二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん

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一度目の召喚

終わり

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「今日は、街に行かなかったのか?」
「はい。今日は…テントでゆっくりしてました。エラさんとバーミリオンさんにお願いして、街のお勧めのお菓子を買って来てもらいましたけど。自分へのご褒美に。」

私も一緒に行こうかな─とも思ったんだけど……

ー最近、エラさんとバーミリオンさんの雰囲気が……んだよねー

エラさんは基本姉御肌だ、サッパリのバッチリ系なんだけど、バーミリオンさんといると時は、可愛らしく見えたりするし、バーミリオンさんのエラさんを見る目が、最近では優しい感じがする。

ーひょっとしたら、バーミリオンさんも、この世界に残るかもしれないー

「───この領地は、昔から自然の魔素が多くて魔石が出来やすくて比較的よく魔石が手に入るから、魔石の扱い─加工の技術が高くて有名なんだ。」

そう言えば…エラさんは赤色のピアス、バーミリオンさんは青色のピアスを買って来てたっけ?『バーミリオンさん、ピアスホール無いよね?』って言ったら、『これから空けるんだ!』って、顔を真っ赤にしながら叫んでいたけど…。

「それじゃあ……コレ。」

と、シーヴァーさんが、私の目の前にラッピングされた小さな巾着みたいなモノを差し出して来た。

「ん?」

「俺からのご褒美、もらってくれる?」

「え?私に─ですか!?」

「ウィステリアは、いつも頑張ってるから」

ただただ穏やかに微笑んでいるシーヴァーさん。
“申し訳無い”より“嬉しい”が勝ってしまい、「ありがとうございます」と言いながら受け取った。

「あ、でも…恥ずかしいから、開けて見るのはテントに戻ってからにして欲しい。」

“恥ずかしい”─とは一体?と思ったけど、そう言われて、今ここで開けるなんて事はできないから「分りました。」と答えて、私はソレを、腰に付けているウエストポーチに仕舞い込んだ。






「魔物が現れた!!」


それは、私の見回りの終わった後の事だった。魔物はとても厄介なモノだ。魔獣とは違い知能を持ち合わせているから、単純な攻撃だけではうまく倒す事ができない。その魔物のレベルにもよるけど、体力勝負ではなく知能戦に近いモノがある。それこそ、騎士ではなく魔導士が主体となって戦う必要がある。

ー“騎士は脳筋だから”とは…言ってませんー



それからは、メイナードさんを中心に魔法主体で攻撃し、その合間を縫うように騎士が間髪入れずに攻撃──を繰り返し、夜が明ける前に、ようやく魔物を仕留める事ができたのだった。

「また魔物が現れたら大変だ」と言う事で、急いで穢れの浄化を終わらせる為、休む間もなく最終領地である次の領地へと向かった。
魔物との戦いで、魔導士も騎士も疲れてはいたけど、正直、2人の聖女が元気であれば問題はない。穢れを浄化できれば、魔物や魔獣も現れ難くなるから。魔導士や騎士が疲れていても、なんとか人数でカバーできるから。





次の領地に向かう迄も、何度か魔獣が現れたが、それらは全て騎士達が難なく仕留めた。
最終目的地に着けば、すぐ様2人の聖女が浄化を始めた。2人の聖女が浄化に集中できるように魔導士が結界を張り、騎士と魔導士で辺りを注意深く監視する。






「「終わりました」」


何時間経ったのか───

2人の聖女の掛け声と共に───

浄化の旅が終わった──────











勿論、その日の夜は皆で打ち上げだ。
水と油な魔導士と騎士も、今は混ざり合っている。

「エラさん、メイナードさん、バーミリオンさん、お疲れ様でした!」
「リアもお疲れ様。」
「いやー…最後の最後で…本当に疲れたー」

打ち上げと言っても、この4人の中ではエラさんもバーミリオンさんも私も未成年だから、アルコールを呷っているのはメイナードさんだけだ。

「兎に角、皆が無事に終える事ができて良かった。王都に帰ったら、また美味しい物が食べられるパーティーが開かれる予定だから、楽しみだな。」

“帰ったら”

ーこれから私達は、帰るんだろうか?ー



「なぁ、エメラルド様、赤色のピアスを着けてないか?」

「本当だな。って事は…か!やっぱりだな!」

「これなら、王都に戻ってすぐ婚約も、現実味を帯びてきたな!」

「……」

“ルーファスの色”

チラリと、エラさんとバーミリオンさんを見る。
エラさんの耳には赤─朱色の石のピアスが。
バーミリオンさんの耳には青色の石のピアスが輝いている。

「なるほど……で?いつから?」

と、ジトリ─とした目をして訊くと

「「この旅が始まってから」」

と、シンクロされた。
いや…何となーく気付いてたけどね?できれば、2人の方から言って欲しかった。いや、バーミリオンさんは、私には言い難かったのかもしれない。バーミリオンさんはおそらく──

もう、日本に還るつもりはないんだろう──


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