36 / 91
36 お父さん②
しおりを挟む
アデールさんとお父さんの関係は?
「私、それなりに美人でしょう?」
「はい!」
「「………」」
それなりに─ではなく、誰がどう見てもどこから見ても美人だ。
「ちょっと隙をつかれて悪い人間に捕まってしまったところを、ブライアンに助けてもらったの。その時にはもう結婚していて、貴女が生まれた後だったわ」
その出会いの時に、アデールさんがお父さんにエルフの血があり、無属性の魔力を持っていると言う事を伝えると、お父さんはかなりの衝撃を受けていたそうだ。
『自分には両親が居ないし平民だから、魔力無しだと思っていた』
確かに、5歳ぐらいの時に高熱を出して死にかけた記憶があったようで、それが魔力暴走で、奇跡的に魔力暴走を乗り切っていた。
ー私と同じだー
「それ以降は特に問題はなかったそうだけど、これからどうなるか分からないし、私も知ってしまった以上放っておく事もできなくて……だから、助けてもらったお礼に、私がブライアンに魔力の扱い方の指導をする事にしたの。もともと、無属性はエルフ特有の属性だったのよ」
エルフ特有の属性だったけど、人間とのハーフが生まれる事で、時間を経て人間にも無属性の魔力持ちが生まれるようになった。だから、純血のエルフにとっては慣れ親しんだ魔力で、アデールさんはお父さんと一緒に居るのは心地好かったそうだ。
「勿論、“親愛”じゃなくて“友愛”の気持ちよ」
お父さんには才能があったらしく、指導を始めると直ぐに魔力の扱いを覚えて難なく魔力を扱えるようになったそうだ。おまけに、魔法陣を描くのも速くて綺麗で、あっと言う間に色んな種類の魔法陣を描けるようになったそうだ。
「ブライアンは天才だったわ……純血のエルフが嫉妬しそうになる程に…」
なんて言いながらも、アデールさんは嬉しそうに笑っている。本当に、2人は仲が良かったんだろう。
何故、お母さんには会った事がなかったのか?
「人間の世界では、無属性の魔力持ちが色んな意味で狙われやすいからよ」
無属性の魔力は、ある意味無限大だ。本人の魔力の強さや魔法陣などの媒体によっては無敵にもなる。そのせいで、過去には無属性の人の取り合いで争いが起こったり、人身売買や人体実験をされた人も居たそうだ。
「だから、ブライアンは自分が無属性どころか、魔力持ちだと言う事を誰にも言わなかったわ。貴女と嫁を危険に晒さない為にね。だから、私から魔法の指導を受けている事も隠す必要があったから、私はブライアンの嫁には一度も会った事が無いの」
何とも恐ろしい事実。私の無属性を申告しなかったルチア様や大公様には感謝しかない。
「ただ、可能性としては低いけど、魔力無しで生まれたとしてもブライアンの娘である貴女も、無属性を発現する可能性があるから、ブライアンは色々と対策をする事にしたのよ」
どうやら、その対策の1つが、家に張られた結界だったそうだ。
「もうね…ブライアンの“娘を護りたい”と言う一心が凄いものでね……次々と私にも手に負えないような仕組みの魔法陣を創り上げてね………ブライアンは純血のエルフ以上のエルフだったわ………」
あの結界は、自分が居ない時に魔獣などから私とお母さんを護る為のものだった。
「魔獣除けにもなるセイヨウイラクサの生っている土に、保存魔法を組み込んだりもしてたわね。嫁が毎日世話をしなくても枯れないようにって……過保護だって言ったら笑ってたわ」
それと、家の中には空気が清浄されるような魔法を組み込んでいるらしく、そのお陰で私の部屋となっていた屋根裏部屋もホコリまみれになる事がなく、私も体調を崩す事なく過ごせていたそうだ。
「お父さんって…凄い人だったんだ……」
ーお父さんのお陰で、私は今も生きているんだー
「お母さんは、この事を知らないんですね」
「多分知らないと思うわ。ブライアンも早くに亡くなってしまったから……」
知らなかったとは言え、そんなお父さんの思いが詰まった家を、お母さんは簡単に捨てたのだ。
「お母さんは魔力持ちなのに、この家に結界が張られていた事に気付かなかったんですか?」
「それは、ブライアンの扱う魔力が無属性だからよ。エルフや同じ無属性なら感じるモノがあるけど、人間の普通の魔力持ちでは分からないと思うわ」
ー正直、私も無属性だけど、イマイチ分からないけど?ー
「ブライアンの凄さは分かったし、結界が張られていた理由も分かって納得できたけど、それらの魔法を掛けたのは今から10年も前なのに、どうしてその魔法がまだ維持できているんだ?」
「この村に、ここ数年、魔獣は現れなかったでしょう?」
大公様の質問に、アデールさんがニタッと笑う。アデールさんの言う通り、私の記憶のある限り、ピサンテに魔獣が現れた事はない。
「それも、ある意味ブライアンのせい───お陰なのよ」
お父さんは、一体何者ですか?
