恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
22 / 61
第三章ー学園生活ー

思わぬ来訪者

しおりを挟む
1学期と2学期の間には、2週間の休みがある為、地方から来て寮生活をしている生徒達の殆どが帰省する為、終業式が終わりお昼を過ぎた頃には、校舎内が閑散として静まり返っている。

私達─先生側はと言うと、前半と後半に別れて1週間だけの休みとなり、休みではない1週間は、通常通り学園に出勤しなければならない。私の休みは、ルシエント様と同じで後半1週間が休みとなった。

出勤となった前半のうちに、2学期のカリキュラムの確認や、生徒達の成績の纏めなどをする。
ちなみに、ルシエント様は、この2週間の間は王城での執務があるらしく、学園の方には来れないかも─と言われていた通り、今も私は1人で作業を進めている。

今年の1年生は、各クラスに20人ずつの計80人程で、そのうち20人程の平民の子がいる。その20人の子達は、流石王立に来るだけあって、殆どがB、Cクラスに入っている。
そして、100年ぶりの聖女もまた、成績は10位以内をキープしている。ただ、一つ気になる事があるとすれば──

なかなかうまく、光の魔力がスムーズに発動できない事。

光属性が発現してから1年。そこから自分の周りの環境がガラリと変わってしまっただろう事は、容易に想像できる。その急な環境の変化が、彼女の精神的なものに影響している可能性もある。

「まぁ…焦らず…ゆっくりと…かな…」
「──何が?と訊いても?」
「はいぃっ!?」

私1人しか居ない筈の部屋で、私でもなく、ルシエント様でもない声がした。

「あぁ、すまない。何度か扉をノックして声を掛けたんだが、返事が無くて…悪いな…とは思ったが、入らせてもらった。」

と、本当に申し訳無さそうな顔をしたモンテルアーノ様が居た。

「あ、すみません!少し考え事をしていたので、全く気付きませんでした。それで──私に何か…」

モンテルアーノ様とは、学園が始まる前、初めて会って挨拶を交わした日以来だ。ルシエント様とは王太子様の側近と言う繋がりがあるだろうけど……。

「アルビー…第三王子の警護について、学園長と話をしに来ていたんだが、ついでに─と、オスニエルから伝言を頼まれたんだ。」

「伝言…ですか?」

第二騎士団の副団長に頼むくらい、何か大変?急ぎ?な事でも起きたのだろうか?と、少し緊張しながら聞かされた伝言は──

「前半1週間は、王城に缶詰めになるから、邸には帰れない」

だった。

ーえ?それだけ?ー

たったそれだけの事を、第二騎士団副団長様に?魔道士なら、それぐらいの事ならパパッと手紙を飛ばしたらすぐじゃない?ある意味怠慢では?

「えっと…分かり…ました。わざわざ…すみません。ありがとうございます。」

取り敢えず、私は何も悪くはないけど謝っておく。

「それに、丁度…ナディア嬢にも訊きたい事があって…」

「ん?訊きたい事ですか?」

時間があれば─と言われて、勿論時間はあるし、わざわざ来てもらったので、部屋にあるソファーに座ってもらい、お茶とお菓子の用意をして、私もソファーに腰を下ろした。






「シェイラ=ペイトリンについて…ですか?」

「そう。魔道士として、ナディア嬢にはどう見えているのか─と。」

“どう見えて”──とは…。何とも曖昧な質問だ。
普通に見たなら、特に問題の無い生徒の1人だ。成績は優秀。子爵令嬢と言っても、貴族としてのマナーもきちんとしている。後は、魔法がうまく使えるようになれば完璧だと思う。

「私には、普通の生徒の1人─でしかありません。」

本当に、“彼女は聖女です”と言われていなければ、分からないくらいに…普通なのだ。でも──

「彼女─ペイトリンさんに、何かありましたか?何か問題でも?」

彼女の事を知りたいだけなら、ルシエント様に訊けば済む事をわざわざ私に訊くと言う事は、何かあったのかもしれない。

「まだ、正式に報告には上げてないんだが…」

そう言った後、暫く口を噤んだ後、「取り敢えず、ここだけの話としてもらいたい」と言われた。


学園内に居る間、第三王子と聖女には警護として“影”を付けている。これに関しては、第三王子には知らされているが、聖女には知らされていない。
その影からは、定期的に第二騎士団に報告を上げる事になっているらしく、その報告内容の確認をしているところだと言う。

第三王子は聖女のフォローをする為に、できる限り聖女と過ごすようにしているそうだ。勿論、2人きりになるような事はせず、必ず側近か、自身の婚約者である公爵令嬢と一緒に。
それが、1学期終業式前から、第三王子の様子が少しずつ変わって来ているように見える─と言う報告内容だったそうだ。

“第三王子と聖女のが近過ぎる”

それには、婚約者である公爵令嬢が苦言を呈し、第三王子も素直に謝ったそうだが、それ以降も距離が近い事がよくあると言う事だった。

「ナディア嬢からは、どう見えているだろうか?」

そのモンテルアーノ様の質問に、私の心臓がまた嫌な音を立てた。










❋1話前の“穏やかな学園生活”の中に、前世今世合わせて28歳とありましたが、(前世19歳今世20歳の合わせて)39歳の間違いです。何故28歳としたのか、自分でもわかりません…。修正しています。すみませんでした❋
(。>д<。)💦


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。

みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」 魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。 ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。 あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。 【2024年3月16日完結、全58話】

【完結】聖女召喚の聖女じゃない方~無魔力な私が溺愛されるってどういう事?!

未知香
恋愛
※エールや応援ありがとうございます! 会社帰りに聖女召喚に巻き込まれてしまった、アラサーの会社員ツムギ。 一緒に召喚された女子高生のミズキは聖女として歓迎されるが、 ツムギは魔力がゼロだった為、偽物だと認定された。 このまま何も説明されずに捨てられてしまうのでは…? 人が去った召喚場でひとり絶望していたツムギだったが、 魔法師団長は無魔力に興味があるといい、彼に雇われることとなった。 聖女として王太子にも愛されるようになったミズキからは蔑視されるが、 魔法師団長は無魔力のツムギをモルモットだと離そうとしない。 魔法師団長は少し猟奇的な言動もあるものの、 冷たく整った顔とわかりにくい態度の中にある優しさに、徐々にツムギは惹かれていく… 聖女召喚から始まるハッピーエンドの話です! 完結まで書き終わってます。 ※他のサイトにも連載してます

【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~

猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」 王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。 王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。 しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。 迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。 かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。 故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり── “冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。 皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。 冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」 一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。 追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、 ようやく正当に愛され、報われる物語。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。

藍生蕗
恋愛
 かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。  そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……  偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。 ※ 設定は甘めです ※ 他のサイトにも投稿しています

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

処理中です...