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27 隣国の聖女
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『ネッドの魔力の光は、いつ見ても綺麗よね。』
「魔力の光って、人によって全く違うね?」
『ネッドは魔力が強いと言うのもあるけど、純粋に魔法や魔力が大好きで擦れてない心が綺麗な子だから、より綺麗に見えるのよ。まぁ……色々問題な子でもあるけど……』
一緒に旅をしていた時のネッドさんは寡黙で…寡黙ながらも周りをちゃんと見ていて、しっかりしたお兄さん的な存在だった。それが───
「はい、これで、誰がミヅ───チカ様を目にしても“そこに誰か居た?”ぐらいの認識しかされなくなりました。まぁ、それでも私にはチカ様のその圧倒的な威厳をひしひしと感じられますから、私がチカ様に気付かないなんて事はありませんけどね?チカ様はどこに居てもチカ様ですから、私がチカ様を見失う事はありません。ですから、パーティーの間はいつでもチカ様を見てますから、安心して参加して下さい!」
ーいや、寧ろ、ある意味安心できないけどね?ー
とは言えない。そして、やっぱりフラムは震えていた。
******
パーティー会場は、王城で1番広くて豪華なホールで行われている。
オールデン神の祝福が現れた事もあり、誰一人反対する者は居らず、ルドヴィクさんが名実共に国王となった。『あの子、婚約者すら居ないから、これから大変でしょうね』と、私の肩に座っているフラムが呟く。
確かに、王太子でそこそこいい年齢なのに、婚約者が居ないのは何故?と思っていた。イケメンでマトモな性格で国王となれば……ご令嬢達にゴングが鳴り響く事になるだろう。
ー頑張って下さいー
はい、私、今、パーティー会場の壁際にひっそりと控えています。私の横には、私と同じように、どこかの国の侍従や侍女達が、主を見つめながら壁際に控え並んでいます。ホール内では立食形式の食事が用意され、それを口にする人達や、新国王となったルドヴィクさんに挨拶をしている人達、ダンスを踊っている人達など、私の予想とは違ってラフな感じのパーティーが繰り広げられている。
これだけ賑やかであれば、尚更私の存在感は薄くなっていると思うのに、何故か、私がネッドさんに視線を向けると、9割の確率でネッドさんと視線が合うのは、もう気のせいにはできない。
ちなみに、ネッドさんはルドヴィクさんの側近として、ルドヴィクさんの側に控えている。
そして、もう1人。ダークグレーの短髪、葵色の瞳をしたブラントさんも居る。二度と会う事はないと思っていたけど…。とは言え、今の私はミヅキではないから、以前のように、お互い素で話すことはないだろう。挨拶ぐらいは……したかったけど。
ルドヴィクさんは、色んな人達と言葉を交わしていき、時折そこにブラントさんが会話に加わる─と言う事を繰り返している。
大神官イシュメルさんも、ホール内を歩きながら、色んな人達と挨拶を交わしている。中には、他国から来た聖職者のような人も居る。
ー本当に、お偉いさんは大変だよねー
それから、他国からの参列者との挨拶がほぼほぼ終わり掛けた頃、比較的若い男女2人が「ご挨拶が遅くなりました。すみません」と、慌ててルドヴィクさんの元へとやって来た。
男性は金髪緑眼と言う、典型的な王子様。
女性の方は顔は見えなかったけど、黒色の綺麗な髪をしている。
『あ、あの子…あの子が、ジョセリンの言ってた王太子と……聖女?かも……?』
聖女かも?と、疑問形な上に、フラムが首を傾げてその女性を見ている。私もその彼女に視線を向けて、ジッと見つめてみる。
「?」
確かに、彼女からは、オールデンさんの気配の様なモノを感じる。それは、オールデンさんが彼女を召喚したと言う証になるんだろうけど……そこには、違和感もある。
ー彼女は……聖女なの?ー
ふと浮かんだ問いが、ソレだった。
彼女を召喚したのは、オールデンさん。
でも、イシュメルさんは、私が召喚されて以降、新たに聖女を召喚すると言う声は聞いてない。
ー彼女は、召喚されて異世界からやって来たけど、聖女ではない?ー
私がジッと、その彼女を見つめているせいか、ネッドさんも彼女を注視している。
私とネッドさん達との間はそれなりにあるのに、ネッドさんには私の視線の先が……分かるらしい。
ーあれ?ちゃんと認識阻害の魔法、掛かってる…よね?ー
と少し不安に思った時、その彼女がホール内をキョロキョロと見回しだし、彼女の顔が見えた。
「────え?」
思わず口からの言葉が溢れた。
ー何故?ー
『チカ、どうしたの?大丈夫?』
私の肩に座っていたフラムが、心配そうな顔をして私の目の前までパタパタと飛んで来た。「大丈夫」と言いたいけど……大丈夫ではない。何がどうなっているのか分からない。
隣国の聖女は、ジョセリンさんと同年だと言っていたから18歳の筈。なら…若返った?いや、見た目は全く変わっていない。確かに、可愛らしい顔で年齢よりも幼く見えたし、18歳に……見えなくもない。
