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47 スローライフ
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「「今日もありがとうございました」」
「チカ様、リン、お疲れ様でした」
色んな事があったあの日から1ヶ月。
リン──平民として生きて行く事を選んだジョセリンさん。それを機に呼び名を“リン”にした。
私とリンは、平民としてアルスティア領での生活を送っている。週に2日、ネッドさんが私達に魔法の指導にやって来てくれている。そして、その指導のもとの訓練が終わると、私が作ったお菓子とリンがブレンドして淹れてくれた紅茶でティータイムを過ごすのが、ルーティンになっているんだけど───
「リンのブレンドティーは美味しいな」
「ありがとうございます」
「チカ様の作ったケーキも美味しいです。やはり、チカ様の作った物には癒やしの魔法が掛かってますから、ここに指導に来る度に健康になっていく感じですね。ありがとうございます!」
「チカは料理も作るのか?」
「いやいやいやいや!いつもしれっとネッドさんと一緒に来てるけど、暇なんですか!?」
週2回やって来るネッドさんに、何故かいつもルドヴィクさんとブラントさんが付いてやって来る。ルドヴィクさんは国王で、ブラントさんは第一騎士団の副団長ではなかっただろうか?そんなお偉いさんが、こんな辺境地に週2回もやって来るっておかしくない?王都でやる事、しないといけない事あるよね?
「勿論暇ではないが、ここに来ると城に帰った後は仕事が捗って、寧ろ効率が上がるんだ。だから、逆に仕事については余裕があるから、心配しなくても大丈夫だ」
ー心配はしてないけどー
「俺も、ここに来た後の方が体が軽くなって動きが良くなって訓練も捗っているし、事務作業も終わらせてあるから問題無い」
ー問題ありだからね?ー
とは言え──
「リン、ここでの生活はどうだ?」
「色々大変な事はありますけど、チカさんが助けてくれますし、自分にできる事が少しずつ増えていくのがとても楽しいです」
リンが楽しそうにしているから何とも言えないところだ。それに、ルドヴィクさんとリン……良い感じの雰囲気なんだよね…。お互い恋心とかはまだ無いと思うけど、そう言う仲になってもおかしくないと思っている。国は違えど、リンは王妃教育を受けていたし、公爵令嬢だったからマナーも完璧。ハニーブロンドの髪にチョコレートみたいな瞳の綺麗な女の子。公爵令嬢だったのに驕る事もなく、素直過ぎるぐらいの純粋培養だけど、芯はしっかりしてる…良いお嫁さんになるだろう。
「えー…嫁に出せるかなぁ?」
「何を言ってるんだ?」
「あ…あの2人を見てると、将来リンを笑顔で嫁として送り出せるかな?と思って。うーん…私を倒してからにしてもらおうかな?」
「チカ様を倒す!?それは現実問題としては色んな意味で無理でしょうが、その前に私を倒してからにしてもらいます。チカ様が望むなら再起不能にします。チカ様には指一本触れさせませんから。そうですね…もし触れた場合はその手を──」
「ネッドさん、クッキーもあるけど要りますか?」
「!」
コクコクと頷くネッドさんに、チョコレートクッキーを用意した。
「確かに、ルドヴィクとリンは良い感じだな」
「ブラントさんも、そう思いますか?」
今椅子に座って話をしているのは私とブラントさん。ネッドさんは椅子に座ったまま寝てしまっていて、ルドヴィクさんとリンは2人で庭を散歩している。
「ルドヴィクのあんな穏やかな顔は、今迄見た事がなかったからな。まぁ…まだまだ無自覚だろうけど」
「それを言うならリンも無自覚ですよ」
初々しいったらありゃしない。私にもこんな時が……なかったなぁ………。色々必死過ぎて、航にも素直に甘えたりした事がなかったかもしれない。そんな可愛げがない私より、見た目も可愛くて甘え上手な田辺さんに気が行くのも当然の事だったのかもしれない。今となってはどうでも良いけど。
「そうそう、チカ、これお土産」
「お土産?」
ブラントさんが手に持っているのは手の平サイズの小瓶。中には色んな色の飴が入っている。
「王都に新しくできた店で売ってて、見た目も味も良いから人気があるんだ。良かったらどうぞ」
「ありがとうございます。本当に綺麗ですね。食べるのが勿体無いぐらい…って、ブラントさんに優しくされるのって、なんだか不思議と言うか、ムズムズしますね」
「俺はいつも紳士的で優しいと思うが?」
「ソウデスネ。私以外にはヤサシイですね」
まぁ、裏表が無いから逆に楽と言えば楽だったけど。
「そう言えば、第二王子ってどうしてるんですか?一緒に旅に出た他のメンバーとも会いませんけど……」
「気になるのか?」
「気になると言うか……」
どこかでバッタリ会ったりしたら嫌なだけ。会ったとしても、この姿だと気付かれないだろうけど。
「ジュリアスの事が気になるのか?」
「ジュリアスさん……」
正直、田辺さんの事でスッカリ忘れてた。しかも、その名前を聞いても何とも思わない。
「特別気になると言う事はないですね。皆、どうしてるのかな?って思うぐらいです。ある意味、あの人達のお陰で、今のスローライフがある訳ですからね…ふふっ…」
「なるほど。確かに…そうだな」
少し機嫌が悪そうだったブラントさんは、少し笑った後、メンバーだった4人の事を教えてくれた。
「チカ様、リン、お疲れ様でした」
色んな事があったあの日から1ヶ月。
リン──平民として生きて行く事を選んだジョセリンさん。それを機に呼び名を“リン”にした。
私とリンは、平民としてアルスティア領での生活を送っている。週に2日、ネッドさんが私達に魔法の指導にやって来てくれている。そして、その指導のもとの訓練が終わると、私が作ったお菓子とリンがブレンドして淹れてくれた紅茶でティータイムを過ごすのが、ルーティンになっているんだけど───
「リンのブレンドティーは美味しいな」
「ありがとうございます」
「チカ様の作ったケーキも美味しいです。やはり、チカ様の作った物には癒やしの魔法が掛かってますから、ここに指導に来る度に健康になっていく感じですね。ありがとうございます!」
「チカは料理も作るのか?」
「いやいやいやいや!いつもしれっとネッドさんと一緒に来てるけど、暇なんですか!?」
週2回やって来るネッドさんに、何故かいつもルドヴィクさんとブラントさんが付いてやって来る。ルドヴィクさんは国王で、ブラントさんは第一騎士団の副団長ではなかっただろうか?そんなお偉いさんが、こんな辺境地に週2回もやって来るっておかしくない?王都でやる事、しないといけない事あるよね?
