脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

文字の大きさ
95 / 209

奮闘する騎士団

しおりを挟む
森の奥へ進むにつれ、木々が密集し、周囲の空気が次第に重くなる。
まるで森そのものが生きているかのような不気味さに、リディアは少しだけ身をすくめた。それでも騎士たちの頼もしい後ろ姿を見て、気持ちを奮い立たせる。

「みんな、頑張ろうね。わたしも支援で力になるから!」
リディアが声を上げると、メリーちゃんが「メェ!」と応え、タフィーちゃんも「ぷるるん!」と跳ねた。

森の奥では、まさに噂通り、大量発生した魔物たちが待ち構えていた。ゴブリンや動く蔦、獣型の魔物が次々と現れ、騎士たちは陣形を整えて応戦する。戦場は一瞬で緊迫した空気に包まれた。

「リディア、後方支援を頼む!」
ハーゲンが大声を飛ばしながら、巨大な斧を振り回して魔物たちを薙ぎ倒していく。彼の動きはまさに熊そのもので、一撃ごとに周囲の魔物たちが吹き飛ぶ。

リディアは治癒ポーションを怪我人に配りつつ、傷ついた騎士たちに治癒魔法を施す。手のひらから温かな光が漏れ出し、深い傷口を徐々に塞いでいく。

「大丈夫、大丈夫。痛みが消えるまで、ちょっとだけ我慢してね!」
治癒を終えると、今度は前線のサポートに回る。動きを止めるためにくにゃくにゃポーションを投げたり、ニコニコポーションで魔物たちを笑い転げさせたりと、休む暇もなく忙しく働いた。

しかし、戦場はそう簡単に進むものではない。リディアがポーションを取り出そうと袋に手を伸ばしたその瞬間、背後から魔物が襲いかかってきた。鋭い爪が振り下ろされ、リディアは息を飲む。

「危ない!」
セリルが声を上げるが、距離が遠く間に合わない。リディアが目を閉じかけたそのとき、タフィーちゃんが素早く反応した。ぷるんと身体を揺らし、熱々のチョコレート液を勢いよく噴射する。

「あつっ、あつっ!」
魔物は突然の攻撃に驚き、焼けるような熱さに動きを鈍らせる。その隙にタフィーちゃんがさらにチョコレートブロックを生成し、魔物の動きを封じるように塞いでしまった。

「タフィーちゃん、ありがとう! 助かったよ!」
リディアは目を輝かせてタフィーちゃんを撫でる。タフィーちゃんは誇らしげに「ぷるぷるん!」と体を揺らし、甘い香りを漂わせた。

一方、ハーゲンは前線で熊のような雄叫びを上げながら、次々に魔物を薙ぎ倒していた。大剣を振るう姿は圧倒的で、魔物たちがひるむほどの迫力だ。

「おらおら、かかってこい! 俺を怒らせたことを後悔させてやる!」
その言葉通り、ハーゲンの斧は魔物たちをなぎ倒し、まるで嵐のような勢いを見せている。騎士たちも彼に続き、全力で戦闘を続けていた。

リディアは必死にサポートを続けながら、騎士たちの活躍に勇気をもらっていた。
「わたしも負けてられないね! タフィーちゃん、メリーちゃん、行くよ!」
再び立ち上がり、次々とポーションを投げ、必要な治癒を施していく。彼女の周りには小さな光が舞うようで、戦場の中でもほっとする温もりが感じられた。

こうして、騎士たちの勇猛な戦いとリディアたちの支援によって、一行は魔物の大量発生地帯を制圧する一歩手前まで進むのだった。
森の奥深くにはまだ謎が残されているが、リディアの仲間たちは確かな信頼と力でその一歩を切り開いていくのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

【完結】期間限定聖女ですから、婚約なんて致しません

との
恋愛
第17回恋愛大賞、12位ありがとうございました。そして、奨励賞まで⋯⋯応援してくださった方々皆様に心からの感謝を🤗 「貴様とは婚約破棄だ!」⋯⋯な〜んて、聞き飽きたぁぁ! あちこちでよく見かける『使い古された感のある婚約破棄』騒動が、目の前ではじまったけど、勘違いも甚だしい王子に笑いが止まらない。 断罪劇? いや、珍喜劇だね。 魔力持ちが産まれなくて危機感を募らせた王国から、多くの魔法士が産まれ続ける聖王国にお願いレターが届いて⋯⋯。 留学生として王国にやって来た『婚約者候補』チームのリーダーをしているのは、私ロクサーナ・バーラム。 私はただの引率者で、本当の任務は別だからね。婚約者でも候補でもないのに、珍喜劇の中心人物になってるのは何で? 治癒魔法の使える女性を婚約者にしたい? 隣にいるレベッカはささくれを治せればラッキーな治癒魔法しか使えないけど良いのかな? 聖女に聖女見習い、魔法士に魔法士見習い。私達は国内だけでなく、魔法で外貨も稼いでいる⋯⋯国でも稼ぎ頭の集団です。 我が国で言う聖女って職種だからね、清廉潔白、献身⋯⋯いやいや、ないわ〜。だって魔物の討伐とか行くし? 殺るし? 面倒事はお断りして、さっさと帰るぞぉぉ。 訳あって、『期間限定銭ゲバ聖女⋯⋯ちょくちょく戦闘狂』やってます。いつもそばにいる子達をモフモフ出来るまで頑張りま〜す。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結まで予約投稿済み R15は念の為・・

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!

チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。 お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

処理中です...