消えた治癒士への執着は棄てて下さい

みん

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16 新たな来客

*ルベール達と別れた後のリヴィアンナ達*




「リヴィ様、左足を見せてもらえますか?」
「うん……」

ミツに言われて素直にズボンの裾を捲って左足を出すと、そこにある模様が更に濃くなっていた。

「痛みはどうですか?」
「いつもよりも痛みが強い。朔の日じゃなくてこの痛みなら、朔の日はもっと強くなると思う」
「…………」

今まで、左足の痛みが一番強く現れるのは朔の日だった。その時の痛みよりも、今の痛みの方が強い気もする。

「ハッキリとは言えませんけど、原因はあの4人と関係しているかもしれませんね」

ラドルファス様とアーニーさんと英雄様とメンフィールス様。あの4人がジルダわたしを探しているからか?どうしてジルダに執着しているのか?

『ルベールは、リヴィがお気に入りだったからね』

なんてアウラが自慢気に言うのは……何故?そもそも、メンフィールス様に気に入られていた自覚は全くない。治癒士なのに、問答無用で魔道士のように鍛え上げられた記憶しかない。
お気に入りかどうかは置いといて、私を探すのを止めてもらいたい。是が非でも。私がジルダだと認める訳にはいかない。でも、その理由を説明するのも難しい。

「やっぱりヤりましょう。先輩に連絡したら、誰か送ってくれると返事があったので、あの4人ぐらいならいけます」
「本当の本当に駄目だからね!?本気の目で怖いからね!?」

ミツが何かを攻撃した所を見た事はないけど、本人が言い切る上にアウラも否定しないのだから、嘘ではないんだろう。怖いけど、それはそれで私にとっては頼もしい存在だ。もふもふは癒しだし。

ーミツ、完璧じゃない?ー

「まぁ、正直に言うと、本当にヤろうと思えばヤれますけど、私はこの世界では主様にねじ込まれたなので、ヤれないんですけどね……」

本当に残念そうな悔しそうな顔をするミツ。
異世界の人間が、異世界の理や存在に関わったりし過ぎると、その世界に歪みが出て大変な事になるそうで、私の護衛もギリギリのライン。

「その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくわ。ところで……“誰か送る”って、何をしに来るの?」
「取り敢えず、リヴィ様の左足の模様を確認してくれるそうです。なので、最低限の対応はしてもらえると思います」

それもありがたい。取り敢えず、今回の朔の日を乗り越えれば、また1ヶ月の時間が手に入る。

「今日も早めに寝ることにするね」
「それじゃあ、夕食も早めに準備しますね」
『私、ちょっと出かけてるわ。遅くなるかもしれないけど、気にしないでね』

というと、アウラはどこかへ行ってしまった。アウラは風の妖精だから、風さえあればどこへでも行ける。それも、距離があっても一瞬で。それでも遅くなるかもという事は、遠くへ行くのかもしれない。

「アウラなら心配ありませんよ。何と言ってもアウラは──」
「分かってるわ。それじゃあ……お客様のお迎えの準備をしようか」
「そうですね」

私とミツは送られて来る人の迎えの準備を始めた。



それから数時間後、夕食を食べて寝室でくつろいでいると、部屋に突然魔法陣が現れ、そこから一人の女の子が現れた。
琥珀色の髪と瞳の女の子。目がくりっとして可愛い女の子。雰囲気はミツとよく似ている。

「イチコさん!」
「ミツ、元気にしてた?」

よほど会えて嬉しいのか、人の姿のままのミツなのに、ポンッと耳と尻尾が現れて、尻尾がフリフリと嬉しそうに揺れている。

ー可愛い!!もふもふしていい?今は駄目だよね!?ー

「“リヴィアンナ様”とお呼びしてもよろしいですか?」
「それでも良いし、“リヴィ”でも良いわ」
「それではリヴィ様、初めまして。私は“イチコ”と申します。ミツがお世話になっております。ご迷惑はかけていませんか?」
「迷惑どころか、心身共に助けてもらってるわ。ありがとう」
「なら良かったです」

と、あまり表情は変わらないものの、その目はとても優しい。おそらく、ミツの言っていた“尊敬する2人の先輩”のうちの1人だろう。

「色々と確認したい事もあるので、暫くの間こちらに滞在したいのですが、よろしいですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「では、宜しくお願い致します。先ず、早速ですが、左足の確認をさせていただきます」
「分かっ────ゔっ!!」

そうして、また左足を───と思ったところで、更に左足が痛み出し、思わず声を出してうずくまった。

「リヴィ様!!」
「失礼しますね……これは……模様が濃くなってますね。原因は……取り敢えず、痛みを軽くするので、リヴィ様は暫くお休み下さい」

と言うと、イチコさんは私に何か魔法を掛けたのか、そのまま眠りへと落ちた。





*イチコ視点*


眠らせたリヴィ様をベッドに運んでから足首に治癒を施し、ミツにはそのままリヴィ様の側に居るように指示してから、私はその家から出て目的地へと向かう。

その目的地は、リヴィ様の家から30分ほどの所にある比較的小さな邸。だけど、幾重にも結界が張られている堅固な邸。

ー私には意味の無いものだけどー


そこに居る目当ての者達が4人。

「釘を刺さないとね」

刺せないのがもどかしいところだけど仕方無い。ここは、私達の世界とは違うから。

目的地の邸の結界をスルスルと掻い潜ると、丁度4人全員が一つの部屋に揃っていた。

「─ジルダが────ナナカが──」

ーやっぱり、“ジルダ”を探しているのねー

ならば、それを止めさせなければならない。そうして、私は口を開いた。





『それ以上、ジルダに関係する詮索はやめなさい』




彼女を護る為に。




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