19 / 59
19 釘を刺す
しおりを挟む
「失礼ながら申し上げさせていただきます」
モニカがニッコリ微笑んだ。
「メグが謝る必要は無いかと思います。メグは週末だけではなく、学校のある日も、学校が終わると王城に帰り、そこから聖女の訓練を受け、夕食を食べた後はその日の宿題をする─その様な日々を送っていると、神官様や魔法使い達から聞いています。その上、週末にはこの国や貴族社会についての勉強もしているから、暫くは週末の訓練はお休みにしましょう─と言う話になったと、私は神官様やリリアーヌ様から聞いております。私は、てっきり後見人である第二王子もご存知かと思っておりました」
「それ…は………」
“それは、ユラが言っていたから”
とでも言いたいのか?言えないよね?後見人でありながら、メグの状況を把握していなかったのだから。ユラの言葉を鵜呑みにしていたんだろう。
「それでも、聖女としての責務は果たさなければならないのは事実だろう?」
「メグ様の事情はよくご存知の筈ですが…それでも、それを承知の上で申し上げているのであれば……少し、聖女様に対して厳し過ぎではないか?と思います」
「厳し過ぎる事は…ないだろう?こちらも、メグの言う事は可能な限り聞いているのだから」
そもそも、そこからが違うのだ。メグが、第二王子にお願い事をした事は何も無いだろう。ユラがメグの事を思って第二王子に言っただけ。
「王都や貴族社会に慣れていないメグに、王城勤めに慣れていない女官を付けるのも、メグの意向でしょうか?」
「─っ!?あ、クレイオン嬢……と、アラスター!?」
「私の個人的な意見としては、メグは貴族社会に慣れていませんから、貴族社会に慣れている侍女を付けた方が良いかと思います。今の女官達が悪いと言う訳ではありませんが、いざ何かあった時、フォローできる者が居た方が良いかと思います」
「それはそうだが、ユラが……」
「申し訳ありませんが、今私がお話しているのは、ユラの事ではなく、聖女メグ様の事です。聖女を傷付けるような貴族は居ないと思いますが、今居る女官だけでは、メグ様を守り切る事は難しいかと…」
チラッとエミリーを見ると、コクコクと頷いている。これはこれでアウトだ。これに反応して同意するようであれば、高位貴族の令嬢や令息から攻撃された場合、メグを守る事なんてできない。
「それに…護衛も少な過ぎませんか?」
学校の登下校時に付いている護衛も1人だけで、日替わりで2人しか居ない。今日王城に来て更に驚いたのは、護衛が扉の外に1人しか居ないと言う事だ。
クレイオン家は、代々騎士として仕える家門だ。幼い頃から男女関係無く騎士について学ばされる。ある意味過保護に育てられた私も、あの日々は本当に辛く苦しい日々だった。
「…………」
ーと、今はそれは置いといてー
「それは、堅苦しいのは嫌だと。いつも見られているようで嫌だと─」
「メグが言いましたか?それとも、ユラが言いましたか?」
「………」
「更に失礼を申し上げますが、王子は護衛の意味をご存知ですか?護衛は、護衛対象者を護る為に付けられる者です。ですから、“堅苦しい”や“見られてるから嫌だ”などと言う理由だけで、護衛を減らす事はあってはならない事です。勿論、減らさなければいけない時もありますが、聖女様の護衛とあれば、常に2、3人体制でメインに10人程組んでおくのが基本です」
護衛対象でもある王子自身が、それを知らない筈はない。言い方は悪いけど、第二王子の代わりはいるけど、聖女の代わりは居ない。と言う事は、ある意味第二王子より聖女メグの方が危機管理に関しては上のレベルで対応しなければいけないと言う事だ。
「ユラがメグの為を思って、ユラが王子にお願いした事かもしれませんが、それは、メグにも確認するべきだったのではありませんか?」
「ユラは、メグの付き添いなのだから……ユラが言う事はメグも…」
「アラール殿下、今の話を聞く限りでは、間違っているのはアラール殿下で、メグは謝る必要はないでしょうね。それに、メグの周りの人の配置は、色々と変更する必要があるのはお分かりでしょう?」
低音ボイスでチクリと釘を刺すヴェルティル様は、爽やかに微笑んでいるのに、何故か背中がゾクゾクするのは気のせいだろうか?
「ソウダナ…」
第二王子の顔が引き攣っているのは、気のせいではない。伯爵家の令息であっても、王太子の側近になるヴェルティル様に言われてしまえば、流石の第二王子も聞き入れるしかない─と言ったところだろうか?
