番から逃げる事にしました

みん

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20 新しい護衛

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あれからの第二王子の行動は早かった。
メグに付く護衛の顔ぶれが増えた。
そして、メグ専属の侍女に、伯爵令嬢が付いたそうだけど、もともとリリアーヌ様付きの侍女の1人で、祖母が元公爵夫人と言う後ろ盾完璧な侍女なんだそうだ。

『カシオス家で揉まれた子だから、安心してちょうだい』

と、リリアーヌ様も太鼓判を押していたから安心だ。

そして、ユラは──“侍女”の肩書きではなく、ただの“付き添い人”と言う扱いになった。流石に、巻き込まれてやって来た異世界人を、放り出す事はできないから。それに、ユラに悪意があったのかどうかは分からない。兎に角、最低限の事はできたと思う。

後は、ユラの友達である令嬢や令息達だけだ。彼らは目上の存在と言うだけで目の敵にするような者達だから、正当な理由で注意をしたところで、それをまた歪曲して話を広めるだけだ。
それも、学校内だけで通用するだけで、卒業して社交界に入れば──

ー確実に洗礼を受けるのは彼らだけどー

だから、メグを守るのは学校内限定で大丈夫だろう。それも──

「アデールが居れば大丈夫ね」
「何がですか?」

アデール=マクライン伯爵令嬢

第二騎士団長の娘であり、自身も第二騎士団の見習い生だ。同じ騎士を名乗る家門の者として、マクライン家は信頼に値する家門で、アデールの実力も問題無いレベルだと思う。そんなアデールが、今回護衛を兼ねてメグに付くことになった。これで、安心して私も卒業ができる。

「見習いを中断させて、学校に通う事になったアデールには申し訳無いけど、アデールがメグに付いてくれて良かったなと思って」
「ゔ─────っ」
「えっ!?どうしたの!?アデール、大丈夫!?」

急に、顔を両手で覆って呻くアデールに驚く。

「ありがとうございます!その言葉だけで十分です!その言葉だけで、私は一生メグ様をお護りできます!」
「は?え?はい?」

ちょっと意味が分からないんだけど!?とモニカに助けを求めるように視線を向けると、そこに苦笑しているリリアーヌ様とヴェルティル様が居た。並んでいる2人を見るのは久し振りだ。

「アデールは、同じ騎士の家門の者として、クレイオン公爵家の騎士に憧れを持っているそうよ。特に、リュシエンヌ、貴方に憧れてたそうよ」
「えー………」
「憧れのリュシエンヌ様がお護りするメグ様をお護りする事ができるなんて、私にとって幸せ以外のものではありませんから!必ずメグ様をお護りします!から!」
「そ…そうなのね……心強いわ…ありがとう…」

ここまで慕われると、恥ずかしいしやら怖いやら……でも、これなら…ユラからも護ってくれるかも?
一応、アデールには、私が卒業する事は伝えている。リリアーヌ様やヴェルティル様やスタンホルス様には伝えていない事も。

「これなら、私とアラスターが卒業しても安心だわ」
「はい、お任せ下さい!」
「そうですね……」

きっと、リリアーヌ様には後で怒られたり…するんだろうな…と思っている。その時は平身低頭で謝ろう。

「卒業したからと言っても、繋がりが切れる訳じゃないから、何かあったらいつでも相談してくれたら良いから」

ーヴェルティル様が優しいー

でも、その優しさが辛い。ヴェルティル様は卒業すれば王太子の側近だ。私なんかが容易に会いに行ける存在ではなくなる。それに、リリアーヌ様との婚約の話も出るだろう。
それに──
私はヴェルティル様から逃げないといけないのだ。ヴェルティル様が、幸せになる為に。






******


「クレイオン嬢は何色でも似合うね」
「そう…ですか…ね?」

おかしい。私は、ヴェルティル様と距離を置かなければならなかったんじゃないだろうか?いやいや、距離を置こうとしてたよね?

別れが辛くならないように──

それなのに……『レイモンド様から、“今回の件でお礼をしておいて欲しい”と頼まれてね。お礼の品を探しに行こう』と言われ、モニカと3人で買い物に行く予定だったのに。『ごめんなさい。体調を崩したから、2人で行って来て』と、買い物当日の朝にモニカから知らせが届き、なら日程を変更しようかと思ったところで、ヴェルティル様自らお迎えにやって来てしまい、断る事ができず──

『クレイオン嬢の侍女に同行してもったら問題無いし、リリアーヌからも許可をもらってるから大丈夫。それに、また暫くは忙しくなるだろうから…』

なんて言われてしまえば断る事もできず、結局私の侍女のイルゼに同行を頼んで3人で買い物にやって来た。

ーこんなにも近くに居ても大丈夫なの?ー

魔法が効いているから本能が暴れる事は無いけど、心臓はドキドキして大変な事に変わりはない。

「疲れてない?大丈夫?」

私がよく、ヴェルティル様の前で体調を崩すからか、常に私の体調を心配して声を掛けてくれる、その優しさにまた……好きの気持ちが大きくなってしまう。

ーどれだけ好きにさせれば気が済むの!?ー

と、私は心の中で叫びまくっている。




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