最初で最後の我儘を

みん

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魔女の呪い②

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週末に登城してから3日後。
私の予想よりも早くに、王太子からのお茶のお誘いの手紙が届いた。第二王子ではなく、寮にある私の部屋まで、直接、王城からの遣いの女官が持って来た。そして、その手紙の封蝋には王家の紋章が押されていた。

「思っよりも…早かったわね。」

流石は王太子だ。あの王太子なら、いつかは気付くだろうと思っていた。嘘がつけない自分も恨めしいけど。ただ、呪いがどんなモノなのかは、人間ひと族は知らない。知っているのは、竜王と獣人の王族のみ。おそらく、どんな呪いなのか──王太子は知りたいんだろう。それを素直に話すか…誤魔化すか……そこは、シモン様か竜王陛下に相談した方が良いだろう─と、私は予め教えられていた方法を使って、竜王国に居るシモン様に連絡を取った。


『これを機に、人間も真実を知った方が良い』

と言う事で、呪いの話も正直にする事になり、その場にシモン様も立ち会う事となった。実際に、魔女と対面した事もあるからと言うのと、私が何かあればすぐに対処できると言う理由もあるんだろうと思う。私にとっては、安心材料にしかならないから、有り難く同席してもらう事にして、その旨を王太子に手紙を書いた。



そのお茶会は週末にする事になり、シモン様に『迎えに行きましょうか?』と訊かれたが、それだけは遠慮した。何故か?それは…鳥族の“迎え”が“空を飛ぶ”事だからだ。今でも、空を飛ぶ事はトラウマとなっている。
このお茶会の事は、第二王子とリルには内緒と言う事で、訓練の為に登城するリルとは時間をずらしての登城となっている。
そのリルが登城の為に寮を出てから1時間後、私とヴァレリアも登城する為に学園を出た。学園から王城まで、馬車で10分、徒歩で30分ぐらいで、私達は歩いて向かう事にした。

レイノックスの城下町を歩くのは初めてだった。
可愛いアクセサリーが展示されているお店や、行列のできたカフェ。キラキラ光るモノで溢れていた。

「………」
「ルチア様、また時間がある時にでも、ゆっくり来ましょうね。」
「……うん。ありがとう、ヴァレリア……。」








バサッ─

「シモン様」

王城に辿り着いた時、丁度同じタイミングでシモン様が上空から降り立ったところだった。

「ルチア様、ヴァレリア嬢、おはようございます。」
「「おはようございます。」」
「シモン様、今日はお付き合いいただいて、ありがとうございます。」
「いえ、大変なのは……ルチア様ですからね。気になさらないで下さい。それと、竜王陛下が、“無理だけはするな”との事です。」
「ふふっ。分かりました。」

竜王陛下

黒龍であり、最強の龍だ。だけど、私にとっては、ただの“心配症の(見た目)お兄さん”と言った感じだ。








「ジゼル様、来ていただき感謝します。」

王城の応接室には、王太子と近衛騎士のサクソニア様が居た。

「私は竜王陛下の側近の1人、シモンと言います。本日は、同席の許可をいただき、ありがとうございます。竜王陛下より、“くれぐれも、ジゼルの事は頼んだ”と言付かっております。」

「承知…した。私はレイノックスの王太子、エデルバートだ。」
「私は、エデルバート様の近衛騎士のヴィンス=サクソニアです。」
「あぁ。サクソニア様とは……会うのは2度目…ですね?」
「え?」
「………」

ーあぁ…やっぱり、あの時、シモン様はサクソニア様を見ていたのかー

サクソニア様が気付いていないと言う事は、シモン様は鷲の姿だったんだろう。

「えっと…その辺りの事も、後でお話します。」

取り敢えず─と、王太子に促されて、私達は全員椅子に座った。







「ジゼル様は、魔女の呪いを引き継いでいるんですね?」

「──はい。」


やっぱり、王太子は気付いていた。

「ただ、記憶違いでなければ、ジゼル様は双子ではなかったかと……。それと、魔女の呪いとは、一体どんなモノなのか……。」
「もう、隠しておく必要もありませんから、全て…お話しますが、ここだけの話でお願いします。可能であれば、2年間の留学生活は最後まで続けたいのですけど……。」

全て話した後、留学生活は終わりだ─と言われれば、それに従うしかないけど。


「私は…実は、第三王女シェールとの双子なんです。」

私とシェールは、本当は双子なのだ。
双子として生まれた時、私が黒持ちだった為、念の為に双子だと言う事は伏せられる事になった。
そして、双子が白の魔力持ちだと判明したのは、竜王陛下が私に魔女の呪いが引き継がれているのを確認したからだった。

癒やしの巫女は、白の魔力を使って病気や怪我を治療する。

しかし、呪いを掛けた魔女は、その癒やしの力を使われる事なく婚約者を喪った。その為に、その癒やしの力を恨んでしまった。

「怪我や病気を癒やす力はあっても、それには限りがあります。でも、魔女の呪いは、その“限り”が無くなるんです。」

白の魔力も万能ではない。死んだ人間を生き返らせる事はできないし、瀕死状態の怪我や病気も完治させる事はできない。深い傷だと、痕が残る事もある。

ただ、その魔女の呪いは、それら全てを可能とさせるモノだった。


但し───


「癒やしの巫女の命と引き換えに、どんなモノでも癒やしてしまうんです。それも……本人の意志とは関係無く、発動してしまうんです。」







❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(*´ᗜ`)ㅅ(ˊᗜˋ*)و



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