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❋ループ編❋
3 少しずつ
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「ジュリエンヌ=トワイアルです。1年ですが、宜しくお願いします。」
学園最終学年の新学期が始まる1週間前、トワイアル第一王女ジュリエンヌ様が、留学生としてトルトニアにやって来た。
ちみに、ジュリエンヌ様が新たな“黒龍の巫女”だと言う事は、トルトニアの国王両陛下と王太子、ハロルド様と私と、数人の高官にしか知らされてはいない。
「トワイアル第一王女殿下、ようこそいらっしゃいました。私は、トルトニア第二王子のハロルドと言います。学園では、私達がご一緒させていただきます。」
「お初にお目にかかります。私、ハロルド殿下の婚約者のエヴェリーナ=ハウンゼントと申します。宜しくお願い致します。」
「殿下、ハウンゼント嬢、年が同じと聞いています。なので、学園に限らず、仲良くしていただけると嬉しいですわ。」
そう言って、ニコリと微笑むジュリエンヌ様は、本当に可愛らしい方だった。その笑顔には、王女であるが故の傲慢さなどは全くなかった。
否。無いように……見えただけだったのかもしれない。
******
「ハロルド様、昨日はありがとうございました。」
「いや。ジュリエンヌ様が楽しんでもらえたのなら…良かった。」
ジュリエンヌ様がやって来てから3ヶ月。今日は、王城でハロルド様とお茶をする日だった。
予定の時間よりも早目に到着した為、時間迄庭園でも見ようか─と、いつもの案内役の女官に断りを入れて、1人で庭園へ向かうと、そこにハロルド様が居た。「ハロルド様」と、声を掛けようとしたところに、その会話が耳に入ったのだ。
「─っ!?」
私が悪い事をした訳でもなかったけど、私は咄嗟にその場の木の影に隠れた。
「仲良くしていただいているスーザンが、街で人気のカフェがあると教えてくれて…どうしても食べたくなってしまって…我儘を言って、一緒に行ってもらってごめんなさい。」
「我儘なんて…私も美味しい物を食べられましたから。」
「ふふっ。それなら、良かったですわ。また……お勧めがあったら、一緒に行ってもらえますか?」
「予定がなければ…喜んで。」
「………」
ー一緒に?2人だけで?カフェに?ー
昨日は……確かに、私はハロルド様と何も約束なんてしていなかった。それに、私よりも先に……あの2人は迎えの馬車に乗り、学園を後にした。その時……私は…あの2人を……挨拶をして見送った。その時…ジュリエンヌ様は何か話をしていた?カフェに行く、行きたいなんて言っていた?
『それじゃあ、エヴェリーナ様、また明日。』
『リーナ、また明日。』
2人とも、そう言っただけだった。
「………」
心臓が嫌な音を立て、胸はチクリと痛みを訴えた。
2人が庭園から去ってから少し間を空けてから、約束の時間にハロルド様の部屋を訪れると、そこには──
「あ、エヴェリーナ様、いらっしゃい。お待ちしていたんです。今日は、私もご一緒させていただきたくて……よろしいかしら?」
「リーナ、ジュリエンヌ様も一緒で大丈夫だよね?」
“いらっしゃい”──
ーここは、ハロルド様の部屋では…なかった?ー
「はい。勿論です。」
私はニッコリと微笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。あ、それで、ハロルド様、さっきの─────」
ハロルド様とジュリエンヌ様の前には、既にお茶が淹れられていた。
2人は机を挟んで向かい合って座っている為、私はハロルド様の横に腰を下ろした。
そんな私に、ハロルド様は視線を合わせて微笑んだ後、またその視線をジュリエンヌ様へと戻し、2人でまた会話を進めた。
楽しそうに話をしている2人。声は聞こえるのに、何を話しているのかは───記憶には残らなかった。
******
「エヴェリーナ、このままで…良いの?」
「…何が?」
私を心配そうな顔で見ているは─フルール=オーガスト伯爵令嬢。親友であり、私の幼馴染みでもある。
「もう、エヴェリーナの耳にも…入っているんでしょう?」
「…………」
あの、3人でお茶をした日以降、王城でハロルド様とお茶をする時は、ジュリエンヌ様も居る事が増えた。ただ、そのお茶でさえ、ハロルド様の都合でキャンセルになる事も増えた。
相変わらず、学園でも一緒にランチを取る事はない。
「何故、婚約者のエヴェリーナじゃなくて、トワイアル王女と2人でランチを取っているの?」
「………」
そう。ハロルド様は、学友や側近と─ではなく、最近ではジュリエンヌ様と2人でランチをとっているのだ。そこに、私は誘われた事は……一度もない。
「ジョナスが……エヴェリーナの事を、とても心配しているの…。」
ジョナス=イーストン
フルールの婚約者で、あの第一騎士団長の息子だ。私が怪我を負って以降、第一騎士団長とジョナス様は、私の事をよく気に掛けてくれるようになった。
「それに……放課後に、あちこちのカフェでも、2人をよく見掛けるって……」
「………」
何も言えない─ではなく、私は本当に何も知らないのだ。2人がランチを一緒に取っている場所は、王族専用スペースであり、許可がなければ、喩え婚約者であっても入れないし、放課後は別々に帰っている為、校門で別れれば、その後2人が何をしているかなど──私が知る由もないのだから。