「勿論暇ではないが、ここに来ると城に帰った後は仕事が捗って、寧ろ効率が上がるんだ。だから、逆に仕事については余裕があるから、心配しなくても大丈夫だ」
ー心配はしてないけどー
「俺も、ここに来た後の方が体が軽くなって動きが良くなって訓練も捗っているし、事務作業も終わらせてあるから問題無い」
ー問題ありだからね?ー
とは言え──
「リン、ここでの生活はどうだ?」
「色々大変な事はありますけど、チカさんが助けてくれますし、自分にできる事が少しずつ増えていくのがとても楽しいです」
リンが楽しそうにしているから何とも言えないところだ。それに、ルドヴィクさんとリン……良い感じの雰囲気なんだよね…。お互い恋心とかはまだ無いと思うけど、そう言う仲になってもおかしくないと思っている。国は違えど、リンは王妃教育を受けていたし、公爵令嬢だったからマナーも完璧。ハニーブロンドの髪にチョコレートみたいな瞳の綺麗な女の子。公爵令嬢だったのに驕る事もなく、素直過ぎるぐらいの純粋培養だけど、芯はしっかりしてる…良いお嫁さんになるだろう。
「えー…嫁に出せるかなぁ?」
「何を言ってるんだ?」
「あ…あの2人を見てると、将来リンを笑顔で嫁として送り出せるかな?と思って。うーん…私を倒してからにしてもらおうかな?」
「チカ様を倒す!?それは現実問題としては色んな意味で無理でしょうが、その前に私を倒してからにしてもらいます。チカ様が望むなら再起不能にします。チカ様には指一本触れさせませんから。そうですね…もし触れた場合はその手を──」
「ネッドさん、クッキーもあるけど要りますか?」
「!」
コクコクと頷くネッドさんに、チョコレートクッキーを用意した。
「確かに、ルドヴィクとリンは良い感じだな」
「ブラントさんも、そう思いますか?」
今椅子に座って話をしているのは私とブラントさん。ネッドさんは椅子に座ったまま寝てしまっていて、ルドヴィクさんとリンは2人で庭を散歩している。
「ルドヴィクのあんな穏やかな顔は、今迄見た事がなかったからな。まぁ…まだまだ無自覚だろうけど」
「それを言うならリンも無自覚ですよ」
初々しいったらありゃしない。私にもこんな時が……なかったなぁ………。色々必死過ぎて、航にも素直に甘えたりした事がなかったかもしれない。そんな可愛げがない私より、見た目も可愛くて甘え上手な田辺さんに気が行くのも当然の事だったのかもしれない。今となってはどうでも良いけど。
「そうそう、チカ、これお土産」
「お土産?」
ブラントさんが手に持っているのは手の平サイズの小瓶。中には色んな色の飴が入っている。
「王都に新しくできた店で売ってて、見た目も味も良いから人気があるんだ。良かったらどうぞ」
「ありがとうございます。本当に綺麗ですね。食べるのが勿体無いぐらい…って、ブラントさんに優しくされるのって、なんだか不思議と言うか、ムズムズしますね」
「俺はいつも紳士的で優しいと思うが?」
「ソウデスネ。私以外にはヤサシイですね」
まぁ、裏表が無いから逆に楽と言えば楽だったけど。
「そう言えば、第二王子ってどうしてるんですか?一緒に旅に出た他のメンバーとも会いませんけど……」
「気になるのか?」
「気になると言うか……」
どこかでバッタリ会ったりしたら嫌なだけ。会ったとしても、この姿だと気付かれないだろうけど。
「ジュリアスの事が気になるのか?」
「ジュリアスさん……」
正直、田辺さんの事でスッカリ忘れてた。しかも、その名前を聞いても何とも思わない。
「特別気になると言う事はないですね。皆、どうしてるのかな?って思うぐらいです。ある意味、あの人達のお陰で、今のスローライフがある訳ですからね…ふふっ…」
「なるほど。確かに…そうだな」
少し機嫌が悪そうだったブラントさんは、少し笑った後、メンバーだった4人の事を教えてくれた。
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