二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん

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二度目の召喚

キッカ

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「黒色の珍しい色をした使用人が、王都に行きたがっていた。」

嬉々として語ってくれたのは、街で屋台を出していた年配の女性だった。まさしく、今回の視察で探そうとしていた女の子の情報だった。ただ、違法に買ったであろう女の子を、そうやすやすと外へ出すものか?騙されているのか?と、逆に不安にもなったりしたが、兎に角──と、アレサンドルは予定通り、2日目はキルソリアン邸へとやって来た。

そしてその背後には──ニコリとも近衛騎士のルーファス=シーヴァーが控えていた。

キルソリアンの家令が部屋を出て行ってからは、王太子が何も喋らなくなり、ジェイミーはただひたすらその沈黙に耐えていた──その時。

「何があった!?」

アレサンドルが声を上げたのと同時に、ルーファスがアレサンドルを護るように背中に隠し、部屋の扉の方へと視線を向けた。扉の向こう側から、とてつもなく大きな魔力が溢れて来たのだ。その扉が開き入って来たのは─

「ケイ……ティ?」

ジェイミーが呆然としながらも、その名を口にすると、ケイティは目をスッと細めてジェイミーを見据えたまま口を開いた。

『その名前で呼ばないでくれる?私はね……その名が……大嫌いなのよ。』

ケイティが手を振ると、ジェイミーは一瞬にして炎に包まれて、そのまま気を失ってしまった。その場に倒れたジェイミーは……炎に包まれた筈だったが、火傷一つ負ってはいなかった。

その倒れたジェイミーを、ケイティは一瞥した後、アレサンドルへと視線を移した。

『お前が…王太子か?』

「あぁ……私は、この国の王太子アレサンドル……だ。」

『色々訊きたい事があるけど……先に…此奴等のをして良い?』

「処理…とは……」

ーその前に、今目の前に居る狐獣人?は一体何者なんだ?そして、処理とは何だ?ー

“ケイティ”と呼ばれた彼女には獣人特有のピンと立った耳があり尻尾もあるが、何故か尻尾は3本もあり、その溢れる魔力から、人間ひとでも獣人でも無い事が判る。内心アレサンドルが焦っていると「ケイティさん!」と、1人の女の子が部屋に入って来た。


その女の子は、黒い髪─漆黒を思わせる程の黒で、その瞳もまた、黒色だった。

「ウィステリア殿!?」

まっ先に反応したのは、ルーファス=シーヴァーだった。








「“処理”をするのは、尋問をした後にして欲しい」

と、何故かアレサンドル様がケイティさんに頭を下げてお願いをしていた。
ケイティさんは、渋々と言った感じで『分かったわ』と言った後、パチンッと指を弾き鳴らし、部屋全体に外部と一切の遮断をする結界を張り『話をしましょうか』と微笑んだ。





それからケイティさんから聞かされた話は、驚きの連続だった。

ケイティさん改め─キッカさんは、所謂3尾の狐─妖狐だった。キッカさんは、召喚者─愛し子を保護する為に、召喚者側の神様から遣わされていたそうだ。
そのキッカさんの仕事は三つある。



一つ、この世界に居る間、愛し子達を護るこ事

二つ、元の世界に還る者を無事に送り届けて、魔力持ちであった場合は、その魔力の跡を消して、異世界との繋がりを完全に断ち切る事

三つ、異世界に残った者の名を、元の世界から完全に消し去り、その存在をにして、異世界に残った者に名を返す事


これが、キッカさんの役目だったそうだけど─

『少しの気の緩みで……狐姿をした私を、狐獣人と思った奴に、この枷を嵌められて……一切の魔力が使えなくなったのよ。普通なら、あんな枷位チョロいのに─最悪な事に、枷との相性が最悪で、自力ではどうにもならなかったのよ…本当に……忌々しい─っ』

キッカさんは、それはそれは恐ろしい程の冷たい視線を、倒れているジェイミーに向けている。



それが、私が元の世界へ還る直前の事だったそうで、私は女神アイリーン様の力で日本には還れたけど、魔力の跡は残ってしまい、そのまま異世界と繋がったままの状態だったそうだ。
そして、何よりも……居残った3人の、日本での扱いが“行方不明”だったのも、そのせいだった。

「それ…アイリーン様が、何とかしてくれたり─とかはないの?」

ーキッカさんが動けなくなったまま放置とか…おかしくない?ー

『女神アイリーン様は、召喚する時や召喚者に加護を与える事、更には元の世界へ還す為に力を使うから、元の世界へ還る者を送り届けた後は、その力を取り戻す為に数年─最低でも5年は眠り続けるの。だから、そのアイリーン様の代わりに、私が事後処理?をすると言う感じなのよ…それなのに……』

「──だから、居残った3人は、未だに名前を思い出していないのか……。」

「え!?そうなんですか!?」

それにはビックリだ。

『そうよ。まだ、元の世界での3人の存在を無にしていないから、名を返せていないのよ。名を返せないと、これもまた、元の世界とは完全に断ち切る事ができないし、この世界に馴染む事もできず、不安定な存在になってしまうの。だから、早く向こうに渡って、仕事をしないといけないのだけど……』

と、キッカさんは一度口を閉じた後



『どうして、また、ウィステリアがこの世界に召喚されたのか、説明してくれるかしら?』


笑ってるのに笑っていない目をしたキッカさんが、そこに居た。



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