公爵令息と悪女と呼ばれた婚約者との、秘密の1週間

みん

文字の大きさ
20 / 23

20 過去の贈り物とこれからの事

シャーリーとミシェルが退室してからが大変だった。

「また後日、改めてゆっくり話そう」

侯爵はそう言ってから、執事が待っている執務室へ行ってしまい、今、この部屋に居るのは俺とリュシアンとナターシャだけだ。

「護衛は連れて来ていないのか?」
「こっそり転移で来たからね。私達が王城に居ない事には誰も気付いてないから大丈夫だろう。兎に角、本当に間に合って良かった」
「ようやく元の姿に戻れた……」

久し振りの人間の体になり、手足を軽く動かした。

「ネイサンが掴んだ証拠と今回の事で、シャーリーの無実は証明できるし、ジャクリーヌとデライラに罰を与える事ができるわ。ふふっ……」
「「…………」」

ー実の親と妹の処罰を喜ぶナターシャが恐ろしいー

それだけ、2人に対して嫌悪感を抱いていたと言う事だろう。それに、身内だからと権力で過保護に護る王太子妃ではなくて良かったと喜ぶべきなのかもしれない。権力者が腐っていると、下の者達も腐ってしまうから。

「良い王太子妃を持ったな……」
「今更だな」
「ネイサン、そうやって私を褒めても無駄よ。貴方には色々言いたい事があるの」
「あー……うん。分かっている」
「なら、話が早いわ」

と、ナターシャはにっこり微笑んだ後、俺はナターシャからたっぷりとお小言を食らったのだった。





********


「ブロンディオ様、先日は護っていただいて、ありがとうございました」
「お礼は、あの時にももらったから、もう言わなくても良いよ。兎に角、シャーリーが無事で良かった」

ネイサン=ブロンディオとしてシャーリーに会えたのは、あの日から1週間経ってからだった。
邸内を為に、侯爵も暫くの間はカシリスト邸に居るそうだ。

「それと、遅くなりましたが、今迄のプレゼントもありがとうございました」

目の前には、俺が贈った物が机の上に並んでいる。

「本当に、贈られていたとは知らなくて…それと、手紙はやっぱり残っていませんでした。すみません」
「それこそシャーリーが謝る事じゃないから」

ここに並んでいる物は、既にデライラが使用していたから残っていたんだろう。

「ミシェル、これらは全部捨ててくれ」
「了解です」
「えっ!?ブロンディオ様!?ミシェル!?」

流石はミシェル。行動が早い。パパッと纏めて抱えると、ミシェルはそのまま部屋から出て行った。

「ミシェル、待って!それは──」
「シャーリー、また改めて贈らせて欲しい」
「でも、あれもブロンディオ様から頂いた物だから…」
「正直に言うと、デライラが身に着けた物を、シャーリーの身に着けて欲しくないんだ。これは、俺の我儘だから、素直に受け取ってくれないか?」
「ブロンディオ様……分かりました……あの…それじゃあ、私からも何かプレゼントをしても良いですか?」
「あぁ、勿論!シャーリーからなら、何でも嬉しいよ」

シャーリーからも、俺に何度か贈ってくれたようだが、それも全てジャクリーヌと執事に握り潰されていたようで、俺の元に届く事は無かった。一体どんな物を贈ってくれていたのか……あの2人には怒りしか無い。

「あの…ブロンディオ様、これを受け取ってもらえますか?」
「ん?」

シャーリーが持って来たのは、手の平サイズの小さな箱。その箱を受け取って開けると、オニキスのピアスが入っていた。

「誕生日プレゼントで用意してたものです。その…嫌われてると思って、用意したものの贈るかどうか悩んでいるうちに過ぎてしまって……それでも、受け取ってもらえますか?」
「勿論だ!嬉しいよ。ありがとう」

本当に、シャーリーから貰えるなら、道端になっている花でも嬉しい。それが、まさか誕生日プレゼントに身に着けられるピアスを用意してくれていたとは。あの2人が居なければ、もっと早くに手に入れられていたのに。

「ブロンディオ様、そこに座って下さい。紅茶を用意しますね」
「………シャーリーが……俺に愛想を尽かしているかもしれないけど…」
「はい?」
「それでも、俺との婚約は解消しないで欲しい。これからはシャーリーを護るから、シャーリーの側に居させて欲しい」

キョトンとした顔で俺を見ているシャーリー。いきなりこんな我儘を言った俺に、呆れているのかもしれない。でも、今言わないと、ズルズルと曖昧なまま時間だけが過ぎて行きそうで嫌だった。

ー返事がない……ー

これは、どう捉えるべきだ?呆れられている?今更だと怒っている?既に嫌われている!?

「シャーリー、本当に───えっ!?ちょっ、シャーリー!?」

すると、シャーリーの琥珀色の綺麗な瞳からポロポロと涙が零れ落ちた。

「ごめん!シャーリー!俺が悪かった!急にこんな我儘を言ってごめん!」
「違うんです!違うくて…うっ……私、本当にブロンディオ様に嫌われてると……婚約も解消されるんじゃないかって……ずっと不安で…でも、そうじゃなくて…嬉しくて……」
「シャーリー」

嫌われてなかったと安心して、そっとシャーリーを抱き寄せると、シャーリーは安心したように力を抜いて、俺の腕の中に収まってくれた。


ー本当にシャーリーが可愛いー



感想 3

あなたにおすすめの小説

三度裏切られた私が、四度目で「離婚」を選ぶまで

狛犬
恋愛
三度、夫に裏切られた。 一度目は信じた。 二度目は耐えた。 三度目は――すべてを失った。 そして私は、屋上から身を投げた。 ……はずだった。 目を覚ますと、そこは過去。 すべてが壊れる前の、まだ何も起きていない時間。 ――四度目の人生。 これまでの三度、私は同じ選択を繰り返し、 同じように裏切られ、すべてを失ってきた。 だから今度は、もう決めている。 「もう、陸翔はいらない」 愛していた。 けれど、もう疲れた。 今度こそ―― 自分を守るために、家族を守るために、 私は、自分から手を放す。 これは、三度裏切られた女が、 四度目の人生で「選び直す」物語。

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました

ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。 このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。 そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。 ーーーー 若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。 作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。 完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。 第一章 無計画な婚約破棄 第二章 無計画な白い結婚 第三章 無計画な告白 第四章 無計画なプロポーズ 第五章 無計画な真実の愛 エピローグ

殿下が私を愛していないことは知っていますから。

木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。 しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。 夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。 危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。 「……いつも会いに来られなくてすまないな」 そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。 彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。 「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」 そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。 すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。 その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。

婚約者は妹のような幼馴染みを何より大切にしているので、お飾り妻予定な令嬢は幸せになることを諦めた……はずでした。

待鳥園子
恋愛
伯爵令嬢アイリーンの婚約者であるセシルの隣には『妹のような幼馴染み』愛らしい容姿のデイジーが居て、身分差で結婚出来ない二人が結ばれるためのお飾り妻にされてしまうことが耐えられなかった。 そして、二人がふざけて婚姻届を書いている光景を見て、アイリーンは自分の我慢が限界に達そうとしているのを感じていた……のだけど!?

婚約者の心変わり? 〜愛する人ができて幸せになれると思っていました〜

冬野月子
恋愛
侯爵令嬢ルイーズは、婚約者であるジュノー大公国の太子アレクサンドが最近とある子爵令嬢と親しくしていることに悩んでいた。 そんなある時、ルイーズの乗った馬車が襲われてしまう。 死を覚悟した前に現れたのは婚約者とよく似た男で、彼に拐われたルイーズは……

【完結】彼を幸せにする十の方法

玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。 フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。 婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。 しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。 婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。 婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。