異世界で守護竜になりました

みん

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3 お忍び①

暫くの間、リシャールの様子を見ていたけど、この離宮内では特に問題は見られなかった。と言うのも当然で、この離宮にはキースが一人一人選り分けて選んだ人達しかいないから、リシャールに偏見を持つ人が居ない。ちゃんと、親と子を切り離して対応できる人達なのだ。執事長もリシャールを高く評価しているのだから、この離宮内でリシャールに悪態をつく使用人は誰一人居ない。となれば、問題があるとすれば“外”と言う事だ。

二度のベレニスさんの愚行は隠されていたけど、流石に三度目の愚行は人の目が多過ぎて隠し切る事はできなかった。“救国の聖女を殺そうとした”“西の守護竜にも手を出した”その挙げ句の幽閉。その子供であるリシャールも、親共々幽閉すべきだと言う声もあった。

『子供は関係無いだろう』

竜王バージルさんの一言で、平民落ちにはなったけど幽閉は無くなった。それでも、納得していない貴族は居たし、未だに何かと言って来る貴族も居るらしい。被害を受けた私達本人がリシャールを受け入れているのに、本当に煩い人達だよね。

兎に角、自分の領地をこの目で見て回るついでに、リシャールの様子を見る為に、私はお忍びで街に降りる事にした。





******


「竜王国でも黒髪は目立つし、守護竜マシロだとバレるからね」
「髪が水色!ファンタジー!」
『マシロ様は何色でも似合いますね!』

いよいよお忍びで街に降りる日。レナルドさんが私の容姿に魔法を掛けに来てくれた。

ーお母さんに会いに来たなのでは?ー

と思っていても口には出さない。
兎に角、竜王国でもある意味黒髪は目立つし、西領の女の子で黒髪と言えば守護竜の私だけしか居ないから、そのままで行けば身バレすると言う事で、レナルドさんが私の髪色を変えに来てくれたのだ。水色は、竜人としてはポピュラーな色だけど、私としては初めての色でテンションが爆上がり中だ。
因みに、キースは人の姿でも隼の姿でも西領の人達には知られているから、今日は隼の姿で、レナルドさんに魔法での隼の色に変えてもらっている。『無理に付いて来なくても留守番をすれば良いんじゃない?』と言えば、『マシロ様の初めてのお忍びに、お供しないと言う選択肢はありません!』と言い切られた。本当に側衛とはブレない。

「カイルスさんの茶髪も似合ってますね」
「マシロの水色の髪色も、可愛らしさが増して似合ってるね」
「ぐはっ───ありがとうございます」

気のせいか、西の離宮に来てからと言うもの、カイルスさんが私に甘くなった気がする。カイルスさんだけではないけど、たいして可愛くも無い私に、よく可愛いと言ってくれる。私が守護竜だから気を遣ってくれてるのかもしれない。いや、それしかないよね。

「マシロは相変わらずだな?」
『それが、マシロ様の可愛らしいところの一つですから』

と、苦笑するレナルドと笑顔のキースだった。




「それじゃあ、行って来ます」
「「「行ってらっしゃいませ」」」

そうして、私と護衛カイルスさんキースの3人で、転移の魔法陣を使用して街に降りた。転移先は、街から少し外れた静かな所にあるこじんまりとした平民用の一軒家。西の離宮と唯一繋がっている家。傍から見ると普通の家にしか見えないけど、ありとあらゆる結界や魔法が張り巡らされていて、許可された人以外の人がこの家に入る事ができないようになっているそうだ。

「お待ちしていました」
「おはよう。今日はよろしくね」

そんな私達3人を出迎えてくれたのは、今日の案内役を頼んだリシャール。今日は、このリシャールを合わせて4人(3人と隼)での領地巡りだ。

街までの道は川を隔てた所にあり、川を越える迄は比較的緑の多い自然地帯で、川を越えると住宅街があり、更に進むと商業施設が建ち並ぶ広場が現れた。その広場は平日の午前中にも関わらず、多くの人達で溢れていた。

「凄い人だね」
「豊穣祭の前と言う事もありますし、何と言っても守護竜が100年ぶりに現れた─と、お祝いムードで盛り上がっているんです」
「なるほど」

竜王国にとっての守護竜は、とても大切な存在なんだそうだけど、当の本人の私としては、いまいち実感が無い。今はまだ自分の事だけで精一杯だと言う事もあるけど。ただ、私は竜王国の人達に助けてもらったから、その恩返しも込めて、これからは私が竜王国の人達を護りたいし、幸せになって欲しいと思っている。まだまだひよこ以下な子竜でしかないけど。

「早い時間でしたけど、朝食は済んでますか?」
「まだなの。屋台があるって聞いたから、食べてみたいなと思って……大丈夫かな?」
「大丈夫です。ご希望の物とかありますか?」
「うーん……まだよく分からないから、お勧めの物をお願いできる?辛過ぎる物以外の好き嫌いは無いから」
「分かりました。では、西領で人気のある物にしましょう」

こうして、私達のお忍びの視察が始まった。

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