脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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森の手前で

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騎士団一行は、ようやく目的地である国境近くの森の手前までたどり着いた。

太陽はすでに傾き、森の中に入るには暗すぎる時間だ。指揮官が「ここで一晩休み、明朝から本格的に森の調査を開始する」と指示を出すと、全員が川辺で野営の準備を始めた。

「ふぅ、ここまでけっこうかかったね」
リディアは魔法の絨毯から降りると、大きく伸びをした。目の前には静かな川が流れ、水面に月が映っている。

周囲の騎士たちは馬をつなぎ、テントを組み立てるなど忙しそうに動いているが、どこかリラックスした雰囲気が漂っていた。

「さて、今日の夕飯は何にしようかね~」
リディアがメリーちゃんに話しかけると、メリーちゃんは「メェ!」と元気よく鳴いて尻尾を振った。ふわふわ毛の中から、湯気を立てる鍋とパン、さらに器を取り出してくれる。
「おお、今日のスープはグラタンスープか!」とハーゲンが驚きの声を上げる。リディアは「そう! あつあつだよ!」と胸を張って自慢げに答えると、鍋のふたを開けてクリーミーな香りを漂わせた。

「ところで、この辺りにはいい獲物もいるんだよな……ちょっと狩りでもしてくるか」
そう言ったハーゲンは、斧を片手に森のほうへと向かう。数十分後、大きな猪を肩に担いで戻ってきたその姿に、一同は驚きと歓声を上げた。

「すげえ、丸々一頭じゃねえか!」「さすが熊騎士!」
騎士たちが沸き立つ中、ハーゲンは得意げに鼻を鳴らしつつ、猪を解体し始める。彼が手際よく火を起こし、肉を串に刺して炙り始めると、川辺にジューシーな香りが漂い始めた。

「さっきのスープと合わせたら最高だな」
「うん、これで豪華なディナーになるよ!」
リディアも手伝いながら、グラタンスープをひとりひとりに配る準備をする。メリーちゃんは取り出したパンを籠に並べ、タフィーちゃんはぷるんと体を揺らしながらその香りを楽しんでいるようだった。

夜が更ける頃、騎士団全員での夕食が始まった。炙られた猪肉は香ばしく、外はカリッと中はジューシー。グラタンスープの濃厚な味わいとともに、疲れた体をしっかり満たしてくれる。
パンをちぎってスープにつけたり、肉に挟んで食べたりと、皆の食べ方も様々だ。

「うまい! こんな飯、普段の食事より豪華だぜ」
「メリーちゃんの毛はまるで魔法のポケットだな」
「いや、リディアのおかげだよな。毎回ご馳走にありつけるなんて思ってなかった」
騎士たちから感謝や賞賛の言葉が飛び交い、リディアは「えへへ、喜んでもらえてよかった!」と笑顔で応える。

セリルも静かにスープを味わいながら、「疲れた体にちょうどいいですね。リディアさん、本当にありがとうございます」と礼を言う。リディアは少し照れながら「どういたしまして! みんなが元気でいられるのが一番だもん」と返した。

食事を終えたあとは、穏やかな会話と笑い声が川辺に響く。リディアはふと遠くの森を見つめながら、「明日はあの中を進むんだよね。魔物がいそうで怖いけど、みんながいるから大丈夫だね」と小さく呟く。

メリーちゃんは「メェ!」と元気よく応え、タフィーちゃんも「ぷるぷるん」と楽しげに揺れる。その様子に、ハーゲンもセリルもつられて笑顔を浮かべた。

「さあ、今日はゆっくり休もう。明日は早いぞ!」
ハーゲンの声に従い、騎士たちは次々と寝袋やテントの中に消えていく。一方、リディアたちはメリーちゃんの力で秘密基地へ戻り、ふかふかの布団でぐっすり眠る準備をするのだった。
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