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何で??
いよいよ今日は卒業式。
「エヴィ嬢……私が訊くのも変だし、聞いたからと言って何かできる事も無いが……本当に良いのか?大丈夫…なのか?」
卒業式が始まる1時間前。生徒会室で、イズライン殿下と式の最終確認をし終えた時に、『ここだけの話だが─』と心配された。
「イズライン殿下、お気遣いありがとうございます。その…実際どうなるかは想像もつきませんが、ちゃんと覚悟はできています。それに、アシェルハイド様とも、しっかり話しましたから」
「そうか。なら大丈夫だな。要らぬ心配だったな」
「いえ。そのお気持ちは、とても嬉しいです。本当にありがとうございます」
イズライン殿下はホッとしたように、爽やかに笑った。
本当に爽やかな笑顔だ。どこぞの腹黒な笑顔ではない。イズライン殿下が笑うと、心がほっこりする。癒し─なのかもしれない。
そのイズライン殿下が気にしていたのは、私が今身に着けているブラックパールのピアスだ。卒業式にソレを着けて出席すると言う事は─王太子殿下の恋人、婚約者である事を示すから。
覚悟はできている。でなければ、ブラックパールのピアスなんて絶対に着けたりはしない。まぁ…髪をハーフアップにしているから、ピアスもチラチラ見えるか見えないか─と言う感じにはしているけど。
「それじゃあ、そろそろホールに行こうか」
「はい」
私はイズライン殿下と共に、卒業式が行われるホールへと向かった。
******
「何で??」
その一言に尽きた1日だった。
“魔力無しのクセに”
“伯爵位でしかないクセに”
“地味子のクセに”
と、いくつか言われるであろう罵りワードを思い浮かべていたけど、誰にも罵られる事は無かった。
ーあれ?ひょっとして、誰も私のピアスに気付いてない?ー
と思ったりしていたが、卒業式が終わった後、卒業生である4年生の先輩達からは
「ようやく黒を着けたのね。良かったわ」
「ブルーム嬢、頑張れ!」
「エヴィ様、頑張って下さいませね!」
「これでようやく、殿下も落ち着くなぁ」
「…………」
なんて、皆が安堵したような顔をしながら、何故か応援された。一緒に居たイズライン殿下に視線を向けると、少し困惑したような顔をしながら理由を教えてくれた。
どうやら、アシェルハイド様と同じ学年、同じクラスの人達に至っては、あの腹黒さは有名らしい。別に、ソレが悪いとは言わないし、王太子であるなら必要なモノでもあると、好意的にはみられていたが、その腹黒さを発揮して囲い込まれて行く令嬢を、クラスメイトの人達は憐れ──心配してくれていたそうだ。
確かに。私に何か文句や言いがかりをつけてくるのは、私と同学年か年下の格上の令嬢達だったな─と納得した。
「ひょっとしたら、一週間後の私達の社交界デビューの夜会で、婚約発表もするんじゃない?」
「まさか!そんな事は───」
“無いですよ”──とは…言い切れなかった。
それから生徒会室に戻ると、姉と義兄が居た。ただ、2人ともこの後はアンカーソン邸に帰る事になっていて、そこから明日のお披露目会の準備で忙しいらしく
「エヴィ、落ち着いたら、一緒にお茶をしましょうね」
「エヴィ嬢は、私にとってもいもうとだからね。遠慮無く遊びに来ると良いよ」
と言って、2人は帰って行った。
どうやら、義兄は“デレ期”に入ったようです。
さて、私も寮へ帰ろうか─と、イズライン殿下に挨拶をしようとしたところへ、アシェルハイド様がやって来た。
「さぁ、エヴィ、帰るぞ!」
「え?あ、はい。丁度、寮に帰ろうかと──」
「ん?寮?何故寮に行くんだ?」
「え?だって、私は後2年の学生生活が……」
チラッと視線を向けたイズライン殿下に、バッと目を逸らされた。その反応に嫌な予感がしてアシェルハイド様を見上げれば、とっっても爽やかな腹黒笑顔がそこにあった。
「すまない、エヴィ嬢。私だけでは、母上と兄上には……逆らえない」
と、イズライン殿下からの謝罪の言葉を耳にしながら、私はアシェルハイド様に引き摺られるようにして生徒会室を出た。
向かった先は──
王太子宮にある、王太子の私室だった。
「何で??」
アシェルハイド様の私室に通された後、これまたやっぱりいつも私に付いてくれる女官がやって来て、あっと言う間にワンピースに着替えさせられ、2人分のランチを用意した後、女官達は部屋から出て行っ───ちゃうの!?何で!?
これまた女官達と入れ替わるように、こちらも私服に着替えたアシェルハイド様が入って来た。
「エヴィ…」
フワリと微笑みながら名前を呼ばれると、胸がキュッ─となるのは………アシェルハイド様には絶対に言わない!!
そして、2人きりになってしまった部屋で、2人でランチをした。
「エヴィ嬢……私が訊くのも変だし、聞いたからと言って何かできる事も無いが……本当に良いのか?大丈夫…なのか?」
卒業式が始まる1時間前。生徒会室で、イズライン殿下と式の最終確認をし終えた時に、『ここだけの話だが─』と心配された。
「イズライン殿下、お気遣いありがとうございます。その…実際どうなるかは想像もつきませんが、ちゃんと覚悟はできています。それに、アシェルハイド様とも、しっかり話しましたから」
「そうか。なら大丈夫だな。要らぬ心配だったな」
「いえ。そのお気持ちは、とても嬉しいです。本当にありがとうございます」
イズライン殿下はホッとしたように、爽やかに笑った。
本当に爽やかな笑顔だ。どこぞの腹黒な笑顔ではない。イズライン殿下が笑うと、心がほっこりする。癒し─なのかもしれない。
そのイズライン殿下が気にしていたのは、私が今身に着けているブラックパールのピアスだ。卒業式にソレを着けて出席すると言う事は─王太子殿下の恋人、婚約者である事を示すから。
覚悟はできている。でなければ、ブラックパールのピアスなんて絶対に着けたりはしない。まぁ…髪をハーフアップにしているから、ピアスもチラチラ見えるか見えないか─と言う感じにはしているけど。
「それじゃあ、そろそろホールに行こうか」
「はい」
私はイズライン殿下と共に、卒業式が行われるホールへと向かった。
******
「何で??」
その一言に尽きた1日だった。
“魔力無しのクセに”
“伯爵位でしかないクセに”
“地味子のクセに”
と、いくつか言われるであろう罵りワードを思い浮かべていたけど、誰にも罵られる事は無かった。
ーあれ?ひょっとして、誰も私のピアスに気付いてない?ー
と思ったりしていたが、卒業式が終わった後、卒業生である4年生の先輩達からは
「ようやく黒を着けたのね。良かったわ」
「ブルーム嬢、頑張れ!」
「エヴィ様、頑張って下さいませね!」
「これでようやく、殿下も落ち着くなぁ」
「…………」
なんて、皆が安堵したような顔をしながら、何故か応援された。一緒に居たイズライン殿下に視線を向けると、少し困惑したような顔をしながら理由を教えてくれた。
どうやら、アシェルハイド様と同じ学年、同じクラスの人達に至っては、あの腹黒さは有名らしい。別に、ソレが悪いとは言わないし、王太子であるなら必要なモノでもあると、好意的にはみられていたが、その腹黒さを発揮して囲い込まれて行く令嬢を、クラスメイトの人達は憐れ──心配してくれていたそうだ。
確かに。私に何か文句や言いがかりをつけてくるのは、私と同学年か年下の格上の令嬢達だったな─と納得した。
「ひょっとしたら、一週間後の私達の社交界デビューの夜会で、婚約発表もするんじゃない?」
「まさか!そんな事は───」
“無いですよ”──とは…言い切れなかった。
それから生徒会室に戻ると、姉と義兄が居た。ただ、2人ともこの後はアンカーソン邸に帰る事になっていて、そこから明日のお披露目会の準備で忙しいらしく
「エヴィ、落ち着いたら、一緒にお茶をしましょうね」
「エヴィ嬢は、私にとってもいもうとだからね。遠慮無く遊びに来ると良いよ」
と言って、2人は帰って行った。
どうやら、義兄は“デレ期”に入ったようです。
さて、私も寮へ帰ろうか─と、イズライン殿下に挨拶をしようとしたところへ、アシェルハイド様がやって来た。
「さぁ、エヴィ、帰るぞ!」
「え?あ、はい。丁度、寮に帰ろうかと──」
「ん?寮?何故寮に行くんだ?」
「え?だって、私は後2年の学生生活が……」
チラッと視線を向けたイズライン殿下に、バッと目を逸らされた。その反応に嫌な予感がしてアシェルハイド様を見上げれば、とっっても爽やかな腹黒笑顔がそこにあった。
「すまない、エヴィ嬢。私だけでは、母上と兄上には……逆らえない」
と、イズライン殿下からの謝罪の言葉を耳にしながら、私はアシェルハイド様に引き摺られるようにして生徒会室を出た。
向かった先は──
王太子宮にある、王太子の私室だった。
「何で??」
アシェルハイド様の私室に通された後、これまたやっぱりいつも私に付いてくれる女官がやって来て、あっと言う間にワンピースに着替えさせられ、2人分のランチを用意した後、女官達は部屋から出て行っ───ちゃうの!?何で!?
これまた女官達と入れ替わるように、こちらも私服に着替えたアシェルハイド様が入って来た。
「エヴィ…」
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そして、2人きりになってしまった部屋で、2人でランチをした。
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