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50 巻き込まれではなかった私の幸せと…
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「──仲が良いのは、良い事だね!私の日本の両親も仲が良くて、その…私も見てて恥ずかしいな…って思う事もあったけど、見てて嬉しくもなったし、私にもそんな未来があればなぁ─って、思ったりした事もあったから。」
「だって、この世界では政略結婚なんて当たり前の様にあって、私は無能とは言え王族だから、いつかは望まない結婚をさせられるのかな─って。だから、好きな人と結婚できるだけでも幸せだと思うし、愛されて結婚できるなら、更に嬉しい事…じゃない?」
なんて事を言った事を……覚えている──思い出した。
でもそれは、政略結婚ではなくて、恋愛結婚ができたら良いな─と。お互い想い合って…仲良く暮らせていけたら良いな─と。そんな……ごくごく普通な幸せを夢見ただけだったのに───。
「ブルーナ、何か考え事?」
「か…考え事じゃなくて!これは…ちょっとやり過ぎじゃないかな?」
パルヴァンで過ごし始めて半年が経った。この世界のこの国─ウォーランド王国の生活にも慣れて来た。ただ、ここでの生活に慣れれば慣れるほど、セオ君からの愛情表現が…………。
******
今日はセオ君が休みと言う事で、2人でパルヴァンで人気のカフェにやって来た。そのお店で人気のケーキを食べていると、「ブルーナの、美味しそうだな」と言われて「食べて良いよ」と、ケーキを差し出せば「食べさせて」と言われた。圧のあるような微笑みで言われてしまえば断れず……所謂「あーん」と言うものをした。その上、「俺のも美味しいよ」と微笑まれて……私も「あーん」しました。
周りに居た人達には温かい視線を向けられ、恥ずかし過ぎて顔が真っ赤になった私に、セオ君は更に追い打ちをかけるように「ブルーナは本当に可愛いよな」と、スルッと頬を撫でられた。
「───っ!!??」
「きゃあ──っ」
私が声にならない悲鳴を上げるのと同時に、どこかで黄色い声が上がった。
そこからお店を出て、何とか気持ちを落ち着かせると、アクセサリー店へ連れて行かれて、そこで、セオ君の色である青色の石を使ったピアスをプレゼントされた。
「日本で渡したネックレスと一緒に、このピアスも着けて欲しい。」
「ふふっ。仲が良いんですね。」なんて、ここでもまた店員に温かい眼差しを向けられた。
その場でピアスを着けて……腰に手を回されてエスコートされながらそのお店を出た。
そのまま歩いてパルヴァンの邸まて帰って来て、そのままサロンへとやって来た。
「お疲れ様」と言われて、サロンにある椅子─セオ君が座った椅子の向かい側に座ろうとすれば、「ブルーナはこっち」と、セオ君が自分の座っている横をポンポンと叩く。
俺の隣に座れ──と言う事だ。
「………」
婚約者だし…と思い、セオ君の横に腰を下ろそうとすれば、グイッと引き寄せられて………セオ君の足の上に座らされた。「流石に、これは……近過ぎるよね!?」と訴えれば、「ここ暫くは、ブルーナとゆっくりできなかったから……ブルーナが足りない」
ー“足りない”って…何!?ー
「いやいやいや!セオ君!何が足りないか分からないけど、それじゃあ、足りるまで話でもしようか!」
「勿論、ブルーナとは話もするけど、このままの方が落ち着くから……」
「え───………」
「それに、ブルーナも……愛される事は嬉しい事だって言ってただろう?俺は…ブルーナを愛してる。」
「ぐはっ─────」
ー私は落ち着かないし、色々と破壊力が半端無い!ー
イケメンの膝上に座らされて、こんな至近距離で愛を囁かれながら微笑まれて見つめられて、誰が……拒否できようか!?いや、寧ろ全力で逃げたくなるけど!恥ずかしけど!嬉しいと思っているのも事実だ。
「やっぱり、顔が赤くなってるブルーナも可愛い。」
「ゔ──っ」
ー恥ずか死ねる!ー
セオ君は、溺愛でのハルさんの大変さを現在進行形で知ってるよね?
パルヴァンの人達は、ある意味ハルさんとエディオルさんで慣れているのか、そんなセオ君と私を見ても驚きも困った様な様子もない。やっぱり温かい眼差しを向けられるだけだった。
ー慣れって恐ろしいー
私も、この溺愛に慣れる日が───来る気が全くしない。この世界の人間だけど、8割は日本人な私には、溺愛に慣れる気なんて全く無い。ここに来て、ようやく初めてハルさんの気持ちが分かった。
ー見てるのは面白いなんて思って、ごめんなさい!ー
「はぁ────」
大きくため息を吐きながら、セオ君にもたれ掛かる。
「セオ君?これは……ハルさんに相談案件だよ?」
「母上なら、良い相談相手になってくれるかもしれないな…。」
「ソウデスネ……」
ハルさんの名を出せば、落ち着いてくれるかと思ったけど……駄目だったか……。
「ブルーナ…翠も素直に受け止めてくれて良いよ?俺、今迄翠が辛い思いをした分、いっぱい甘やかしてやろうと思ってるから。」
「………」
ー辛い思いをした分───それは…とても多かったような………ー
どんだけ─と、少し恐怖?の様なものもあるけど、セオ君の気もちはとても嬉しいものだ。ただ……
「お手柔らかに…お願いします。」
「それは……どうだろうな?」
「──いやいや…そこは“うん”で良いと思うよ?」
「ふふっ──」
「ははっ──」
魔力無しの無能と呼ばれ、生きる為に異世界に飛ばされた私が、またこの世界に戻って来て、こんな、穏やかで幸せな日々を過ごせる日が来るとは……思わなかった。
私は今、とても幸せです───
溺愛だけは……予想外だったけど──
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
✧ 。*٩(* ˊᗜˋ)(ˊᗜˋ*)و✧
「だって、この世界では政略結婚なんて当たり前の様にあって、私は無能とは言え王族だから、いつかは望まない結婚をさせられるのかな─って。だから、好きな人と結婚できるだけでも幸せだと思うし、愛されて結婚できるなら、更に嬉しい事…じゃない?」
なんて事を言った事を……覚えている──思い出した。
でもそれは、政略結婚ではなくて、恋愛結婚ができたら良いな─と。お互い想い合って…仲良く暮らせていけたら良いな─と。そんな……ごくごく普通な幸せを夢見ただけだったのに───。
「ブルーナ、何か考え事?」
「か…考え事じゃなくて!これは…ちょっとやり過ぎじゃないかな?」
パルヴァンで過ごし始めて半年が経った。この世界のこの国─ウォーランド王国の生活にも慣れて来た。ただ、ここでの生活に慣れれば慣れるほど、セオ君からの愛情表現が…………。
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今日はセオ君が休みと言う事で、2人でパルヴァンで人気のカフェにやって来た。そのお店で人気のケーキを食べていると、「ブルーナの、美味しそうだな」と言われて「食べて良いよ」と、ケーキを差し出せば「食べさせて」と言われた。圧のあるような微笑みで言われてしまえば断れず……所謂「あーん」と言うものをした。その上、「俺のも美味しいよ」と微笑まれて……私も「あーん」しました。
周りに居た人達には温かい視線を向けられ、恥ずかし過ぎて顔が真っ赤になった私に、セオ君は更に追い打ちをかけるように「ブルーナは本当に可愛いよな」と、スルッと頬を撫でられた。
「───っ!!??」
「きゃあ──っ」
私が声にならない悲鳴を上げるのと同時に、どこかで黄色い声が上がった。
そこからお店を出て、何とか気持ちを落ち着かせると、アクセサリー店へ連れて行かれて、そこで、セオ君の色である青色の石を使ったピアスをプレゼントされた。
「日本で渡したネックレスと一緒に、このピアスも着けて欲しい。」
「ふふっ。仲が良いんですね。」なんて、ここでもまた店員に温かい眼差しを向けられた。
その場でピアスを着けて……腰に手を回されてエスコートされながらそのお店を出た。
そのまま歩いてパルヴァンの邸まて帰って来て、そのままサロンへとやって来た。
「お疲れ様」と言われて、サロンにある椅子─セオ君が座った椅子の向かい側に座ろうとすれば、「ブルーナはこっち」と、セオ君が自分の座っている横をポンポンと叩く。
俺の隣に座れ──と言う事だ。
「………」
婚約者だし…と思い、セオ君の横に腰を下ろそうとすれば、グイッと引き寄せられて………セオ君の足の上に座らされた。「流石に、これは……近過ぎるよね!?」と訴えれば、「ここ暫くは、ブルーナとゆっくりできなかったから……ブルーナが足りない」
ー“足りない”って…何!?ー
「いやいやいや!セオ君!何が足りないか分からないけど、それじゃあ、足りるまで話でもしようか!」
「勿論、ブルーナとは話もするけど、このままの方が落ち着くから……」
「え───………」
「それに、ブルーナも……愛される事は嬉しい事だって言ってただろう?俺は…ブルーナを愛してる。」
「ぐはっ─────」
ー私は落ち着かないし、色々と破壊力が半端無い!ー
イケメンの膝上に座らされて、こんな至近距離で愛を囁かれながら微笑まれて見つめられて、誰が……拒否できようか!?いや、寧ろ全力で逃げたくなるけど!恥ずかしけど!嬉しいと思っているのも事実だ。
「やっぱり、顔が赤くなってるブルーナも可愛い。」
「ゔ──っ」
ー恥ずか死ねる!ー
セオ君は、溺愛でのハルさんの大変さを現在進行形で知ってるよね?
パルヴァンの人達は、ある意味ハルさんとエディオルさんで慣れているのか、そんなセオ君と私を見ても驚きも困った様な様子もない。やっぱり温かい眼差しを向けられるだけだった。
ー慣れって恐ろしいー
私も、この溺愛に慣れる日が───来る気が全くしない。この世界の人間だけど、8割は日本人な私には、溺愛に慣れる気なんて全く無い。ここに来て、ようやく初めてハルさんの気持ちが分かった。
ー見てるのは面白いなんて思って、ごめんなさい!ー
「はぁ────」
大きくため息を吐きながら、セオ君にもたれ掛かる。
「セオ君?これは……ハルさんに相談案件だよ?」
「母上なら、良い相談相手になってくれるかもしれないな…。」
「ソウデスネ……」
ハルさんの名を出せば、落ち着いてくれるかと思ったけど……駄目だったか……。
「ブルーナ…翠も素直に受け止めてくれて良いよ?俺、今迄翠が辛い思いをした分、いっぱい甘やかしてやろうと思ってるから。」
「………」
ー辛い思いをした分───それは…とても多かったような………ー
どんだけ─と、少し恐怖?の様なものもあるけど、セオ君の気もちはとても嬉しいものだ。ただ……
「お手柔らかに…お願いします。」
「それは……どうだろうな?」
「──いやいや…そこは“うん”で良いと思うよ?」
「ふふっ──」
「ははっ──」
魔力無しの無能と呼ばれ、生きる為に異世界に飛ばされた私が、またこの世界に戻って来て、こんな、穏やかで幸せな日々を過ごせる日が来るとは……思わなかった。
私は今、とても幸せです───
溺愛だけは……予想外だったけど──
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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