31 / 59
31 お決まりの
しおりを挟む
王都への道程は、のんびりしたものだった。
泊まった領地で、比較的安価な物を露店で売りながらの旅だった。客層は幅広いようだ。
「シーフォールスの海が穏やかなのは、聖女のお陰なんだね」
「そうよ。とは言っても、全ての海域を浄化する事は不可能で、他国との海路だけを浄化しているそうだから、その海路から外れてしまうと荒れる事もあるし、魔獣も現れたりするそうだけどね」
だから、友好関係にあるユーグレイシアとシーフォールスの海路は穏やかで、船が難破する事もない。それとは逆に、あまり仲の良くない国への海路を浄化する事はない。
「魔獣……見た事はないけど、できれば遭遇したくないなぁ…」
「現れたとしても、私達が護るから大丈夫よ」
「魔獣よりも、聖女であるメグの方が強いかもしれないが……」
移動中の馬車では、第二王子とメグと3人で色んな話をした。ただ、王都に着く迄の3日間は、ヴェルティル様の姿を目にする事はなかった。
******
王都では、リューゴ商会としては既に販売に向かう所が決まっていたらしく、王都に到着した翌日からは、イーデン様達は朝早くから出て行き、帰って来るのは夕方だった。
その間は、第二王子とメグは図書館や聖堂などを巡って聖女の文献などを読んだりしていた。メグは相変わらず勉強熱心だ。今も、メグは第二王子と図書館に篭っていて、私はその2人から少し距離を置いた所に座っている。
ユラは……リューゴ商会に付いて行って手伝いをしているそうだけど、不在の時間もあるようで……『護衛は付けてあるから、後は自由にさせてます』と、イーデン様も少し呆れていた。
「反省とかした事あるのかしら?」
「誰が?」
「───っ!!??」
一人だと思っていたところに、またまた低音ボイスが耳に響いた。叫ばなかった私は偉いと思う。
「その、気配を消して現れるの、止めてもらえませんか?心臓に悪いので!」
「気配を消してるつもりはないんだけどね」
悪戯が成功した─みたいに笑っているのだから、わざとなんだろう。きっと、今迄だってそうだったんだ。
「………」
「怒ってる?」
「怒ってません。ただ……色々と驚いているだけです」
「そっか……」
そこで、何故か嬉しそうに笑うヴェルティル様。
葵色の髪に青色の瞳のヴェルティル様。本当のヴェルティル様は───
「そのピアス、よく似合ってるね」
「そう…ですか?あ、この宝石の色なんですけど、光の加減で色が変わったりしますか?」
「基本淡い緑色だけど、太陽の光を浴びると青色にも見えるね」
「そうなんですね……」
私の色とヴェルティル様の色─なんて思ってしまうのだから、私も困ったものだ。
「青色も、クレイオン嬢によく似合ってる」
「っ!?あ…ありがとう…ございます…」
本当に!本当にー!!!
いっその事、早くリリアーヌ様と結婚してくれませんか!?そうしたら、私も────
「あれ?ヴェルティル様は、ここに居て良いんですか?」
護衛対象である第二王子から離れても大丈夫なんだろうか?
「護衛は俺1人だけではないからね。今日の俺の任務は終わったんだ。で、アラール殿下からの伝言で“クレイオン嬢も昼から休んでくれ”だそうだ」
「そうなんですか?」
急に休みをもらったからと言ってもどうするか。
「取り敢えず、ランチでもしようか?」
「────ランチ?」
「お勧めの店を聞いて来たから、一緒にどおかな?」
「……行きます………」
「よし、じゃあ行こう」
立ち上がるとメグがこちらを振り返り、手をフリフリと振ってくれたから、私も手を振ってからその場を後にした。
ー断れない自分が…恨めしいー
******
「お勧めのお店なだけあって、本当に美味しかったですね」
「ユーグレイシアとは全く違う味付けだけど、シーフォールスの料理も美味しいね。国によって、本当に無理な料理もあるけど」
ヴェルティル様とやって来たお店のランチは、本当に美味しかった。デザートはトルガレントの物とはまた違った物が多くて、新しい発見もあった。トルガレントに来てから、たまにだけど自炊するようになった。王都にしかない調味料もあるらしく、時間があるなら買い物にでも行こうかなと思っていた。
「この後の予定は何かある?」
「予定と言うか、買い物でもして帰ろうかと思って。なので、ヴェルティル様は先に─」
「それじゃあ、行こうか」
「え?」
「俺が一緒だと迷惑?」
「迷惑ではないですけど…でも………」
「どうせ暇だし時間はあるから」
ーいつもこのパターンだー
きっと、私が断れないと分かって言っているんだ。
リリアーヌ様と言う完璧な彼女?婚約者?が居るのに。ヴェルティル様は、一体私をどうしたいんだろう?その気にさせるだけさせてポイッ─しか無いよね?断り切れない私も私だけど!でも!
「ヴェルティルさ───」
「アラスター様!」
「「………」」
ーはい、これもお決まりになりつつあるパターンですー
「偶然ですね!」
「「…………」」
振り返ると、そこにはやっぱりユラが居た。
泊まった領地で、比較的安価な物を露店で売りながらの旅だった。客層は幅広いようだ。
「シーフォールスの海が穏やかなのは、聖女のお陰なんだね」
「そうよ。とは言っても、全ての海域を浄化する事は不可能で、他国との海路だけを浄化しているそうだから、その海路から外れてしまうと荒れる事もあるし、魔獣も現れたりするそうだけどね」
だから、友好関係にあるユーグレイシアとシーフォールスの海路は穏やかで、船が難破する事もない。それとは逆に、あまり仲の良くない国への海路を浄化する事はない。
「魔獣……見た事はないけど、できれば遭遇したくないなぁ…」
「現れたとしても、私達が護るから大丈夫よ」
「魔獣よりも、聖女であるメグの方が強いかもしれないが……」
移動中の馬車では、第二王子とメグと3人で色んな話をした。ただ、王都に着く迄の3日間は、ヴェルティル様の姿を目にする事はなかった。
******
王都では、リューゴ商会としては既に販売に向かう所が決まっていたらしく、王都に到着した翌日からは、イーデン様達は朝早くから出て行き、帰って来るのは夕方だった。
その間は、第二王子とメグは図書館や聖堂などを巡って聖女の文献などを読んだりしていた。メグは相変わらず勉強熱心だ。今も、メグは第二王子と図書館に篭っていて、私はその2人から少し距離を置いた所に座っている。
ユラは……リューゴ商会に付いて行って手伝いをしているそうだけど、不在の時間もあるようで……『護衛は付けてあるから、後は自由にさせてます』と、イーデン様も少し呆れていた。
「反省とかした事あるのかしら?」
「誰が?」
「───っ!!??」
一人だと思っていたところに、またまた低音ボイスが耳に響いた。叫ばなかった私は偉いと思う。
「その、気配を消して現れるの、止めてもらえませんか?心臓に悪いので!」
「気配を消してるつもりはないんだけどね」
悪戯が成功した─みたいに笑っているのだから、わざとなんだろう。きっと、今迄だってそうだったんだ。
「………」
「怒ってる?」
「怒ってません。ただ……色々と驚いているだけです」
「そっか……」
そこで、何故か嬉しそうに笑うヴェルティル様。
葵色の髪に青色の瞳のヴェルティル様。本当のヴェルティル様は───
「そのピアス、よく似合ってるね」
「そう…ですか?あ、この宝石の色なんですけど、光の加減で色が変わったりしますか?」
「基本淡い緑色だけど、太陽の光を浴びると青色にも見えるね」
「そうなんですね……」
私の色とヴェルティル様の色─なんて思ってしまうのだから、私も困ったものだ。
「青色も、クレイオン嬢によく似合ってる」
「っ!?あ…ありがとう…ございます…」
本当に!本当にー!!!
いっその事、早くリリアーヌ様と結婚してくれませんか!?そうしたら、私も────
「あれ?ヴェルティル様は、ここに居て良いんですか?」
護衛対象である第二王子から離れても大丈夫なんだろうか?
「護衛は俺1人だけではないからね。今日の俺の任務は終わったんだ。で、アラール殿下からの伝言で“クレイオン嬢も昼から休んでくれ”だそうだ」
「そうなんですか?」
急に休みをもらったからと言ってもどうするか。
「取り敢えず、ランチでもしようか?」
「────ランチ?」
「お勧めの店を聞いて来たから、一緒にどおかな?」
「……行きます………」
「よし、じゃあ行こう」
立ち上がるとメグがこちらを振り返り、手をフリフリと振ってくれたから、私も手を振ってからその場を後にした。
ー断れない自分が…恨めしいー
******
「お勧めのお店なだけあって、本当に美味しかったですね」
「ユーグレイシアとは全く違う味付けだけど、シーフォールスの料理も美味しいね。国によって、本当に無理な料理もあるけど」
ヴェルティル様とやって来たお店のランチは、本当に美味しかった。デザートはトルガレントの物とはまた違った物が多くて、新しい発見もあった。トルガレントに来てから、たまにだけど自炊するようになった。王都にしかない調味料もあるらしく、時間があるなら買い物にでも行こうかなと思っていた。
「この後の予定は何かある?」
「予定と言うか、買い物でもして帰ろうかと思って。なので、ヴェルティル様は先に─」
「それじゃあ、行こうか」
「え?」
「俺が一緒だと迷惑?」
「迷惑ではないですけど…でも………」
「どうせ暇だし時間はあるから」
ーいつもこのパターンだー
きっと、私が断れないと分かって言っているんだ。
リリアーヌ様と言う完璧な彼女?婚約者?が居るのに。ヴェルティル様は、一体私をどうしたいんだろう?その気にさせるだけさせてポイッ─しか無いよね?断り切れない私も私だけど!でも!
「ヴェルティルさ───」
「アラスター様!」
「「………」」
ーはい、これもお決まりになりつつあるパターンですー
「偶然ですね!」
「「…………」」
振り返ると、そこにはやっぱりユラが居た。
1,332
あなたにおすすめの小説
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?
神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。
カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。
(※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m
完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう
音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。
幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。
事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。
しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。
己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。
修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる