氷の騎士は、還れなかったモブのリスを何度でも手中に落とす

みん

文字の大きさ
51 / 62

兄妹

しおりを挟む

「ねろーきょうもかーいいね!」

も可愛いの!』

蒼の邸の裏庭で、今日もセオがネロをもふもふしていた。



ーセオドア=アーサー=カルザインー

ハルと同じサラサラのプラチナブロンドの髪に、カルザインを表す青い瞳の男の子で、それなりの魔力を持って生まれた。魔力が大きかったり強過ぎると、幼いうちはコントロールが出来ず暴走したりするのだが─流石は規格外の魔法使いなハルの息子である。暴走する事が全く無い。ハルと同じように、セオドア自身に生まれる前から魔力が馴染んでいたと言う事もるが、それに輪を掛ける様に、ハル母親とリュウから守護や保護の魔法が掛けられた魔石を身に着けているからだ。
隣国の魔法使いリュウ。彼も…立派な伯父(?)馬鹿のようになっていて、一週間に一度は蒼の邸にやって来てはセオドアと一緒に魔法で遊んだりしている。

他人のリュウでもこの状態。ゼンとロンは──言わずもがなである。ゼンもロンも、2、3日に一度は蒼の邸にやって来ては、伯父馬鹿、爺馬鹿を発揮しまくっている。

そしてネロ。見た目はまだまだ小型犬だけど、セオドアが生まれてからは『お姉ちゃんなの!』と、セオドアを守るようにいつも寄り添ってくれている。その様子が蒼の邸では癒やしの一コマになっている。






「セオ、やっぱりここに居たのか。」

「じーじ!」

セオは、じーじ─ゼン─を目にすると、パッと顔を明るくさせてゼンに飛び付いた。

「かーしゃま、だいじょーぶ?あえる?」

「あぁ、母さんには勿論──にも会えるぞ!」

「はい!あいにいくの!」

「ネロも行くか?」

『ネロも行くの!!』



そう。セオドアが生まれてから2年半が経ち、2日前にセオドアに妹が生まれた。これが──ハルそっくりの女の子だった。ハルと同じプラチナブロンドの髪に、淡い水色の瞳。少し違うのは、髪がハルやエディオルとは違い、緩く波打っていると言う事。

「───ユイ……」

と、ゼンが少し…少しだけ目が潤んでいたのは、皆は見て見ぬふりをした。


ーヴィオラ=ユイ=カルザインー

セオドアが生まれた時も、カルザインとパルヴァンはお祭り騒ぎになった。
そして、今回は女の子。ハル似の女の子。勿論、またまたお祭り騒ぎになったのは言うまでもない。しかも──

「あ、この子、魔法使いだ。」

と、リュウに断言されたのだ。

「あ…やっぱりそうなんですね。お腹に居る時から、あれ?って思ってたんですよね……どうしようかなぁ……」

「ハル、その辺は俺に任せろ。」

と言ったのはゼン。恐ろしい程の笑顔だった。

ー何を”任せろ”なのかー

その場に居た者は皆思ったが、その笑顔のゼンには誰にも突っ込む事はできなかった。


産後、ハルはまた少し貧血気味になり、そのままベットの住人ヨロシク!を強制させられ、エディオルは勿論、セオドアもハルに会う事を我慢した。なので、セオドアもまだ妹に会っていなかったのだ。そして今日、ようやくその妹に会える事となった。






「かーしゃま!」

「セオ!」

ハルの部屋に入ると、ソファに座っていたハルの元へ、セオがトテトテと駆け寄り抱き付く。

「セオ、元気だった?2日も会えなくてごめんね?」

「ぼくはげんきだし、だいじょーぶ。かーしゃまもだいじょーぶ?」

「ふふっ。母様も元気よ?セオ、妹──ヴィオラを見てくれる?」

ハルがそう言うと、寝室の方からルナが赤ちゃんを抱っこしてやって来た。

「坊っちゃん、この子が妹のヴィオラ様ですよ。」

「ふわぁーっ!かーいーねっ!!ふわぁー」

ルナの腕の中でスヤスヤと眠るヴィオラを、キラキラした瞳で見つめる兄─セオドア。

“兄馬鹿”が誕生した瞬間であった。









*****


「にいさまー!」

「ヴィー、走ったらあぶないよ?」

ポスンッ─と、兄であるセオドアの所迄走ってやって来たヴィオラは、そのままの勢いでセオドアに飛び付いた。

「にい様、今からネロの所に行くの?」

「あぁ。クレイル様が来てるって聞いたから、挨拶がてらに行こうかと思ってね。ヴィーも、一緒に行く?」

「うん、ヴィーも行く!」

現在、セオドア7歳、ヴィオラ5歳─兄妹は仲良しで、セオドアは兄馬鹿まっしぐらである。ヴィオラは─見た目だけではなく、性格もハルにソックリの──天然炸裂娘だった。





「「クレイル様、こんにちは」」

裏庭に行くと、こちらも相変わらずで、クレイルがネロに果物をあげているところだった。

「セオ、ヴィー、こんにちは。うーん…相変わらず可愛いね。」

「ありがとー!」

と、純粋に喜んでお礼を言うのはヴィオラだけで、セオドアとネロに至っては──

ー母様(あーじ)には言えないのに…本当に律儀?な人だよねー

と、幼いながらも、悟った様な微笑みをクレイルに向けていた。


しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副隊長が過保護です~

百門一新
恋愛
幼い頃に両親を失ったラビィは、男装の獣師だ。実は、動物と話せる能力を持っている。この能力と、他の人間には見えない『黒大狼のノエル』という友達がいることは秘密だ。 放っておかないしむしろ意識してもらいたいのに幼馴染枠、の彼女を守りたいし溺愛したい副団長のセドリックに頼まれて、彼の想いに気付かないまま、ラビは渋々「少年」として獣師の仕事で騎士団に協力することに。そうしたところ『依頼』は予想外な存在に結び付き――えっ、ノエルは妖獣と呼ばれるモノだった!? 大切にしたすぎてどう手を出していいか分からない幼馴染の副団長とチビ獣師のラブ。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される

守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」  貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。  そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。  厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。  これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。

婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される

鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」 王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。 すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。 頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。 「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」 冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。 公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。 だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!

偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~

咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】 あらすじ 「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」 ​聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。 彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。 ​しかし、エリーナはめげなかった。 実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ! ​北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。 すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。 ​「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」 ​とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。 以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。 ​最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?

「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします

紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド  どこにでも居る普通の令嬢レージュ。  冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。  風魔法を使えば、山が吹っ飛び。  水魔法を使えば大洪水。  レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。  聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。  一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。 「その命。要らないなら俺にくれないか?」  彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。  もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!  ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。  レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。  一方、レージュを追放した帝国は……。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

処理中です...