巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第二章ー浄化の旅と帰還ー

魔獣①

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*いつもの更新時間より遅くなりました*









ーパルヴァン辺境地に来てから二週間ー


やはり、森の奥に行く程穢れが増え、魔獣の数も増えているそうだ。それでも、「ようやく出番が来た!」とばかりに、騎士様達が張り切っているらしく、討伐に関しても特に問題無く進んでいるようだ。たまに怪我人も出るが、ポーション必要無いよね?位の怪我で済んでいる。

私達薬師3人は、パルヴァン伯爵の邸に残り怪我人の手当てをする事と、ポーションを作って補充するのに1人、後の2人は森に同行する。この2体制で行動している。今日の私は、邸に居残り組である。騎士様も、10人程居残り体を休めている。もともとパルヴァンにも精鋭部隊の様な騎士が居るので、こうして交代で休養する事ができている。


「薬師殿!」

ポーションの在庫の確認をしていると、後ろから声を掛けられた。振り返ると、以前クッキーを渡した騎士様達のうちの1人だった。

「あ、あの時の騎士様ですね?えっと…心の疲れ?は…大丈夫ですか?」

「ははっ、覚えてくれてました?あの時は、ありがとう。クッキーも美味しかったよ!」

「ふふっ。それは良かったです。それで、私に何か用ですか?」

「あー、いや、用はないんだけど、丁度薬師殿を見掛けて…それで、クッキーのお礼が言いたかったから。」

「態々、ありがとうございます。」

ペコリとお礼をして、仕事に戻ろうとすると

「あ、薬師殿!」

と呼び止められる。

「はい、何でしょうか?」

首を傾げて、もう一度騎士様の方に視線を向ける。

「王都に帰ってから、開かれる夜会の時─」 

と、騎士様が何か言い掛けた時、邸の外が騒がしくなった。

「騒がしいな…何かあったのか?俺、見てくるから、薬師殿はここに居てくれ。」

そう言って、騎士様が外に行こうとした時

「ハル殿は居ますか!?」

と、ダルシニアン様が邸に駆け込んで来た。

「はい、ここに居ます!」

ダルシニアン様が珍しく焦っているのを見て、嫌な予感がした。

「グレン様が──っ!」

ダルシニアン様の後ろに、血塗れになったパルヴァン様を2人の騎士様が担ぎながら入って来た。

「─っ!!」

「ここまで順調だったから、油断してしまった。まさか“フェンリル”が現れるとは思わなかった!」

ーフェンリル!?ー

「今日は、魔獣の数が今までで一番少なかったんだ。だから、穢れが無くなって来ているんだと─。それが間違いだった。フェンリルが居たから、弱い魔獣が居なかっただけだったんだ。油断していたところにフェンリルが現れて、その時グレン様が私達を庇って─っ!」

2人の騎士様が、そのままパルヴァン様を自室のベッド迄運んで行く。パルヴァン様付きの薬師や執事達がバタバタと走り回っている。

「私は、またすぐに森に戻る。ハル殿、グレン様を…宜しく頼みます。」

「あのっ!お姉さん…聖女様達は大丈夫ですか?」

「あぁ…聖女様達は…大丈夫だよ。何故か…で護られているみたいだから…。じゃあ、これで。」

ダルシニアン様は、スッと目を細めて私を見遣った後、踵を返して森へ戻って行った。

ー不思議な力ー

そうか…あのブレスレットの魔法が…ちゃんと発動したのか…良かった!!それじゃあ後は、お姉さん達の事はダルシニアン様達に任せよう。私は…パンパンッと、量頬を軽く叩く。

「パルヴァン様を…必ず…助ける!」

そのままパルヴァン様の自室へと急いだ。








パルヴァン様の状態は酷かった。恐らく、剣を持っていた右手でフェンリルの攻撃を防いだのだろう。右腕から噛み付かれた様に腕がぐちゃぐちゃになり、出血が酷い。頭部からの出血も酷くて、呼吸がヒューヒューと鳴っている。肺も、やられてるかもしれない。
邸付きの薬師達が止血をしながら、ポーションなどを使って治療をしている。その横で、魔導師らしき人も傷を治そうと魔術を展開している。

私は取り敢えず、その後ろで密かに魔法を展開させる。

パルヴァン様の状態を確認するのだ。

やっぱり、右腕は色んな器官が切断されていた。そして、肺もやられていた。頭も、かなり強い力が加わったと分かる程酷い。

普通のポーションでは…駄目だろうと言う事が分かる。

「グレンが…パルヴァン辺境伯を引き継いだ時から、いつかはこうなるかもと…覚悟はしていた。」

パルヴァン様の側に控えていたシルヴィア様が静かに語り出す。

「私も元騎士だからね。人を助けて命を落とすのなら…悔いは無いのだろうと思う。でも…妻としては…受け入れ難いものがあるな…」

泣くのを我慢するように顔を歪ませる。

恐らく、パルヴァン様はもう自力でポーションを飲む事は無理だろう。ならば、シルヴィア様にお願いするしかない。

「シルヴィア様、お願いがあります。」

私はそう言いながら、腰に提げているポーチからポーションを1本取り出した。

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