(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

文字の大きさ
65 / 75

何で??

いよいよ今日は卒業式。



「エヴィ嬢……私が訊くのも変だし、聞いたからと言って何かできる事も無いが……本当に良いのか?大丈夫…なのか?」

卒業式が始まる1時間前。生徒会室で、イズライン殿下と式の最終確認をし終えた時に、『ここだけの話だが─』と心配された。

「イズライン殿下、お気遣いありがとうございます。その…実際どうなるかは想像もつきませんが、ちゃんと覚悟はできています。それに、アシェルハイド様とも、しっかり話しましたから」

「そうか。なら大丈夫だな。要らぬ心配だったな」
「いえ。そのお気持ちは、とても嬉しいです。本当にありがとうございます」

イズライン殿下はホッとしたように、爽やかに笑った。
本当に爽やかな笑顔だ。どこぞの腹黒な笑顔ではない。イズライン殿下が笑うと、心がほっこりする。癒し─なのかもしれない。

そのイズライン殿下が気にしていたのは、私が今身に着けているブラックパールのピアスだ。卒業式にソレを着けて出席すると言う事は─王太子殿下の恋人、婚約者である事を示すから。

覚悟はできている。でなければ、ブラックパールのピアスなんて絶対に着けたりはしない。まぁ…髪をハーフアップにしているから、ピアスもチラチラ見えるか見えないか─と言う感じにはしているけど。

「それじゃあ、そろそろホールに行こうか」
「はい」

私はイズライン殿下と共に、卒業式が行われるホールへと向かった。






******


「何で??」

その一言に尽きた1日だった。

“魔力無しのクセに”
“伯爵位でしかないクセに”
“地味子のクセに”

と、いくつか言われるであろう罵りワードを思い浮かべていたけど、誰にも罵られる事は無かった。

ーあれ?ひょっとして、誰も私のピアスに気付いてない?ー

と思ったりしていたが、卒業式が終わった後、卒業生である4年生の先輩達からは

「ようやく黒を着けたのね。良かったわ」
「ブルーム嬢、頑張れ!」
「エヴィ様、頑張って下さいませね!」
「これでようやく、殿下も落ち着くなぁ」

「…………」

なんて、皆が安堵したような顔をしながら、何故か応援された。一緒に居たイズライン殿下に視線を向けると、少し困惑したような顔をしながら理由を教えてくれた。

どうやら、アシェルハイド様と同じ学年、同じクラスの人達に至っては、あの腹黒さは有名らしい。別に、ソレが悪いとは言わないし、王太子であるなら必要なモノでもあると、好意的にはみられていたが、その腹黒さを発揮して囲い込まれて行く令嬢わたしを、クラスメイトの人達は憐れ──心配してくれていたそうだ。

確かに。私に何か文句や言いがかりをつけてくるのは、私と同学年か年下の格上の令嬢達だったな─と納得した。

「ひょっとしたら、一週間後の私達の社交界デビューの夜会で、婚約発表もするんじゃない?」

「まさか!そんな事は───」

“無いですよ”──とは…言い切れなかった。

それから生徒会室に戻ると、姉と義兄が居た。ただ、2人ともこの後はアンカーソン邸に帰る事になっていて、そこから明日のお披露目会の準備で忙しいらしく

「エヴィ、落ち着いたら、一緒にお茶をしましょうね」
「エヴィ嬢は、私にとってもだからね。遠慮無く遊びに来ると良いよ」

と言って、2人は帰って行った。
どうやら、義兄は“デレ期”に入ったようです。

さて、私も寮へ帰ろうか─と、イズライン殿下に挨拶をしようとしたところへ、アシェルハイド様がやって来た。

「さぁ、エヴィ、帰るぞ!」

「え?あ、はい。丁度、寮に帰ろうかと──」
「ん?寮?何故寮に行くんだ?」
「え?だって、私は後2年の学生生活が……」

チラッと視線を向けたイズライン殿下に、バッと目を逸らされた。その反応に嫌な予感がしてアシェルハイド様を見上げれば、とっっても爽やかな腹黒笑顔がそこにあった。


「すまない、エヴィ嬢。私だけでは、母上と兄上には……逆らえない」


と、イズライン殿下からの謝罪の言葉を耳にしながら、私はアシェルハイド様に引き摺られるようにして生徒会室を出た。

向かった先は──




王太子宮にある、王太子の私室だった。

「何で??」

アシェルハイド様の私室に通された後、これまたやっぱりいつも私に付いてくれる女官がやって来て、あっと言う間にワンピースに着替えさせられ、2人分のランチを用意した後、女官達は部屋から出て行っ───ちゃうの!?何で!?

これまた女官達と入れ替わるように、こちらも私服に着替えたアシェルハイド様が入って来た。

「エヴィ…」

フワリと微笑みながら名前を呼ばれると、胸がキュッ─となるのは………アシェルハイド様には絶対に言わない!!

そして、2人きりになってしまった部屋で、2人でランチをした。


感想 188

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜

ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。 エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。 地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。 しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。 突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。 社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。 そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。 喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。 それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……? ⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ

しゃーりん
恋愛
聖女が代替わりするとき、魔力の多い年頃の令嬢十人の中から一人選ばれる。 選ばれる基準は定かではなく、伝聞もない。 ひと月の間、毎日のように聖堂に通い、祈りを捧げたり、奉仕活動をしたり。 十人の中の一人に選ばれたラヴェンナは聖女になりたくなかった。 不真面目に見えるラヴェンナに腹を立てる聖女候補がいたり、聖女にならなければ婚約解消だと言われる聖女候補がいたり。 「聖女になりたいならどうぞ?」と言いたいけれど聖女を決めるのは聖女様。 そしていよいよ次期聖女が決まったが、ラヴェンナは自分ではなくてホッとする。 ラヴェンナは聖堂を去る前に、聖女様からこの国に聖女が誕生した秘話を聞かされるというお話です。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)