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偽りの舞台
第45話 証拠(1)
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エリックは帝都の運送業組合に預けられていた「かわいそうな馬」とビックスの荷台を引き取った。
ケイトの手続きが終わり、新たな主人を得た馬と、組合の倉庫に眠っていた荷台を運ぶためだ。
「あんちゃん、俺が面倒を見ていたんだ。」
組合で馬の世話をしている小姓がエリックに駄賃をせびった。
「いいだろう、ハイマー商会の大旦那様がお前には特別に駄賃を預かってきているからな。」
そう言って小銀貨5枚を手渡した。
「すげえよあんちゃん、俺、こんなにもらっていいのか?」
「ああ、大旦那様が『優しい子もいるものだ。』と褒めていたからな。
遠慮なくもらっておけ。」
「うん、ありがとう。
今度商会の馬が来た時には俺がちゃんと面倒を見てやるよ。」
「ああ、頼んだぞ。
そうだ、ついでに聞いてもいいか?」
「うん、俺の知っていることならなんでも話すぜ。」
「この荷馬車なんだが、ここに預けられた経緯を知っているか?
例えば誰に頼まれたとか、どこから引き取ったとか。」
「それなら、巡回警備の隊長さんって親方が言ってたぞ。
ダイス先生のところに空の荷馬車があるから組合で預かってくれって。
荷物を帝都まで運んで、そこから依頼人にところへ運ぶときに、荷物の入れ替えが大変だから、荷馬車ごと借りて運ぶときもあるぜ。
そんときゃ空の荷馬車を引きとっておけば、
後で持ち主が取りに来て、手間賃をもらえるんだ。」
「ほう、それじゃこの荷馬車は持ち主が現れなかったんだな。」
「そうさ、荷台をつなぎっぱなしじゃ馬がかわいそうだから、荷台から外して馬の面倒を見ていたんだ。
ビッグスという親方が帝都にいるから取りに行くはずだって。」
「でも結局取りに来なかった。」
「どうせ飲んだくれて忘れちまったんだろうと思ったけどよ、ずっと取りに来ないんだよ。
こいつが捨てられちまったかと思って、かわいそうになってな。
おいらが面倒を見ていたんだ。」
「そうか、それはいいことをしたな。
それじゃこいつは引き取っていくぜ。」
「ああ、元気でな。
ちゃんと飯食うんだぞ。」
小姓は馬の鼻先を軽く撫でてそう言った。
商会に戻ったエリックは、早速荷馬車を点検した。
「馬の健康は良し、特に変わったところもないな。
今日からここがお前の家だ。安心していいぞ。」
馬を荷馬車から解放して厩に連れて行き、十分に水と飼葉を与えて休ませた。
「お次はこれだな。」
そう言って荷馬車に不具合がないか点検していると、
ダッシュボードの隙間に何かが挟まっているを見つけた。
「なんだ、これ。」
注意深く見ると、封筒が差し込まれていた。
今にもちぎれそうだったので、注意深く引き出し、そのまま執務室へ持って行くことにした。
私は父とコレットブランドの販売方法について父と打ち合わせをしていた。
そこへトーマスとエリックが入ってきた。
「旦那様、荷馬車の引き受けをしてまいりました。
先ほど荷馬車を点検していた時に、この封筒を見つけました。
ダッシュボードの隙間に挟まっていたのですが。」
そう言って白い紙に乗せられた封筒をテーブルの上に置いた。
その封筒には封がされておらず、手で簡単に開けることが出来た。
中には折りたたまれた紙が1枚入っていた。
ケイトの手続きが終わり、新たな主人を得た馬と、組合の倉庫に眠っていた荷台を運ぶためだ。
「あんちゃん、俺が面倒を見ていたんだ。」
組合で馬の世話をしている小姓がエリックに駄賃をせびった。
「いいだろう、ハイマー商会の大旦那様がお前には特別に駄賃を預かってきているからな。」
そう言って小銀貨5枚を手渡した。
「すげえよあんちゃん、俺、こんなにもらっていいのか?」
「ああ、大旦那様が『優しい子もいるものだ。』と褒めていたからな。
遠慮なくもらっておけ。」
「うん、ありがとう。
今度商会の馬が来た時には俺がちゃんと面倒を見てやるよ。」
「ああ、頼んだぞ。
そうだ、ついでに聞いてもいいか?」
「うん、俺の知っていることならなんでも話すぜ。」
「この荷馬車なんだが、ここに預けられた経緯を知っているか?
例えば誰に頼まれたとか、どこから引き取ったとか。」
「それなら、巡回警備の隊長さんって親方が言ってたぞ。
ダイス先生のところに空の荷馬車があるから組合で預かってくれって。
荷物を帝都まで運んで、そこから依頼人にところへ運ぶときに、荷物の入れ替えが大変だから、荷馬車ごと借りて運ぶときもあるぜ。
そんときゃ空の荷馬車を引きとっておけば、
後で持ち主が取りに来て、手間賃をもらえるんだ。」
「ほう、それじゃこの荷馬車は持ち主が現れなかったんだな。」
「そうさ、荷台をつなぎっぱなしじゃ馬がかわいそうだから、荷台から外して馬の面倒を見ていたんだ。
ビッグスという親方が帝都にいるから取りに行くはずだって。」
「でも結局取りに来なかった。」
「どうせ飲んだくれて忘れちまったんだろうと思ったけどよ、ずっと取りに来ないんだよ。
こいつが捨てられちまったかと思って、かわいそうになってな。
おいらが面倒を見ていたんだ。」
「そうか、それはいいことをしたな。
それじゃこいつは引き取っていくぜ。」
「ああ、元気でな。
ちゃんと飯食うんだぞ。」
小姓は馬の鼻先を軽く撫でてそう言った。
商会に戻ったエリックは、早速荷馬車を点検した。
「馬の健康は良し、特に変わったところもないな。
今日からここがお前の家だ。安心していいぞ。」
馬を荷馬車から解放して厩に連れて行き、十分に水と飼葉を与えて休ませた。
「お次はこれだな。」
そう言って荷馬車に不具合がないか点検していると、
ダッシュボードの隙間に何かが挟まっているを見つけた。
「なんだ、これ。」
注意深く見ると、封筒が差し込まれていた。
今にもちぎれそうだったので、注意深く引き出し、そのまま執務室へ持って行くことにした。
私は父とコレットブランドの販売方法について父と打ち合わせをしていた。
そこへトーマスとエリックが入ってきた。
「旦那様、荷馬車の引き受けをしてまいりました。
先ほど荷馬車を点検していた時に、この封筒を見つけました。
ダッシュボードの隙間に挟まっていたのですが。」
そう言って白い紙に乗せられた封筒をテーブルの上に置いた。
その封筒には封がされておらず、手で簡単に開けることが出来た。
中には折りたたまれた紙が1枚入っていた。
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