恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
20 / 61
第三章ー学園生活ー

赤色

しおりを挟む
王立モランドル学園

王国内一の大きさを誇る学園で、殆どの貴族の令息令嬢が、この学園に通っている。勿論、自分の領地にある学校に通っている者も居るが、どの学校に行くとしても、15歳から18歳の間の最低2年から4年通う事になっている。
ナディアとしては、学校に通う事はなく、孤児院の院長から色んな事を学んだが、アドリーヌだった時は、私もこの学園に4年間通っていたから、ある意味では“母校”と言えるかもしれない。
アイボリーカラーを基調とした校舎が建ち並び、その奥には更に広大な敷地があり、騎士科の訓練場や、実地訓練を行う為の森も有している。
そして、常に魔法で管理されている為か、100年前の姿と全く変わらず、新築のようなままの状態を維持している。

良い思い出も、悪い思い出もある所である。
可能であれば、生徒会室だけには近寄りたくない。


兎に角、今日は、ついにやって来た新年度─入学式の日である。

この学園では制服があり、男女ともに紺色のブレザーで、学年によってネクタイの色が違っている。今年で言うと、1年生から─赤、青、水色、緑となっている為、新入生は皆、赤色のネクタイをしている。

今年は、第三王子であるアルビー様が新入生代表で挨拶を述べている。その第三王子は金髪に青眼の美少年といったところで、周りの令嬢達からの秋波が……半端ない。傍から見ると、それがよく分かる。

ただ──

第三王子の容姿は、第二王子とよく似ている。
この第三王子─アルビー様は、王太子と第二王子とは母親が違う。王太子と第二王子は王妃様で、第三王子は則妃。それも、その則妃は産後の肥立ちが悪く、回復する事なく半年後に亡くなってしまったのだ。
もともの王妃と則妃も仲が良かったようで、異母兄弟ではあるが、3人はとても仲が良いようだ。

その第三王子には公爵令嬢の婚約者が居る。その公爵家には令息が居ない為、結婚した後は第三王子が公爵となるのだろう。

ー何だか…どこかで聞いた話と同じだよねー



「────そして、今年は喜ばしい事に、100年ぶりに……聖女が現れました。」

私が色々と考えているうちに、第三王子から、聖女の存在の発表が始まり、ホール内にざわめきが起こる。勿論、ここで公表する事は予定通りの事である。

「シェイラ=ペイトリン子爵令嬢だ。」

ホール全体が、更にざわめく。
そして、壇上横から1人の令嬢が歩み出て来た。

ヒュッ─と息を呑む。

その聖女は、聖女とは違って銀髪だけど、眼は……聖女と同じ赤色をしている。

「シェイラ=ペイトリンです。宜しくお願いします。」

スッと頭を下げて礼を取った後、フワリと微笑むその姿や雰囲気は、とても可愛らしく目を惹くものがあった───のように。







******

「少し顔色が悪かったけど…大丈夫か?」

入学式が終わり、その日は授業も無い為、講師としてルシエント様に充てられた部屋へと戻って来て、自分の机に突っ伏していると、後から部屋に入って来たルシエント様に心配そうに声を掛けられた。

「大丈夫です。少し…緊張してしまったみたいです」

学園に来て校舎を目にしても“懐かしいな”─と言う感情しか湧かなかったから、大丈夫なんだと思っていたけど…そうでもなかったようだ。

「今日は、これからは特に用はないから、ここで少し休んだら先に帰って、邸でゆっくりすると良いよ。」

「でも……そう…ですね。そうさせてもらいます。」

授業が始まるのは来週からだけど、明日からは、その授業に向けての準備をしなければいけない事を思い出し、無理をするのは止めよう─と、今日は早目に帰らせてもらう事にした。

トントン

「すみません、今、よろしいでしょうか?」

ノックの後に声が掛けられた。

「あぁ、入って良いよ。」

「失礼します。」

ルシエント様が入室の許可をして入って来たのは、第三王子アルビー様と2人の令息。その2人の令息の後ろからは、更に──

銀髪に赤眼の聖女─シェイラ=ペイトリンが入って来た。




2人の令息─

1人は─ジュスト=ハイデン。伯爵家の次男。
1人は─シモン=オドリクス。伯爵家の次男。

2人共、第三王子の側近であり、第三王子含め、3人ともが騎士科を選択している。

ルシエント様が王太子の側近であり、この学園の講師と言う事で、第三王子自らが挨拶をしに来たようだ。

基本、15歳で入学した1年生は、選択した科とは関係無く、皆必ず魔法の授業を受ける事になっている。喩え、魔力持ちではなくてもだ。魔力が無くても魔石などを使って魔法を使う事もあるから。それに、魔法には、良い処もあれば悪い処もある為、魔法についての基礎的なモノをしっかりと学んでおく必要があるのだ。
ちなみに、この第三王子は水属性だ。

「オスニエル……先生と呼ぶべきか?兎に角、これから宜しくお願いします。」

「人目のある所では先生で…。ただ、アルビーは、既に水の扱いは完璧でしょうけどね。」

お互い気安い仲なのか、2人とも笑顔だ。

「──それで、彼女が…聖女のペイトリン嬢だ。」

「シェイラ=ペイトリンです。宜しくお願いします」

第三王子に促されて挨拶をする聖女。

その赤色の瞳は──

やっぱりを思い出させる色をしていた。









❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(⁎˃ ꇴ ˂⁎)


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。

みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」 魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。 ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。 あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。 【2024年3月16日完結、全58話】

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~

猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」 王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。 王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。 しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。 迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。 かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。 故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり── “冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。 皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。 冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」 一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。 追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、 ようやく正当に愛され、報われる物語。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

処理中です...