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第三章ー学園生活ー
落とす者と落とされる者
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「ナディア先生!」
ーこんな所で、こんな時に会いたくなかったー
ゆっくりと振り返る。
「こんにちは………ペイトリンさん……」
「こんにちは。先生、ひょっとして…デートですか?」
「──なっ………」
「残念ながら、まだ私がアプローチしているだけなんだ。」
「──そうなんですか!?あ、失礼しました。私、シェイラ=ペイトリンと申します。」
シェイラは挨拶をした後、モンテルアーノ様に花が綻ぶような笑顔を向ける。その笑顔は、もともと可愛らしい顔のシェイラを、より一層可愛らしくさせ、他人を惹き付けるような笑顔だ。
ー彼女もそうだったー
儚げに微笑む彼女は、色んな人達の目を惹き付けていた。常に令息達に囲まれ守られて──今思えば、どうしてその状態を“おかしい”とは思わず、“可哀想”だと思ったのか。
ピリッ──とした感覚に襲われ、慌てず気持ちを落ち着かせてからシェイラに視線を向ける。
今もまだ、可愛らしい笑顔でモンテルアーノ様に話し掛けている。その視線の先には……微笑んでいるようなモンテルアーノ様が居る。
「…ペイトリンさん、申し訳無いけど、今から約束している事があるから、私達はここで失礼するわね。」
「あ…そうなんですね。足を止めてしまって、すみませんでした。」
ペコリと頭を下げて謝った後、シェイラは人混みの中へと消えて行った。
******
「彼女、何かの魔法を展開させていましたね。」
「そうなのか?」
どうやら、モンテルアーノ様は気付いていなかったようだ。気付いてなくても、魔具を着けているから大丈夫だろうけど。
「何か……自分の気持ちに変化があったりしませんか?例えば……“彼女を守りたい”とか、“彼女が愛おしい”とか……。」
第二王子達がそうだった。必要以上に彼女を守っていた。
「変化は全く無い。守りたいと思うのも、愛おしいなと思うのもナディアだけだから。」
「な────っ!?」
ーもぉ、本当に勘弁して欲しいー
「そ…な、恥ずかしい事を……サラッと……」
「控え目に言ってもナディアには通じないと分かったから、ハッキリ言う事にしたんだ。それに……ナディアは、私が嫌ではなくて、恋─恋愛に抵抗があるだけだろう?」
パチッ─と、大きく瞬きをする。
「なら、恋愛に抵抗が無くなるぐらい……そんな事が気にならないぐらいに、私を意識させて、ナディアを甘やかせれば良いだけの事だろう?」
「………」
「身分の事は気にしなくて良い。そもそも公爵と言っても、それを継ぐのは兄だから、私はただの騎士爵だ。王位継承権は、父上も兄も私も既に放棄しているしね。」
「………」
「だから、安心して私に落ちてくれたら良いから。」
「───ふっ……何で、そんな自信たっぷりなんですか?ふふっ───」
本当に、どこからそんな自信が来るのか……。
何だか腹が立つのに、嫌な気がしないのは…私がモンテルアーノ様を嫌がっていないから──なのかもしれない。それでも、「はい、分かりました」と言って、直ぐに頷く事もできない自分が居る。受け入れて、また、聖女の側に行ってしまったら──
「今すぐじゃなくても良いから、私の事を知っていってもらって、それから落ちて来れば良い。」
「それ、私が落ちるの前提で話してませんか?」
「絶対に落とすつもりだからね。」
そこ迄言い切られると、いっその事清々しい限りだ。
「私、魔道士の仕事は辞めませんよ?」
「辞める必要はないだろう?そもそも、魔道士のナディアを好きになったわけだし。ナディアなら、直ぐに城付きにでもなれるから、そうなれば、一緒に働く事もできるな。」
「まぁ…まだ落ちるかどうかは分かりませんけどね。」
「うん。そのナディアの心持ちは良いよね。私ももっと頑張らないとな。」
目の前で楽しそうに笑うモンテルアーノ様に、重くなった気持ちが少しだけ軽くなった。
******
??????
どうしても、思い通りにならなかった2人がいた。
1人は─決して目の前のものだけに惑わされる事なく、凛として佇んでいた。
その姿が、腹立たしかった。
1人は─他の者達とは違う目で私を見ていた。
その目が、私を苛立たせた。
私が本当に望んだ人は、彼女からなかなか離れなかった。それ程、彼女が好き─執着している─と言う事だ。
ー彼を、私のモノにしたいー
彼が私に振り向いてくれないのなら、更に掛ければ良い。彼女への気持ちを壊せば良い。
壊した後は、私がそこに入り込んで癒やしてあげれば良いだけ。そうしたら、彼は私だけのモノになる。
他の擦り寄って来る者達には、私を守ってもらうだけ。私は守られるべき存在だから。「守って欲しい」なんて事は一度も言った事はない。勝手に守ってくれているだけ。
ただ──
彼が振り向いてくれないから、「寂しい」と呟く事はある。そうすると、彼らは、その寂しさを少しだけ埋めてくれるから……。
それが、あんな結末になるとは思わなかった。
そうして、また、思い通りにならない2人が居る。
ー今度こそは間違えないー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(。˃ ᵕ ˂ )و♪
ーこんな所で、こんな時に会いたくなかったー
ゆっくりと振り返る。
「こんにちは………ペイトリンさん……」
「こんにちは。先生、ひょっとして…デートですか?」
「──なっ………」
「残念ながら、まだ私がアプローチしているだけなんだ。」
「──そうなんですか!?あ、失礼しました。私、シェイラ=ペイトリンと申します。」
シェイラは挨拶をした後、モンテルアーノ様に花が綻ぶような笑顔を向ける。その笑顔は、もともと可愛らしい顔のシェイラを、より一層可愛らしくさせ、他人を惹き付けるような笑顔だ。
ー彼女もそうだったー
儚げに微笑む彼女は、色んな人達の目を惹き付けていた。常に令息達に囲まれ守られて──今思えば、どうしてその状態を“おかしい”とは思わず、“可哀想”だと思ったのか。
ピリッ──とした感覚に襲われ、慌てず気持ちを落ち着かせてからシェイラに視線を向ける。
今もまだ、可愛らしい笑顔でモンテルアーノ様に話し掛けている。その視線の先には……微笑んでいるようなモンテルアーノ様が居る。
「…ペイトリンさん、申し訳無いけど、今から約束している事があるから、私達はここで失礼するわね。」
「あ…そうなんですね。足を止めてしまって、すみませんでした。」
ペコリと頭を下げて謝った後、シェイラは人混みの中へと消えて行った。
******
「彼女、何かの魔法を展開させていましたね。」
「そうなのか?」
どうやら、モンテルアーノ様は気付いていなかったようだ。気付いてなくても、魔具を着けているから大丈夫だろうけど。
「何か……自分の気持ちに変化があったりしませんか?例えば……“彼女を守りたい”とか、“彼女が愛おしい”とか……。」
第二王子達がそうだった。必要以上に彼女を守っていた。
「変化は全く無い。守りたいと思うのも、愛おしいなと思うのもナディアだけだから。」
「な────っ!?」
ーもぉ、本当に勘弁して欲しいー
「そ…な、恥ずかしい事を……サラッと……」
「控え目に言ってもナディアには通じないと分かったから、ハッキリ言う事にしたんだ。それに……ナディアは、私が嫌ではなくて、恋─恋愛に抵抗があるだけだろう?」
パチッ─と、大きく瞬きをする。
「なら、恋愛に抵抗が無くなるぐらい……そんな事が気にならないぐらいに、私を意識させて、ナディアを甘やかせれば良いだけの事だろう?」
「………」
「身分の事は気にしなくて良い。そもそも公爵と言っても、それを継ぐのは兄だから、私はただの騎士爵だ。王位継承権は、父上も兄も私も既に放棄しているしね。」
「………」
「だから、安心して私に落ちてくれたら良いから。」
「───ふっ……何で、そんな自信たっぷりなんですか?ふふっ───」
本当に、どこからそんな自信が来るのか……。
何だか腹が立つのに、嫌な気がしないのは…私がモンテルアーノ様を嫌がっていないから──なのかもしれない。それでも、「はい、分かりました」と言って、直ぐに頷く事もできない自分が居る。受け入れて、また、聖女の側に行ってしまったら──
「今すぐじゃなくても良いから、私の事を知っていってもらって、それから落ちて来れば良い。」
「それ、私が落ちるの前提で話してませんか?」
「絶対に落とすつもりだからね。」
そこ迄言い切られると、いっその事清々しい限りだ。
「私、魔道士の仕事は辞めませんよ?」
「辞める必要はないだろう?そもそも、魔道士のナディアを好きになったわけだし。ナディアなら、直ぐに城付きにでもなれるから、そうなれば、一緒に働く事もできるな。」
「まぁ…まだ落ちるかどうかは分かりませんけどね。」
「うん。そのナディアの心持ちは良いよね。私ももっと頑張らないとな。」
目の前で楽しそうに笑うモンテルアーノ様に、重くなった気持ちが少しだけ軽くなった。
******
??????
どうしても、思い通りにならなかった2人がいた。
1人は─決して目の前のものだけに惑わされる事なく、凛として佇んでいた。
その姿が、腹立たしかった。
1人は─他の者達とは違う目で私を見ていた。
その目が、私を苛立たせた。
私が本当に望んだ人は、彼女からなかなか離れなかった。それ程、彼女が好き─執着している─と言う事だ。
ー彼を、私のモノにしたいー
彼が私に振り向いてくれないのなら、更に掛ければ良い。彼女への気持ちを壊せば良い。
壊した後は、私がそこに入り込んで癒やしてあげれば良いだけ。そうしたら、彼は私だけのモノになる。
他の擦り寄って来る者達には、私を守ってもらうだけ。私は守られるべき存在だから。「守って欲しい」なんて事は一度も言った事はない。勝手に守ってくれているだけ。
ただ──
彼が振り向いてくれないから、「寂しい」と呟く事はある。そうすると、彼らは、その寂しさを少しだけ埋めてくれるから……。
それが、あんな結末になるとは思わなかった。
そうして、また、思い通りにならない2人が居る。
ー今度こそは間違えないー
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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