「私、それなりに美人でしょう?」
「はい!」
「「………」」
それなりに─ではなく、誰がどう見てもどこから見ても美人だ。
「ちょっと隙をつかれて悪い人間に捕まってしまったところを、ブライアンに助けてもらったの。その時にはもう結婚していて、貴女が生まれた後だったわ」
その出会いの時に、アデールさんがお父さんにエルフの血があり、無属性の魔力を持っていると言う事を伝えると、お父さんはかなりの衝撃を受けていたそうだ。
『自分には両親が居ないし平民だから、魔力無しだと思っていた』
確かに、5歳ぐらいの時に高熱を出して死にかけた記憶があったようで、それが魔力暴走で、奇跡的に魔力暴走を乗り切っていた。
ー私と同じだー
「それ以降は特に問題はなかったそうだけど、これからどうなるか分からないし、私も知ってしまった以上放っておく事もできなくて……だから、助けてもらったお礼に、私がブライアンに魔力の扱い方の指導をする事にしたの。もともと、無属性はエルフ特有の属性だったのよ」
エルフ特有の属性だったけど、人間とのハーフが生まれる事で、時間を経て人間にも無属性の魔力持ちが生まれるようになった。だから、純血のエルフにとっては慣れ親しんだ魔力で、アデールさんはお父さんと一緒に居るのは心地好かったそうだ。
「勿論、“親愛”じゃなくて“友愛”の気持ちよ」
お父さんには才能があったらしく、指導を始めると直ぐに魔力の扱いを覚えて難なく魔力を扱えるようになったそうだ。おまけに、魔法陣を描くのも速くて綺麗で、あっと言う間に色んな種類の魔法陣を描けるようになったそうだ。
「ブライアンは天才だったわ……純血のエルフが嫉妬しそうになる程に…」
なんて言いながらも、アデールさんは嬉しそうに笑っている。本当に、2人は仲が良かったんだろう。
何故、お母さんには会った事がなかったのか?
「人間の世界では、無属性の魔力持ちが色んな意味で狙われやすいからよ」
無属性の魔力は、ある意味無限大だ。本人の魔力の強さや魔法陣などの媒体によっては無敵にもなる。そのせいで、過去には無属性の人の取り合いで争いが起こったり、人身売買や人体実験をされた人も居たそうだ。
「だから、ブライアンは自分が無属性どころか、魔力持ちだと言う事を誰にも言わなかったわ。貴女と嫁を危険に晒さない為にね。だから、私から魔法の指導を受けている事も隠す必要があったから、私はブライアンの嫁には一度も会った事が無いの」
何とも恐ろしい事実。私の無属性を申告しなかったルチア様や大公様には感謝しかない。
「ただ、可能性としては低いけど、魔力無しで生まれたとしてもブライアンの娘である貴女も、無属性を発現する可能性があるから、ブライアンは色々と対策をする事にしたのよ」
どうやら、その対策の1つが、家に張られた結界だったそうだ。
「もうね…ブライアンの“娘を護りたい”と言う一心が凄いものでね……次々と私にも手に負えないような仕組みの魔法陣を創り上げてね………ブライアンは純血のエルフ以上のエルフだったわ………」
あの結界は、自分が居ない時に魔獣などから私とお母さんを護る為のものだった。
「魔獣除けにもなるセイヨウイラクサの生っている土に、保存魔法を組み込んだりもしてたわね。嫁が毎日世話をしなくても枯れないようにって……過保護だって言ったら笑ってたわ」
それと、家の中には空気が清浄されるような魔法を組み込んでいるらしく、そのお陰で私の部屋となっていた屋根裏部屋もホコリまみれになる事がなく、私も体調を崩す事なく過ごせていたそうだ。
「お父さんって…凄い人だったんだ……」
ーお父さんのお陰で、私は今も生きているんだー
「お母さんは、この事を知らないんですね」
「多分知らないと思うわ。ブライアンも早くに亡くなってしまったから……」
知らなかったとは言え、そんなお父さんの思いが詰まった家を、お母さんは簡単に捨てたのだ。
「お母さんは魔力持ちなのに、この家に結界が張られていた事に気付かなかったんですか?」
「それは、ブライアンの扱う魔力が無属性だからよ。エルフや同じ無属性なら感じるモノがあるけど、人間の普通の魔力持ちでは分からないと思うわ」
ー正直、私も無属性だけど、イマイチ分からないけど?ー
「ブライアンの凄さは分かったし、結界が張られていた理由も分かって納得できたけど、それらの魔法を掛けたのは今から10年も前なのに、どうしてその魔法がまだ維持できているんだ?」
「この村に、ここ数年、魔獣は現れなかったでしょう?」
大公様の質問に、アデールさんがニタッと笑う。アデールさんの言う通り、私の記憶のある限り、ピサンテに魔獣が現れた事はない。
「それも、ある意味ブライアンのせい───お陰なのよ」
お父さんは、一体何者ですか?
2,199
あなたにおすすめの小説
幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します
天宮有
恋愛
バハムス王子の婚約者になった私ルーミエは、様々な問題を魔法で解決していた。
結婚式で起きた問題を解決した際に、私は全ての魔力を失ってしまう。
中断していた結婚式が再開すると「魔力のない者とは関わりたくない」とバハムスが言い出す。
そしてバハムスは、幼馴染のメリタを妻にしていた。
これはメリタの計画で、私からバハムスを奪うことに成功する。
私は城から追い出されると、今まで力になってくれた魔法使いのジトアがやって来る。
ずっと好きだったと告白されて、私のために時間を戻す魔法を編み出したようだ。
ジトアの魔法により時間を戻すことに成功して、私がバハムスの妻になってない時だった。
幼馴染と婚約者の本心を知ったから、私は婚約を破棄します。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?
との
恋愛
「取り替えっこしようね」
またいつもの妹の我儘がはじまりました。
自分勝手な妹にも家族の横暴にも、もう我慢の限界!
逃げ出した先で素敵な出会いを経験しました。
幸せ掴みます。
筋肉ムキムキのオネエ様から一言・・。
「可愛いは正義なの!」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済み
R15は念の為・・
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる