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みん

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第四章ー未来へー

アディー

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❋本日も、2話更新します❋











は、僕が騎士になって、守ってあげる。』
『ありがとう、
『僕は、アディーの為だけの騎士だから。』





『アドリーヌが…悪いんだ。俺を……見捨てたから……』

『好きだったのに───』




モノクロだった景色が一気に色付く。

アディーわたしを守ってくれると言ってくれたのは、私が好きだった人だ。
そして、アドリーヌわたしを殺めたのも、私が好きだった人だ。


『アディー』

彼だけが呼ぶ、アドリーヌわたしの呼び名だった。そう呼ばれる度、私は彼の特別なんだ──と嬉しかった。彼と結婚すれば幸せになれる─そう思っていた。

それが、いつからか、彼は私の事を『アドリーヌ』と呼ぶようになった。学園内では、よく聖女ローゼと居る所を見かけるようになった。

ー彼はただ、聖女を守っているだけだー

私は……聖女ローゼを憐れみ、現実から目を背けていただけなのかもしれない。彼の心が私から離れている事を認めたくなくて、ローゼを憐れんでいたのかもしれない。


『アディー……』

最期の間際に、そう名を呼ばれたような気もするけど……今となっては分からない。

ただ───


私の好きだった、彼の琥珀色の瞳は涙で揺らめいていた。その瞳が、とても怖ろしいものに見えた。








「アディー!」


そう呼ぶのは、ダレルさん──


ーどうして?ー


どうして、ダレルさんがナディアわたしをそう呼ぶのか───

ダレルさんが…アドリーヌの元婚約者であり、アドリーヌを殺めた本人─リオネル=ガレイシーだったから?


そのダレルさんは、この部屋に入るのと同時に無効化の魔法を展開させた。それは、圧倒的な魔法だった。シェイラの魔力を遥かに凌駕する魔力。
シェイラが仕掛けた魔法は、一瞬にしてダレルさんの展開させた魔法で無効化され、体に纏わり付きかけていた嫌な感覚も無くなった。

ーこれ程までとは…思わなかったー

「─っ!!何で────!?」
「その名前で呼ぶな!」

「──っ!」

いつも穏やかなダレルさんが、シェイラに対して怒りを隠す事もなく睨みつけている。それでも、その名を否定しないと言う事は、ダレルさんが、リオネル=ガレイシーだった─と言う……事で………アドリーヌわたしを殺めた本人だ。

「私は………お前が憎くて……たまらない。その口で、その名前を呼ぶな!」 
「リ─っ……ダレ……ル先生……」

更に名前を呼ぼうとしたシェイラを、ダレルさんは更にシェイラを睨みつけた。

「……“リオネル”?」

私を抱きしめたまま2人のやり取りを見ているモンテルアーノ様は、何が何だか分からない─困った様な顔で呟いた。

ーモンテルアーノ様には分からないよねー

これまでの話から推測すると、シェイラは、私がアドリーヌだった事も、記憶を持っている事も気付いていないけど、ダレルさんは、私がアドリーヌだった事には気付いている。記憶を持っているとは気付いていないようだけど。それなら……知らないフリをするべきなんだろうか?

「──ナディア、大丈夫かい?」

先程とは違い、いつも通りの優しいダレルさんの声だ。少し俯いていた顔を上げてダレルさんを見上げると、そこには茶色の瞳が不安げに揺れて私を見ていた。

「──っ!」

不意にその瞳が目に入り、私は思わず息を呑んでモンテルアーノ様の服を握りしめてしまった。
そんな私の様子を見たダレルさんは、驚いたように目を少し見開いた後「兎に角…そこに寝転んでる2人と、ペイトリン嬢をどうにかして、ここから出ましょう。」と、私達を促した。







その日は、私は問答無用で王城へと連れて来られた。

しかも──モンテルアーノ様の抱っこ付きで。

「歩けます!下ろしてください!」と必死にお願いしたけど「まだ魔力が安定していない。」「ナディアを抱き上げていた方が、安心するから。」なんて言われて、結局最後まで下ろしてもらえず……城中の人達に「やっぱり…」「本当だったのね」と言うような目で見られた。

ーもう、あの噂は噂ではなくて、真実にしかならないよね!?ー

「ちょっと……いや、かなり、腹黒くないですか!?」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
「褒めてません!責めてるんです!」
「もう、落ちた方が…楽だぞ?」
「楽って何ですか!?」
「くくっ……それだけ元気なら……大丈夫か?」
「あ…………」

さっきまでの揶揄い顔から一転、優しくて微笑んで私の頬をスルッと撫でていく。

ーその手つき、慣れてますね?ー

心の中で少しだけ悪態をつきつつも、その心遣いは嬉しいものだった。

「あの…モンテルアーノ様、助けていただいて、本当にありがとうございました。でも…どうしてあんなにも早く、場所が分かったんですか?」

実は、もう夜になっている─と思っていたけど、まだ夕方で、私が攫われてからあまり時間は経っていなかったのだ。攫われた場所が、学園敷地内にある森の最奥にある小屋で、森の中にあった為に薄暗かっただけだったのだ。







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♪₍₍ ٩( *ˊ ᵕ ˋ*)و ⁾⁾♪



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