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第一章
魔力の色
しおりを挟む「成る程…一応、私もデビュタント扱いなのね。」
デビュタントは白のドレスを着る決まりがある。カーンハイル様から届いたドレスは、白に近いクリーム色。オフショルダーではあるが、首元までレースが施されている。胸下で緩くリボンで締められたエンパイアドレス。落ち着きのあるドレスだ。
「変な色じゃなくて良かったわ。」
「お嬢様、素直に口に出し過ぎですよ。」
ー否定しないリザも同罪よー
サイズは…腰周りを少し詰める位で、後は大丈夫そうだ。
「体調は大丈夫なのですか?」
「ええ。この3日、ゆっくりしたお陰で、もーすっかり元気よ!」
体調不良の原因も分かったし…もう倒れるって事はないだろう。違う悩みは増えたけど。
「夜会当日ですが、カーンハイル様がこちら迄お迎えに来られるそうです。エルライン様のご希望通り、ここから王宮迄一緒に行くとの事です。」
「そうなのね。」
カーンハイル公爵様が許可を出しているのだ、迎えに来るとは思っていたけど…初めてのエスコートだよね…。ダンス…も踊るのかなぁ?ファーストダンスか…これ、踊っちゃうと…もう逃げられないよね…。
自分は、もともと恋愛なんていまいちピンと来なくて、カーンハイル様との婚約も貴族故に仕方ないとしか思ってなかった。けど…。前世を思い出した今となっては、恋愛が苦しい。貴族の結婚。学生の恋愛とは全く違う。重要なのは跡継ぎ問題だー絶対無理だ!私自身、レイナイト侯爵にもカーンハイル公爵にも未練も執着も無い。魔導師として…生きていければ良い。その為に、そろそろ本気で動かなければ…。
そう決意し、そのまま瑠璃宮殿へと帰った。
夜会迄、後一週間となった朝、魔導師長がギリュー様とティアナと私を執務室に呼び出した。
「ユキ様が、悪しき魔素の浄化と、歪みの修正を、聖女としての務めを果たすと決められた。タクマ様も、その手伝いをすると決められた。」
2人共、この運命を受け入れたのか。
「それで、丁度タイミングが良いと言う訳で、一週間後に夜会があるのは知っているか?」
「今年のデビュタントの夜会ですよね?」
「ああそうだ。その夜会で、ユキ様とタクマ様も参加する事が決まった。まー、お披露目の一環だな。」
ーえっ!?あの2人が夜会に!?
「一週間後って…大丈夫なんですか?」
「お披露目だけで、2人のダンスとかは無し。壇上で挨拶するだけだそうだ。デビュタント達にとっても、聖女様が居ればデビューに箔が着くだろう?って事らしい。」
聖女=リーデンブルク女神の御使いとされている。歪み云々を抜いても聖女に祝福されるのは名誉な事である。
それに…デビュタントが一同に集まる夜会。ある意味大きなお見合いの場でもある。若い令嬢令息が集うのだ。2人共ゆくゆくはこの世界で生活して結婚もするだろう。ならば、早いうちから貴族と顔を合わせておく方が良いのだろう。今回は特に、召還されたのが異世界人と、異例だ。早目に行動しておいて損は無い。第二王子もやり手だよね。
「ユキ様のエスコートは第二王子がするし、私も、王弟として出席する予定だったから、タクマ殿のフォローもできるし、特に問題は無いだろう。」
わぁ…魔導師長も来るのね。これはちょっと予想外。基本、魔導師長は夜会等に滅多に出る事がない。王弟であり、王位継承権は放棄しているが、今でも王族に名を連ねて居る。それでも、王族ではなく魔導師としての立場を一番としている為、表だった場にはあまり出て来ないのだ。それに…こんなにも優良物件なのに、未だに婚約者が居ない。夜会に出ようものなら、ハイエナの様に女性が群がって来るそうだ(笑)それも夜会に出ない理由の一つらしい。
結婚願望が無いのだろうか?魔導師長なら、選り取り見取りーどんな相手でも手に入れられると思うけど。まー、他人の事は言えないけど。
でも…大丈夫かな…。
魔力には色がある。その人その人で微妙に色合いが違うのだ。ただし、魔力を持っているからと言って、皆がその魔力の色が見える訳ではない。上級位魔導師でも、私とギリュー様にしか見えない。おそらく、魔導師長も見えるだろう。基本、私の様に外見を魔法で変えていたとしても、その人本人の魔力の色は変えられない。なので、魔力の色が見える人であれば、ミューとミシュエルリーナが同一人物だと判ってしまうのだ。
私の場合、その魔力の色も変えてるけどー。
そうー私は魔力の色を変えれるのだ。勿論、誰にも言っていない。だから、夜会でミシュエルリーナとして魔導師長とギリュー様と会っても、ミシュエルリーナがミューだとは分からないだろう。私の事、平民だと思ってるだろうしね。それでも…魔導師長は侮れない。当日は琢磨のフォローとかで、ミシュエルリーナと話す事もないだろうけど、気を引き締めて行かないとね。
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