学園最終学年の新学期が始まる1週間前、トワイアル第一王女ジュリエンヌ様が、留学生としてトルトニアにやって来た。
ちみに、ジュリエンヌ様が新たな“黒龍の巫女”だと言う事は、トルトニアの国王両陛下と王太子、ハロルド様と私と、数人の高官にしか知らされてはいない。
「トワイアル第一王女殿下、ようこそいらっしゃいました。私は、トルトニア第二王子のハロルドと言います。学園では、私達がご一緒させていただきます。」
「お初にお目にかかります。私、ハロルド殿下の婚約者のエヴェリーナ=ハウンゼントと申します。宜しくお願い致します。」
「殿下、ハウンゼント嬢、年が同じと聞いています。なので、学園に限らず、仲良くしていただけると嬉しいですわ。」
そう言って、ニコリと微笑むジュリエンヌ様は、本当に可愛らしい方だった。その笑顔には、王女であるが故の傲慢さなどは全くなかった。
否。無いように……見えただけだったのかもしれない。
******
「ハロルド様、昨日はありがとうございました。」
「いや。ジュリエンヌ様が楽しんでもらえたのなら…良かった。」
ジュリエンヌ様がやって来てから3ヶ月。今日は、王城でハロルド様とお茶をする日だった。
予定の時間よりも早目に到着した為、時間迄庭園でも見ようか─と、いつもの案内役の女官に断りを入れて、1人で庭園へ向かうと、そこにハロルド様が居た。「ハロルド様」と、声を掛けようとしたところに、その会話が耳に入ったのだ。
「─っ!?」
私が悪い事をした訳でもなかったけど、私は咄嗟にその場の木の影に隠れた。
「仲良くしていただいているスーザンが、街で人気のカフェがあると教えてくれて…どうしても食べたくなってしまって…我儘を言って、一緒に行ってもらってごめんなさい。」
「我儘なんて…私も美味しい物を食べられましたから。」
「ふふっ。それなら、良かったですわ。また……お勧めがあったら、一緒に行ってもらえますか?」
「予定がなければ…喜んで。」
「………」
ー一緒に?2人だけで?カフェに?ー
昨日は……確かに、私はハロルド様と何も約束なんてしていなかった。それに、私よりも先に……あの2人は迎えの馬車に乗り、学園を後にした。その時……私は…あの2人を……挨拶をして見送った。その時…ジュリエンヌ様は何か話をしていた?カフェに行く、行きたいなんて言っていた?
『それじゃあ、エヴェリーナ様、また明日。』
『リーナ、また明日。』
2人とも、そう言っただけだった。
「………」
心臓が嫌な音を立て、胸はチクリと痛みを訴えた。
2人が庭園から去ってから少し間を空けてから、約束の時間にハロルド様の部屋を訪れると、そこには──
「あ、エヴェリーナ様、いらっしゃい。お待ちしていたんです。今日は、私もご一緒させていただきたくて……よろしいかしら?」
「リーナ、ジュリエンヌ様も一緒で大丈夫だよね?」
“いらっしゃい”──
ーここは、ハロルド様の部屋では…なかった?ー
「はい。勿論です。」
私はニッコリと微笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。あ、それで、ハロルド様、さっきの─────」
ハロルド様とジュリエンヌ様の前には、既にお茶が淹れられていた。
2人は机を挟んで向かい合って座っている為、私はハロルド様の横に腰を下ろした。
そんな私に、ハロルド様は視線を合わせて微笑んだ後、またその視線をジュリエンヌ様へと戻し、2人でまた会話を進めた。
楽しそうに話をしている2人。声は聞こえるのに、何を話しているのかは───記憶には残らなかった。
******
「エヴェリーナ、このままで…良いの?」
「…何が?」
私を心配そうな顔で見ているは─フルール=オーガスト伯爵令嬢。親友であり、私の幼馴染みでもある。
「もう、エヴェリーナの耳にも…入っているんでしょう?」
「…………」
あの、3人でお茶をした日以降、王城でハロルド様とお茶をする時は、ジュリエンヌ様も居る事が増えた。ただ、そのお茶でさえ、ハロルド様の都合でキャンセルになる事も増えた。
相変わらず、学園でも一緒にランチを取る事はない。
「何故、婚約者のエヴェリーナじゃなくて、トワイアル王女と2人でランチを取っているの?」
「………」
そう。ハロルド様は、学友や側近と─ではなく、最近ではジュリエンヌ様と2人でランチをとっているのだ。そこに、私は誘われた事は……一度もない。
「ジョナスが……エヴェリーナの事を、とても心配しているの…。」
ジョナス=イーストン
フルールの婚約者で、あの第一騎士団長の息子だ。私が怪我を負って以降、第一騎士団長とジョナス様は、私の事をよく気に掛けてくれるようになった。
「それに……放課後に、あちこちのカフェでも、2人をよく見掛けるって……」
「………」
何も言えない─ではなく、私は本当に何も知らないのだ。2人がランチを一緒に取っている場所は、王族専用スペースであり、許可がなければ、喩え婚約者であっても入れないし、放課後は別々に帰っている為、校門で別れれば、その後2人が何をしているかなど──私が知る由もないのだから。
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