「兎に角、今後はユラからの意見だけではなく、クレイオン嬢やラインズリー嬢にも意見を聞いて、メグに直接確認する事ですね。まぁ…基本中の基本ですが…」
「………ソウダナ…」
それは、第二王子はヴェルティル様に弱い─と言う事を理解した瞬間だった。
ーやっぱり、ヴェルティル様はカッコイイー
モニカがニッコリ微笑んだ。
「メグが謝る必要は無いかと思います。メグは週末だけではなく、学校のある日も、学校が終わると王城に帰り、そこから聖女の訓練を受け、夕食を食べた後はその日の宿題をする─その様な日々を送っていると、神官様や魔法使い達から聞いています。その上、週末にはこの国や貴族社会についての勉強もしているから、暫くは週末の訓練はお休みにしましょう─と言う話になったと、私は神官様やリリアーヌ様から聞いております。私は、てっきり後見人である第二王子もご存知かと思っておりました」
「それ…は………」
“それは、ユラが言っていたから”
とでも言いたいのか?言えないよね?後見人でありながら、メグの状況を把握していなかったのだから。ユラの言葉を鵜呑みにしていたんだろう。
「それでも、聖女としての責務は果たさなければならないのは事実だろう?」
「メグ様の事情はよくご存知の筈ですが…それでも、それを承知の上で申し上げているのであれば……少し、聖女様に対して厳し過ぎではないか?と思います」
「厳し過ぎる事は…ないだろう?こちらも、メグの言う事は可能な限り聞いているのだから」
そもそも、そこからが違うのだ。メグが、第二王子にお願い事をした事は何も無いだろう。ユラがメグの事を思って第二王子に言っただけ。
「王都や貴族社会に慣れていないメグに、王城勤めに慣れていない女官を付けるのも、メグの意向でしょうか?」
「─っ!?あ、クレイオン嬢……と、アラスター!?」
「私の個人的な意見としては、メグは貴族社会に慣れていませんから、貴族社会に慣れている侍女を付けた方が良いかと思います。今の女官達が悪いと言う訳ではありませんが、いざ何かあった時、フォローできる者が居た方が良いかと思います」
「それはそうだが、ユラが……」
「申し訳ありませんが、今私がお話しているのは、ユラの事ではなく、聖女メグ様の事です。聖女を傷付けるような貴族は居ないと思いますが、今居る女官だけでは、メグ様を守り切る事は難しいかと…」
チラッとエミリーを見ると、コクコクと頷いている。これはこれでアウトだ。これに反応して同意するようであれば、高位貴族の令嬢や令息から攻撃された場合、メグを守る事なんてできない。
「それに…護衛も少な過ぎませんか?」
学校の登下校時に付いている護衛も1人だけで、日替わりで2人しか居ない。今日王城に来て更に驚いたのは、護衛が扉の外に1人しか居ないと言う事だ。
クレイオン家は、代々騎士として仕える家門だ。幼い頃から男女関係無く騎士について学ばされる。ある意味過保護に育てられた私も、あの日々は本当に辛く苦しい日々だった。
「…………」
ーと、今はそれは置いといてー
「それは、堅苦しいのは嫌だと。いつも見られているようで嫌だと─」
「メグが言いましたか?それとも、ユラが言いましたか?」
「………」
「更に失礼を申し上げますが、王子は護衛の意味をご存知ですか?護衛は、護衛対象者を護る為に付けられる者です。ですから、“堅苦しい”や“見られてるから嫌だ”などと言う理由だけで、護衛を減らす事はあってはならない事です。勿論、減らさなければいけない時もありますが、聖女様の護衛とあれば、常に2、3人体制でメインに10人程組んでおくのが基本です」
護衛対象でもある王子自身が、それを知らない筈はない。言い方は悪いけど、第二王子の代わりはいるけど、聖女の代わりは居ない。と言う事は、ある意味第二王子より聖女メグの方が危機管理に関しては上のレベルで対応しなければいけないと言う事だ。
「ユラがメグの為を思って、ユラが王子にお願いした事かもしれませんが、それは、メグにも確認するべきだったのではありませんか?」
「ユラは、メグの付き添いなのだから……ユラが言う事はメグも…」
「アラール殿下、今の話を聞く限りでは、間違っているのはアラール殿下で、メグは謝る必要はないでしょうね。それに、メグの周りの人の配置は、色々と変更する必要があるのはお分かりでしょう?」
低音ボイスでチクリと釘を刺すヴェルティル様は、爽やかに微笑んでいるのに、何故か背中がゾクゾクするのは気のせいだろうか?
「ソウダナ…」
第二王子の顔が引き攣っているのは、気のせいではない。伯爵家の令息であっても、王太子の側近になるヴェルティル様に言われてしまえば、流石の第二王子も聞き入れるしかない─と言ったところだろうか?
「兎に角、今後はユラからの意見だけではなく、クレイオン嬢やラインズリー嬢にも意見を聞いて、メグに直接確認する事ですね。まぁ…基本中の基本ですが…」
「………ソウダナ…」
それは、第二王子はヴェルティル様に弱い─と言う事を理解した瞬間だった。
ーやっぱり、ヴェルティル様はカッコイイー
1,590
あなたにおすすめの小説
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
婚約者の番
ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。
大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。
「彼を譲ってくれない?」
とうとう彼の番が現れてしまった。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる