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魔女の呪い①
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属性関係無く魔法を使える者を“魔女”と呼ぶ。
その魔女は、黒龍を友としていた。そして、その黒龍には番の獣人がいた。その3人は種族は違えど仲が良かった。
魔女の住む人間族の国と獣人族の国に、光(白)の魔力持ちが居た。
人間族には1人、獣人族は双子で、2人ともが光(白)の魔力持ちだった。
魔女は平民の男性に恋をした。2人は婚約をし、1年後には結婚する事になっていた。しかし、その男性が病にかかり、寝たきりの状態になってしまった。日に日に弱っていく婚約者。魔女は、色んな魔法を使えるが、病気や怪我を治す魔法は使えなかった。薬の調合はできた為、薬を調合し飲ませてはみるが、体調が良くなる事はなかった。
そうして、その魔女は、獣人国に居る癒やしの巫女に縋る思いで助けを求めた。
しかし──
双子で2人ともが白の魔力を持っていたが、使える力が異なっていた。1人は病気を癒やす力。1人は怪我を癒やす力だった。勿論、魔女は病気を癒やす事ができる巫女に救いを求めた。
『すみません。今は……魔力を使う事ができない…使えないのです。使えるようになれば──』
と、約束はしたが、その約束が果たされる事はなかった。癒やしの巫女が婚約者の元にやって来る前に、その婚約者が死んでしまったからだ。その婚約者が25歳の時だった。
「何故、癒やしの巫女は…助けてくれなかった?種族が違うから?何故……」
魔女は悲しみの余り、周りが見えていなかった。悲しみが怒りに変わり、怒りが憎悪になり無意識のうちに放った魔法が癒やしの巫女へと向かってしまったのだ。その魔法は“呪い”へと変化し癒やしの巫女を蝕んで行く事となった。
それに最も怒りを表したのが、その癒やしの巫女の夫でもあった、その当時の獣王だった。
そして、婚約者を失った魔女もまた、人間族の王族であった為に、この事を切っ掛けに人間族と獣人族との争いが始まってしまったのである。
それから、癒やしの巫女が呪いに負け亡くなったと知らせが入ったのは、争いが始まってから半年後だった。
ー私の味わった苦しみを、獣王も味わえば良い!ー
魔女はそう思った──が、続く知らせを耳にして、一気に顔色を悪くした。
「どうやら、亡くなった癒やしの巫女は身籠っていたようです。」
癒やしの巫女は、妊娠していたのだ。だから、“今は力が使えない”と言ったのだ。
魔力は使い過ぎると胎児に負担が掛かる為、妊娠中は魔力はできる限り使わないようにする事が基本としてあった。魔力が枯渇すれば死に至るのだから。
癒やしの巫女もまた、25歳だった。
その時になり、魔女は初めて自分の犯してしまった罪に気付き我に返った──ところで、既に遅し─だった。魔女は何とか争いを止める事ができないのかと、説得を試みてみたが、既に国中を巻き込んで動き出した争いを止める事はできなかった。
そして、その争いは、いつしか色んな火種が追加されていき、当初の理由とは違う理由も増え、争いは更に悪化していき、遂には、争いの元となった魔女の命が消えようとしていた。
その死に際に、親友であった黒龍が魔女に会いにやって来た。最後に会ったのは、争いが起こる前だった。
「私は…なんと愚かだったんだろうか……本当に…申し訳無い事をした……。私の放ってしまった“呪い”は……引き継がれていくかもしれない。黒龍……お願いだ。もし、その呪いを引き継ぐ者が現れたら……守ってあげて欲しい……」
魔女は、黒龍にそう願いを口にした後、涙を流しながら息を引き取った。
呪いを解呪できるのは、呪いを掛けた本人だけ。ただ、解呪したくても、呪いを掛けた相手が死んでしまっていたから解呪できなかった。解呪ができていないあの呪いは、余りにも強く、引き継がれる可能性があったのだ。
その呪いは、魔女の唯一の後悔と心残りとなった。
それからの黒龍は、その親友だった魔女の願いの為、下界にも目を配るようになった。ただ、時間の間隔が人間や獣人とは違う為、少しのんびりしたところもあった。
「下界の争いも、いい加減長くないか?」
と思ったのも、争いが始まってから100年程が経っていた。そこからの行動は早く、黒龍をはじめ10頭程の龍を引き連れ下界へ降り立ち、争いを止めろと恫喝すれば、あっと言う間に争いは終わりを迎えたのだった。
おそらく、呪いの条件は黒持ちの双子の癒やしの巫女。
発動すれば、25歳迄生きられるかどうか。
とてと稀な条件だ。それ程心配する事もないだろう─
と黒龍は思いつつも、人間族と獣人族の王族にはその話を伝えておいた。知っているのと知らないとでは、対応や心構えが違って来るからだ。
幸運な事に、その条件に当てはまる者が現れる事もなく、下界は20000年と言う平和な日々が続いた。
だからか、黒龍も忘れ掛けていた。下界の者達にとっては、ソレは既に奇伝になっていた。
そんな時に、条件に当てはまって生まれて来たのが、フォレクシス第二王女ジゼルだったのだ。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(๑→ܫ←)ノ♫♬
その魔女は、黒龍を友としていた。そして、その黒龍には番の獣人がいた。その3人は種族は違えど仲が良かった。
魔女の住む人間族の国と獣人族の国に、光(白)の魔力持ちが居た。
人間族には1人、獣人族は双子で、2人ともが光(白)の魔力持ちだった。
魔女は平民の男性に恋をした。2人は婚約をし、1年後には結婚する事になっていた。しかし、その男性が病にかかり、寝たきりの状態になってしまった。日に日に弱っていく婚約者。魔女は、色んな魔法を使えるが、病気や怪我を治す魔法は使えなかった。薬の調合はできた為、薬を調合し飲ませてはみるが、体調が良くなる事はなかった。
そうして、その魔女は、獣人国に居る癒やしの巫女に縋る思いで助けを求めた。
しかし──
双子で2人ともが白の魔力を持っていたが、使える力が異なっていた。1人は病気を癒やす力。1人は怪我を癒やす力だった。勿論、魔女は病気を癒やす事ができる巫女に救いを求めた。
『すみません。今は……魔力を使う事ができない…使えないのです。使えるようになれば──』
と、約束はしたが、その約束が果たされる事はなかった。癒やしの巫女が婚約者の元にやって来る前に、その婚約者が死んでしまったからだ。その婚約者が25歳の時だった。
「何故、癒やしの巫女は…助けてくれなかった?種族が違うから?何故……」
魔女は悲しみの余り、周りが見えていなかった。悲しみが怒りに変わり、怒りが憎悪になり無意識のうちに放った魔法が癒やしの巫女へと向かってしまったのだ。その魔法は“呪い”へと変化し癒やしの巫女を蝕んで行く事となった。
それに最も怒りを表したのが、その癒やしの巫女の夫でもあった、その当時の獣王だった。
そして、婚約者を失った魔女もまた、人間族の王族であった為に、この事を切っ掛けに人間族と獣人族との争いが始まってしまったのである。
それから、癒やしの巫女が呪いに負け亡くなったと知らせが入ったのは、争いが始まってから半年後だった。
ー私の味わった苦しみを、獣王も味わえば良い!ー
魔女はそう思った──が、続く知らせを耳にして、一気に顔色を悪くした。
「どうやら、亡くなった癒やしの巫女は身籠っていたようです。」
癒やしの巫女は、妊娠していたのだ。だから、“今は力が使えない”と言ったのだ。
魔力は使い過ぎると胎児に負担が掛かる為、妊娠中は魔力はできる限り使わないようにする事が基本としてあった。魔力が枯渇すれば死に至るのだから。
癒やしの巫女もまた、25歳だった。
その時になり、魔女は初めて自分の犯してしまった罪に気付き我に返った──ところで、既に遅し─だった。魔女は何とか争いを止める事ができないのかと、説得を試みてみたが、既に国中を巻き込んで動き出した争いを止める事はできなかった。
そして、その争いは、いつしか色んな火種が追加されていき、当初の理由とは違う理由も増え、争いは更に悪化していき、遂には、争いの元となった魔女の命が消えようとしていた。
その死に際に、親友であった黒龍が魔女に会いにやって来た。最後に会ったのは、争いが起こる前だった。
「私は…なんと愚かだったんだろうか……本当に…申し訳無い事をした……。私の放ってしまった“呪い”は……引き継がれていくかもしれない。黒龍……お願いだ。もし、その呪いを引き継ぐ者が現れたら……守ってあげて欲しい……」
魔女は、黒龍にそう願いを口にした後、涙を流しながら息を引き取った。
呪いを解呪できるのは、呪いを掛けた本人だけ。ただ、解呪したくても、呪いを掛けた相手が死んでしまっていたから解呪できなかった。解呪ができていないあの呪いは、余りにも強く、引き継がれる可能性があったのだ。
その呪いは、魔女の唯一の後悔と心残りとなった。
それからの黒龍は、その親友だった魔女の願いの為、下界にも目を配るようになった。ただ、時間の間隔が人間や獣人とは違う為、少しのんびりしたところもあった。
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幸運な事に、その条件に当てはまる者が現れる事もなく、下界は20000年と言う平和な日々が続いた。
だからか、黒龍も忘れ掛けていた。下界の者達にとっては、ソレは既に奇伝になっていた。
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❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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