、一緒に行かせてもらいます」
「勿論、2人きりが嫌なら、その時はまた、カリーヌさんも一緒に…」
「はい。カリーヌさんが良かったら3人で!でも、私とレイさん2人でも問題無いかもしれないけど…」
「「ん?」」
カリーヌさんとレイさんが首を傾げる。
「今日思ったんですけど………レイさんと私が2人並んでいても、恋人同士には見えないな─と。寧ろ……父娘みたいな?」
「……………」
「…………ぷっ………………」
年の差もあるけど、私が更に幼く見える事もあり、どう見ても父娘、良くて兄妹ぐらいにしか見えない。レイさんとカリーヌさん2人なら、恋人同士に見えない事もない。
「何だろう……この敗北感は……少し…泣けるかもしれない」
「20程の年の差を考えると……おかしい話ではないわね…ぷっ………」
ショック?を受けたような顔をしたレイさんと、笑いを堪え切れていないカリーヌさん。
ーおかしい事…言った?ー
そんな2人を、今度は私が首を傾げて見つめた。
******
「わぁ…美味しそう!」
カリーヌさんとレイさんと別れて帰宅して、レイさんに貰った袋を開けると、色んな種類の焼き菓子の詰め合わせが入っていた。
「………」
今日1日で分かった事、それは──
“レイさんが女性の扱いに慣れている”
と言う事かもしれない。
*??????*
『ウリ側は確認できました』
「思ったより早かったね」
『カイ側は、難航しているようです。増員しますか?』
「いや、このままで。あまりに動き過ぎると勘付かれる可能性があるからね。多少時間は掛かっても問題無いから、引き続き慎重によろしく」
『承知しました』
「……ふぅ──────」
ーやっぱり、あのたぬきは一筋縄ではいかないか?ー
❋明日以降も、1日2話更新で行こうと思っています。宜しくお願いします❋
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