脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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川の中の先生

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リディアが完成したポーションを手に、満足げに微笑む中、テーブルに広げていた魔法の地図が静かに揺れた。そして、得意げに胸を張るように小さな文字を浮かび上がらせた。

「ほら、また新しい場所を指してる!」
リディアはその文字を覗き込み、目を輝かせる。

地図が指し示しているのは、ダンジョンの外にある小川だった。そこは、秘密基地のお風呂が完成する前に、リディアが水浴びをしていた場所だ。冷たく澄んだ水が心地よく、森の静けさと鳥のさえずりに包まれるその小川は、リディアにとって思い出の場所だった。

「また小川に行けるなんて! 何か面白いことが待ってるのかな?」
リディアはわくわくしながら、エプロンを脱いで準備を始めた。

「メリーちゃん、タフィーちゃん、行くよ!」
メリーちゃんは「メェ!」と大きく鳴きながらふわふわ毛を揺らし、タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と勢いよく弾みながら準備万端な様子を見せた。

魔法の地図を巻いてふわもこ毛に収納すると、リディアたちは秘密基地を飛び出した。足取りは軽く、全員が次の冒険に胸を躍らせている。

青い空と爽やかな風の中、小川のせせらぎが聞こえてきた。木々の隙間から差し込む光が美しく、リディアは思わず足を止めて深呼吸をした。

「ここ、やっぱり素敵な場所だよね! 小川がきらきらしてる!」
目の前には昔と変わらず透き通る水が流れ、小さな魚が泳ぐ姿が見える。リディアは魔法の絨毯をそっと地面に下ろし、川辺へ近づいた。

「でも地図が指してるってことは、ただの小川じゃないんだよね。何かがあるはず!」
リディアが好奇心いっぱいの声を上げると、メリーちゃんは鼻をひくひくさせ、川辺を歩き回り始めた。タフィーちゃんも水の中に入ってぷるぷると浮かびながら、まるで何かを探すかのように動いている。

「二人とも、何かわかった?」
リディアが声をかけると、メリーちゃんが「メェ!」と大きく鳴き、川の中央を指し示した。その先には小さな水流が渦を巻いている場所が見えた。

「もしかして、あそこがヒントかな? よし、行ってみよう!」
リディアは靴を脱ぎ、水の中に足を踏み入れた。冷たくて気持ちの良い感触に顔をほころばせながら、渦巻く水流へと近づいていく。

リディアたちは川の渦をじっと見つめ、しばらく様子をうかがっていたが、期待と好奇心が胸の中で膨らみきっていた。

「これは絶対にただの渦じゃないよね。きっと、何か秘密が隠されてるんだ!」
リディアは満面の笑みを浮かべながら、ポーチから星の水中ポーションを取り出した。

「みんな、これを飲んでから行くよ!」
リディアがポーションの瓶を差し出すと、メリーちゃんは「メェ!」と鳴いて口を開け、タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と跳ねながら星の水中ポーションを吸い込んだ。リディアも自分の分を一気に飲み干し、キラキラ輝く星のような液体が体に広がる感覚を感じた。

「よし、いざ渦の中へ!」
リディアはポーションの力を信じて、メリーちゃんとタフィーちゃんと一緒に渦の中に飛び込んだ。

水中は暗いかと思いきや、ポーションのおかげで視界は鮮やかだった。星のようにカラフルな光が水中にまたたき、リディアたちの行く手を照らしてくれる。水草がゆらゆらと揺れる中、カラフルな魚が群れをなして泳ぎ、足元には小さなザリガニが歩いている。

「わあ、こんな綺麗な世界が川の中に広がってるなんて!」
リディアは目を輝かせながら、ふわふわと進むメリーちゃんの背を追いかけた。タフィーちゃんは水中でも驚くほど元気に跳ね回り、その弾力のある体で小さな泡を作り出して遊んでいる。

渦の中心に近づくと、水流が弱まり、広々とした空間が現れた。そこはまるで学者の部屋のような場所だった。岩や水草に囲まれた空間には古びた本や巻物が整然と並べられ、水中とは思えない静かな雰囲気が漂っている。

そしてその中央に、ひときわ大きな甲羅を背負った亀のおじいさんが座っていた。長い白い髭を揺らしながら、ゆったりと本を読んでいるその姿に、リディアは目を丸くした。

「えっと……こんにちは!」
リディアが少し緊張しながら声をかけると、亀のおじいさんはゆっくりと顔を上げた。

「ほほう、こんなところに訪ねてくるとは珍しいのう。」
低く穏やかな声が水中に響き、リディアは安心したように笑顔を見せた。

「星の水中ポーションのおかげでここまで来られたんです。あなたは……この場所の主ですか?」
亀のおじいさんは「その通りじゃ」と頷き、長い髭をなでながら言葉を続けた。

「わしはここで古い知識を守っておる。この川の流れや渦には、古くから秘密が隠されておるんじゃよ。」
リディアの目が輝き、好奇心がさらに膨らむ。

「秘密って……どんなことですか?」
おじいさんはゆっくりと本を閉じ、微笑んだ。

「それを知りたいなら、わしの用意した試練を乗り越えてみるといい。君たちにはその資格があるようじゃ。」

リディアはメリーちゃんとタフィーちゃんを振り返り、二人の応援するような様子に頷いた。
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