巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第七章ー隣国ー

王太后無双

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「あなた…本当に情けないですわね?自分は何もできない癖に、こんな可愛らしい女の子1人だけに責を負わせて…しかも、まだ駒として使おうとなさるとは…女性を…少し…舐めてませんこと?いえ─そろそろ、ご自分の無能さをお認めになっては如何かしら?」

と、その貴婦人─おそらく、ここに居る貴族院方々の奥さん達なんだろう─は、恐ろしい程の笑顔をしている。

ーあれ?この国の女性は…皆強いのかな?ー

「これ、そこなボンクラ─何を黙っておる?」

「母上、ボンクラとは─」

「あぁ、正直に言い過ぎたか?陛下─お前の事だ。兎に角、あの老害6人の退任と、6人の女性貴族院の公認をせぬか!」

「─母上、流石にこの場ですぐには無理です。それに関しては、また改めて場を設けますので…。」

「ふん─。まぁ、それは仕方無いのう。お前達、後日必ず、登城するようにな?今日は、このままこの会議を見させてもらうぞ?」

王太后様のその一言で、数人の女官が現れ、サッと椅子を用意して行った。



「ティモスさん、私達はどうしたら良いですか?」

「うん、俺達は、邪魔にだけはならないでおこうな?」

「ですね。」

ーここに、ティモスさんが居てくれて良かったですー













「では─あー…少し話しはズレてしまいましたが─話を戻しましょう。んんっ─。それで、ゼン殿、提案の続きをお聞きしても?」

と、宰相様が仕切り直して、ゼンさんへと話をふった。

「隣国の王は穢れを放置してますが、辺境地に追いやられていた先代の王弟が領民達を助けていたそうです。」

ゼンさんが、チラリとミヤさんに視線を向けて、ミヤさんがコクりと頷く。

「私は、この大陸での聖女の扱いについては知っています。隣国を助ける義務はないけど、このままではこの国にも影響が出るのは明らかです。私は、隣国の王が、その先代の王弟になるのであれば、隣国の穢れを祓いに行っても良い─と思っています。但し、今回限りです。運良く、今はこの国に穢れが無いから。」

「─成る程。穢れの浄化と共に、隣国の政権交代を迫るか─。もともと隣国の王には問題があったからな。隣国が安定することは、我が国にとっても良い事である事に変わりはない。皆は、どう思う?私は良いと思うが─。」

国王様が貴族院達に問う。

「ここで反対する馬鹿は、おらぬだろう?」

「─母上…」

国王様が、王太后様をジトリとした目で見るが、王太后様は全く気にする事はなかった。

「では、今行動を共にしている二国にもこの案を説明し、また隣国に書状を送りましょう。それからどうなるか─その都度パルヴァン邸にも報告します。それと─」

と、宰相は話を一旦区切ると、私に視線を向けた。

「ハル殿は…ハル殿自身は、これからどうしたいと?」

「私は─私の事を優しく受け入れてくれた、パルヴァンの人達と一緒に居たいです。これからも…パルヴァン付きの薬師で居たいです。」

「だから、そんな事は────ひっ───」

ーあの貴族院の人は…馬鹿なんですね?ー

「アレで、よく今迄貴族院を名乗っておったのう…良かったのは顔だけだったか?いや、顔も普通だったか?」

ー王太后様…口から駄々漏れですー

「んんっ─。ハル殿の気持ちは分かりました。その事に関しても、また改めて場を設けます。その時は、ミヤ様も一緒にお願いできますか?」

「ええ、それは勿論。一緒にお願いします。」

「では─今日の会議は、これで散会と致します。」










「ティモスさん…お疲れ様でした。」

「ハルも…お疲れさん。」

「今日の会議、楽しかったわね?」

「あの老害、自覚なかったな…」

「王太后様が来てくれて良かったな─」

↑誰が誰か…分かりますよね?上から順に

ハル、ティモスさん、ミヤさん、ゼンさん、パルヴァン様です!

うん。ミヤさん、輝いていました。やっぱり、楽しんでいたんですね?流石です!

「あ──っと、ミヤ様!わぁ─っとっと…」

ーあ、やっぱり、王太子様が来たー 

ティモスさんがニヤニヤしているのを、ミヤさんはキッと一瞥した後、王太子様の方へと体を向けた。

「王太子様…。走ると…危ないですよ?」

「あ─そうだな。」

「では、失礼しますね?」

「え─…いやいや、少し…少しで良いので話をしても?」

王太子様が…必死です。ゼンさんの訓練の時は泣いてたし…。感情豊かな王子様だよね。私でも、少し心配になる。

「話し─とは?」

「あ、えっと─ミヤ様は、これからずっと…ここに?」

と言う定義が微妙ですけど…ハルがウォーランド王国に居る限りは、この国に居る予定です。」

「そ…そうか──っ」

王太子様は、そのまま感情を隠すことなくパッと笑顔になった。

「あぁ、王太子様。─ハルがなったそうですね?」

ミヤさんがニッコリ微笑むと、王太子様はピシリッと音が聞こえるように固まった。

「ふふっ。何度目なのかしら?それで…エディオルさんは隣国へ?ハルは…一体何をしたのかしら?」

ーおぅ…背中がゾクゾクしますー

王太子様は、可哀想になる位顔が青ざめています。助けられないけど─

「話しは…それだけですか?それだけですね?では、失礼します。」

それを、愉しそうに見ていたゼンさんとパルヴァン様。

「ミヤ様、ハル殿、王太后様が2人と少し話がしたいと。大丈夫か?」

と、シルヴィア様に訊かれたので「勿論、大丈夫です」と答え、皆でその部屋を後にした。















「─あぁ…やっぱり、ミヤ様…かなり…キレてるよな?対応が…一段と酷くなってるよな?会えて嬉しいけど…泣きそうだ…。」













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