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21 最後の思い出
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「クレイオン嬢はブルー系が似合うかな?」
「そうですね。お嬢様は、ブルー系がお似合いでお好みでもありますけど、グリーンもお似合いです」
「あぁ、確かに。クレイオン嬢の瞳の色は綺麗だよね」
「あ、お分かりいただけますか!?」
「………」
ーこれは、羞恥プレイですか?ー
『お礼の品はピアスにします』と言って、アクセサリーショップに来たのは良いけど、そこから私に何色が似合うかと言う話になり、何故か…ヴェルティル様とイルゼによる私の褒め合い合戦になってしまっている。それは恥ずかし過ぎるけど、好きな人が選んでくれるのは嬉しい。
そうして、2人が選んでくれたのは、私の瞳の色に近い色の宝石が付いたピアスだった。そして、モニカには髪色と同じハニーゴールドの色の宝石が付いたピアスにした。
お礼として─と、王太子様からではあるけど、選んでくれたのはヴェルティル様。
ー大切にしようー
「それでは──」
「それじゃあ、まだ時間もあるし、カフェでも寄って行こうか」
「え?」
目的の物が買えたから、帰ろうか─と言いかけたのと同時に、ヴェルティル様からお茶を誘われた。
「えっと……」
イルゼが居るから2人きりではないと言っても、リリアーヌ様を差し置いて私がヴェルティル様のお誘いを受けてしまって良いのかなぁ?駄目だよね?ヴェルティル様とは距離を──
「ひょっとして、クレイオン嬢は俺の事が嫌いだったりす───」
「そんな事はありません!」
「なら、少しだけでも付き合ってくれる?」
「……………はい…………」
「ありがとう」
低音ボイスでニッコリ微笑まれれば、それ以上抵抗する事ができなかった。
「周りの目が気になるんだろう?」
と言われて、ヴェルティル様が連れて来てくれたのは、大通りから外れた所にあるこじんまりとしたお店だった。中に入ると、貴族と言うよりは平民の客が多く、フロアの奥へと進むと個室があり、私達3人はその個室へと案内された。
「2年位前に偶然見付けてね。貴族のいやな視線がなくて静かなお店だろう?時々1人になりたい時なんかに来るんだ」
“1人になりたい時”
そんな隠れ家的な所を教えてもらって良かったのかなぁ?と言っても、後1ヶ月もすれば王都を去る予定だから、私がこのお店に来るのも最初で最後になるから問題無いよね…。
ヴェルティル様の言う通り、そのお店は静かで落ち着いていて、おまけに、ケーキもお手軽な値段なのにとても美味しかった。
「平民向けのケーキだから、安いのに美味しいんだ。ここだけの話、たまに頂く王城で出るケーキよりも美味しいと思ってる」
「確かに、このケーキは本当に美味しいけど、この話は王城の料理人達には秘密ですね」
ふふっ─と笑えば、ヴェルティル様も目を細めて笑ってくれる。何とも穏やかで贅沢な時間だ。ただ、ここまで近付いてしまったら、離れる時はもっと辛くなってしまうだろうけど。
それからは、またヴェルティル様とイルゼが色の話をしだして恥ずかしいし思いをしたり、他愛のない会話を楽しんだ。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう。本当に家まで送らなくても大丈夫?」
「はい。いつも、買い物をする時はイルゼと2人で歩いて帰ったりしてますから。それに…何かあっても、私達結構強いので」
「まぁ…そうなんだろうけど……うん。兎に角、気を付けて帰って」
「はい。それでは、ここで失礼しますね。さようなら」
ヴェルティル様に背を向けて、イルゼと2人で帰路に就くと、背後で馬車が動き出す音が聞こえた。
「………」
『卒業式迄は忙しいから、学校に行けるのは卒業式の日だけだと思う』
そう言っていたから、ヴェルティル様と会ってゆっくり話ができるのも、今日で最後になるだろう。
「あの…お嬢様、大丈夫ですか?」
「ん?大丈夫よ。ちゃんと魔法は効いてるから」
「………」
私の返事に対して、何か物言いたげな顔をしたまま黙り込むイルゼ。イルゼは、私が純粋にヴェルティル様を好きな事を知っているから、心配してくれているんだろう。
私がリリアーヌ様より先にヴェルティル様と出会っていたら──
ヴェルティル様が私の番じゃなかったら──
タラレバの話をしたところで……虚しくなるだけだ。
「イルゼ…ありがとう」
「……いえ…………」
イルゼにお礼を言ってから、私達2人は止めていた足を進めた。
**????**
「それで?何とかなりそうなのか?」
「“なりそう”ではなくて“ならせる”かな」
「…本当に、彼女には同情するよ……」
ーそんな事を言いながら、お前も愉しそうに笑っているからな?ー
「私としても、彼女を側に置きたいから、お前には頑張ってもらい──勘違いするなよ?女として置きたいと言う意味ではないからな?」
「分かってますよ。もしその意味なら、俺はここに居ませんからね。兎に角、準備は整ったので、後は……毛並みの綺麗なシロを、この手に収めるだけですよ」
❋❋❋❋❋❋
“置き場”に、アデール(+他2名)視点の【if話】を投稿しました。本編とは関係ありませんが、読んでいただければ幸いです。
(ꕤ ᵔ ᵕᵔ) ˶ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