でも────
今、私の目に映っている隣国の聖女は──
私の婚約者だった航の子を身籠った筈の
田辺莉々、23歳だった
「魔力の光って、人によって全く違うね?」
『ネッドは魔力が強いと言うのもあるけど、純粋に魔法や魔力が大好きで擦れてない心が綺麗な子だから、より綺麗に見えるのよ。まぁ……色々問題な子でもあるけど……』
一緒に旅をしていた時のネッドさんは寡黙で…寡黙ながらも周りをちゃんと見ていて、しっかりしたお兄さん的な存在だった。それが───
「はい、これで、誰がミヅ───チカ様を目にしても“そこに誰か居た?”ぐらいの認識しかされなくなりました。まぁ、それでも私にはチカ様のその圧倒的な威厳をひしひしと感じられますから、私がチカ様に気付かないなんて事はありませんけどね?チカ様はどこに居てもチカ様ですから、私がチカ様を見失う事はありません。ですから、パーティーの間はいつでもチカ様を見てますから、安心して参加して下さい!」
ーいや、寧ろ、ある意味安心できないけどね?ー
とは言えない。そして、やっぱりフラムは震えていた。
******
パーティー会場は、王城で1番広くて豪華なホールで行われている。
オールデン神の祝福が現れた事もあり、誰一人反対する者は居らず、ルドヴィクさんが名実共に国王となった。『あの子、婚約者すら居ないから、これから大変でしょうね』と、私の肩に座っているフラムが呟く。
確かに、王太子でそこそこいい年齢なのに、婚約者が居ないのは何故?と思っていた。イケメンでマトモな性格で国王となれば……ご令嬢達にゴングが鳴り響く事になるだろう。
ー頑張って下さいー
はい、私、今、パーティー会場の壁際にひっそりと控えています。私の横には、私と同じように、どこかの国の侍従や侍女達が、主を見つめながら壁際に控え並んでいます。ホール内では立食形式の食事が用意され、それを口にする人達や、新国王となったルドヴィクさんに挨拶をしている人達、ダンスを踊っている人達など、私の予想とは違ってラフな感じのパーティーが繰り広げられている。
これだけ賑やかであれば、尚更私の存在感は薄くなっていると思うのに、何故か、私がネッドさんに視線を向けると、9割の確率でネッドさんと視線が合うのは、もう気のせいにはできない。
ちなみに、ネッドさんはルドヴィクさんの側近として、ルドヴィクさんの側に控えている。
そして、もう1人。ダークグレーの短髪、葵色の瞳をしたブラントさんも居る。二度と会う事はないと思っていたけど…。とは言え、今の私はミヅキではないから、以前のように、お互い素で話すことはないだろう。挨拶ぐらいは……したかったけど。
ルドヴィクさんは、色んな人達と言葉を交わしていき、時折そこにブラントさんが会話に加わる─と言う事を繰り返している。
大神官イシュメルさんも、ホール内を歩きながら、色んな人達と挨拶を交わしている。中には、他国から来た聖職者のような人も居る。
ー本当に、お偉いさんは大変だよねー
それから、他国からの参列者との挨拶がほぼほぼ終わり掛けた頃、比較的若い男女2人が「ご挨拶が遅くなりました。すみません」と、慌ててルドヴィクさんの元へとやって来た。
男性は金髪緑眼と言う、典型的な王子様。
女性の方は顔は見えなかったけど、黒色の綺麗な髪をしている。
『あ、あの子…あの子が、ジョセリンの言ってた王太子と……聖女?かも……?』
聖女かも?と、疑問形な上に、フラムが首を傾げてその女性を見ている。私もその彼女に視線を向けて、ジッと見つめてみる。
「?」
確かに、彼女からは、オールデンさんの気配の様なモノを感じる。それは、オールデンさんが彼女を召喚したと言う証になるんだろうけど……そこには、違和感もある。
ー彼女は……聖女なの?ー
ふと浮かんだ問いが、ソレだった。
彼女を召喚したのは、オールデンさん。
でも、イシュメルさんは、私が召喚されて以降、新たに聖女を召喚すると言う声は聞いてない。
ー彼女は、召喚されて異世界からやって来たけど、聖女ではない?ー
私がジッと、その彼女を見つめているせいか、ネッドさんも彼女を注視している。
私とネッドさん達との間はそれなりにあるのに、ネッドさんには私の視線の先が……分かるらしい。
ーあれ?ちゃんと認識阻害の魔法、掛かってる…よね?ー
と少し不安に思った時、その彼女がホール内をキョロキョロと見回しだし、彼女の顔が見えた。
「────え?」
思わず口からの言葉が溢れた。
ー何故?ー
『チカ、どうしたの?大丈夫?』
私の肩に座っていたフラムが、心配そうな顔をして私の目の前までパタパタと飛んで来た。「大丈夫」と言いたいけど……大丈夫ではない。何がどうなっているのか分からない。
隣国の聖女は、ジョセリンさんと同年だと言っていたから18歳の筈。なら…若返った?いや、見た目は全く変わっていない。確かに、可愛らしい顔で年齢よりも幼く見えたし、18歳に……見えなくもない。
でも────
今、私の目に映っている隣国の聖女は──
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