脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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大盛況

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星の欠片の力で模様替えされた水中エリアは、今や別世界のような美しさを放っていた。
広大な湖の水面には、カラフルに光る蓮の葉が浮かび、踏むたびに虹色の波紋が広がる仕掛けが施されている。
湖の中央には、廃墟の街から持ち込まれた石造りの カラクリオルゴール が沈められており、ゆっくりと動きながら優雅な音色を奏でていた。
その音は湖全体を包み込み、幻想的な雰囲気をさらに引き立てている。

冒険者たちが続々と集まり始めた。肩車をされた子どもが、「お星さまみたい!」と声を弾ませ、大人たちは息を呑みながらこのエリアの変貌を見つめている。

「ここがあの水中エリアだって? 信じられないな」
恋人を連れた冒険者が呟くと、隣の女性が微笑んで答えた。
「本当にすごい場所ね。連れてきてくれてありがとう!」
ダンジョン内にあるこの場所に辿り着くだけでも難易度が高い。家族や仲間から称賛される冒険者たち。皆誇らしげな顔を浮かべていた。

湖畔で集まった参加者の中には、騎士団の姿もあった。熊騎士ハーゲンは腕を組みながら湖面を見下ろし、鼻を鳴らしている。
「ふむ、これは思った以上だな。リディアのやつ、また妙なことを考えたもんだ」
その隣では、セリルが金髪を揺らしながら静かに頷いた。
「確かに。これなら家族連れや恋人たちが来ても納得する。騎士団としても、この場所の可能性を見逃せないな」

騎士団員たちはそれぞれ湖の輝きに驚きつつ、リディアが計画したイベントの成功を予感しているようだった。

「お待たせしました!」
湖畔に現れたリディアの元気な声が、参加者たちの注意を引いた。ふわふわのメリーちゃんが隣で「メェ!」と鳴き、タフィーちゃんがぷるんと跳ねる姿に、冒険者たちは笑顔を浮かべた。

「今日は水中エリア大冒険に来てくれてありがとう! これから色んなゲームをやるから、みんなで楽しんでね!」
リディアの明るい声が響くと、冒険者たちや騎士団は期待に胸を膨らませて拍手を送った。

「まずは星の水中ポーションを配るよ!」
リディアが小瓶を手渡すと、参加者たちは次々にそれを受け取り、湖の中心を見つめた。これから始まる冒険に向け、全員が心を躍らせていた。湖畔の光景に囲まれた彼らの表情は、期待と興奮で満ちていた。

「さて、最初のプログラムは水中宝探しゲームだよ!」
リディアの声が響くと、参加者たちの視線が湖面へと向かった。透明な水の中には、星空のように輝く模様が広がり、その奥にちらりと見える宝箱らしきものが冒険心をかき立てる。

「この星の水中ポーションを飲むと、水の中でも息ができるし、星の模様も見えるよ! 宝箱を見つけたら持ってきてね。中には面白いものがたくさん入ってるんだ!」
リディアが手渡した小瓶を受け取り、参加者たちは次々にポーションを飲んで湖へと飛び込んでいった。

水中に潜ると、まるで夜空にいるような幻想的な光景が広がっていた。カラクリオルゴールから響く音色が水中にまで届き、どこか心を落ち着かせてくれる。その音色が微妙に変化する場所があり、そこが宝箱の隠し場所のヒントとなっている。

「ここだ、音が違う!」
熊騎士ハーゲンは、大きな体を持て余しながらも手際よく水草をかき分け、小さな宝箱を引き上げた。
「ふん、意外と簡単だな」
そう言いながら蓋を開けると、中には星の模様が浮かぶ光る石が入っている。

一方で、セリルは優雅に泳ぎながら湖底を探していた。
「この模様……あそこに隠れてるな」
彼は小さな裂け目に手を伸ばし、そこから宝箱を引き出すと、周囲の冒険者たちから「さすが!」という声が上がった。

タフィーちゃんはぷるぷると泳ぎながら、甘い香りを漂わせて宝箱の場所を示している。それに気づいた冒険者たちが「ありがとう!」と声をかけながら次々に宝を見つけていった。

水中宝探しがひと段落すると、次は蓮の葉アスレチック大会だ。湖面に浮かぶカラフルな蓮の葉が参加者を待ち受ける。リディアは蓮の葉を指さしながら説明を始めた。
「この葉っぱを渡ってゴールを目指してね! ただし、葉っぱが動いたり沈んだりするから、バランスが大事だよ!」

参加者たちがスタート地点に立つと、一斉にゲームが始まった。光る蓮の葉を次々と渡っていくが、葉が突然沈む仕掛けに驚いて水に落ちる者も続出。
「くっ、油断できない!」
熊騎士ハーゲンは大きな体で慎重に蓮の葉を進む。一歩一歩が重いため、葉が沈みそうになるたびに大きな声が上がった。
「がんばれハーゲンさん!」
周囲から応援を受けながら、ハーゲンは無事にゴールに到達し、ドヤ顔を浮かべている。

セリルは軽やかな動きで蓮の葉を渡り、時折他の参加者を助ける余裕も見せていた。彼の優雅な姿に、恋人連れの女性たちは感嘆の声を上げている。

メリーちゃんは水に落ちた参加者をふわふわ毛で引き上げ、タフィーちゃんは滑りそうな葉っぱをチョコレート液で固定してサポートしていた。
「二人とも頼りになるね!」
リディアはそんな彼らに笑顔を向けながら、ゴール地点で参加者たちを迎え入れていた。

最後のプログラムは、噴水滑り台を使ったタイムアタックだ。リディアが滑り台を指さしながら説明する。
「速さを競うだけじゃなくて、滑りながら星の光を拾うとポイントがアップするよ! スピードだけじゃなく、器用さも試されるね!」

参加者たちは次々に滑り降り、光を拾い集めていく。オルゴールの音色が滑り降りるたびに変化し、ゴール地点では高らかなメロディーが響き渡る。
「やった! 最速記録!」
参加者の一人が歓声を上げると、観客席から拍手が湧き起こった。

ハーゲンは滑り台に挑む前、「こんな子どもの遊びは俺には似合わん」とぼやいていたが、滑り降りる途中で星の光をいくつも拾い、ゴールした瞬間には参加者たちから大きな拍手を受けていた。

イベントの締めくくりには、特別な宝箱が湖の中央から登場した。カラクリオルゴールの音色が美しく響き渡り、星の模様が湖面に浮かぶ中、リディアが宝箱を開けると、中には星の欠片のレプリカや特製ポーションが収められていた。冒険者も騎士団も笑顔でそれを見つめ、拍手が湧き起こる。

「みんな、今日はありがとう! 楽しんでもらえたかな?」
リディアの言葉に、冒険者たちは「最高だった!」「また来るよ!」と口々に声を上げた。星の欠片が作り出したこの場所は、多くの人々にとって忘れられない特別な思い出となった。
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