「そうですね。お嬢様は、ブルー系がお似合いでお好みでもありますけど、グリーンもお似合いです」
「あぁ、確かに。クレイオン嬢の瞳の色は綺麗だよね」
「あ、お分かりいただけますか!?」
「………」
ーこれは、羞恥プレイですか?ー
『お礼の品はピアスにします』と言って、アクセサリーショップに来たのは良いけど、そこから私に何色が似合うかと言う話になり、何故か…ヴェルティル様とイルゼによる私の褒め合い合戦になってしまっている。それは恥ずかし過ぎるけど、好きな人が選んでくれるのは嬉しい。
そうして、2人が選んでくれたのは、私の瞳の色に近い色の宝石が付いたピアスだった。そして、モニカには髪色と同じハニーゴールドの色の宝石が付いたピアスにした。
お礼として─と、王太子様からではあるけど、選んでくれたのはヴェルティル様。
ー大切にしようー
「それでは──」
「それじゃあ、まだ時間もあるし、カフェでも寄って行こうか」
「え?」
目的の物が買えたから、帰ろうか─と言いかけたのと同時に、ヴェルティル様からお茶を誘われた。
「えっと……」
イルゼが居るから2人きりではないと言っても、リリアーヌ様を差し置いて私がヴェルティル様のお誘いを受けてしまって良いのかなぁ?駄目だよね?ヴェルティル様とは距離を──
「ひょっとして、クレイオン嬢は俺の事が嫌いだったりす───」
「そんな事はありません!」
「なら、少しだけでも付き合ってくれる?」
「……………はい…………」
「ありがとう」
低音ボイスでニッコリ微笑まれれば、それ以上抵抗する事ができなかった。
「周りの目が気になるんだろう?」
と言われて、ヴェルティル様が連れて来てくれたのは、大通りから外れた所にあるこじんまりとしたお店だった。中に入ると、貴族と言うよりは平民の客が多く、フロアの奥へと進むと個室があり、私達3人はその個室へと案内された。
「2年位前に偶然見付けてね。貴族のいやな視線がなくて静かなお店だろう?時々1人になりたい時なんかに来るんだ」
“1人になりたい時”
そんな隠れ家的な所を教えてもらって良かったのかなぁ?と言っても、後1ヶ月もすれば王都を去る予定だから、私がこのお店に来るのも最初で最後になるから問題無いよね…。
ヴェルティル様の言う通り、そのお店は静かで落ち着いていて、おまけに、ケーキもお手軽な値段なのにとても美味しかった。
「平民向けのケーキだから、安いのに美味しいんだ。ここだけの話、たまに頂く王城で出るケーキよりも美味しいと思ってる」
「確かに、このケーキは本当に美味しいけど、この話は王城の料理人達には秘密ですね」
ふふっ─と笑えば、ヴェルティル様も目を細めて笑ってくれる。何とも穏やかで贅沢な時間だ。ただ、ここまで近付いてしまったら、離れる時はもっと辛くなってしまうだろうけど。
それからは、またヴェルティル様とイルゼが色の話をしだして恥ずかしいし思いをしたり、他愛のない会話を楽しんだ。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ、付き合ってくれてありがとう。本当に家まで送らなくても大丈夫?」
「はい。いつも、買い物をする時はイルゼと2人で歩いて帰ったりしてますから。それに…何かあっても、私達結構強いので」
「まぁ…そうなんだろうけど……うん。兎に角、気を付けて帰って」
「はい。それでは、ここで失礼しますね。さようなら」
ヴェルティル様に背を向けて、イルゼと2人で帰路に就くと、背後で馬車が動き出す音が聞こえた。
「………」
『卒業式迄は忙しいから、学校に行けるのは卒業式の日だけだと思う』
そう言っていたから、ヴェルティル様と会ってゆっくり話ができるのも、今日で最後になるだろう。
「あの…お嬢様、大丈夫ですか?」
「ん?大丈夫よ。ちゃんと魔法は効いてるから」
「………」
私の返事に対して、何か物言いたげな顔をしたまま黙り込むイルゼ。イルゼは、私が純粋にヴェルティル様を好きな事を知っているから、心配してくれているんだろう。
私がリリアーヌ様より先にヴェルティル様と出会っていたら──
ヴェルティル様が私の番じゃなかったら──
タラレバの話をしたところで……虚しくなるだけだ。
「イルゼ…ありがとう」
「……いえ…………」
イルゼにお礼を言ってから、私達2人は止めていた足を進めた。
**????**
「それで?何とかなりそうなのか?」
「“なりそう”ではなくて“ならせる”かな」
「…本当に、彼女には同情するよ……」
ーそんな事を言いながら、お前も愉しそうに笑っているからな?ー
「私としても、彼女を側に置きたいから、お前には頑張ってもらい──勘違いするなよ?女として置きたいと言う意味ではないからな?」
「分かってますよ。もしその意味なら、俺はここに居ませんからね。兎に角、準備は整ったので、後は……毛並みの綺麗なシロを、この手に収めるだけですよ」
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“置き場”に、アデール(+他2名)視点の【if話】を投稿しました。本編とは関係ありませんが、読んでいただければ幸いです。
(ꕤ ᵔ ᵕᵔ) ˶ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
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