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12 色
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「色が変わった?」
8年前に高熱を出した時だった。お母さんが出て行った後、体が熱くてこのまま爆発するかもしれないなんて言う恐怖に耐えて──そんな熱も少し落ち着いて、喉が渇いて水を飲む為に台所迄行って、ついでに顔だけでも洗おうと思って洗面所に行って、鏡に映った自分を見て驚いた。
「以前は、ピンク色の髪と瞳だったんです。寧ろ、お父さんの色じゃなかったんです」
「高熱で………色以外に、何か変わった事はある?」
「特には無いと思います。あの……信じてくれますか?色が変わったって……」
「ん?勿論信じるわよ。嘘じゃなくて、本当の事でしょう?」
「嘘なんてついてません!」
「うん。大丈夫よ、信じてるから。色が変わるって事は滅多に無いけど、全く無い訳でもないのよ。まぁ、色んな要因があるんだけど、それは調べてみないと分からないから、これもまた、ティニーが元気になったら調べてみましょう」
「ありがとうございます、オリビアさん」
『色が変わるわけないだろう!髪は染めたんだろう!?』
『痛い!離して!』
髪色が変わった後、信じてもらえなくて、嘘をつくなと言われて髪を引っ張られた事もあった。歩いていて水を掛けられた事もあった。ピサンテには、私の話を聞いてくれる人は居なかった。お母さん以外で、私の話を聞いてくれた人は、初めてかもしれない。
「兎に角、後2、3日はゆっくりして、それから少しずつ体を動かしていく予定よ」
「はい、分かりました。宜しくお願いします」
*オリビア視点*
「色が変わった?」
「みたいです。ティニー本人は、高熱を出してから変わったと言ってました」
ティニーの診察を終えて、ルチア様に診察結果を報告した後、色についても報告をする。髪の色が変化する事は偶にある。ただ、瞳の色迄変化する事は珍しいし、両方に変化があるのは滅多に無い。
「理由はいくつか考えられますが、調べたい事もあるから、書庫への立ち入りを許可してもらえますか?」
「良いわよ。持ち出さなければ、禁書も許可を出しておくわ」
「ありがとうございます」
変化の可能性として考えられるのは、主に2つ。
1つ目は、魔力に変化があった場合。
魔力は生まれ持っての属性があるけど、両親が違う属性同士の場合、その子供が成長してからもともと1つの属性だったのが、もう1つ違う属性が発現した場合、その影響で色が変化する事がある。
2つ目は、精神的にショックを受けた場合。
ただ、この場合は、“色が変化する”と言うよりは“色が抜ける”と言う表現が正しい。その殆どが、白髪に近い色になる。淡い色とは言え、水色と言うのは珍しい。
見る限りでは、ティニーに魔力があるようには感じない。となれば、変化の理由はこの2つ以外なのかもしれない。まだまだ保護者が必要な年齢なのに、今迄一体どんな生活を送っていたのか?
せめて、ここでの生活が、ティニーにとって安心できるものであって欲しい。
ーまぁ、ここでティニーを虐めるような人間は居ないでしょうけどねー
ここ、デミトリア辺境伯家は武を象徴する家門で、ルチア様以外の殆どが男性だ。女性のルチア様が生まれた時は、その可愛さのあまり、家門総出のお祝いになった程だったらしい。家族には溺愛され甘やかされてはいたけど、成長するにつれ、男性陣よりも強くなり『女性だとしても、流石はデミトリア辺境伯の嫡子だ!』と、家門内からも女辺境伯とされる事への反発も皆無だった。
兎に角、デミトリア辺境伯家は、女の子には優しいから、ティニーが平民であろうと、虐めるような者は居ない。
「元気になったらで良いんだけど、エリックとロイドが会いたいと言っていたわ」
「ふふっ…分かりました。可能になったら報告します」
そう言ってから、私はルチア様の執務室を出てから、早速書庫へと向かった。
「ティニーの魔力測定の時、俺も一緒に見てても良い?」
「エリック様!はい、それは構いませんけど、何か気になる事でも?」
書庫で調べ物をしていると、エリック様に声を掛けられた。
「うん。何がとは分からないんだけど、ティニーは魔力は無さそうだけど、少し違和感があって気になって」
魔力に関しては、エリック様は魔道士並の力を持っている。そのエリック様が違和感を感じているのなら、何かがある可能性がある。
「あの…実は───」
ティニーが高熱を出して以降、髪と瞳の色が変わった事を伝えると、エリック様も驚いている。
「それで、ここで調べているのか?」
「はい。でも、これと言って新しい情報や関係のありそうな情報は見つかってませんけど」
「俺としても気になるから、色々手を回して調べて見るよ」
「ありがとうございます。お願いします」
と言うやりとりをエリック様とした1週間後。
ティニーの体調が安定したから、魔力測定をする事になった。
8年前に高熱を出した時だった。お母さんが出て行った後、体が熱くてこのまま爆発するかもしれないなんて言う恐怖に耐えて──そんな熱も少し落ち着いて、喉が渇いて水を飲む為に台所迄行って、ついでに顔だけでも洗おうと思って洗面所に行って、鏡に映った自分を見て驚いた。
「以前は、ピンク色の髪と瞳だったんです。寧ろ、お父さんの色じゃなかったんです」
「高熱で………色以外に、何か変わった事はある?」
「特には無いと思います。あの……信じてくれますか?色が変わったって……」
「ん?勿論信じるわよ。嘘じゃなくて、本当の事でしょう?」
「嘘なんてついてません!」
「うん。大丈夫よ、信じてるから。色が変わるって事は滅多に無いけど、全く無い訳でもないのよ。まぁ、色んな要因があるんだけど、それは調べてみないと分からないから、これもまた、ティニーが元気になったら調べてみましょう」
「ありがとうございます、オリビアさん」
『色が変わるわけないだろう!髪は染めたんだろう!?』
『痛い!離して!』
髪色が変わった後、信じてもらえなくて、嘘をつくなと言われて髪を引っ張られた事もあった。歩いていて水を掛けられた事もあった。ピサンテには、私の話を聞いてくれる人は居なかった。お母さん以外で、私の話を聞いてくれた人は、初めてかもしれない。
「兎に角、後2、3日はゆっくりして、それから少しずつ体を動かしていく予定よ」
「はい、分かりました。宜しくお願いします」
*オリビア視点*
「色が変わった?」
「みたいです。ティニー本人は、高熱を出してから変わったと言ってました」
ティニーの診察を終えて、ルチア様に診察結果を報告した後、色についても報告をする。髪の色が変化する事は偶にある。ただ、瞳の色迄変化する事は珍しいし、両方に変化があるのは滅多に無い。
「理由はいくつか考えられますが、調べたい事もあるから、書庫への立ち入りを許可してもらえますか?」
「良いわよ。持ち出さなければ、禁書も許可を出しておくわ」
「ありがとうございます」
変化の可能性として考えられるのは、主に2つ。
1つ目は、魔力に変化があった場合。
魔力は生まれ持っての属性があるけど、両親が違う属性同士の場合、その子供が成長してからもともと1つの属性だったのが、もう1つ違う属性が発現した場合、その影響で色が変化する事がある。
2つ目は、精神的にショックを受けた場合。
ただ、この場合は、“色が変化する”と言うよりは“色が抜ける”と言う表現が正しい。その殆どが、白髪に近い色になる。淡い色とは言え、水色と言うのは珍しい。
見る限りでは、ティニーに魔力があるようには感じない。となれば、変化の理由はこの2つ以外なのかもしれない。まだまだ保護者が必要な年齢なのに、今迄一体どんな生活を送っていたのか?
せめて、ここでの生活が、ティニーにとって安心できるものであって欲しい。
ーまぁ、ここでティニーを虐めるような人間は居ないでしょうけどねー
ここ、デミトリア辺境伯家は武を象徴する家門で、ルチア様以外の殆どが男性だ。女性のルチア様が生まれた時は、その可愛さのあまり、家門総出のお祝いになった程だったらしい。家族には溺愛され甘やかされてはいたけど、成長するにつれ、男性陣よりも強くなり『女性だとしても、流石はデミトリア辺境伯の嫡子だ!』と、家門内からも女辺境伯とされる事への反発も皆無だった。
兎に角、デミトリア辺境伯家は、女の子には優しいから、ティニーが平民であろうと、虐めるような者は居ない。
「元気になったらで良いんだけど、エリックとロイドが会いたいと言っていたわ」
「ふふっ…分かりました。可能になったら報告します」
そう言ってから、私はルチア様の執務室を出てから、早速書庫へと向かった。
「ティニーの魔力測定の時、俺も一緒に見てても良い?」
「エリック様!はい、それは構いませんけど、何か気になる事でも?」
書庫で調べ物をしていると、エリック様に声を掛けられた。
「うん。何がとは分からないんだけど、ティニーは魔力は無さそうだけど、少し違和感があって気になって」
魔力に関しては、エリック様は魔道士並の力を持っている。そのエリック様が違和感を感じているのなら、何かがある可能性がある。
「あの…実は───」
ティニーが高熱を出して以降、髪と瞳の色が変わった事を伝えると、エリック様も驚いている。
「それで、ここで調べているのか?」
「はい。でも、これと言って新しい情報や関係のありそうな情報は見つかってませんけど」
「俺としても気になるから、色々手を回して調べて見るよ」
「ありがとうございます。お願いします」
と言うやりとりをエリック様とした1週間後。
ティニーの体調が安定したから、魔力測定をする事になった。
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