脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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ようこそ!天蓋の浮島へ

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リディアは天蓋の浮島でくつろぎながら、ふと歯車の浮島にある小さなネコドアのことを思い出した。
あの扉の先には、猫たちだけが入れる秘密の楽園が広がっている。しかし、あの小さな扉は人間サイズのリディアには通ることができない。

「でも……ミニミニポーションを使えば、私も通れるかもしれない!」
リディアの目が輝き、ポーチの中から小さな瓶を取り出した。それは、体を一時的に縮小できる「ミニミニポーション」。さらに、猫たちの願いを聞くための「猫の願いポーション」と、猫たちを喜ばせるための「またたびポーション」も握りしめた。

「靴下ネコさんにも会いたいし!」
そう決意したリディアは、メリーちゃんとタフィーちゃんを呼び寄せ、魔法の絨毯に飛び乗った。

「さあ、歯車の浮島へ行こう!」
リディアの掛け声とともに、絨毯はふわりと浮き上がり、夜空を切り裂くように進み始めた。

歯車の浮島に到着すると、リディアたちはすぐに小さなネコドアの前へ向かった。扉の前で腰を下ろしたリディアは、手の中のミニミニポーションをじっと見つめた。

「これを飲めば、きっと通れるはず……!」
リディアは一息にポーションを飲み干した。すると、体がみるみる縮んでいき、タフィーちゃんと同じくらいのサイズになった。

「これなら大丈夫!」
リディアは小さな体でネコドアを押し開け、中へと足を踏み入れた。

扉の向こう側には、柔らかな芝生と輝く光に包まれた猫たちの楽園が広がっていた。猫たちはそれぞれ思い思いに遊び、くつろいでいる。池のほとりでは蝶が舞い、小鳥たちがさえずる穏やかな空間に、リディアは目を奪われた。

「本当に素敵な場所……!」
感嘆の声を漏らすリディアの前に、靴下ネコがちょこんと姿を現した。驚いた顔をしているが、すぐに「にゃあ」と喜びの声を上げ、リディアに近づいてきた。

「靴下ネコさん! また会いに来たよ!」

リディアはまたたびポーションを少しだけ地面に垂らし、猫たちと戯れる時間を楽しんだ。毛並みの違う猫たちが次々とリディアに近づき、愛らしい声を上げたり、身体をすり寄せたりしてくる。

「ふふ、可愛い! これだから猫たちと遊ぶのはやめられないんだよね。」
リディアが微笑む中、メリーちゃんも「メェ!」と鳴き、タフィーちゃんは猫たちの間をぷるぷると跳ね回っていた。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、リディアが名残惜しそうに小さな扉の前に戻ると、靴下ネコが後ろからついてきた。

「どうしたの? 靴下ネコさん。」
靴下ネコはリディアの足元に座り、じっと目を見つめながら「にゃあ、にゃあ」と何か言いたげに鳴いた。その声には、普段の甘えた調子とは違う、どこか真剣さを感じさせる響きがあった。

「なにか伝えたいことがあるの?」
リディアはしゃがみ込み、靴下ネコの目を見つめ返した。猫の願いポーションを握りしめながら、その心の声を聞こうとする。

すると、リディアの頭にふっと靴下ネコの気持ちが伝わってきた。

「楽園も好きだけど、ここでは自由になれない気がする。みんなのために何かすることが当たり前で、今はその役目も薄れて……もう少し自分だけの場所で、のびのび過ごしたい。」

リディアははっとして、靴下ネコの気持ちを理解した。

「そっか……靴下ネコさん、他の猫たちを助けることばかり考えてきたんだね。でも、たまには自分のためにゆっくりしたくなるよね。」

リディアはそっと靴下ネコの頭を撫で、優しく微笑んだ。

「それなら、私たちの天蓋の浮島に来ない? あそこなら静かでのんびりできるし、ふかふかのクッションも、暖かいこたつもあるよ!」

靴下ネコは一瞬考えた後、「にゃあ!」と嬉しそうに鳴き、リディアの提案を受け入れたようだった。

猫たちに別れを告げたリディアは、靴下ネコを連れて扉の外へ戻った。ミニミニポーションの効果が切れると、再び元の大きさに戻り、靴下ネコとともに絨毯に乗り込む。

「さあ、次は天蓋の浮島だよ!」
リディアの言葉に、靴下ネコは絨毯の端にちょこんと座り、尻尾を揺らしながら星空を見上げていた。

星空を渡り、絨毯がふわりと天蓋の浮島へと降り立った。
リディアたちが到着すると、夜の冷たい空気を感じさせない、温かな雰囲気が島全体を包んでいた。天蓋のキラキラと輝く星模様が、夜空の星々と溶け合い、島はまるで夢の中の景色のようだ。

「ここが靴下ネコさんの新しい居場所だよ!」
リディアは絨毯から降り、靴下ネコを抱き上げながら微笑んだ。靴下ネコは静かにリディアの腕から飛び降り、島の中を慎重に歩き回り始めた。

天蓋の下に広がるふかふかのクッションや、暖かなこたつ、柔らかなタオルケット。靴下ネコはそのすべてをくんくんと鼻を鳴らしながら確認していく。しばらく歩き回った後、こたつの布の中に頭を突っ込んでみた。

「にゃあ……」
満足そうな鳴き声が聞こえ、靴下ネコはそのままこたつに体をすっぽり入れ込んだ。布の中で丸くなり、完全にくつろいだ様子だ。

「気に入ってくれたみたいだね!」
リディアはほっと胸をなでおろし、メリーちゃんとタフィーちゃんに目を向けた。メリーちゃんは「メェ!」と嬉しそうに鳴き、タフィーちゃんはこたつの隣で「ぷるぷるん!」と小さく弾みながら応えた。

リディアは靴下ネコのために用意していた小さなアイテムを取り出した。メリーちゃんの綿菓子毛の中からは、リディアが街で見つけた可愛らしい猫用のベッドやおもちゃが次々と現れる。

「ほら、これも置いてみたよ!」
靴下ネコはベッドの柔らかさを確かめるように前足でちょんちょんと触り、満足そうに寝転がった。その隣には、星の模様が入った小さなボールが転がり、タフィーちゃんが楽しげにそれを転がして遊んでいる。

「これで靴下ネコさんも自由にのびのび過ごせるね!」
リディアの言葉に、靴下ネコはこたつの中からひょっこり顔を出し、「にゃあ!」と嬉しそうに鳴いた。

その夜、リディアたちは天蓋の浮島でくつろぎながら、星空を眺めた。靴下ネコはこたつの中で丸くなり、メリーちゃんはクッションの上に横たわり、タフィーちゃんはタオルケットに潜り込んでいる。

「ここでみんなと一緒に過ごせる時間が、私にとって一番幸せだなぁ……」
リディアは静かに目を閉じ、夜風に吹かれながらその瞬間を胸に刻んだ。
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