脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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オバケキノコの大発生

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冒険者ギルドの受付カウンターで、リディアは受付のお姉さんから新しい協力依頼の説明を聞いていた。契約冒険者として、またもや騎士団からの依頼が舞い込んだのだ。

「今回は、オバケキノコの大発生についての調査です。森の住人や登山者たちが困っているそうですよ。キノコたちがいたずらをして、荷物を盗んだり、行く手を邪魔したりしているみたいで……」

お姉さんが丁寧に説明する傍らで、リディアは目を輝かせた。
「またオバケキノコ！？前に捕まえたときは楽しかったけど、そんなに増えちゃったのね……これは面白そう！」

その時、背後から熊騎士の豪快な声が響いた。
「リディア！お前ならまた頼りになると思ってな！」

振り返ると、逞しい体格の熊騎士が笑いながら歩み寄ってきた。その横には、セリルがきちんとした姿勢で立っている。

「リディア、今回も君の協力が必要だ。キノコたちは前回とは比べ物にならない数で発生しているようだし、君たちの柔軟な発想に期待している。」

セリルが真剣な表情で話す中、熊騎士は「ま、俺たちだけじゃキノコに遊ばれるのがオチだからな」と冗談めかして笑った。

リディアはうなずきながら、隣のメリーちゃんとタフィーちゃんに目をやる。メリーちゃんは「メェ！」と気合十分な鳴き声を上げ、タフィーちゃんも「ぷるぷるん！」と弾んで意気込みを示している。

「よし、みんなで頑張ろう！オバケキノコを追いかけて捕まえるの、楽しいしね！」

熊騎士とセリルも同行し、リディアたちは新たな冒険に向けて準備を整えた。森へ向かう道中、熊騎士は「オバケキノコを何匹捕まえられるか競争するか？」と豪快に笑い、セリルは「まずは状況を把握するのが先です」と冷静にたしなめていた。

リディアはそのやり取りを微笑ましく聞きながら、森の奥でどんなキノコたちが待っているのか、心を躍らせていた。青々と茂る木々の間に足を踏み入れ、5人は冒険を開始した。

森の奥へ足を踏み入れると、柔らかな陽光が木々の隙間から差し込み、鳥たちのさえずりが心地よく響いていた。しかし、その静寂はすぐに賑やかで騒々しいものへと変わった。

「いたぞ！」
熊騎士の大声が響き渡り、指差す先には飛び跳ねるように動く無数のオバケキノコたちがいた。小さな傘のついた体が、ぴょんぴょんと跳ねながら森の中を縦横無尽に駆け回っている。

「わぁ、こんなにたくさんいるなんて！」
リディアは目を輝かせながら駆け出し、傍らでメリーちゃんが「メェ！」と気合を入れて突進。タフィーちゃんも「ぷるぷるん！」と弾んで追いかけ始めた。

しかし、キノコたちの反応は素早い。リディアが捕まえようと手を伸ばすと、キノコたちは「ぴょーん！」と跳ねてその手をかわし、まるで遊んでいるかのように彼女の周りをくるくる回った。

「な、なんだこいつら、すばしっこいな！」
熊騎士が大きな手で捕まえようとするが、キノコたちは頭上に飛び乗り、まるでトランポリンのように飛び跳ねている。

「お、おい！頭の上はやめろ！」
熊騎士が手で追い払おうとするが、キノコたちは嬉しそうに「ぴょんぴょん」と跳ね続けた。

一方、タフィーちゃんも奮闘していた。甘い香りでキノコたちをおびき寄せようとするものの、逆にキノコたちがタフィーちゃんに突撃してきた。

「ぷるん！」
タフィーちゃんの柔らかい体にキノコが勢いよくぶつかり、彼の体が一瞬だけぐにゃりと歪む。まるで弾力を楽しむかのように、キノコたちは次々とタフィーちゃんに突撃していった。

「タフィーちゃん、大丈夫！？甘い香りが逆効果みたいだね！」
リディアは心配そうに声をかけながらも、手にしていた網を振るってキノコを捕まえようとする。しかし、キノコたちは素早く跳ね回り、なかなか捕まらない。

「リディア、ここは慎重にいくべきです！」
セリルが冷静に指示を飛ばしつつ、キノコの動きを観察していた。彼の剣がキノコを傷つけないよう、慎重に柄の部分で囲い込むように動きを封じる。

「さすがセリル！見習わなきゃね！」
リディアも負けじと色変わりポーションを取り出し、キノコたちの周囲に撒いた。驚いたキノコたちは一瞬動きを止め、その隙にメリーちゃんがふわふわの毛を広げて待ち構え、数匹を見事に包み込む。

「捕まえた！メリーちゃん、ナイス！」
リディアが笑顔で声を上げると、メリーちゃんは「メェ！」と得意げに鳴いた。

一方で熊騎士は、頭の上で跳ね回るキノコたちに「いい加減にしろー！」と叫びながら奮闘中。

「熊騎士さん、こっちの網使いますか？」
リディアが笑いながら網を差し出すと、熊騎士は大きな手でそれを受け取り、ようやく頭上のキノコを捕獲することに成功した。

「やれやれ……お前たち、本当に手強いな。」
熊騎士がほっと息をつく間にも、キノコたちは次々と新たないたずらを仕掛けてくる。森全体がまるでキノコたちの遊び場になったかのようだった。

それでも、リディアたちは協力しながら少しずつキノコを捕まえ、袋に詰めていった。タフィーちゃんも甘い香りを抑えつつ、今度はキノコたちの背後に回り込む作戦で成果を上げていた。

「もう少しで全部捕まえられるかな……みんな、あとひと踏ん張りだよ！」
リディアの声に応え、メリーちゃんも「メェ！」と一層気合を入れる。森の中に笑い声と掛け声が響き渡り、キノコたちとの追いかけっこはまだまだ続いていくのだった。

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