氷の騎士は、還れなかったモブのリスを何度でも手中に落とす

みん

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余話

子達の物語③

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「ヴィーちゃん、本当にハルちゃんにソックリだね!てっきり、またハルちゃんが還って来たのかと思ったわ。」

そう言って、嬉しそうに笑っているのはフジ様。

「あのハルの子供かぁ……感慨深いモノがあるわ。兎に角…ハルは…幸せ…なのかな?」

と、少し心配そうに尋ねるのはショウ様。

「はい。母は幸せだと思います。いつも笑っているし…何より、父からの溺愛は凄いですから。」

「「溺愛っ!?」」

何故か2人にはとっても驚かれた。

「やだ!ラノベの王道じゃない!!はい!ヴィーちゃん!その辺詳しく話してみようか!?」

と、キラキラ笑顔な2人には嫌とは言えず、お父様のお母様への溺愛ぶりを話した。















*その頃のパルヴァンの森にて*



「ヴィー!」

目の前で魔力暴走を起こした妹のヴィーが………消えた。





俺の名前は─セオドア=カルザイン
ヴィー─ヴィオラ=カルザインの兄である。

「──オ」

妹は母上と同じで魔法使い。俺は魔法使いではないが、魔力量が多くて強い。それでも、魔法、魔術に関しては母上とヴィーには勝てない。その為、俺も父上と同じように騎士となり武術を身に付け、剣を持って家族やこれから現れるかもしれない愛する人を護ろうと思い、日々を頑張っている──だのに、目の前で魔力暴走を起こした妹を……助けられなかった。


「──セオ…」

「ヴィー!?」

ーヴィーは、何処に行った!?初めての魔力暴走だ。あのまま放っておいたら、ヴィーが───!ー

「セオ!!」

と、母上に両手で顔を挟まれて下を向かされ、母上と視線が合った。

「セオ、落ち着いて?ヴィーは大丈夫だから。」

「っ!母上は、ヴィーが何処に行ったのか…分かっているんですか!?」

「うん。ヴィーの足下で魔法陣が展開したでしょう?あの魔法陣には……ちょっと見覚えがあるのよ。んー…ひょっとしたら、今日は帰って来ないかもしれないけど、明日には帰って来ると思うわ。」

「でもっ、ヴィーが初めての魔力暴走で─っ」

「あ、それも心配無いわ。には、魔力─魔法は存在しないからね。ふふっ……」

母上の“あっち”や、“魔力、魔法が存在しない”の意味は全く分からないが、母上が落ち着いているどころか楽しそうに笑っていると言う事は、ヴィーは本当に大丈夫なんだろう─。「何処に居るのか?」と訊くと「今はまだ内緒」と、可愛らしく言われてしまった為、それ以上は聞けなかった。

ー母上は、可愛らしい顔をして、意外と頑固なんだよなぁー

ふぅ─と、落ち着かせるように息を吐いた。

「あ、セオ、この魔石の色、ディ─お父様とセオの色に似てない?セオに、何か作ろうかなぁ?」

と、ワクワクしている母上。

「俺にはいいから、父上に何か作ってあげて下さい。」
「えー?セオは……迷惑なの?」

今度は一気にシュンとする母上。

違う。そうじゃないんです。母上が俺だけに何かを作ると、父上が嫉妬するんです。それだけで済めば良いけど、そうなると……母上。あなたが次の日……んですよ。

「迷惑じゃないけど、俺はこの前ピアスを作ってもらったばかりだから。それに、父上が今度、国王陛下と視察に行くと言っていたから、それに合わせてお守りでも作ってはどうですか?」

「あ、それ、良い案だね!セオ、ありがとう。」

フワリと笑う母上。

ー母上も、本当に父上の事が好きだよなぁー

「ん?その魔石って………」

ーあれ?そう言えば、ティモスさんと対峙していたワームの他に、もう一体ワームが居なかったか?ー

「さっき倒したワームの核よ。」

「──────はい?倒した?」

と、俺が口を開いた時、ティモスさんとお祖父様が、ワームを倒して、そのワームの核を拾い上げているところだと言う事に気が付いた。

「──え?」

「はぁ─流石ハルだな。今回…一瞬だったな。」

なんて言いながら、ティモスさんが遠い目をしながらやって来た。

「………一瞬???」

意味が分からないのは、どうやら俺だけらしい。

「あぁ、セオは初めてか?」

と、お祖父様が苦笑しながら、母上の攻撃ではない“戒めの拘束”の話をしてくれた。








ーいや、それは魔力で生きている魔獣や魔物にとっては、最強無敵の攻撃だよな!?ー


と、心の中で突っ込んだ。


どうやら、リスだと思っていた母上は、実は最強─鋼のリスだったようだ。






ヴィーも…そうなるんだろうか?















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