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3話 ルームメイトは転生動物
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寮の部屋に荷物を運び込みながら、ミアは上機嫌だった。
(やったー! アレクシスに会えたー!)
慌てて周りを見回すが、ルームメイトはまだ到着していないようで胸をなでおろす。
「いけないいけない。『お会いできて光栄でした』でしょ」
鏡の前で淑女の礼や、高めのきどった声の練習をしていると、扉がバタンと開いた。
「よー、新入生」
入ってきたのは、ミアと同い年くらいの少女。ウルフカットの黒髪が似合うが、どこか不良っぽい雰囲気。
(ひー!!やっぱり、怖い人だ!)
ミアは内心ビビりながらも、先手を取って名乗りを上げた。
「あ、あの、お初にお目にかかります。ミア・ハートウェルと申します」
「あァ? なんだその堅っ苦しい喋り方」
少女は面倒くさそうに顔をしかめ、制服のジャケットをベッドに脱ぎ捨てる。
「わりぃ、自己紹介が遅れちまった。俺はサクラ・タケダだ。元ヤンキー野良犬のオス——今は女だけどな」
サクラはベッドの上で犬みたいに、足で頭をポリポリ掻きながらしゃべっている。
人の振り見て我が振り直せだ。ミアは肝に銘じた。
「お前は……やんちゃ猫のメスってところか?」
「!!!」
図星すぎて言葉が出ない。
それより、前世がオスで今は女性って大変そう!
「私、元は黒猫でね。1歳の時に酔っ払いの魔動車にはねられて死んじゃった。
女神様に転生させてもらって、10歳の女の子として田舎の貴族の娘に生まれ変わったの」
「ああ、あの女神さまだろ?新人の」
サクラがにやりと笑いながら言うと、ミアの顔はますます赤くなった。
「にゃぜそれを」
「同族だからな。匂いで分かる」
サクラはベッドにどかっと座ると、天井を見上げた。
「人間になるのって、思ってたより大変だよな」
その言葉に、ミアの緊張がふっと解けた。同じ境遇の人がいるなんて。
「そう、ですにゃぁ」
「おっ、ちょっと素が出たじゃねーか」
サクラが振り返る。その表情は不良っぽいけれど、どこか優しかった。
「でもよ、無理すんなよ。お前はお前らしくいりゃあいいんだ」
「でも、私には好きな人がいて、その人は上品な女性がお似合いだから」
「あー、そういうことか、ま、お前見た目だけはおしとやかだもんな」
サクラは納得したようにうなずいた。
「頑張るのは勝手だけどよ、本当の自分を隠し続けるのは疲れるぞ?」
「サクラちゃんって呼んでもいいかな?転生動物仲間、今日から友達だよ」
「友達(ダチ)か。悪くないな」
サクラも、珍しく素直な笑顔を見せた。
こうして、転生動物同士の奇妙な友情が始まった。
(やったー! アレクシスに会えたー!)
慌てて周りを見回すが、ルームメイトはまだ到着していないようで胸をなでおろす。
「いけないいけない。『お会いできて光栄でした』でしょ」
鏡の前で淑女の礼や、高めのきどった声の練習をしていると、扉がバタンと開いた。
「よー、新入生」
入ってきたのは、ミアと同い年くらいの少女。ウルフカットの黒髪が似合うが、どこか不良っぽい雰囲気。
(ひー!!やっぱり、怖い人だ!)
ミアは内心ビビりながらも、先手を取って名乗りを上げた。
「あ、あの、お初にお目にかかります。ミア・ハートウェルと申します」
「あァ? なんだその堅っ苦しい喋り方」
少女は面倒くさそうに顔をしかめ、制服のジャケットをベッドに脱ぎ捨てる。
「わりぃ、自己紹介が遅れちまった。俺はサクラ・タケダだ。元ヤンキー野良犬のオス——今は女だけどな」
サクラはベッドの上で犬みたいに、足で頭をポリポリ掻きながらしゃべっている。
人の振り見て我が振り直せだ。ミアは肝に銘じた。
「お前は……やんちゃ猫のメスってところか?」
「!!!」
図星すぎて言葉が出ない。
それより、前世がオスで今は女性って大変そう!
「私、元は黒猫でね。1歳の時に酔っ払いの魔動車にはねられて死んじゃった。
女神様に転生させてもらって、10歳の女の子として田舎の貴族の娘に生まれ変わったの」
「ああ、あの女神さまだろ?新人の」
サクラがにやりと笑いながら言うと、ミアの顔はますます赤くなった。
「にゃぜそれを」
「同族だからな。匂いで分かる」
サクラはベッドにどかっと座ると、天井を見上げた。
「人間になるのって、思ってたより大変だよな」
その言葉に、ミアの緊張がふっと解けた。同じ境遇の人がいるなんて。
「そう、ですにゃぁ」
「おっ、ちょっと素が出たじゃねーか」
サクラが振り返る。その表情は不良っぽいけれど、どこか優しかった。
「でもよ、無理すんなよ。お前はお前らしくいりゃあいいんだ」
「でも、私には好きな人がいて、その人は上品な女性がお似合いだから」
「あー、そういうことか、ま、お前見た目だけはおしとやかだもんな」
サクラは納得したようにうなずいた。
「頑張るのは勝手だけどよ、本当の自分を隠し続けるのは疲れるぞ?」
「サクラちゃんって呼んでもいいかな?転生動物仲間、今日から友達だよ」
「友達(ダチ)か。悪くないな」
サクラも、珍しく素直な笑顔を見せた。
こうして、転生動物同士の奇妙な友情が始まった。
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